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マスカレードを壊したい
名前変換
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遠ざかった筈の名前の姿は小さくなったのに、今でもギアッチョの瞳には輝いて見える。
あの時はこんなに輝いてたっけかぁ?
出会った時は貧相な女だな。としか思わなかった。
不幸を全部背負い込んだみてぇな面も気に入らねー。まあ、顔は嫌いじゃあないが…。
女が相棒なんてリゾットは何を考えているのだ。女は意味解らなく機嫌が悪くなるし、変に気を遣わなくてはならない。
ギアッチョは相変わらず無表情で読めないリゾットを黙って見つめていた。
だが、この上司は確信が無いと行動には移さない。このチームの中で、選ばれたと言う事に何か意味があるのかも知れないとギアッチョは頷いた。
月日とは不思議だ。どんなに嫌いな相手でも長い事一緒に居ると良い面や情が埋まれると言うが、まさにそれだった。
否、それ以上だ。ギアッチョの中に芽生えた事の無かった感情。知りたくも無いとすら思っていた恋愛感情が埋まれていたのだ。
リゾットの奴……これを見越してたな?
例え恋愛感情を抱いたとしても変な事はしないだろうと、ある意味信頼して託したのだと、ある時ギアッチョは確信した。
ならば尚更、手など出せる訳がない。
どいつもこいつも、くっそ腹が立つ。
思い出す度に胃が締め付けられるムカムカ感。
ギアッチョは奥歯を噛み締め眉を寄せながらブチャラティの顔が離れない事に苛立った。
いつだったか。
任務の出先に背後から世話しない足音がしない事に気付いたギアッチョは、目線を飛ばすと名前が離れた所で立ち尽くしている。
小突いてやろうかと近付くも、名前の横顔を見ればそんな気持ちも氷が掌で溶けていく様に消え去った。
今にも泣き出しそうな、それを堪えている1つに結んだ唇が震えているのが解る。目線を辿れば、見覚えのある男。
あれは……同じパッショーネの奴じゃあなかったか?
何でも護衛チームには若いのに切れ者が居ると耳にした事がある。黒髪に白いスーツ。雅に今この瞳に宿した男で間違いない。
その隣には親しげな髪の長い女。顔を寄せ身体を密着させて楽しげに会話をしている姿を見ると、恋人だろうか。
頭の中で全てが繋がり、名前があの男に特別な感情を持っているのは理解した。
オレなら流れた涙も氷に変えて消してやるのに。そしたらおまえは笑うだろ?
そんな柄にも無い事を思ってしまった自分が、今では恥ずかしくもある。
だが、名前のその眩しさに目を細めていると、肩に勢いよく逞しい腕が回った勢いでずれるメガネを盛大に溜め息を吐きながら治すのだった。
「浸ってるとこ、わりぃーけどよ。そろそろ行くぞ。」
「あ"?行くって…何処にだよ。」
「着いてくれば解る。おっ!ペッシーこっちだ。」
「だー!だからオレは行くなんて一言も言ってねぇ!!いいかっ、一言っつーのはなぁ!!」
「うっせぇーいいから黙ってろ!!」
何処にそんな力があるのか。暴れ大きな声で喚くギアッチョを半ば引きずりながら、プロシュートは一括してペッシーの乗る車へと歩き出した。
もう広場にはプロシュートのタバコの香りだけが残された。
暫くして車が止まったのは、小さなバールの前だ。初めて来た人間は、ここがバールだとは思うまい。
人を寄せ付けまいとレンガの壁にはびっしりとツタが這いバールには見えない外装で、ギャングには調度いい隠れ家の様だ。
小さなランプが扉を照らし、中へと踏み込むと奥のテーブルにはホルマジオ、イルーゾォ、メローネ、そしてそれを束ねるリゾットが料理と酒を囲んでいた。
おいおい何だぁこれは。
勢揃いしているファミリーに棒立ちで唖然としているギアッチョへ、1発ケリを入れて先へと促し次いでプロシュートとペッシーが進む。
店の角に男達が集まり食事を囲う様は圧巻だ。勢揃いするのは年末年始くらいじゃないか。
「揃いも揃って気持ちわりぃ…。」
「おっまえなぁ!!誰の為だとっ…!!」
「あー、はいはい、フラれた童貞君は座りなよ。取り敢えずワイン追加してくれないか?」
「……コロス、今すぐコロス。」
「ギアッチョ、こっちに来い。」
ホルマジオが口を挟むとメローネが小言に気にせず対処する。否、対処していると言うか確実に馬鹿にしている。
メローネはいつもギアッチョを小馬鹿にする節がある。確かに頭は良いのかもしれない。それを通り越して変態だとも思うが許せる事と許せない事がある。
メローネの発言に対して心の底から沸き上がる怒りにスタンド能力を発動しそうな程に、身体の回りにオーラを纏い睨み付けるギアッチョへと静かにリゾットの声が飛んできた。
個別指名の意味は何だとも思ったが、このタイミングだ。
「……どーせアイツの事だろ?」
「……。」
投げ掛けた質問に対して無反応でワインを口へと運ぶ姿に、ギアッチョは盛大な溜め息を吐けば近くにある椅子を引き寄せて音を立てて座る。
どうしてこうも言葉数が少ない男なのだろうか。
言わなくても伝わるとでも思ってんのかぁ?
しかし、それでも意図が読めてしまう自身にもうんざりするギアッチョはずるずると背凭れに凭れ掛かり深く座ると舌打ちをする。
「リゾット、テメーは親父かよ。」
「まあ一応、これでも皆ファミリーだしな。」
「名前の事が気になるなら、直接会えばいーだろ。」
「それはオレの柄じゃあない。……だが、何かあった時、名前が帰って来れる場所は作っているつもりだ。」
それはリゾットなりの愛情表現だろうか。
言葉から伝わる温かさにむず痒さと同時に、少しだけその気持ちが解る気がした。
どっちみちアイツを想う気持ちは一緒って事かよ。
男だらけのチームから摘まれた花の行方に苛立ちもあったが、今ではここよりも綺麗に咲いてくれている。
定員が手にしていたワインのグラスを素早く手に取り口へと運べば、失恋の虚しさも薄れ目の前の自身の居場所も悪くないとギアッチョは思えたのだった。
end
あの時はこんなに輝いてたっけかぁ?
出会った時は貧相な女だな。としか思わなかった。
不幸を全部背負い込んだみてぇな面も気に入らねー。まあ、顔は嫌いじゃあないが…。
女が相棒なんてリゾットは何を考えているのだ。女は意味解らなく機嫌が悪くなるし、変に気を遣わなくてはならない。
ギアッチョは相変わらず無表情で読めないリゾットを黙って見つめていた。
だが、この上司は確信が無いと行動には移さない。このチームの中で、選ばれたと言う事に何か意味があるのかも知れないとギアッチョは頷いた。
月日とは不思議だ。どんなに嫌いな相手でも長い事一緒に居ると良い面や情が埋まれると言うが、まさにそれだった。
否、それ以上だ。ギアッチョの中に芽生えた事の無かった感情。知りたくも無いとすら思っていた恋愛感情が埋まれていたのだ。
リゾットの奴……これを見越してたな?
例え恋愛感情を抱いたとしても変な事はしないだろうと、ある意味信頼して託したのだと、ある時ギアッチョは確信した。
ならば尚更、手など出せる訳がない。
どいつもこいつも、くっそ腹が立つ。
思い出す度に胃が締め付けられるムカムカ感。
ギアッチョは奥歯を噛み締め眉を寄せながらブチャラティの顔が離れない事に苛立った。
いつだったか。
任務の出先に背後から世話しない足音がしない事に気付いたギアッチョは、目線を飛ばすと名前が離れた所で立ち尽くしている。
小突いてやろうかと近付くも、名前の横顔を見ればそんな気持ちも氷が掌で溶けていく様に消え去った。
今にも泣き出しそうな、それを堪えている1つに結んだ唇が震えているのが解る。目線を辿れば、見覚えのある男。
あれは……同じパッショーネの奴じゃあなかったか?
何でも護衛チームには若いのに切れ者が居ると耳にした事がある。黒髪に白いスーツ。雅に今この瞳に宿した男で間違いない。
その隣には親しげな髪の長い女。顔を寄せ身体を密着させて楽しげに会話をしている姿を見ると、恋人だろうか。
頭の中で全てが繋がり、名前があの男に特別な感情を持っているのは理解した。
オレなら流れた涙も氷に変えて消してやるのに。そしたらおまえは笑うだろ?
そんな柄にも無い事を思ってしまった自分が、今では恥ずかしくもある。
だが、名前のその眩しさに目を細めていると、肩に勢いよく逞しい腕が回った勢いでずれるメガネを盛大に溜め息を吐きながら治すのだった。
「浸ってるとこ、わりぃーけどよ。そろそろ行くぞ。」
「あ"?行くって…何処にだよ。」
「着いてくれば解る。おっ!ペッシーこっちだ。」
「だー!だからオレは行くなんて一言も言ってねぇ!!いいかっ、一言っつーのはなぁ!!」
「うっせぇーいいから黙ってろ!!」
何処にそんな力があるのか。暴れ大きな声で喚くギアッチョを半ば引きずりながら、プロシュートは一括してペッシーの乗る車へと歩き出した。
もう広場にはプロシュートのタバコの香りだけが残された。
暫くして車が止まったのは、小さなバールの前だ。初めて来た人間は、ここがバールだとは思うまい。
人を寄せ付けまいとレンガの壁にはびっしりとツタが這いバールには見えない外装で、ギャングには調度いい隠れ家の様だ。
小さなランプが扉を照らし、中へと踏み込むと奥のテーブルにはホルマジオ、イルーゾォ、メローネ、そしてそれを束ねるリゾットが料理と酒を囲んでいた。
おいおい何だぁこれは。
勢揃いしているファミリーに棒立ちで唖然としているギアッチョへ、1発ケリを入れて先へと促し次いでプロシュートとペッシーが進む。
店の角に男達が集まり食事を囲う様は圧巻だ。勢揃いするのは年末年始くらいじゃないか。
「揃いも揃って気持ちわりぃ…。」
「おっまえなぁ!!誰の為だとっ…!!」
「あー、はいはい、フラれた童貞君は座りなよ。取り敢えずワイン追加してくれないか?」
「……コロス、今すぐコロス。」
「ギアッチョ、こっちに来い。」
ホルマジオが口を挟むとメローネが小言に気にせず対処する。否、対処していると言うか確実に馬鹿にしている。
メローネはいつもギアッチョを小馬鹿にする節がある。確かに頭は良いのかもしれない。それを通り越して変態だとも思うが許せる事と許せない事がある。
メローネの発言に対して心の底から沸き上がる怒りにスタンド能力を発動しそうな程に、身体の回りにオーラを纏い睨み付けるギアッチョへと静かにリゾットの声が飛んできた。
個別指名の意味は何だとも思ったが、このタイミングだ。
「……どーせアイツの事だろ?」
「……。」
投げ掛けた質問に対して無反応でワインを口へと運ぶ姿に、ギアッチョは盛大な溜め息を吐けば近くにある椅子を引き寄せて音を立てて座る。
どうしてこうも言葉数が少ない男なのだろうか。
言わなくても伝わるとでも思ってんのかぁ?
しかし、それでも意図が読めてしまう自身にもうんざりするギアッチョはずるずると背凭れに凭れ掛かり深く座ると舌打ちをする。
「リゾット、テメーは親父かよ。」
「まあ一応、これでも皆ファミリーだしな。」
「名前の事が気になるなら、直接会えばいーだろ。」
「それはオレの柄じゃあない。……だが、何かあった時、名前が帰って来れる場所は作っているつもりだ。」
それはリゾットなりの愛情表現だろうか。
言葉から伝わる温かさにむず痒さと同時に、少しだけその気持ちが解る気がした。
どっちみちアイツを想う気持ちは一緒って事かよ。
男だらけのチームから摘まれた花の行方に苛立ちもあったが、今ではここよりも綺麗に咲いてくれている。
定員が手にしていたワインのグラスを素早く手に取り口へと運べば、失恋の虚しさも薄れ目の前の自身の居場所も悪くないとギアッチョは思えたのだった。
end