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マスカレードを壊したい
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同期の貴方は初めから器用にこなし、上司に気に入られてはどんどん登りつめていった。
何をしたって失敗などしない。
昔から学年に1人は、1度ですぐ理解して問題を解いてしまうトップに立つ子が居たが……まさに彼だろう。すぐに戦闘でも冷静に相手を分析して、戦略を立てていく。センスがあるのだ。
私はと言うと、失敗を繰り返し怒鳴られては食い付いて今の地位まで来た。だからその度にどんどん可愛げが無くなって女を捨てた。
ここは女と言うだけで舐められる世界。
もう1人の私に。
仮面で隠さなくては……。
そう、生きる為には必要な事だった。
誰の助けもいらないし、誰も必要ない。
「名前、久しぶりだな。」
パッショーネの本部で聞き覚えのある声に呼び止められ、私は顔を見ると余計に足を止めてしまった事に後悔をした。
ブローノ・ブチャラティ。パッショーネの護衛チームのリーダーを勤めていて、幹部からの信頼も厚い男。私の、ギャングになってからのライバル。
何年ぶりだろうか。久しぶりに見た彼は大人びた顔立ちになっていた。噂でしか彼の功績は聞いていなかったが、幾度の任務をこなしてきたからだろうか。
「ブチャラティ……。貴方になんて会いたくなかった。」
「その口の聞き方、相変わらずだな。だから周りが離れていくんだぜ?……せっかく長かった髪も似合っていたのに。」
覚えているのは、同期の彼くらいじゃないか。
当時は髪が腰くらいまで伸びていて、父親譲りの金髪ストレートだったのが私の自慢でもあった。
だがその髪も戦闘中に掴まれたり、女の象徴の様で私は切ったのだ。弱い自分と一緒に。
彼は言うなり襟足で切り揃えられた短い髪に手を伸ばすので、私は容赦なくその手を叩き落とした。
「貴方こそ、そういう所は昔から変わらないのね。気安く触らないで!」
「まるで猫だな……。そういう態度が逆に燃えるって気付かないのか?」
「うっさい……貴方の趣味なんて知りたくもないわ!」
彼のこう言う、女性に慣れている所も好きになれない。女が皆、貴方の事好きって訳じゃあないんだからっ。
彼を振りほどく様にカツカツと高いヒールで音を立てる。私は大理石で出来ている廊下を歩く足を速めるのだが、規則正しい足音が背後から離れない。そうだった。ブチャラティは何故だか昔から、私にしつこく付き纏うのだった。
「何で付いてくるの!?」
「名前が止まってくれないからだろ?たまには同期同士なんだ、飲みに行かないか。おまえも任務が終わった所だろ。」
「意味が解んない!何で家に帰れるのに貴方と飲まなくっちゃいけないのよ!」
何度も話し掛けられて、私の怒りは既にピークに達していた為に声を荒げて睨み付ける。
今日の任務は久しぶりに早く終わったし、明日は休みなのだ。帰って借りてある映画を夜遅くまで数本観るのが、私の唯一の楽しみなのにっ…!!それを潰されてなるものかっ!
「断って良いのか?……おまえが欲しがっている情報とやらが、オレが持ってるかも知れないぜ?」
「!」
だがその言葉を耳にした瞬間に、身体は自然に反応してその場に固まってしまった。
何故ならば今追っている事件の情報が行き詰まっているのを、彼は知っていたのだ。情報網と人脈の多い彼の事だ、悔しいがその言葉は当てになる。
「…………一杯だけだからね!」
「ああ、約束しよう。」
キッと睨んで釘を刺すと、両手を上げこれ以上手は出さないとでも言っている様だ。何故か楽しげにクスクスと笑いながら話す彼は、案内をすると先に歩き出した。
私は今のこの予想外の状態に盛大に溜め息を漏らして、渋々彼の後ろで距離を開けつつバールに向かう。
ああ、今日の私はついていない。きっと占いでも最下位に決まってる。
向かったバールは薄暗くランプの明かりのみで、とても雰囲気があり女性ならば恋人に連れて来て貰えたら喜ぶ場所だろう。
彼は入るなり店主に笑顔で挨拶をすると、いつもの場所なのだろうか。少し奥にあるテーブルへ向かい座るなり、メニューも見ないで手際よく料理と私の好きなビールを頼んでいく。
今思えば、ここで引き返せば良かったのだ。
私の人生の歯車は一気に加速して行った。
be continued
何をしたって失敗などしない。
昔から学年に1人は、1度ですぐ理解して問題を解いてしまうトップに立つ子が居たが……まさに彼だろう。すぐに戦闘でも冷静に相手を分析して、戦略を立てていく。センスがあるのだ。
私はと言うと、失敗を繰り返し怒鳴られては食い付いて今の地位まで来た。だからその度にどんどん可愛げが無くなって女を捨てた。
ここは女と言うだけで舐められる世界。
もう1人の私に。
仮面で隠さなくては……。
そう、生きる為には必要な事だった。
誰の助けもいらないし、誰も必要ない。
「名前、久しぶりだな。」
パッショーネの本部で聞き覚えのある声に呼び止められ、私は顔を見ると余計に足を止めてしまった事に後悔をした。
ブローノ・ブチャラティ。パッショーネの護衛チームのリーダーを勤めていて、幹部からの信頼も厚い男。私の、ギャングになってからのライバル。
何年ぶりだろうか。久しぶりに見た彼は大人びた顔立ちになっていた。噂でしか彼の功績は聞いていなかったが、幾度の任務をこなしてきたからだろうか。
「ブチャラティ……。貴方になんて会いたくなかった。」
「その口の聞き方、相変わらずだな。だから周りが離れていくんだぜ?……せっかく長かった髪も似合っていたのに。」
覚えているのは、同期の彼くらいじゃないか。
当時は髪が腰くらいまで伸びていて、父親譲りの金髪ストレートだったのが私の自慢でもあった。
だがその髪も戦闘中に掴まれたり、女の象徴の様で私は切ったのだ。弱い自分と一緒に。
彼は言うなり襟足で切り揃えられた短い髪に手を伸ばすので、私は容赦なくその手を叩き落とした。
「貴方こそ、そういう所は昔から変わらないのね。気安く触らないで!」
「まるで猫だな……。そういう態度が逆に燃えるって気付かないのか?」
「うっさい……貴方の趣味なんて知りたくもないわ!」
彼のこう言う、女性に慣れている所も好きになれない。女が皆、貴方の事好きって訳じゃあないんだからっ。
彼を振りほどく様にカツカツと高いヒールで音を立てる。私は大理石で出来ている廊下を歩く足を速めるのだが、規則正しい足音が背後から離れない。そうだった。ブチャラティは何故だか昔から、私にしつこく付き纏うのだった。
「何で付いてくるの!?」
「名前が止まってくれないからだろ?たまには同期同士なんだ、飲みに行かないか。おまえも任務が終わった所だろ。」
「意味が解んない!何で家に帰れるのに貴方と飲まなくっちゃいけないのよ!」
何度も話し掛けられて、私の怒りは既にピークに達していた為に声を荒げて睨み付ける。
今日の任務は久しぶりに早く終わったし、明日は休みなのだ。帰って借りてある映画を夜遅くまで数本観るのが、私の唯一の楽しみなのにっ…!!それを潰されてなるものかっ!
「断って良いのか?……おまえが欲しがっている情報とやらが、オレが持ってるかも知れないぜ?」
「!」
だがその言葉を耳にした瞬間に、身体は自然に反応してその場に固まってしまった。
何故ならば今追っている事件の情報が行き詰まっているのを、彼は知っていたのだ。情報網と人脈の多い彼の事だ、悔しいがその言葉は当てになる。
「…………一杯だけだからね!」
「ああ、約束しよう。」
キッと睨んで釘を刺すと、両手を上げこれ以上手は出さないとでも言っている様だ。何故か楽しげにクスクスと笑いながら話す彼は、案内をすると先に歩き出した。
私は今のこの予想外の状態に盛大に溜め息を漏らして、渋々彼の後ろで距離を開けつつバールに向かう。
ああ、今日の私はついていない。きっと占いでも最下位に決まってる。
向かったバールは薄暗くランプの明かりのみで、とても雰囲気があり女性ならば恋人に連れて来て貰えたら喜ぶ場所だろう。
彼は入るなり店主に笑顔で挨拶をすると、いつもの場所なのだろうか。少し奥にあるテーブルへ向かい座るなり、メニューも見ないで手際よく料理と私の好きなビールを頼んでいく。
今思えば、ここで引き返せば良かったのだ。
私の人生の歯車は一気に加速して行った。
be continued
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