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giorni felici
名前変換
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私達の関係を名前で表すとしたら?
彼は私が好意を抱いているのを知っていて、キスをしようとしてくる。だけどキスはしていない。否、私が拒んでいるんだけど。
答えは恋人でも、身体だけの関係でもない。
彼の気持ちは解らないままで、解っているのは私の片想いって事。
自分で出した問い掛けの答えを導き出せば、どうしたものかとベランダから夜空を見上げながら途方に暮れていた。ここ最近色んな事があって関係が進んだかの様に見えていたのだが、全く進んでいなかったのだ。
人の良い所を褒めて女性に対して自然と口説く。イタリア人男性の良い所でもあるのだが、とても厄介な所でもある。だって本当の気持ちが解らないもの。もう女性達にしたら挨拶みたいなモノになっている。
ああ、彼の声が聞きたい…。あの少し低めの、私の名前を呼ぶ優しい声が。
「あ!そうよ、電話番号!」
聞いてみたらいいんだわっ。
そうよ!次会った時に、絶対に聞かなくっちゃ!
名案を思い付いた私は確信など無いが、今よりも先に進めそうな気がした。ブチャラティと親密な関係になれた事を想像して、自然と口角が弛む私は他に人が居なくて良かったと心底安心した。笑みを浮かべながら彼も見ているであろうネオポリの星空を見つめた。
* ** ***
「あのね、ブチャラティ。その……貴方の電話番号を教えてくれない?」
いつもの様に連絡も無く猫の様にふらりと彼が家に訪ねてくるなり、温かいコーヒーの入ったカップを手渡しながら本題に入った。こう言う事は後に回すよりも、早い方がもやもやしなくていい。
彼はカップを受け取りながら私の問い掛けに少し考えつつ、黙ったまま着用しているスーツのポケットのジッパーを開き1つの黒い携帯を取り出した。
「……すまない。愛しい名前の頼みであっても、この番号は教えられないんだ。」
本当に申し訳無さそうに眉を下げ此方を見る彼に対して、私はまさか断られると思わなかった為に少し動揺してしまった。
「あー、そ、そりゃあそうよね!ギャングがそう簡単に一般人に電話番号なんて教えないわよね!」
いつも言ってから気付くのだが、もっと良い言葉は無かったのだろうか。
一般人って何よ…。そんなの自身でも解ってた事じゃない。
ギャングと一般人。自分で彼との間に一線を引いてしまった事に、早くも心は折れ掛かっていた。
立ちっぱなしだった私はソファに腰を下ろし、気持ちを切り替える為にもカップに注がれていた香りの良いコーヒーに口を付ける。
私は思わず口内に広がるコーヒーの味に顔をしかめ、いつもは美味しい筈の苦味が今は受け付け無い事に動揺した。
「そんな落ち込まないでくれ。……名前、オレの事を見てほしい。」
「なあに?」
黙り込んでいた私と目が合えば、彼は優しく微笑み掛けてくれた。その表情に弱い私の胸は、キュンっと締め付けられやはり好きな気持ちを再確認した。
私が彼にぼんやり見惚れいると、いつの間にか目の前に先程とは違う白い携帯が差し出されていた。何故2台も?私は不思議そうに携帯と彼を交互に見返した。
「こっちで良ければ、喜んで教えるぜ。」
「ぇ……こっちって?2台持ってるの?」
「ああ、仕事用とプライベートで変えているんだ。」
「もう!なんでそんな意地悪するの!?先にそう言って!」
私は早とちりをして勝手に落ち込んでいた事が解ると、急に恥ずかしくなりカップを置けば彼の胸を軽く叩く。
彼はクスクスと可笑しそうに笑いながらされるがままになっていたが、拗ねている私を最後は優しく抱き締めてくれた。フワッと爽やかな花の香りが胸一杯に広がると、自然と心が解れて拗ねていたのが馬鹿みたいに思える。だって彼の香水の香りを、こんな風に感じられるなんて夢みたいだ。
「こんな可愛い反応が見れるからだろ?……名前が悪い。」
「何よそれ。あーあ、貴方が人のせいにするって街の人が知ったらどう思うかしら?ブチャラティ。」
「そう言う悪いこと言うのか?……じゃあ教えられないな。」
「ぁっ……!」
私は腕の中で仕返しとばかりに意地悪くそう問い掛けるが、彼は一枚上手で言うなり手にしていた携帯をポケットに入れてしまった。
念願の携帯が消えてしまったポケットを目で追うがもう遅い。絶好の機会を逃した事に悔しげに彼を見上げると、それ以上は手出し出来ない私を解ってか。彼はニヤリと口角を上げながら楽しそうに見下ろしている。
なんだか、こんなに意地悪な彼は初めて見るかもしれない。
不覚にもそんな彼のギャングでは無い青年としての一面に、胸は高鳴り厄介な恋心にどうしたものかと私は頭を悩ませる。
「ギャングのオレを脅す悪いキミだ…。どうしちまおうか?」
「そ、そう言うつもりじゃないわ!」
目を細めて悪い事を考えているのだろう。彼は、ギャングになんて事してしまったのだろうと慌てる私の長い髪を掬い上げ口付ける。
そんな飴と鞭の様に使い分ける彼は狡い。私は簡単に翻弄されつつ、怒らせてしまっただろうかと探る様に行動を見つめる事しか出来ないでいた。
「そうだな。ずーと、この先も問いつめてみようか。……拒否権は無いぜ、名前。番号を教えてもらう。」
「へ……。」
彼の言葉が理解出来ず固まっていた私に、どこからかプライベート用の白い携帯を差し出す。
私は再度彼と携帯を交互に見つめていると、その仕草がおかしかったのだろう。次第に笑い出す彼に、漸くからかわれたと気付き真っ赤になりながら腕の中で身体を捩る。あーもう!本当に彼は狡い!!
「酷いわ!またからかったのね!?今日の貴方って意地悪!」
「ははっ、本当にキミは飽きさせないな!……でも、教えて欲しいのは本当だぜ。」
逃がさないとばかりにより一層身体を抱き寄せた後に、謝りながら優しい手付きで頭を撫でれば彼は携帯を私に渡す。
私はまだ納得がいかないながらも受け取れば、携帯のアドレス帳を開いて自身の暗記している電話番号を登録した。携帯を操作する間も、髪へと何度もキスを落とす仕草は一々私をときめかせる。
「はい、どうぞ!」
私は敢えて素っ気無く携帯を彼に手渡してから、テーブルに置いていたカップに口を付けチラリと彼を盗み見た。
少し困ればいいんだわっ。…彼はいつ気付くだろう?そうしたら、私の気持ちにも気付けば良いのよ。
名前の登録は"恋人にしてくれる?"
be continued
彼は私が好意を抱いているのを知っていて、キスをしようとしてくる。だけどキスはしていない。否、私が拒んでいるんだけど。
答えは恋人でも、身体だけの関係でもない。
彼の気持ちは解らないままで、解っているのは私の片想いって事。
自分で出した問い掛けの答えを導き出せば、どうしたものかとベランダから夜空を見上げながら途方に暮れていた。ここ最近色んな事があって関係が進んだかの様に見えていたのだが、全く進んでいなかったのだ。
人の良い所を褒めて女性に対して自然と口説く。イタリア人男性の良い所でもあるのだが、とても厄介な所でもある。だって本当の気持ちが解らないもの。もう女性達にしたら挨拶みたいなモノになっている。
ああ、彼の声が聞きたい…。あの少し低めの、私の名前を呼ぶ優しい声が。
「あ!そうよ、電話番号!」
聞いてみたらいいんだわっ。
そうよ!次会った時に、絶対に聞かなくっちゃ!
名案を思い付いた私は確信など無いが、今よりも先に進めそうな気がした。ブチャラティと親密な関係になれた事を想像して、自然と口角が弛む私は他に人が居なくて良かったと心底安心した。笑みを浮かべながら彼も見ているであろうネオポリの星空を見つめた。
* ** ***
「あのね、ブチャラティ。その……貴方の電話番号を教えてくれない?」
いつもの様に連絡も無く猫の様にふらりと彼が家に訪ねてくるなり、温かいコーヒーの入ったカップを手渡しながら本題に入った。こう言う事は後に回すよりも、早い方がもやもやしなくていい。
彼はカップを受け取りながら私の問い掛けに少し考えつつ、黙ったまま着用しているスーツのポケットのジッパーを開き1つの黒い携帯を取り出した。
「……すまない。愛しい名前の頼みであっても、この番号は教えられないんだ。」
本当に申し訳無さそうに眉を下げ此方を見る彼に対して、私はまさか断られると思わなかった為に少し動揺してしまった。
「あー、そ、そりゃあそうよね!ギャングがそう簡単に一般人に電話番号なんて教えないわよね!」
いつも言ってから気付くのだが、もっと良い言葉は無かったのだろうか。
一般人って何よ…。そんなの自身でも解ってた事じゃない。
ギャングと一般人。自分で彼との間に一線を引いてしまった事に、早くも心は折れ掛かっていた。
立ちっぱなしだった私はソファに腰を下ろし、気持ちを切り替える為にもカップに注がれていた香りの良いコーヒーに口を付ける。
私は思わず口内に広がるコーヒーの味に顔をしかめ、いつもは美味しい筈の苦味が今は受け付け無い事に動揺した。
「そんな落ち込まないでくれ。……名前、オレの事を見てほしい。」
「なあに?」
黙り込んでいた私と目が合えば、彼は優しく微笑み掛けてくれた。その表情に弱い私の胸は、キュンっと締め付けられやはり好きな気持ちを再確認した。
私が彼にぼんやり見惚れいると、いつの間にか目の前に先程とは違う白い携帯が差し出されていた。何故2台も?私は不思議そうに携帯と彼を交互に見返した。
「こっちで良ければ、喜んで教えるぜ。」
「ぇ……こっちって?2台持ってるの?」
「ああ、仕事用とプライベートで変えているんだ。」
「もう!なんでそんな意地悪するの!?先にそう言って!」
私は早とちりをして勝手に落ち込んでいた事が解ると、急に恥ずかしくなりカップを置けば彼の胸を軽く叩く。
彼はクスクスと可笑しそうに笑いながらされるがままになっていたが、拗ねている私を最後は優しく抱き締めてくれた。フワッと爽やかな花の香りが胸一杯に広がると、自然と心が解れて拗ねていたのが馬鹿みたいに思える。だって彼の香水の香りを、こんな風に感じられるなんて夢みたいだ。
「こんな可愛い反応が見れるからだろ?……名前が悪い。」
「何よそれ。あーあ、貴方が人のせいにするって街の人が知ったらどう思うかしら?ブチャラティ。」
「そう言う悪いこと言うのか?……じゃあ教えられないな。」
「ぁっ……!」
私は腕の中で仕返しとばかりに意地悪くそう問い掛けるが、彼は一枚上手で言うなり手にしていた携帯をポケットに入れてしまった。
念願の携帯が消えてしまったポケットを目で追うがもう遅い。絶好の機会を逃した事に悔しげに彼を見上げると、それ以上は手出し出来ない私を解ってか。彼はニヤリと口角を上げながら楽しそうに見下ろしている。
なんだか、こんなに意地悪な彼は初めて見るかもしれない。
不覚にもそんな彼のギャングでは無い青年としての一面に、胸は高鳴り厄介な恋心にどうしたものかと私は頭を悩ませる。
「ギャングのオレを脅す悪いキミだ…。どうしちまおうか?」
「そ、そう言うつもりじゃないわ!」
目を細めて悪い事を考えているのだろう。彼は、ギャングになんて事してしまったのだろうと慌てる私の長い髪を掬い上げ口付ける。
そんな飴と鞭の様に使い分ける彼は狡い。私は簡単に翻弄されつつ、怒らせてしまっただろうかと探る様に行動を見つめる事しか出来ないでいた。
「そうだな。ずーと、この先も問いつめてみようか。……拒否権は無いぜ、名前。番号を教えてもらう。」
「へ……。」
彼の言葉が理解出来ず固まっていた私に、どこからかプライベート用の白い携帯を差し出す。
私は再度彼と携帯を交互に見つめていると、その仕草がおかしかったのだろう。次第に笑い出す彼に、漸くからかわれたと気付き真っ赤になりながら腕の中で身体を捩る。あーもう!本当に彼は狡い!!
「酷いわ!またからかったのね!?今日の貴方って意地悪!」
「ははっ、本当にキミは飽きさせないな!……でも、教えて欲しいのは本当だぜ。」
逃がさないとばかりにより一層身体を抱き寄せた後に、謝りながら優しい手付きで頭を撫でれば彼は携帯を私に渡す。
私はまだ納得がいかないながらも受け取れば、携帯のアドレス帳を開いて自身の暗記している電話番号を登録した。携帯を操作する間も、髪へと何度もキスを落とす仕草は一々私をときめかせる。
「はい、どうぞ!」
私は敢えて素っ気無く携帯を彼に手渡してから、テーブルに置いていたカップに口を付けチラリと彼を盗み見た。
少し困ればいいんだわっ。…彼はいつ気付くだろう?そうしたら、私の気持ちにも気付けば良いのよ。
名前の登録は"恋人にしてくれる?"
be continued