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マスカレードを壊したい
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私はパープルにシャンパンの様にキラキラと輝くラメの入ったネイルをぼうっとしながら見つめていた。
今朝は緊張しながらアジトへ向かったものの、彼は早くからアバッキオと一緒に任務へ出ていて胸を撫で下ろした。
しかし彼と別れてから1日も経っていないのに、胸にぽっかりと穴が開いた様に寂しい気持ちが押し寄せる。
何これ…会いたいみたいじゃない。
昨日も送ってもらい家に着いてからも、この胸のざわつきはどうも落ち着かない。
キスは正直な話ギャングとしての研修でリゾットと、任務で敵の男と、あとは付き合った2人だけだが……こんな気持ちにはならなかった。
何だかお酒の勢いで憧れの人と一夜を共にしてしまったドラマの主人公みたいね。こんなにも意識しちゃうなんて…。
「名前!!」
「わ!ナ、ナランチャ!?」
「良かったぜぇ!オレ、名前が死んじゃうんじゃあないかって…怖かったんだぜ?」
「心配させちゃったね…ナランチャが急いでくれたお陰だよ。」
「あったりまえだろ!ファミリーなんだしっ。」
ニカッと白い歯を見せて笑うナランチャに、先程の浮かない気持ちも忘れて私も笑顔になった。
すると背後から綺麗な箱を取り出して私の前に差し出すナランチャに、不思議に首を傾げ受け取ると中身を見て声を上げた。
「バーチ ・ディ・ダーマだ!えっ、どうしたの!?」
「へへっ、お見舞い!」
な、何ていい子なの!?
ギャングらしからぬ優しさを持つナランチャに、思わず心の声が出てしまいそうになる。
人一倍ファミリーの事を考えてくれるナランチャの純粋な優しさ。感動して胸が熱くなり瞳が揺れつつも、失態により迷惑を掛けてしまった事へ改めて頭を下げた。
「私こそごめんね、買い物もちゃんと出来なかったし……本当にありがとう、一緒に食べない?」
「いいのかよぉ?じゃあ1個貰おうかなぁ。」
「うん!2人の方が美味しいものっ。紅茶でいいかな?」
私は立ち上がりアジトに来て人数分用意したお洒落な模様の入ったティーカップを取り出した。
こういう細かい所って、男性だけだと気付かないのよね。
お気に入りのいい香りの紅茶を注いで、座るナランチャへ差し出し隣へ腰掛けた。
紅茶の香りに満足しつつ壁に掛かる時計に目をやれば、午後17時。2回目のおやつにピッタリの時間だ。
ナランチャがプレゼントしてくれたバーチ ・ディ・ダーマはイタリアの郷土菓子で、クッキーとクッキーの間にチョコレートが挟んである。
口に入れた瞬間にクッキーがホロホロとほどけて、チョコレートの甘さが口に広がり幸せな気分になれる。
「美味しい!」
「やっぱり旨いよな~!オレこれ好きっ。」
「貴婦人のキス……か。」
私達がお菓子に魅了されていると、背後から抱き締められ頬に柔らかい感触を感じた。
何事かと驚いて振り向けば、目の前に深い青が広がり不意打ちに今度は鳥が啄む様に口付けられる。
「なっ、なっ……。」
「お、おかえりブチャラティ。あ、アバッキオも。」
「何2人で旨いもん食ってんだぁ。ん……旨い。」
「なあ名前、こっちも旨いよな?」
「あー……紅茶もうっまい!アバッキオも飲むう?」
「あー……そうするか。」
まるで帰りを待っていた恋人へ口付ける彼を目にしていたナランチャとアバッキオだが、見なかった事にして会話を進めていく。
バーチ ・ディ・ダーマは別名"貴婦人のキス"と言うのだ。
彼のその言葉を捩った大胆な行動に言葉が詰まり案の定真っ赤になった私だが、以前の様に突き放す事が出来ない自身にも戸惑ってしまった。
「……なあ、おまえら遂に付き合ったのか?」
「ま、まだよ!」
「まだ、なんだよな……あと一歩なんだが。まあ、それが愛しい所でもあるんだが。」
「障害がある程、燃えるってやつかぁ?でも、名前は前より柔らかくなったよな!オレはそっちの方が好きだぜっ。」
「ナランチャ、悪いがこいつは譲らない。」
「そ、そんなつもりじゃあ無いんだよぉ。ごめんよ、ブチャラティ。」
大人しい私を見て紅茶を飲みながらキッチンから出てきたアバッキオが問い掛けた。
直ぐ様答えるも私を置いて話はどんどん進んで行く。
睨んだ彼に急いで謝るナランチャの様子に、口を挟まないでおこうと溜め息を漏らせばアバッキオは苦笑しながら紅茶を口にした。
「さあ、そろそろ時間だ。お姫様帰ろうか。」
「毎日いいわよ、子供じゃないんだから。」
「好きな人とは少しでも一緒に居たいんだ…。名前、オレの我が儘聞いてくれないか?特に今日は全くおまえと一緒に居られなかったんだ。」
「そ、そうだけど…。」
昨日から帰りは送ると言って聞かない彼は、何でこうも口説く様な真剣で熱い眼差しなのだろう。
一旦身体を離し横へ移動すると手を取り立ち上がらせて、受け入れて欲しいとばかりに願う彼に思わず目を細めた。
ま、眩しい……。
なんだかキラキラとフィルターが掛かった様に彼が輝いて見える。
「なんか今日のあなたいつもと違う…。」
「違う?」
「このネイルみたいにキラキラしてるの…。スタンド能力なの?」
私の疑問は彼とその場に居たナランチャとアバッキオも固まったのがわかった。
包む雰囲気が変わったので思わず振り返ろうとすると、私の指1本1本に柔らかい唇が触れたので彼に視線を戻す。
すると最後にボスへ忠誠を誓う時の様に手の甲に口付け、笑みを浮かべる彼に目を奪われた。
「本気で言ってるのか?本気なら、おまえは恋愛に対しては鈍感だよな…。」
「ど、どういう意味よ!一応私だって付き合った経験くらい…。」
「じゃあ経験してなかったって事か…。」
彼は私の言葉で何かを確信したのか、嬉しそうに柔らかく微笑みながらゆっくりと握っている手の指に自身の指を絡めていく。
それが何かわからない私は、戸惑いつつ口を開くも先に言葉が振ってきた。
すっかり彼のペースに巻き込まれている。
経験って何よ…。そりゃあ今まで付き合って来た人は、連絡も頻繁にしないし放っておく事もあったから長続きしなかったけど。
つい面倒になったり仕事を優先したりと、恋愛に本気になっていなかった自身に眉を寄せた。
「なあ名前、パープルの意味って知ってるか?」
「え……色の意味?」
「じゃあ自然と選んだんだな。パープルは静穏を意味するが………オレと居る限りそうはいかないぜ?」
「な、何でよ…私は静かに暮らしたいんだけど。」
「ダメだ、もう遅いんだよ。昨日も言ったろ?心臓が保たない程の恋を教えてやる。さ、行くぞ。」
「ちょ、ちょっと……!」
しっかりと繋いだ手を引いて歩く彼の、色々なモノを背負っている背中は好きな所かも知れない。
彼の背中を見つめながら、もし色に意味があるのなら明日は何色を選ぼうかと繋いでる手を握り返した。
be continued
今朝は緊張しながらアジトへ向かったものの、彼は早くからアバッキオと一緒に任務へ出ていて胸を撫で下ろした。
しかし彼と別れてから1日も経っていないのに、胸にぽっかりと穴が開いた様に寂しい気持ちが押し寄せる。
何これ…会いたいみたいじゃない。
昨日も送ってもらい家に着いてからも、この胸のざわつきはどうも落ち着かない。
キスは正直な話ギャングとしての研修でリゾットと、任務で敵の男と、あとは付き合った2人だけだが……こんな気持ちにはならなかった。
何だかお酒の勢いで憧れの人と一夜を共にしてしまったドラマの主人公みたいね。こんなにも意識しちゃうなんて…。
「名前!!」
「わ!ナ、ナランチャ!?」
「良かったぜぇ!オレ、名前が死んじゃうんじゃあないかって…怖かったんだぜ?」
「心配させちゃったね…ナランチャが急いでくれたお陰だよ。」
「あったりまえだろ!ファミリーなんだしっ。」
ニカッと白い歯を見せて笑うナランチャに、先程の浮かない気持ちも忘れて私も笑顔になった。
すると背後から綺麗な箱を取り出して私の前に差し出すナランチャに、不思議に首を傾げ受け取ると中身を見て声を上げた。
「バーチ ・ディ・ダーマだ!えっ、どうしたの!?」
「へへっ、お見舞い!」
な、何ていい子なの!?
ギャングらしからぬ優しさを持つナランチャに、思わず心の声が出てしまいそうになる。
人一倍ファミリーの事を考えてくれるナランチャの純粋な優しさ。感動して胸が熱くなり瞳が揺れつつも、失態により迷惑を掛けてしまった事へ改めて頭を下げた。
「私こそごめんね、買い物もちゃんと出来なかったし……本当にありがとう、一緒に食べない?」
「いいのかよぉ?じゃあ1個貰おうかなぁ。」
「うん!2人の方が美味しいものっ。紅茶でいいかな?」
私は立ち上がりアジトに来て人数分用意したお洒落な模様の入ったティーカップを取り出した。
こういう細かい所って、男性だけだと気付かないのよね。
お気に入りのいい香りの紅茶を注いで、座るナランチャへ差し出し隣へ腰掛けた。
紅茶の香りに満足しつつ壁に掛かる時計に目をやれば、午後17時。2回目のおやつにピッタリの時間だ。
ナランチャがプレゼントしてくれたバーチ ・ディ・ダーマはイタリアの郷土菓子で、クッキーとクッキーの間にチョコレートが挟んである。
口に入れた瞬間にクッキーがホロホロとほどけて、チョコレートの甘さが口に広がり幸せな気分になれる。
「美味しい!」
「やっぱり旨いよな~!オレこれ好きっ。」
「貴婦人のキス……か。」
私達がお菓子に魅了されていると、背後から抱き締められ頬に柔らかい感触を感じた。
何事かと驚いて振り向けば、目の前に深い青が広がり不意打ちに今度は鳥が啄む様に口付けられる。
「なっ、なっ……。」
「お、おかえりブチャラティ。あ、アバッキオも。」
「何2人で旨いもん食ってんだぁ。ん……旨い。」
「なあ名前、こっちも旨いよな?」
「あー……紅茶もうっまい!アバッキオも飲むう?」
「あー……そうするか。」
まるで帰りを待っていた恋人へ口付ける彼を目にしていたナランチャとアバッキオだが、見なかった事にして会話を進めていく。
バーチ ・ディ・ダーマは別名"貴婦人のキス"と言うのだ。
彼のその言葉を捩った大胆な行動に言葉が詰まり案の定真っ赤になった私だが、以前の様に突き放す事が出来ない自身にも戸惑ってしまった。
「……なあ、おまえら遂に付き合ったのか?」
「ま、まだよ!」
「まだ、なんだよな……あと一歩なんだが。まあ、それが愛しい所でもあるんだが。」
「障害がある程、燃えるってやつかぁ?でも、名前は前より柔らかくなったよな!オレはそっちの方が好きだぜっ。」
「ナランチャ、悪いがこいつは譲らない。」
「そ、そんなつもりじゃあ無いんだよぉ。ごめんよ、ブチャラティ。」
大人しい私を見て紅茶を飲みながらキッチンから出てきたアバッキオが問い掛けた。
直ぐ様答えるも私を置いて話はどんどん進んで行く。
睨んだ彼に急いで謝るナランチャの様子に、口を挟まないでおこうと溜め息を漏らせばアバッキオは苦笑しながら紅茶を口にした。
「さあ、そろそろ時間だ。お姫様帰ろうか。」
「毎日いいわよ、子供じゃないんだから。」
「好きな人とは少しでも一緒に居たいんだ…。名前、オレの我が儘聞いてくれないか?特に今日は全くおまえと一緒に居られなかったんだ。」
「そ、そうだけど…。」
昨日から帰りは送ると言って聞かない彼は、何でこうも口説く様な真剣で熱い眼差しなのだろう。
一旦身体を離し横へ移動すると手を取り立ち上がらせて、受け入れて欲しいとばかりに願う彼に思わず目を細めた。
ま、眩しい……。
なんだかキラキラとフィルターが掛かった様に彼が輝いて見える。
「なんか今日のあなたいつもと違う…。」
「違う?」
「このネイルみたいにキラキラしてるの…。スタンド能力なの?」
私の疑問は彼とその場に居たナランチャとアバッキオも固まったのがわかった。
包む雰囲気が変わったので思わず振り返ろうとすると、私の指1本1本に柔らかい唇が触れたので彼に視線を戻す。
すると最後にボスへ忠誠を誓う時の様に手の甲に口付け、笑みを浮かべる彼に目を奪われた。
「本気で言ってるのか?本気なら、おまえは恋愛に対しては鈍感だよな…。」
「ど、どういう意味よ!一応私だって付き合った経験くらい…。」
「じゃあ経験してなかったって事か…。」
彼は私の言葉で何かを確信したのか、嬉しそうに柔らかく微笑みながらゆっくりと握っている手の指に自身の指を絡めていく。
それが何かわからない私は、戸惑いつつ口を開くも先に言葉が振ってきた。
すっかり彼のペースに巻き込まれている。
経験って何よ…。そりゃあ今まで付き合って来た人は、連絡も頻繁にしないし放っておく事もあったから長続きしなかったけど。
つい面倒になったり仕事を優先したりと、恋愛に本気になっていなかった自身に眉を寄せた。
「なあ名前、パープルの意味って知ってるか?」
「え……色の意味?」
「じゃあ自然と選んだんだな。パープルは静穏を意味するが………オレと居る限りそうはいかないぜ?」
「な、何でよ…私は静かに暮らしたいんだけど。」
「ダメだ、もう遅いんだよ。昨日も言ったろ?心臓が保たない程の恋を教えてやる。さ、行くぞ。」
「ちょ、ちょっと……!」
しっかりと繋いだ手を引いて歩く彼の、色々なモノを背負っている背中は好きな所かも知れない。
彼の背中を見つめながら、もし色に意味があるのなら明日は何色を選ぼうかと繋いでる手を握り返した。
be continued