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giorni felici
名前変換
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あれ以来、柔らかいベットに身体を沈めると微かに彼の香水の香りがする。
目が覚めるとなんだか彼に抱き締めてもらえていたかの様で、よく眠れるからか仕事で疲れた身体は軽くなり目覚めがとてもいい。と、同時に彼と過ごしたあの夜を思い出して、心臓がキューっと締め付ける甘い感覚に襲われる。
あーもう!何で寝てしまったの!?
折角なら、彼の寝顔を見たかったのに!
幾度の後悔が残るも戻っては来ないあの夜に、私は再度枕に顔を埋める事しか出来なかった。
「はあ…。もうそろそろ洗濯しなくっちゃね……。」
彼の香りが消えてしまうのが残念で洗濯するのを躊躇していたのだが、このままでは私が駄目になってしまう。
覚悟を決めて枕から顔を離しシーツを抱えて洗濯機に入れれば、普段使っている香りの洗剤を入れ上書きをする。
「……いつもの香りだ。」
洗濯機が終わりを告げる音がすれば、読んでいた本を閉じて取り出し広げたシーツからはもう彼の香りがすっかり消えていた。今まで香っていた懐かしい匂い。
心残りではあるが、これでいいのだ。いつもの、彼に出会う前の自分に戻らなくては。私の背中を押すかの様に、ベランダに出れば心地のよい爽やかな風がふわりと通り抜け髪を靡かせる。
「ciao、名前!」
「あ、ciao!」
突然明るい声のする方へ顔を向ければ、隣に住むアレッサンドロが既にベランダに出ており気さくに笑顔で手を振っている。
「洗濯かい?キミは本当に良い奥さんになるよ!」
「ありがとう、そうだと良いんだけどね。……貴方は?」
「名前に会えると思ったんだ!運命が教えてくれたみたいだね。」
「……そういう事言っていると、また彼女に怒られても知らないわよ?」
「止めてくれよ、今思い出しただけでも恐ろしい。」
お互い冗談を笑いながら話せば、私は真っ白なシーツをパンッと伸ばしてから広げて竿に干していく。青い空に靡く白いシーツはまるで雲の様で、このいつもの日常が戻ってきた感じが懐かしく靄付いた心は晴れやかになった。
「ところで名前、この前キミの家の前で…あのブチャラティが居たんだが……いつから知り合いになったんだい?」
突然頭から消えていた彼の名前が飛び込んでくると、ドキリと心臓が跳ねた。
この前の夜、私より先に帰宅したアレッサンドロに見られていた様で、有名な彼を見て相当驚いたらしい。ただ、有名な彼だからこそ、こんな一般人の家へ来たなんて他の住人や周りの人に知れては彼も私も大変な事になる。
「べ、べつに?そう!!忘れ物を届けに来てくれたみたい!」
「へえ……次の日の朝出ていったぜ?……忘れ物渡すのに、相当時間が掛かったみたいだな。」
なんとか誤魔化そうと頭を捻ったのだが、探る様に質問するアレッサンドロに目を見開いた。彼は柵に肘を着いて、全てお見通しだとばかりに厭らしい笑みを浮かべていた。
私は先程の晴れやかな気持ちを返して欲しいとばかりに、大袈裟に深く溜め息を吐き肩を竦めて首を振ってみせる。
「残念ながら、貴方が思っている様な仲じゃないわ!」
「本当かい?寧ろキミみたいな可愛い女性を放っておくなんて、ブチャラティがすると思うかい?」
それが、したのである……。
つい図星を指されれば言葉を失い、身体が固まってしまった私を見て察したのか今度は腹を抱えて笑い始める。
「はははっ!あの!この街のギャングのブチャラティがかい!?彼も意気地がないんだな!」
「ちょっと!彼をバカにしないでよ!許さないんだからっ。」
「……あ。」
自身だけなら未だしも彼に対してもアレッサンドロが笑うものだから、憎らしく腹が立ってしまい声を荒げながら私は目の前で拳を作った。
だが、アレッサンドロが下を見て小さく声を漏らすものだから、私もチラッと目線をやれば再度身体は固まってしまった。
そう、噂をしていた彼が此方をじっと見上げているのだ。何で今なのよ!ここ1週間会わなかったじゃない!?
はしたない姿を見られ固まっている私をよそに、彼はニッコリ笑みを浮かべポケットに入れていない片方の手でヒラヒラと振る。
「ciao、名前!楽しそうだな。」
「ブ、ブチャラティ……ciao。」
とりあえず振り上げていた拳を広げて手を振り、無理やり笑顔を作って挨拶を返すがこれ以上言葉が続かない。違う再会なら素直に喜べたのにと内心嘆く私に対して、彼の爽やかな声がここまで届いた。
「可愛いキミと直接話したいから、待っていてくれないか?扉を開けていてくれ。」
「は、はい!」
私は彼の言葉を聞くなりベランダにシーツとアレッサンドロを残して、テーブルの上を片付けなくてはと慌てて室内に入った。
彼はピシャッとベランダの戸が閉まる音を確認すれば、自身を見下ろすアレッサンドロを睨み付ける。先程まで名前に向けられた笑顔とは大違いの、ギャングの凄みのある目付きだ。
暫く睨み付けた後、マンションの入り口に向かった彼を見て緊張の糸が切れたアレッサンドロは溜め息を吐いた。
「へえ……本気って事かな?……面白そうだ。」
にやける口元を手で押さえながら呟くアレッサンドロは、今までは只の隣人であった名前に興味を持つ事になったのだ。
be continued
目が覚めるとなんだか彼に抱き締めてもらえていたかの様で、よく眠れるからか仕事で疲れた身体は軽くなり目覚めがとてもいい。と、同時に彼と過ごしたあの夜を思い出して、心臓がキューっと締め付ける甘い感覚に襲われる。
あーもう!何で寝てしまったの!?
折角なら、彼の寝顔を見たかったのに!
幾度の後悔が残るも戻っては来ないあの夜に、私は再度枕に顔を埋める事しか出来なかった。
「はあ…。もうそろそろ洗濯しなくっちゃね……。」
彼の香りが消えてしまうのが残念で洗濯するのを躊躇していたのだが、このままでは私が駄目になってしまう。
覚悟を決めて枕から顔を離しシーツを抱えて洗濯機に入れれば、普段使っている香りの洗剤を入れ上書きをする。
「……いつもの香りだ。」
洗濯機が終わりを告げる音がすれば、読んでいた本を閉じて取り出し広げたシーツからはもう彼の香りがすっかり消えていた。今まで香っていた懐かしい匂い。
心残りではあるが、これでいいのだ。いつもの、彼に出会う前の自分に戻らなくては。私の背中を押すかの様に、ベランダに出れば心地のよい爽やかな風がふわりと通り抜け髪を靡かせる。
「ciao、名前!」
「あ、ciao!」
突然明るい声のする方へ顔を向ければ、隣に住むアレッサンドロが既にベランダに出ており気さくに笑顔で手を振っている。
「洗濯かい?キミは本当に良い奥さんになるよ!」
「ありがとう、そうだと良いんだけどね。……貴方は?」
「名前に会えると思ったんだ!運命が教えてくれたみたいだね。」
「……そういう事言っていると、また彼女に怒られても知らないわよ?」
「止めてくれよ、今思い出しただけでも恐ろしい。」
お互い冗談を笑いながら話せば、私は真っ白なシーツをパンッと伸ばしてから広げて竿に干していく。青い空に靡く白いシーツはまるで雲の様で、このいつもの日常が戻ってきた感じが懐かしく靄付いた心は晴れやかになった。
「ところで名前、この前キミの家の前で…あのブチャラティが居たんだが……いつから知り合いになったんだい?」
突然頭から消えていた彼の名前が飛び込んでくると、ドキリと心臓が跳ねた。
この前の夜、私より先に帰宅したアレッサンドロに見られていた様で、有名な彼を見て相当驚いたらしい。ただ、有名な彼だからこそ、こんな一般人の家へ来たなんて他の住人や周りの人に知れては彼も私も大変な事になる。
「べ、べつに?そう!!忘れ物を届けに来てくれたみたい!」
「へえ……次の日の朝出ていったぜ?……忘れ物渡すのに、相当時間が掛かったみたいだな。」
なんとか誤魔化そうと頭を捻ったのだが、探る様に質問するアレッサンドロに目を見開いた。彼は柵に肘を着いて、全てお見通しだとばかりに厭らしい笑みを浮かべていた。
私は先程の晴れやかな気持ちを返して欲しいとばかりに、大袈裟に深く溜め息を吐き肩を竦めて首を振ってみせる。
「残念ながら、貴方が思っている様な仲じゃないわ!」
「本当かい?寧ろキミみたいな可愛い女性を放っておくなんて、ブチャラティがすると思うかい?」
それが、したのである……。
つい図星を指されれば言葉を失い、身体が固まってしまった私を見て察したのか今度は腹を抱えて笑い始める。
「はははっ!あの!この街のギャングのブチャラティがかい!?彼も意気地がないんだな!」
「ちょっと!彼をバカにしないでよ!許さないんだからっ。」
「……あ。」
自身だけなら未だしも彼に対してもアレッサンドロが笑うものだから、憎らしく腹が立ってしまい声を荒げながら私は目の前で拳を作った。
だが、アレッサンドロが下を見て小さく声を漏らすものだから、私もチラッと目線をやれば再度身体は固まってしまった。
そう、噂をしていた彼が此方をじっと見上げているのだ。何で今なのよ!ここ1週間会わなかったじゃない!?
はしたない姿を見られ固まっている私をよそに、彼はニッコリ笑みを浮かべポケットに入れていない片方の手でヒラヒラと振る。
「ciao、名前!楽しそうだな。」
「ブ、ブチャラティ……ciao。」
とりあえず振り上げていた拳を広げて手を振り、無理やり笑顔を作って挨拶を返すがこれ以上言葉が続かない。違う再会なら素直に喜べたのにと内心嘆く私に対して、彼の爽やかな声がここまで届いた。
「可愛いキミと直接話したいから、待っていてくれないか?扉を開けていてくれ。」
「は、はい!」
私は彼の言葉を聞くなりベランダにシーツとアレッサンドロを残して、テーブルの上を片付けなくてはと慌てて室内に入った。
彼はピシャッとベランダの戸が閉まる音を確認すれば、自身を見下ろすアレッサンドロを睨み付ける。先程まで名前に向けられた笑顔とは大違いの、ギャングの凄みのある目付きだ。
暫く睨み付けた後、マンションの入り口に向かった彼を見て緊張の糸が切れたアレッサンドロは溜め息を吐いた。
「へえ……本気って事かな?……面白そうだ。」
にやける口元を手で押さえながら呟くアレッサンドロは、今までは只の隣人であった名前に興味を持つ事になったのだ。
be continued