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giorni felici
名前変換
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「名前奇遇だね!」
「また貴方なの?」
お気に入りのバールに寄りエスプレッソを頼んでいると、自分の名前を大きな声で呼ぶアレッサンドロと出会った。でもこれで何回目だろうか。
ブチャラティとの事を尋ねられてからというもの、街中にも関わらず頻繁に遭遇している。今まではたまに顔を合わせるお隣さんだった筈なのに……。
「ここが名前のお気に入りって聞いたからさ!」
「だからって貴方まで来る事はないわ!」
「まあまあ、いいじゃあないか!キミの好きな味を、ボクも好きなんだから。」
「それが困るのよ!貴方の彼女に目を付けられたら嫌なのっ。」
「ああ、彼女とは別れたから平気さ!今はキミだけなんだよ。」
いくら男性経験の無い私であっても、好きでも無い男性にアピールされては嬉しさの欠片も無い。
尚且つ彼女と別れたと聞くと、驚くと共に行動力の早さに嫌気が差した。
どうして急に?年下の私をからかっていると言うのだろうか。
店員から注文したエスプレッソを受け取り逃げる様に席を見付けて座るが、アレッサンドロは当然の様にカップを片手に隣に座って来た。
私は一言文句を言ってやろうかと口を開いたのだが、ご自慢のトークで捲し立てられてしまえば言葉を失った口にカップを当てしかめる顔をエスプレッソのせいにした。
「彼女は……。」
その様子を離れた場所で目撃したのは、任務帰りで使いを頼まれたフーゴであった。
仕事柄か1度見た顔は忘れないフーゴは、何処かで見覚えがあったと思ったのもブチャラティの机で見た書類に彼女の写真が添付されていたからである。
もしかして、以前相談された女性とは彼女の事か?
任務でも無い女性を調べ上げて直ぐに相談を受けた事などから、脳内でパズルピースがピッタリと合った時の高揚感がフーゴを包んだ。
しかし、男性と2人でバールに来ているとは……。
ありえない!あのブチャラティを放っておいてだと!?
考えれば考える程に苛立ち始めた。唇を噛んで2人を夢中で見ていると、背後から肩を数回叩かれる。ギャングであるフーゴが気付かない程の気配の無さに驚いて振り返ると、そこには尊敬する上司が立っていた。
「ブチャラティ!」
「なかなか戻ってこないから、心配したぞフーゴ。」
「あ、いえ……すみません。ちょっと目にしちまいまして。」
彼から頼まれた荷物を受け取った帰りだったもので、待たせてしまった事を謝りつつ2人が座るバールを指差した。
彼は何事かとそのまま指差す方を目で追い好意を寄せる名前を捕らえれば、次いで視界に入った隣に座る男に舌打ちした。
「チッ、またか……。」
「貴方と言う人を放っておいて、何してるんですかね!彼女はっ。」
「…………ちょっと行ってくる。フーゴはもう帰ってて良いぞ。」
不服そうに文句を言う彼の声色。それは聞いた事が無い程の、あまりにも低い声を耳にすればフーゴは驚き恐る恐る目をやる。
声だけでもすぐにスタンドを出してしまいそうな程に苛立っているのが解ったが、実際に目にしたのは真っ昼間の人通りの多い場所でする顔では無い事は確かだった。そんな上司の後ろ姿を見送りながら、彼女と一緒のテーブルに座る男性の今後を予想した。
きっと、明日には姿を消しているに違いないな……。
「オレを除け者にするなんて、酷いじゃあないか名前。」
「へえ、いつ連絡したんだい?名前。」
ウソ!!またなの!?
私は店内のBGMの様に楽しげに喋る言葉を聞き流していたのだが、突然降ってきた雑音の中でも解る程の私の好きな声とアレッサンドロの背後から現れた彼に驚き目を丸くした。
どうして待ち焦がれていると会えないのに、会いたくない時程こうして会えてしまうのは何故だろうか。
「えっと…ブチャラティ、会えて嬉しいわ。良かったら貴方のエスプレッソを注文して来るわね!」
私はなんだか居心地が悪くなり、直ぐ様笑顔を作り隣の席に促せば逃げる様に注文へと向かう。
男だけのテーブルは花が無く、先程とは違い沈黙が続いたが長い足を組んで肘を着き口を開いたのは彼の方だった。
「……あんまり名前に絡んでいるのなら、このネオポリスから消す事になるぜ?」
「ハッ……、物騒な事を言うんだな。さすがギャングだ。」
「ハッキリしておくが、名前はオレの物だ。おまえの入る隙など無い。」
「よく言えたものだ!キミともあろう人が、まだ身体の関係なんかも無いんだろ?……入る隙ならいくらでもあるさっ。」
「まったく……よくベラベラ喋る口だなぁ、おい。そんなにデケー声出さなくても、聞こえてるんだよ。」
静かに此方を睨み付けながら喋る彼に対して、余裕があるのか捲し立てて喋るアレッサンドロ。しかし次ぎに言葉を紡ごうとしても唇が開かない。
否、開かないのではない、開く唇すら既に無いのである。そう。アレッサンドロの唇はジッパーと化していたのだが、自身では意味が解らず唇があった部分を必死に触り焦っているその姿を目にして彼は鼻で笑う。
「その汚ねぇ言葉しか出てこない口で、名前に話しかけてるんじゃあない。ああ、入る隙がいくらでもあるとか言ったか?入ってこいよ、やれるものならな……。」
「っ…………!?」
「おいおい、答えろよ。質問はすでに…拷問に変わっているんだぜ?」
低い声で淡々と話す彼に恐怖すら感じていたが、今度は指先に違和感を感じ視線をやる。すると唇を掻きむしるアレッサンドロの人差し指が取れ掛かっていた。目にした瞬間にぞくぞくっと背筋を駆け巡る悪寒。何が起こっているのか理解出来ない恐怖に顔には冷や汗が伝う。
「ブチャラティお待たせ!」
「!?」
背後から彼女の明るい声が聞こえるとビクンッと身体が跳ね、そのまま逃げる様に椅子から転げ落ちあっという間にアレッサンドロは走って目の前から消えてしまった。
「え……、一体何が起こったの?」
「さあな…。オレ達に気を遣ってくれたんじゃあないか?」
彼女は明らかに態度が急変したアレッサンドロの走り去って行く後ろ姿を、目を丸くして見つめながら不思議そう呟いた。
オレはと言うと邪魔物を排除出来た事に上機嫌なり、自身の飲み物を取りに行ってくれた彼女に礼を言いながら空いてる手を取り隣の椅子に座らせる。
「さあ、名前の事をオレにもっと教えてくれないか?2人だけの時間がたっぷりできたんだからな。」
先程の凄みのあるギャングの表情とは違う。彼女専用のとびきりの笑顔を向けて、オレは甘い砂糖菓子の様に愛しい彼女へと囁いた。
be continued
「また貴方なの?」
お気に入りのバールに寄りエスプレッソを頼んでいると、自分の名前を大きな声で呼ぶアレッサンドロと出会った。でもこれで何回目だろうか。
ブチャラティとの事を尋ねられてからというもの、街中にも関わらず頻繁に遭遇している。今まではたまに顔を合わせるお隣さんだった筈なのに……。
「ここが名前のお気に入りって聞いたからさ!」
「だからって貴方まで来る事はないわ!」
「まあまあ、いいじゃあないか!キミの好きな味を、ボクも好きなんだから。」
「それが困るのよ!貴方の彼女に目を付けられたら嫌なのっ。」
「ああ、彼女とは別れたから平気さ!今はキミだけなんだよ。」
いくら男性経験の無い私であっても、好きでも無い男性にアピールされては嬉しさの欠片も無い。
尚且つ彼女と別れたと聞くと、驚くと共に行動力の早さに嫌気が差した。
どうして急に?年下の私をからかっていると言うのだろうか。
店員から注文したエスプレッソを受け取り逃げる様に席を見付けて座るが、アレッサンドロは当然の様にカップを片手に隣に座って来た。
私は一言文句を言ってやろうかと口を開いたのだが、ご自慢のトークで捲し立てられてしまえば言葉を失った口にカップを当てしかめる顔をエスプレッソのせいにした。
「彼女は……。」
その様子を離れた場所で目撃したのは、任務帰りで使いを頼まれたフーゴであった。
仕事柄か1度見た顔は忘れないフーゴは、何処かで見覚えがあったと思ったのもブチャラティの机で見た書類に彼女の写真が添付されていたからである。
もしかして、以前相談された女性とは彼女の事か?
任務でも無い女性を調べ上げて直ぐに相談を受けた事などから、脳内でパズルピースがピッタリと合った時の高揚感がフーゴを包んだ。
しかし、男性と2人でバールに来ているとは……。
ありえない!あのブチャラティを放っておいてだと!?
考えれば考える程に苛立ち始めた。唇を噛んで2人を夢中で見ていると、背後から肩を数回叩かれる。ギャングであるフーゴが気付かない程の気配の無さに驚いて振り返ると、そこには尊敬する上司が立っていた。
「ブチャラティ!」
「なかなか戻ってこないから、心配したぞフーゴ。」
「あ、いえ……すみません。ちょっと目にしちまいまして。」
彼から頼まれた荷物を受け取った帰りだったもので、待たせてしまった事を謝りつつ2人が座るバールを指差した。
彼は何事かとそのまま指差す方を目で追い好意を寄せる名前を捕らえれば、次いで視界に入った隣に座る男に舌打ちした。
「チッ、またか……。」
「貴方と言う人を放っておいて、何してるんですかね!彼女はっ。」
「…………ちょっと行ってくる。フーゴはもう帰ってて良いぞ。」
不服そうに文句を言う彼の声色。それは聞いた事が無い程の、あまりにも低い声を耳にすればフーゴは驚き恐る恐る目をやる。
声だけでもすぐにスタンドを出してしまいそうな程に苛立っているのが解ったが、実際に目にしたのは真っ昼間の人通りの多い場所でする顔では無い事は確かだった。そんな上司の後ろ姿を見送りながら、彼女と一緒のテーブルに座る男性の今後を予想した。
きっと、明日には姿を消しているに違いないな……。
「オレを除け者にするなんて、酷いじゃあないか名前。」
「へえ、いつ連絡したんだい?名前。」
ウソ!!またなの!?
私は店内のBGMの様に楽しげに喋る言葉を聞き流していたのだが、突然降ってきた雑音の中でも解る程の私の好きな声とアレッサンドロの背後から現れた彼に驚き目を丸くした。
どうして待ち焦がれていると会えないのに、会いたくない時程こうして会えてしまうのは何故だろうか。
「えっと…ブチャラティ、会えて嬉しいわ。良かったら貴方のエスプレッソを注文して来るわね!」
私はなんだか居心地が悪くなり、直ぐ様笑顔を作り隣の席に促せば逃げる様に注文へと向かう。
男だけのテーブルは花が無く、先程とは違い沈黙が続いたが長い足を組んで肘を着き口を開いたのは彼の方だった。
「……あんまり名前に絡んでいるのなら、このネオポリスから消す事になるぜ?」
「ハッ……、物騒な事を言うんだな。さすがギャングだ。」
「ハッキリしておくが、名前はオレの物だ。おまえの入る隙など無い。」
「よく言えたものだ!キミともあろう人が、まだ身体の関係なんかも無いんだろ?……入る隙ならいくらでもあるさっ。」
「まったく……よくベラベラ喋る口だなぁ、おい。そんなにデケー声出さなくても、聞こえてるんだよ。」
静かに此方を睨み付けながら喋る彼に対して、余裕があるのか捲し立てて喋るアレッサンドロ。しかし次ぎに言葉を紡ごうとしても唇が開かない。
否、開かないのではない、開く唇すら既に無いのである。そう。アレッサンドロの唇はジッパーと化していたのだが、自身では意味が解らず唇があった部分を必死に触り焦っているその姿を目にして彼は鼻で笑う。
「その汚ねぇ言葉しか出てこない口で、名前に話しかけてるんじゃあない。ああ、入る隙がいくらでもあるとか言ったか?入ってこいよ、やれるものならな……。」
「っ…………!?」
「おいおい、答えろよ。質問はすでに…拷問に変わっているんだぜ?」
低い声で淡々と話す彼に恐怖すら感じていたが、今度は指先に違和感を感じ視線をやる。すると唇を掻きむしるアレッサンドロの人差し指が取れ掛かっていた。目にした瞬間にぞくぞくっと背筋を駆け巡る悪寒。何が起こっているのか理解出来ない恐怖に顔には冷や汗が伝う。
「ブチャラティお待たせ!」
「!?」
背後から彼女の明るい声が聞こえるとビクンッと身体が跳ね、そのまま逃げる様に椅子から転げ落ちあっという間にアレッサンドロは走って目の前から消えてしまった。
「え……、一体何が起こったの?」
「さあな…。オレ達に気を遣ってくれたんじゃあないか?」
彼女は明らかに態度が急変したアレッサンドロの走り去って行く後ろ姿を、目を丸くして見つめながら不思議そう呟いた。
オレはと言うと邪魔物を排除出来た事に上機嫌なり、自身の飲み物を取りに行ってくれた彼女に礼を言いながら空いてる手を取り隣の椅子に座らせる。
「さあ、名前の事をオレにもっと教えてくれないか?2人だけの時間がたっぷりできたんだからな。」
先程の凄みのあるギャングの表情とは違う。彼女専用のとびきりの笑顔を向けて、オレは甘い砂糖菓子の様に愛しい彼女へと囁いた。
be continued