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マスカレードを壊したい
名前変換
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たまに泊まるホテルのベットってすごく気持ちがいい。家とはまた違って眠る人の事を考えて作られた構造の高級な物だからか、ぐっすりと眠れていつか家にもいいベットが欲しいと思ってた。
夜遅くまで掛かる任務だってあるんだから、それくらいの贅沢はしたい…。只でさえ疲れが取れないんだもん。
でも今日はいつもと何かが違う。スルリと足を動かすと肌に吸い付く毛布の感触と、優しく身体を受け止めてくれるベットがすごく気持ちよくてまた意識を手放してしまいそう。それに温かくて、石鹸のいい香りがする。
「おはよう、名前。」
「う…わ…。」
しかし突如雨みたいに降ってきた私の名前を呼ぶ声に反応すれば、驚きすぎて変な声が出てしまった。きっと誰だって驚くに違いない。だってバスローブ姿のブチャラティが、隣で横になりながら私の顔を覗き込んでるんだもの。
髪も肌もしっとりしてるって事は…お風呂上がり!?
艶やかな黒髪はいつもと違って結ってなくストレートで、大きく開くバスローブから覗く鎖骨や温まった肌がうっすらピンク色で、その全てが色気そのもので手放しそうだった意識も戻ってしまった。
「えっと…お風呂入ったの?」
「ああ、昨日は沢山汗かいただろ?さっぱりするぜ…名前も入って来るといい。」
「う…うん、ありがとう。そうしよっかな。」
彼の提案に昨日の事を思い出してドキッと胸が跳ねた。彼の息遣いとか手の動きとか兎に角全て覚えていて、恥ずかしくて今度は彼を直視出来なくなり視線を真っ白なシーツへ移す。
セックス後ってこんなに恥ずかしいものだっけ!?
掌に汗が生まれ頬が熱くて、反射神経みたいに身体が好きだと言っている。
私はシーツで身体を覆いながら下着を手探りで集めて身に付け様とすれば、「名前…。」と甘い声が鼓膜を擽ったと同時にあっという間に手を引かれて彼の腕の中に居た。
なになに!?と1人パニックになっていると、優しいキスが唇へと贈られる。
「キス…忘れてるぜ。」
「~っ、あ、あのねぇ!」
「何だ?怒ってるのか?」
「お…こってはない…けど。」
「恥ずかしいんだろ?」
「解ってるなら急にしないで聞かないで。」
「ははっ、恋人だから無理だろ。」
「んっ…。」
相変わらず付き合う前と変わらず楽しげにからかう彼は、わざとチュッとリップ音を立てて私の心を刺激する。
私だって好きだけど、好きだからこそまだ気持ちが追い付かないのよ!
そう気持ちを打ち明けられたらどれだけ良いか。なんでも素直に話せて甘えられたら可愛らしい彼女なんだと思う。けれどギャングになってしまって散々ブチャラティから逃げて来たのだから、そうは"素直な可愛い彼女"にはなれないのだ。
「シャ、シャワー浴びてくるね!」
言いたくても言葉に出来ない私は口をパクパクさせてから一言告げると、下着を付けないで抱えたまま逃げる様にシャワールームへと駆け出してしまった。
「もうもう!何でセックスしたのにあんなに余裕なのよ!!」
私は1人をいい事に熱めのシャワーで身体に纏う泡を流しながら言葉を吐き出した。洗っても手や唇が触れた感触が消えない腕は、先程彼の纏っていた香りに包まれて余計に逃れられなくなった。
身体って言うか…奥が苦しい…。ブチャラティの顔を見たら、ときめいてしまう自分が怖いくらいだわ。
私はシャワーを止めて苦しい胸に困りながら出ると、脱衣所には用意してくれたフワフワのタオルと女性らしいV字に首元の空いたカットソーとロングスカートが用意されていた。これも昨日ギアッチョと会っている間に買ったのだろう。可愛いな…。
彼の中でこう言うイメージなのは、女性として嬉しい。普段着ないから少し緊張しながら拭いた腕を袖に通して鏡の前に立ってみる。自分で言うのもなんだが、とてもギャングには見えない20代の女性が映っている。
少し髪を弄って彼みたく編み込んで耳で止めればより女性らしくなり、自然と微笑んで喜んでしまう。
恋人の力ってすごい…こんなにも私を変えてしまうんだもん。恥ずかしかったり強がったり、今度は可愛く思われたいって思ってる。
「お風呂ありがとう。」
「ああ、良かった。…服もやっぱり似合うな。おいで、もっと近くで見たい。」
「うん…。」
バスローブから爽やかな水色のシャツと黒いズボンに着替えた彼に呼ばれれば、素直に手招きを合図に傍に寄ると頬を指先が撫でキスが降る。すると彼は満足げに微笑み「こっちで軽く食事をしよう」とそのまま肩を抱いて朝食へ誘う。
彼の用意してくれたビスケットにイチゴのジャムを塗って頬張れば、口いっぱいに広がる甘さにうっとりとする。んーっ、こう言う休日はいつぶりだろう。
「この後、一緒に映画を観ないか?」
「それいいわね!映画なんて久しぶり!」
「ミスタに借りたんだ。おまえ犬好きだろ?」
「好き!あーでも感動系は絶対泣く…。」
「それがミスタの狙いらしいぜ。気のある女と観ていい感じに持ってくらしい。」
「うわ!ミスタっぽいけどそんなのヤダ!」
お互い笑いながら他愛も無い話をして入れてもらったコーヒーへ口を付ける。苦いけど甘味も残る素敵な朝食は、私の心を解してくれていつもの2人に戻してくれた。
朝食が終わると早速映画を観る事にした。テレビの前にソファで2人並んで座り、テーブルにはサンペレグリーノのソフトドリンクの缶が2つとポップコーンの袋。映画館もいいけど、家は周りを気にせず観れるからいいわよね。
* ** *** ****
「ううっ…。頑張れぇ…。」
案の定、映画も終盤に差し掛かると感動のあまりティッシュの箱を抱えて大粒の涙を溢していた。以前に失恋したら泣ける映画を観ると耳にした事があったが、本当に浄化されると言うか洗い流されていいかも知れない。
エンドロールすらも胸に響きティッシュで涙を拭いていたら、その手を捕まれるので見上げれば此方を見つめる蒼い瞳。
「そんなに擦ると赤くなる。」
「だって涙が出るんだもの…仕方ないでしょ。」
「なら消毒してやる。可愛い顔が台無しになるだろ。」
「ぁ…ブチャラティくすぐったい…。」
「名前はどっちも可愛いが…。なるほど、ミスタの気持ちも解るな…もっと泣かしたくもなる。」
そう言って瞳の周りに優しく唇を当てる。今日、何度目のキスだろう。でもそれが嬉しくて私は抵抗せずにキスを受け止めていると、涙は止まり照れ笑いに変わっていった。そしてそのまま崩れて映画に出てた犬達がじゃれるシーンみたいに私達は抱き合う。
何で大好きな人と過ごす時間はあっという間に過ぎて行くんだろう。
あの後、愛を確かめ合い昼食を食べたら散歩をしてオレンジ色の夕日を背に受けて、いい香りに導かれればリストランテへ入り食事をした。色とりどりのお皿の上が綺麗に何も無くなれば、心もぽっかり穴が開いたみたいに寂しくなる。
まるで心に空いた穴みたいに、真っ黒な中に真ん丸い月が浮かぶ。
外へ出ると「家まで送る」と足並みを揃えて私達は向かう。確かに進んでいるのに私の足は家に近づく度に重くなっているみたい。こんなにも家に帰りたくないと思ったのはいつぶりだろうか。
「名前。」
「え、なあに?」
「着いたぜ。」
「あ…。」
全然話した内容も思い出せないくらい、いつの間にか私の家の玄関前まで着いていた。
寂しいけれど、いい大人がそんな事を口になんて出来ない…。
"また明日仕事でも会えるじゃない"
そう自身に言い聞かせてキーケースから鍵を取り出して扉を開ければ、送ってくれた彼へ微笑み「送ってくれてありがとう」と感謝を述べて繋いでいる手を解いた。
扉を閉める時がスローモーションみたいに感じる。ゆっくりと最後まで彼から視線を離せないでいたら、いきなり扉が動かなくなってしまった。何事かと視線を下へ向けると扉に革靴が挟まっているではないか。
「ブチャラティ?……きゃっ!!」
すると突然扉が引っ張られて私はバランスを崩して悲鳴を上げる。本当に一瞬だった。素早く開いた扉へと身体を滑り込ませたブチャラティは腕の中に私を閉じ込めたのだ。
パタンと扉が閉まる音が聞こえて、我に返った私は漸く事態を把握できた。
どうしたの?
そう問いたくなるくらい、きつく抱き締めて私の肩に顔を埋める彼。
「すまない…。離したくなくなった。」
苦し気に絞り出された掠れた声に胸が締め付けられる。ああ、彼が愛しくて仕方がない。
私だって一緒よ。
広い背中に腕を回して、少しでも私の気持ちが伝わる様にと抱き締め返す。こんなに密着しているのに伝わらないのがもどかしい。
「好き…ブチャラティ。」
「名前…。」
「私も……離さないで欲しかったの。明日なんて待てないわ。」
「はあ…これ以上オレの理性を壊すなよ。知らないからな…明日どうなっても。」
「ふ…ぁっ…。」
もう限界だと苦し気な表情の彼は、唇を奪い舌を絡めて私を溺れさせていく。くらくらする程の甘い香りを昨日も昼間も嗅いでいるのに堪えられなくて、自然と崩れそうな私の身体を支えて彼は愛撫を続ける。
暗くて灯りはカーテンから漏れる月だけ。
静かだった部屋にはゼンマイを回したオルゴールから1つずつ音が落ちるみたいに甘い声が零れていく。
大人なんて関係無かった。明日会えるなんて言い訳通用しないくらい愛してる。
私達は煮詰めたジャムみたいにドロドロに溶けて甘い夢を見た。
be continued
夜遅くまで掛かる任務だってあるんだから、それくらいの贅沢はしたい…。只でさえ疲れが取れないんだもん。
でも今日はいつもと何かが違う。スルリと足を動かすと肌に吸い付く毛布の感触と、優しく身体を受け止めてくれるベットがすごく気持ちよくてまた意識を手放してしまいそう。それに温かくて、石鹸のいい香りがする。
「おはよう、名前。」
「う…わ…。」
しかし突如雨みたいに降ってきた私の名前を呼ぶ声に反応すれば、驚きすぎて変な声が出てしまった。きっと誰だって驚くに違いない。だってバスローブ姿のブチャラティが、隣で横になりながら私の顔を覗き込んでるんだもの。
髪も肌もしっとりしてるって事は…お風呂上がり!?
艶やかな黒髪はいつもと違って結ってなくストレートで、大きく開くバスローブから覗く鎖骨や温まった肌がうっすらピンク色で、その全てが色気そのもので手放しそうだった意識も戻ってしまった。
「えっと…お風呂入ったの?」
「ああ、昨日は沢山汗かいただろ?さっぱりするぜ…名前も入って来るといい。」
「う…うん、ありがとう。そうしよっかな。」
彼の提案に昨日の事を思い出してドキッと胸が跳ねた。彼の息遣いとか手の動きとか兎に角全て覚えていて、恥ずかしくて今度は彼を直視出来なくなり視線を真っ白なシーツへ移す。
セックス後ってこんなに恥ずかしいものだっけ!?
掌に汗が生まれ頬が熱くて、反射神経みたいに身体が好きだと言っている。
私はシーツで身体を覆いながら下着を手探りで集めて身に付け様とすれば、「名前…。」と甘い声が鼓膜を擽ったと同時にあっという間に手を引かれて彼の腕の中に居た。
なになに!?と1人パニックになっていると、優しいキスが唇へと贈られる。
「キス…忘れてるぜ。」
「~っ、あ、あのねぇ!」
「何だ?怒ってるのか?」
「お…こってはない…けど。」
「恥ずかしいんだろ?」
「解ってるなら急にしないで聞かないで。」
「ははっ、恋人だから無理だろ。」
「んっ…。」
相変わらず付き合う前と変わらず楽しげにからかう彼は、わざとチュッとリップ音を立てて私の心を刺激する。
私だって好きだけど、好きだからこそまだ気持ちが追い付かないのよ!
そう気持ちを打ち明けられたらどれだけ良いか。なんでも素直に話せて甘えられたら可愛らしい彼女なんだと思う。けれどギャングになってしまって散々ブチャラティから逃げて来たのだから、そうは"素直な可愛い彼女"にはなれないのだ。
「シャ、シャワー浴びてくるね!」
言いたくても言葉に出来ない私は口をパクパクさせてから一言告げると、下着を付けないで抱えたまま逃げる様にシャワールームへと駆け出してしまった。
「もうもう!何でセックスしたのにあんなに余裕なのよ!!」
私は1人をいい事に熱めのシャワーで身体に纏う泡を流しながら言葉を吐き出した。洗っても手や唇が触れた感触が消えない腕は、先程彼の纏っていた香りに包まれて余計に逃れられなくなった。
身体って言うか…奥が苦しい…。ブチャラティの顔を見たら、ときめいてしまう自分が怖いくらいだわ。
私はシャワーを止めて苦しい胸に困りながら出ると、脱衣所には用意してくれたフワフワのタオルと女性らしいV字に首元の空いたカットソーとロングスカートが用意されていた。これも昨日ギアッチョと会っている間に買ったのだろう。可愛いな…。
彼の中でこう言うイメージなのは、女性として嬉しい。普段着ないから少し緊張しながら拭いた腕を袖に通して鏡の前に立ってみる。自分で言うのもなんだが、とてもギャングには見えない20代の女性が映っている。
少し髪を弄って彼みたく編み込んで耳で止めればより女性らしくなり、自然と微笑んで喜んでしまう。
恋人の力ってすごい…こんなにも私を変えてしまうんだもん。恥ずかしかったり強がったり、今度は可愛く思われたいって思ってる。
「お風呂ありがとう。」
「ああ、良かった。…服もやっぱり似合うな。おいで、もっと近くで見たい。」
「うん…。」
バスローブから爽やかな水色のシャツと黒いズボンに着替えた彼に呼ばれれば、素直に手招きを合図に傍に寄ると頬を指先が撫でキスが降る。すると彼は満足げに微笑み「こっちで軽く食事をしよう」とそのまま肩を抱いて朝食へ誘う。
彼の用意してくれたビスケットにイチゴのジャムを塗って頬張れば、口いっぱいに広がる甘さにうっとりとする。んーっ、こう言う休日はいつぶりだろう。
「この後、一緒に映画を観ないか?」
「それいいわね!映画なんて久しぶり!」
「ミスタに借りたんだ。おまえ犬好きだろ?」
「好き!あーでも感動系は絶対泣く…。」
「それがミスタの狙いらしいぜ。気のある女と観ていい感じに持ってくらしい。」
「うわ!ミスタっぽいけどそんなのヤダ!」
お互い笑いながら他愛も無い話をして入れてもらったコーヒーへ口を付ける。苦いけど甘味も残る素敵な朝食は、私の心を解してくれていつもの2人に戻してくれた。
朝食が終わると早速映画を観る事にした。テレビの前にソファで2人並んで座り、テーブルにはサンペレグリーノのソフトドリンクの缶が2つとポップコーンの袋。映画館もいいけど、家は周りを気にせず観れるからいいわよね。
* ** *** ****
「ううっ…。頑張れぇ…。」
案の定、映画も終盤に差し掛かると感動のあまりティッシュの箱を抱えて大粒の涙を溢していた。以前に失恋したら泣ける映画を観ると耳にした事があったが、本当に浄化されると言うか洗い流されていいかも知れない。
エンドロールすらも胸に響きティッシュで涙を拭いていたら、その手を捕まれるので見上げれば此方を見つめる蒼い瞳。
「そんなに擦ると赤くなる。」
「だって涙が出るんだもの…仕方ないでしょ。」
「なら消毒してやる。可愛い顔が台無しになるだろ。」
「ぁ…ブチャラティくすぐったい…。」
「名前はどっちも可愛いが…。なるほど、ミスタの気持ちも解るな…もっと泣かしたくもなる。」
そう言って瞳の周りに優しく唇を当てる。今日、何度目のキスだろう。でもそれが嬉しくて私は抵抗せずにキスを受け止めていると、涙は止まり照れ笑いに変わっていった。そしてそのまま崩れて映画に出てた犬達がじゃれるシーンみたいに私達は抱き合う。
何で大好きな人と過ごす時間はあっという間に過ぎて行くんだろう。
あの後、愛を確かめ合い昼食を食べたら散歩をしてオレンジ色の夕日を背に受けて、いい香りに導かれればリストランテへ入り食事をした。色とりどりのお皿の上が綺麗に何も無くなれば、心もぽっかり穴が開いたみたいに寂しくなる。
まるで心に空いた穴みたいに、真っ黒な中に真ん丸い月が浮かぶ。
外へ出ると「家まで送る」と足並みを揃えて私達は向かう。確かに進んでいるのに私の足は家に近づく度に重くなっているみたい。こんなにも家に帰りたくないと思ったのはいつぶりだろうか。
「名前。」
「え、なあに?」
「着いたぜ。」
「あ…。」
全然話した内容も思い出せないくらい、いつの間にか私の家の玄関前まで着いていた。
寂しいけれど、いい大人がそんな事を口になんて出来ない…。
"また明日仕事でも会えるじゃない"
そう自身に言い聞かせてキーケースから鍵を取り出して扉を開ければ、送ってくれた彼へ微笑み「送ってくれてありがとう」と感謝を述べて繋いでいる手を解いた。
扉を閉める時がスローモーションみたいに感じる。ゆっくりと最後まで彼から視線を離せないでいたら、いきなり扉が動かなくなってしまった。何事かと視線を下へ向けると扉に革靴が挟まっているではないか。
「ブチャラティ?……きゃっ!!」
すると突然扉が引っ張られて私はバランスを崩して悲鳴を上げる。本当に一瞬だった。素早く開いた扉へと身体を滑り込ませたブチャラティは腕の中に私を閉じ込めたのだ。
パタンと扉が閉まる音が聞こえて、我に返った私は漸く事態を把握できた。
どうしたの?
そう問いたくなるくらい、きつく抱き締めて私の肩に顔を埋める彼。
「すまない…。離したくなくなった。」
苦し気に絞り出された掠れた声に胸が締め付けられる。ああ、彼が愛しくて仕方がない。
私だって一緒よ。
広い背中に腕を回して、少しでも私の気持ちが伝わる様にと抱き締め返す。こんなに密着しているのに伝わらないのがもどかしい。
「好き…ブチャラティ。」
「名前…。」
「私も……離さないで欲しかったの。明日なんて待てないわ。」
「はあ…これ以上オレの理性を壊すなよ。知らないからな…明日どうなっても。」
「ふ…ぁっ…。」
もう限界だと苦し気な表情の彼は、唇を奪い舌を絡めて私を溺れさせていく。くらくらする程の甘い香りを昨日も昼間も嗅いでいるのに堪えられなくて、自然と崩れそうな私の身体を支えて彼は愛撫を続ける。
暗くて灯りはカーテンから漏れる月だけ。
静かだった部屋にはゼンマイを回したオルゴールから1つずつ音が落ちるみたいに甘い声が零れていく。
大人なんて関係無かった。明日会えるなんて言い訳通用しないくらい愛してる。
私達は煮詰めたジャムみたいにドロドロに溶けて甘い夢を見た。
be continued