こちらで名前変換を行えます。
マスカレードを壊したい
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「だからぁ!あんたのそういう所が嫌いなのよ!」
ドンッと盛大な音を立ててジョッキを勢いよくテーブルに置くと、ビールが波の様に揺れて零れそうになった。真っ赤になる私とは違い、向かい側で余裕な笑みを浮かべる姿に余計に苛立った。こう言う所が腹立つのよ!!むかしっから!!
私は1人で声を荒げては楽しそうに見ている彼を指差した。
「おいおい、おまえに言われるのが一番傷付くんだぜ?」
「嘘つき。あんたってホントに昔からそう!余裕があって、誰にでも良い顔しちゃって!!」
「おまえは頑張りすぎるんだ。……頼っても良いんじゃあないのか?」
「そんな状態じゃなかった……。あんたともほとんど会わないし。」
本当は出会った時に一番気に掛けてくれてたのだって知っていた。
私はあからさまに不機嫌そうに表情に表すが、同時に気持ちも流し込む様にゴクゴクと喉音立てながら持っていたビールを飲み干す。彼は私の言葉を聞くなり楽しそうにビールを飲み干し、次いで探る様に顔を覗き込んできた。
「名前は言っている意味解ってるのか?オレが居なくて寂しかった様に聞こえるぜ。」
「寂しかったわよ!悪い?……こうやって話せるの、同期のあんたしかいないでしょ。なのに……どんどん偉くなっちゃって。」
「まったく……可愛い事言うんだな。こう、いつも素直だといいんだけどな。……酒弱いのファミリーは知ってるのか?」
「面倒くさくて飲みに行かないもん!知らないよ。」
最後に「お酒弱くないってばーっ。」と今度は笑顔でジョッキを掲げると、彼の笑う姿を目にすれば私はお酒の力もあり上機嫌になっていた。
「ブチャラティのほんとに笑った顔は好き。」
「なんだ?ほんとにって言うのは。」
「作り笑いじゃない顔ってこと~!」
だが私の言葉を聞くなり、急に彼は黙り込み口元に手を添え何やら考え始めてしまった。
何かまずいことでも言った?
そう一瞬脳裏に過ったが、お酒の勢いで言ってしまった部分もあるのだ。遅かったと諦めつつ、重たい空気をどうしたものかと目の前のソーセージをフォークで突きながら考える。
「……名前、おまえギャングを辞めろ。」
しかしいきなり低い声で言われた台詞に、体は一瞬にして血の気は引いていった。気持ちのいい感覚が消え去り、心臓がバクバクと大きな音を立てて速まるのを身体全体で感じる。
彼の真意が解らない。私が今まで頑張ってきた事、一番解ってくれていると思ったのに…。
私はフォークをギュッと握り恐る恐る彼の顔を見つめると、真剣な表情に思わず目を背けたくなった。しかし、ここで目を背けては真意が聞けなくなるのではと不安が襲い精一杯見つめるが視界が次第に揺らぐ。
「な、何で?今さらそんなっ……。」
「ギャングを辞めて、オレの女になればいい。」
震えた声で問い掛ければ正しいとばかりにハッキリと言う彼に、私の頭の中では大混乱が起き始めた。追い付かない思考。突然降ってきた聞き慣れない単語に、間抜けだと笑われてしまうかも知れないがポカンと口を開いてしまう。
「えっと、どうしてそうなる訳?意味解んないんだけど…。」
「オレが幹部にまで早く登り詰めたかったのは、このネオポリスの人達を麻薬から守りたいだけじゃあない。」
向かい側に座る彼は、自身の手を伸ばして私の手の上に重ねた。
大きい手は私の手を簡単に包み込み強く握り締める。この手で色んなモノを守ってきたと思うと一際胸が高鳴った。
「ずっとおまえの事が気にかかっていたんだ。なんでこんな華奢な女がギャングにって、守ってやらなきゃと思ってた。……早く男として守るって誓ったんだ。」
バールでは賑わっている男達の声は遠くに聞こえ、時間が止まった様に私は動く事が出来なくなってしまった。彼の声だけが私の胸に深く突き刺さり、まるでスタンド攻撃にあっているかの様だ。
ギャングを辞めろ?オレの女になれ?男として守る?
彼の言った言葉が行き場を無くした様に頭の中をぐるぐる巡る。
私の世界では縁がない言葉ばかりで全く理解が出来ないのだが、この単語だけ並べると1つの答えに辿り着く。
なんとか声を絞り出して、正解かは解らないが一応確認してみることにした。
「それって…………私に告白しているって言うの?」
「それ以外の何がある。」
「そ、それは…………ダメ!」
「おい、なんだぁそれは。何がダメだって言うんだ。」
「私に告白する事がよ!!」
これ以上ここに居てはダメだっ。
彼の言葉を聞いちゃダメだっ!!
私が私じゃあなくなっちゃう……!
頭の中でもう1人の私が警報を鳴らす。私が勢いよく立ち上れば、椅子は揺らいでバランスを崩して倒れた。その大きな音と同時に、重ねられたままの彼の手を振りほどくと逃げる様に店を飛び出した。
彼が背後で何か言っていたが、聞いている場合じゃあない。
カツカツカツとヒールの音が鐘の様に夜の街に響き、自身でも徐々に息が上がるのが解る。
私のスタンド能力は風を使う。必死だったが、いつの間にか能力を使っていたのだろう。いつしかこの数分で店からすごく距離が離れていて、立ち止まり周りを見渡せば知らない広場まで来ていた。
「…………だから貴方って昔から嫌いなのよ。私の心を掻き乱すから。」
私は火照った体の熱を取るように、スタンド能力で強い風を吹かせて涼む事にした。
ひんやりとした風が熱い頬を撫でると少し落ち着きを取り戻したのだが、胸の鼓動だけは収まらずぎゅっと目を瞑りながら苦しげに小さく呟いた。
be continued
ドンッと盛大な音を立ててジョッキを勢いよくテーブルに置くと、ビールが波の様に揺れて零れそうになった。真っ赤になる私とは違い、向かい側で余裕な笑みを浮かべる姿に余計に苛立った。こう言う所が腹立つのよ!!むかしっから!!
私は1人で声を荒げては楽しそうに見ている彼を指差した。
「おいおい、おまえに言われるのが一番傷付くんだぜ?」
「嘘つき。あんたってホントに昔からそう!余裕があって、誰にでも良い顔しちゃって!!」
「おまえは頑張りすぎるんだ。……頼っても良いんじゃあないのか?」
「そんな状態じゃなかった……。あんたともほとんど会わないし。」
本当は出会った時に一番気に掛けてくれてたのだって知っていた。
私はあからさまに不機嫌そうに表情に表すが、同時に気持ちも流し込む様にゴクゴクと喉音立てながら持っていたビールを飲み干す。彼は私の言葉を聞くなり楽しそうにビールを飲み干し、次いで探る様に顔を覗き込んできた。
「名前は言っている意味解ってるのか?オレが居なくて寂しかった様に聞こえるぜ。」
「寂しかったわよ!悪い?……こうやって話せるの、同期のあんたしかいないでしょ。なのに……どんどん偉くなっちゃって。」
「まったく……可愛い事言うんだな。こう、いつも素直だといいんだけどな。……酒弱いのファミリーは知ってるのか?」
「面倒くさくて飲みに行かないもん!知らないよ。」
最後に「お酒弱くないってばーっ。」と今度は笑顔でジョッキを掲げると、彼の笑う姿を目にすれば私はお酒の力もあり上機嫌になっていた。
「ブチャラティのほんとに笑った顔は好き。」
「なんだ?ほんとにって言うのは。」
「作り笑いじゃない顔ってこと~!」
だが私の言葉を聞くなり、急に彼は黙り込み口元に手を添え何やら考え始めてしまった。
何かまずいことでも言った?
そう一瞬脳裏に過ったが、お酒の勢いで言ってしまった部分もあるのだ。遅かったと諦めつつ、重たい空気をどうしたものかと目の前のソーセージをフォークで突きながら考える。
「……名前、おまえギャングを辞めろ。」
しかしいきなり低い声で言われた台詞に、体は一瞬にして血の気は引いていった。気持ちのいい感覚が消え去り、心臓がバクバクと大きな音を立てて速まるのを身体全体で感じる。
彼の真意が解らない。私が今まで頑張ってきた事、一番解ってくれていると思ったのに…。
私はフォークをギュッと握り恐る恐る彼の顔を見つめると、真剣な表情に思わず目を背けたくなった。しかし、ここで目を背けては真意が聞けなくなるのではと不安が襲い精一杯見つめるが視界が次第に揺らぐ。
「な、何で?今さらそんなっ……。」
「ギャングを辞めて、オレの女になればいい。」
震えた声で問い掛ければ正しいとばかりにハッキリと言う彼に、私の頭の中では大混乱が起き始めた。追い付かない思考。突然降ってきた聞き慣れない単語に、間抜けだと笑われてしまうかも知れないがポカンと口を開いてしまう。
「えっと、どうしてそうなる訳?意味解んないんだけど…。」
「オレが幹部にまで早く登り詰めたかったのは、このネオポリスの人達を麻薬から守りたいだけじゃあない。」
向かい側に座る彼は、自身の手を伸ばして私の手の上に重ねた。
大きい手は私の手を簡単に包み込み強く握り締める。この手で色んなモノを守ってきたと思うと一際胸が高鳴った。
「ずっとおまえの事が気にかかっていたんだ。なんでこんな華奢な女がギャングにって、守ってやらなきゃと思ってた。……早く男として守るって誓ったんだ。」
バールでは賑わっている男達の声は遠くに聞こえ、時間が止まった様に私は動く事が出来なくなってしまった。彼の声だけが私の胸に深く突き刺さり、まるでスタンド攻撃にあっているかの様だ。
ギャングを辞めろ?オレの女になれ?男として守る?
彼の言った言葉が行き場を無くした様に頭の中をぐるぐる巡る。
私の世界では縁がない言葉ばかりで全く理解が出来ないのだが、この単語だけ並べると1つの答えに辿り着く。
なんとか声を絞り出して、正解かは解らないが一応確認してみることにした。
「それって…………私に告白しているって言うの?」
「それ以外の何がある。」
「そ、それは…………ダメ!」
「おい、なんだぁそれは。何がダメだって言うんだ。」
「私に告白する事がよ!!」
これ以上ここに居てはダメだっ。
彼の言葉を聞いちゃダメだっ!!
私が私じゃあなくなっちゃう……!
頭の中でもう1人の私が警報を鳴らす。私が勢いよく立ち上れば、椅子は揺らいでバランスを崩して倒れた。その大きな音と同時に、重ねられたままの彼の手を振りほどくと逃げる様に店を飛び出した。
彼が背後で何か言っていたが、聞いている場合じゃあない。
カツカツカツとヒールの音が鐘の様に夜の街に響き、自身でも徐々に息が上がるのが解る。
私のスタンド能力は風を使う。必死だったが、いつの間にか能力を使っていたのだろう。いつしかこの数分で店からすごく距離が離れていて、立ち止まり周りを見渡せば知らない広場まで来ていた。
「…………だから貴方って昔から嫌いなのよ。私の心を掻き乱すから。」
私は火照った体の熱を取るように、スタンド能力で強い風を吹かせて涼む事にした。
ひんやりとした風が熱い頬を撫でると少し落ち着きを取り戻したのだが、胸の鼓動だけは収まらずぎゅっと目を瞑りながら苦しげに小さく呟いた。
be continued