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マスカレードを壊したい
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私は任務終了と同時に掛かってきた着信から、指定された店へと足を運ぶ。
そこはとても懐かしく、初めての任務の後連れてきてもらったトラットリア。ギアッチョがこの場所を選んでくれた事は素直に嬉しかった。
店内に入ればすぐに目につく天然パーマに思わずクスッと笑みを溢しながら、手を振って駆け寄る。
「ギアッチョお待たせ。」
「…適当に頼んどいた。ビール飲もうぜ。」
「え!もう頼んでおいてくれたの!?…ありがとうっ。」
素っ気ない態度だが、ギアッチョの気遣いに笑顔になりながら先程運ばれて来たであろう白い泡が乗ったビールを口へ運ぶ。
この仕事終わりの乾いた喉に広がる苦みが疲れた身体に染み渡り、思わず唸る。
そんな私にカウンターで隣に座るギアッチョが、口角を上げて笑うので少し恥ずかしくなってしまった。
「ちょっと、笑うことないじゃない。」
「あー、相変わらず旨そうに飲むよなぁ。」
「だって美味しいんだもの。それより!急に呼んだのにも何か理由があったんでしょう!?……リゾットに何かあったの?」
「バーカ。リゾットがヘマするかよ。……仕事の理由がなきゃ、オレが名前の事呼んじゃあダメなのかよ。」
「そ、そんな事無いけど…。」
元上司を心配する私に対して、少し拗ねた様に横目で見るギアッチョはグッと顔を近付けてきたので身体は反射的に固まってしまった。
な、なんか今日のギアッチョ変…。
「あ!わかった、私が居なくなって寂しくなったとか?」
「ちっ……んなぁ訳あるかよ!!あああ!?おまえこそ、オレと仕事出来なくて、恋しいんじゃあねぇのかぁあ!?」
「いえ、全く。寧ろ平和だわ。」
「おいぃ!!ちったあ可愛い事くらい言えよ!」
だが、冗談を言えば返してくれると少し心が解れていき笑いながらお互い肩を並べて一時を楽しむ。
何年も共に働いていたギアッチョがこんなに懐を許すなんて初めてだ。ふっとギアッチョの青い瞳を見ていたら自然と彼が目に浮かび、「帰ったら必ず電話しろ…解っているな?」と何回も言い心配する姿に苦笑した。
そんな事を思い出していたら、急に私の空いた手の上に大きな手が重なり冷たさに意識は引き戻された。
「オレと居るのに、ブチャラティの事考えるったあ余裕だなぁぁ?」
「へ!?ち、違うわよっ。」
「…………あいつの事、好きなのか?」
「別に…好きなんかじゃ…。」
「…………オレじゃダメなのかよ。」
私は勘繰るギアッチョに対して脳内に居た彼の姿を消す様に頭を左右に振るも、次いだ小さいがハッキリと発音された言葉に固まってしまった。
い、今……告白されてるの?いやいや!ギアッチョに限ってそんなっ……!
脳内でパニックになりつつギアッチョへ目線を向けると、メガネ越しの瞳には曇りは無く合うと舌打ちをして反らされる。
運ばれた料理の食欲を誘う匂いが鼻を擽るのに、全く手を伸ばそうとは思えず私はどう言葉を続けるかを考えていた。
「おまえとずっと任務をしてんのに、何で気付かねぇぇんだよ!!バァーカッ!」
「き、気付かないわよっ。だって、そんな仕草見せないじゃない!」
「ああ!?言えっかよ!んな恥ずかしい事!!」
「し、知らないよ…。」
徐々に頭に血が上っているのか声を荒げるギアッチョに、告白されているのか怒られているのか解らなくなってきた。
私は口に含んだビールの苦味と今の気持ちが重なり眉を寄せた。
ギアッチョの事は"相棒"としか思ってない。そう口を開こうとした時に重なったままの手がぎゅっと力強く握られ制している様だ。
「ギアッチョ…。」
「今日は聞きたくねぇ…。」
そう呟くと運ばれてきたプリモピアットをフォークに絡ませながら、もう目線を合わせてはくれないが耳は真っ赤なギアッチョ。
本当だったんだ…。
私は今までのギアッチョと乗り越えてきた任務の事などを思い出しながら、なんだか鼻の奥がツンと切なくなり同じくプリモピアットを口へ運ぶ。
食事が終わるまでの間、今までに無い気まずい雰囲気の中でお互い口数が減りつつも硬い結び目の様に手だけは繋がれたままだった。
氷を使うスタンド能力の持ち主なのに、掌は酷く熱い。
私は家に着いた後、くたびれたスーツを脱ぎ捨て一直線にシャワールームへ向えば熱めのシャワーを浴びながら呆然と立ち尽くしていた。
勢いのあるシャワーの水飛沫が身体を濡らし、髪から足元へ最後は渦を巻いて排水溝へ流れていく。
このままぜーんぶ流せちゃったら良いのに。
私は知らないでずっとギアッチョと接してたなんて…。
「でも…ギアッチョとブチャラティの気持ち聞いた時とじゃ、全然違ったかも…。」
思い返せば心の乱れ方の違いは明らかで、思わず耳がカアッと熱くなった。
私は色んな感情から顔を上げ落ちてくる幾つもの水の粒を受け止めていたのだが、徐々に水量が少なくなると溜め息を漏らす。
最近水回りの調子が悪いのだ。リラックスするつもりが苛立ちつつ、急いで泡立ったスポンジで身体を洗う事にした。
「ふう……スッキリした…………っ!?」
大きめのパジャマに身を包み濡れた髪をタオルで拭き取りつつリビングへ向かおうとしたのだが、普段と違う気配に息を飲んだ。
誰かが侵入している…。脳裏に過った嫌な予感に音を立てない様に足をゆっくりと床に着けて距離を詰めていく。
漂う空気が明らかに違うのだ。殺気立っていて感じる肌がピリピリと電気が走る様で、それは近付くにつれて酷くなる。
私が開いているリビングの扉から中へと視線を向けると、テーブル前の椅子に見慣れた黒髪に独特な白いスーツが飛び込んできた。
「ブ、ブチャラティ!?」
「おかえり名前…。あいつとの食事は楽しかったか?」
私が思わず声を上げると、ゆっくり顔を上げこちらへ視線を向ける彼の表情は、身体が固まってしまう程に酷く冷たいモノだった。
be continued
そこはとても懐かしく、初めての任務の後連れてきてもらったトラットリア。ギアッチョがこの場所を選んでくれた事は素直に嬉しかった。
店内に入ればすぐに目につく天然パーマに思わずクスッと笑みを溢しながら、手を振って駆け寄る。
「ギアッチョお待たせ。」
「…適当に頼んどいた。ビール飲もうぜ。」
「え!もう頼んでおいてくれたの!?…ありがとうっ。」
素っ気ない態度だが、ギアッチョの気遣いに笑顔になりながら先程運ばれて来たであろう白い泡が乗ったビールを口へ運ぶ。
この仕事終わりの乾いた喉に広がる苦みが疲れた身体に染み渡り、思わず唸る。
そんな私にカウンターで隣に座るギアッチョが、口角を上げて笑うので少し恥ずかしくなってしまった。
「ちょっと、笑うことないじゃない。」
「あー、相変わらず旨そうに飲むよなぁ。」
「だって美味しいんだもの。それより!急に呼んだのにも何か理由があったんでしょう!?……リゾットに何かあったの?」
「バーカ。リゾットがヘマするかよ。……仕事の理由がなきゃ、オレが名前の事呼んじゃあダメなのかよ。」
「そ、そんな事無いけど…。」
元上司を心配する私に対して、少し拗ねた様に横目で見るギアッチョはグッと顔を近付けてきたので身体は反射的に固まってしまった。
な、なんか今日のギアッチョ変…。
「あ!わかった、私が居なくなって寂しくなったとか?」
「ちっ……んなぁ訳あるかよ!!あああ!?おまえこそ、オレと仕事出来なくて、恋しいんじゃあねぇのかぁあ!?」
「いえ、全く。寧ろ平和だわ。」
「おいぃ!!ちったあ可愛い事くらい言えよ!」
だが、冗談を言えば返してくれると少し心が解れていき笑いながらお互い肩を並べて一時を楽しむ。
何年も共に働いていたギアッチョがこんなに懐を許すなんて初めてだ。ふっとギアッチョの青い瞳を見ていたら自然と彼が目に浮かび、「帰ったら必ず電話しろ…解っているな?」と何回も言い心配する姿に苦笑した。
そんな事を思い出していたら、急に私の空いた手の上に大きな手が重なり冷たさに意識は引き戻された。
「オレと居るのに、ブチャラティの事考えるったあ余裕だなぁぁ?」
「へ!?ち、違うわよっ。」
「…………あいつの事、好きなのか?」
「別に…好きなんかじゃ…。」
「…………オレじゃダメなのかよ。」
私は勘繰るギアッチョに対して脳内に居た彼の姿を消す様に頭を左右に振るも、次いだ小さいがハッキリと発音された言葉に固まってしまった。
い、今……告白されてるの?いやいや!ギアッチョに限ってそんなっ……!
脳内でパニックになりつつギアッチョへ目線を向けると、メガネ越しの瞳には曇りは無く合うと舌打ちをして反らされる。
運ばれた料理の食欲を誘う匂いが鼻を擽るのに、全く手を伸ばそうとは思えず私はどう言葉を続けるかを考えていた。
「おまえとずっと任務をしてんのに、何で気付かねぇぇんだよ!!バァーカッ!」
「き、気付かないわよっ。だって、そんな仕草見せないじゃない!」
「ああ!?言えっかよ!んな恥ずかしい事!!」
「し、知らないよ…。」
徐々に頭に血が上っているのか声を荒げるギアッチョに、告白されているのか怒られているのか解らなくなってきた。
私は口に含んだビールの苦味と今の気持ちが重なり眉を寄せた。
ギアッチョの事は"相棒"としか思ってない。そう口を開こうとした時に重なったままの手がぎゅっと力強く握られ制している様だ。
「ギアッチョ…。」
「今日は聞きたくねぇ…。」
そう呟くと運ばれてきたプリモピアットをフォークに絡ませながら、もう目線を合わせてはくれないが耳は真っ赤なギアッチョ。
本当だったんだ…。
私は今までのギアッチョと乗り越えてきた任務の事などを思い出しながら、なんだか鼻の奥がツンと切なくなり同じくプリモピアットを口へ運ぶ。
食事が終わるまでの間、今までに無い気まずい雰囲気の中でお互い口数が減りつつも硬い結び目の様に手だけは繋がれたままだった。
氷を使うスタンド能力の持ち主なのに、掌は酷く熱い。
私は家に着いた後、くたびれたスーツを脱ぎ捨て一直線にシャワールームへ向えば熱めのシャワーを浴びながら呆然と立ち尽くしていた。
勢いのあるシャワーの水飛沫が身体を濡らし、髪から足元へ最後は渦を巻いて排水溝へ流れていく。
このままぜーんぶ流せちゃったら良いのに。
私は知らないでずっとギアッチョと接してたなんて…。
「でも…ギアッチョとブチャラティの気持ち聞いた時とじゃ、全然違ったかも…。」
思い返せば心の乱れ方の違いは明らかで、思わず耳がカアッと熱くなった。
私は色んな感情から顔を上げ落ちてくる幾つもの水の粒を受け止めていたのだが、徐々に水量が少なくなると溜め息を漏らす。
最近水回りの調子が悪いのだ。リラックスするつもりが苛立ちつつ、急いで泡立ったスポンジで身体を洗う事にした。
「ふう……スッキリした…………っ!?」
大きめのパジャマに身を包み濡れた髪をタオルで拭き取りつつリビングへ向かおうとしたのだが、普段と違う気配に息を飲んだ。
誰かが侵入している…。脳裏に過った嫌な予感に音を立てない様に足をゆっくりと床に着けて距離を詰めていく。
漂う空気が明らかに違うのだ。殺気立っていて感じる肌がピリピリと電気が走る様で、それは近付くにつれて酷くなる。
私が開いているリビングの扉から中へと視線を向けると、テーブル前の椅子に見慣れた黒髪に独特な白いスーツが飛び込んできた。
「ブ、ブチャラティ!?」
「おかえり名前…。あいつとの食事は楽しかったか?」
私が思わず声を上げると、ゆっくり顔を上げこちらへ視線を向ける彼の表情は、身体が固まってしまう程に酷く冷たいモノだった。
be continued