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giorni felici
名前変換
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「ねえ、またの機会っていつだど思う?」
お気に入りのバールでお互いエスプレッソを頼み、私は目の前に座る小さい頃からの付き合いの長い親友に質問を投げ掛ける。
その質問に対して親友は何度目かの溜め息を漏らし、テーブルに置いているカップを長い爪で触れながら哀れな瞳で向かい側に座る私を見つめた。うう…。もう視線だけで心が痛い。
「またその質問?もう1週間経つんでしょう?諦めた方が良いって……社交辞令だったんだよ。」
「やっぱり?で、でもブチャラティさんが嘘付くなんて……。」
「だからこそ!でしょ?あの、ブチャラティさんが名前を相手にするってぇ言うの?」
あまりにも正論な言葉で制されてしまえば、グッと言葉を飲み込み俯くしか選択肢は無かった。
知ってるよ…。だってあの容姿に誰にでも紳士な行動取る人だもん。ギャングだから嫌う人が居るとしたらきっと悪い事している人達だけだし、それにいっぱい女性関係の噂も耳にしてきた。
自身の働いているブティック店のお客様も、よく彼の恋愛関係の噂をしているのを聞いた事があった。その噂を聞く度、仕事帰りにこのバールに呼び出して話を聞かされる親友は心配が絶えないだろう。
「まあさ、気持ちも解らなくないけど、そう言うのは期待しない方が良いって事だよ。話せただけで良いとしなくっちゃあ。」
「うん……、もう諦める。話し聞いてくれてありがとう。」
1人ではどうしても数日経っても興奮が押さえられなくて、何度か親友の助言を聞いて現実と向き合う事を決意した。私は話しに付き合ってくれた事への感謝をして、カップの底に残っているカプチーノを一気に飲み干した。
こうして親友に別れを告げバールを後にすると、オレンジ色の空に目をやった。空の移り変わりが一日が終わってしまう事を告げていて、今日も変わらない現状に私は溜め息を漏らす。
たまにはお酒でも飲もうかな……明日はお休みだし。恋心とは今日でお別れしよう!!
普段は口にしないのだが、私は寂しい気持ちを紛らわせる為に"今日くらいは"と数本のワインを買って帰る事にした。
自室のあるマンションの階段を上りつつ肩に掛けたカバンの中へ手を入れて、キーホルダーの付いた鍵を探す。住んでるマンションは築年数も古くて階段しか無い為に安めの家賃だが、リッチも良いし内装はリフォームされているから綺麗だ。そして静寂な廊下を歩けばコツコツとヒールの音が響く。私はこの音は心地好くて好きだ。
今も靴音を楽しんでいると、家の前に1つの人影があるのに気付いた。一体こんな時間に誰?こんな事は初めてで、私は不安を抱きながらゆっくりと足を進めるがその足は次第に速くなった。
「遅かったな……おかえり。」
「え!?な、なんで……?」
「約束しただろう?まあ、遅くはなってしまったが……部屋に入れてくれるか?」
自身の部屋の前で扉に寄り掛かりながら腕を組み私に微笑む彼に、もう会わないと思っていたから自然と声が上擦ってしまった。
約束の件を謝りつつ部屋を指差し問いかける彼に、私は覚えてくれていた事が嬉しくて急いで部屋の鍵を開ける。だが、思い出した私はサッと持っていたワイン入りの袋を後ろに隠す事にした。
よりにもよって今日なんて……。貴方の事を忘れ様としたのに…。これじゃあ無理よ!ああ…お酒飲む、だらしない女って思われないかしら…。
「ワインか…。オレも飲みたい所だったんだ。……付き合ってくれないか?」
「も、もちろんよ!来ると思ったの……。」
ワイン入りの袋に気付いた彼は、私を気遣ってか話を合わせてくれる。そんな事を悶々と考えていたが、彼の言葉に逆に買って良かったと私は照れくさそうに笑みを浮かべた。こう言う心遣いが出来る所って素敵よね。
そして腰に手を添え後に続くように促すスマートな彼の仕草に、女性扱いに慣れていない私はドキドキと胸が高鳴る。
部屋に入ると彼をソファに促し急いで冷蔵庫を開ければ、ある物で摘まめる料理を慣れた手付きで用意してテーブルに数品並べる。こう言う時は一人暮らしが長くて良かったと思う。
キッチンから見える彼の姿はなんだか新婚の様で気恥ずかしくなりつつも、着けていた白いエプロンを取り足早にソファに向かえば距離を少し取って彼の隣に腰を下ろした。
「キミは料理が上手なんだな。どれも旨い!」
「ありがとう…!一人暮らしだから、自然と楽しくなっちゃって色々と挑戦しているの。食べてくれる人はいないけどね。」
「勿体ないな、こんなに旨いってぇのに。……他の料理も気になるから、楽しみにしてるぜ?」
「もう、本気にしちゃうじゃない。」
乾杯の後。自身の手料理を褒めてくれる彼に嬉しくなって弾む会話と心に、ワインを運ぶ手はどんどん進んでいき空になるグラスに気付くと彼が注いでくれる。並々と注がれるワインに唇を近付け様とすると、グラスの縁を手で覆い彼が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
至近距離で見た彼の顔はとても綺麗で、反射的に胸と肩が弾む。下手したら女性よりも長い睫毛と綺麗な蒼い瞳に目が奪われて反らす事は敵わない。
「おい、そんなに飲んで大丈夫か?」
それはアルコールのせいなのか。彼からはなんとも甘い男性の色気が漂っていて、私はその雰囲気に目眩がしそうだ。
纏う雰囲気と普段と違う少し低めの声を耳にすれば、身体にゾクゾクと甘い痺れが走り抜ける。慢性的に痺れるそれは、まるで麻薬の様で私の瞼はとろんと蕩けてしまいそうになる。
「だ、大丈夫よ!また私を子供扱いしてるわね?」
「そんなんじゃあないさ。ただ、顔が真っ赤だ……。これじゃあ今日の事を忘れちまうだろ?」
「忘れるわけないじゃない!っ……、こんな夢みたいな夜の事。」
「それじゃあ、名前を教えてくれるか?オレも忘れたくない。」
「まだ名乗ってなかったかしら…。名前よ。」
「可愛い名前だ、名前。ずっと直接聞きたかった…。」
「へ……?」
今"ずっと"って言った?
「それってどういう……。」
最後の発言に違和感を感じる。私はそう聞き返したのと同時に、顔がより近付き彼の睫毛が触れる。それがなんともくすぐったくて、ハッと現実に戻った瞬間に急いで触れそうな彼の唇をグラスを持ってない手で塞ぐ。
それが予想外の出来事だったのだろう。彼は眉を寄せ、明らかに不満げに私の手首を掴んで唇から離させた。
「名前、どういうつもりだ?」
「そ、それはこっちのセリフよ!な、何するの!?」
「まさか解らないって訳じゃあないだろう?てっきりは名前はオレが好きなのかと思ったが…。」
「す、好き…だけど……。」
彼は私の気持ちを解りきっていると言わんばかりに、掴んだ手の指に柔らかい唇を這わせる。
彼の行動は本当に心臓に悪い。甘える様にも見える仕草に、懸命に流されまいと首を横に振り酔いを冷まそうとしてから真っ直ぐに見つめ返す。
「だって……このままじゃ他の女の人達と一緒だわ。」
まだ「好き」って言葉も聞いていない。
きっと私の好意に気付き、からかっているんだ。このまま身体だけの関係なんて、絶対に嫌…。
口にしてしまえば色んな感情が私の脳内で一気に渦巻き、だんだん惨めになってきた。すると瞳に涙を浮かべる私に気付いた彼は、何か察したのか優しく抱き寄せてくれた。
「すまない、愛しいキミを悲しませたい訳じゃあないんだ。…嫌がる事はしない。」
彼の腕の中に包まれた瞬間。香水のいい香りが鼻を擽ると共に、自身と同じ速さの心音に気付きじわりと心は和らいだ。
男性特有の大きな掌で優しく頭を撫でられると、気持ちよさと安堵からだろうか。瞳に溜め込んでいた涙が頬を伝い、そのまま私は意識を手放したのだった。
be continued
お気に入りのバールでお互いエスプレッソを頼み、私は目の前に座る小さい頃からの付き合いの長い親友に質問を投げ掛ける。
その質問に対して親友は何度目かの溜め息を漏らし、テーブルに置いているカップを長い爪で触れながら哀れな瞳で向かい側に座る私を見つめた。うう…。もう視線だけで心が痛い。
「またその質問?もう1週間経つんでしょう?諦めた方が良いって……社交辞令だったんだよ。」
「やっぱり?で、でもブチャラティさんが嘘付くなんて……。」
「だからこそ!でしょ?あの、ブチャラティさんが名前を相手にするってぇ言うの?」
あまりにも正論な言葉で制されてしまえば、グッと言葉を飲み込み俯くしか選択肢は無かった。
知ってるよ…。だってあの容姿に誰にでも紳士な行動取る人だもん。ギャングだから嫌う人が居るとしたらきっと悪い事している人達だけだし、それにいっぱい女性関係の噂も耳にしてきた。
自身の働いているブティック店のお客様も、よく彼の恋愛関係の噂をしているのを聞いた事があった。その噂を聞く度、仕事帰りにこのバールに呼び出して話を聞かされる親友は心配が絶えないだろう。
「まあさ、気持ちも解らなくないけど、そう言うのは期待しない方が良いって事だよ。話せただけで良いとしなくっちゃあ。」
「うん……、もう諦める。話し聞いてくれてありがとう。」
1人ではどうしても数日経っても興奮が押さえられなくて、何度か親友の助言を聞いて現実と向き合う事を決意した。私は話しに付き合ってくれた事への感謝をして、カップの底に残っているカプチーノを一気に飲み干した。
こうして親友に別れを告げバールを後にすると、オレンジ色の空に目をやった。空の移り変わりが一日が終わってしまう事を告げていて、今日も変わらない現状に私は溜め息を漏らす。
たまにはお酒でも飲もうかな……明日はお休みだし。恋心とは今日でお別れしよう!!
普段は口にしないのだが、私は寂しい気持ちを紛らわせる為に"今日くらいは"と数本のワインを買って帰る事にした。
自室のあるマンションの階段を上りつつ肩に掛けたカバンの中へ手を入れて、キーホルダーの付いた鍵を探す。住んでるマンションは築年数も古くて階段しか無い為に安めの家賃だが、リッチも良いし内装はリフォームされているから綺麗だ。そして静寂な廊下を歩けばコツコツとヒールの音が響く。私はこの音は心地好くて好きだ。
今も靴音を楽しんでいると、家の前に1つの人影があるのに気付いた。一体こんな時間に誰?こんな事は初めてで、私は不安を抱きながらゆっくりと足を進めるがその足は次第に速くなった。
「遅かったな……おかえり。」
「え!?な、なんで……?」
「約束しただろう?まあ、遅くはなってしまったが……部屋に入れてくれるか?」
自身の部屋の前で扉に寄り掛かりながら腕を組み私に微笑む彼に、もう会わないと思っていたから自然と声が上擦ってしまった。
約束の件を謝りつつ部屋を指差し問いかける彼に、私は覚えてくれていた事が嬉しくて急いで部屋の鍵を開ける。だが、思い出した私はサッと持っていたワイン入りの袋を後ろに隠す事にした。
よりにもよって今日なんて……。貴方の事を忘れ様としたのに…。これじゃあ無理よ!ああ…お酒飲む、だらしない女って思われないかしら…。
「ワインか…。オレも飲みたい所だったんだ。……付き合ってくれないか?」
「も、もちろんよ!来ると思ったの……。」
ワイン入りの袋に気付いた彼は、私を気遣ってか話を合わせてくれる。そんな事を悶々と考えていたが、彼の言葉に逆に買って良かったと私は照れくさそうに笑みを浮かべた。こう言う心遣いが出来る所って素敵よね。
そして腰に手を添え後に続くように促すスマートな彼の仕草に、女性扱いに慣れていない私はドキドキと胸が高鳴る。
部屋に入ると彼をソファに促し急いで冷蔵庫を開ければ、ある物で摘まめる料理を慣れた手付きで用意してテーブルに数品並べる。こう言う時は一人暮らしが長くて良かったと思う。
キッチンから見える彼の姿はなんだか新婚の様で気恥ずかしくなりつつも、着けていた白いエプロンを取り足早にソファに向かえば距離を少し取って彼の隣に腰を下ろした。
「キミは料理が上手なんだな。どれも旨い!」
「ありがとう…!一人暮らしだから、自然と楽しくなっちゃって色々と挑戦しているの。食べてくれる人はいないけどね。」
「勿体ないな、こんなに旨いってぇのに。……他の料理も気になるから、楽しみにしてるぜ?」
「もう、本気にしちゃうじゃない。」
乾杯の後。自身の手料理を褒めてくれる彼に嬉しくなって弾む会話と心に、ワインを運ぶ手はどんどん進んでいき空になるグラスに気付くと彼が注いでくれる。並々と注がれるワインに唇を近付け様とすると、グラスの縁を手で覆い彼が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
至近距離で見た彼の顔はとても綺麗で、反射的に胸と肩が弾む。下手したら女性よりも長い睫毛と綺麗な蒼い瞳に目が奪われて反らす事は敵わない。
「おい、そんなに飲んで大丈夫か?」
それはアルコールのせいなのか。彼からはなんとも甘い男性の色気が漂っていて、私はその雰囲気に目眩がしそうだ。
纏う雰囲気と普段と違う少し低めの声を耳にすれば、身体にゾクゾクと甘い痺れが走り抜ける。慢性的に痺れるそれは、まるで麻薬の様で私の瞼はとろんと蕩けてしまいそうになる。
「だ、大丈夫よ!また私を子供扱いしてるわね?」
「そんなんじゃあないさ。ただ、顔が真っ赤だ……。これじゃあ今日の事を忘れちまうだろ?」
「忘れるわけないじゃない!っ……、こんな夢みたいな夜の事。」
「それじゃあ、名前を教えてくれるか?オレも忘れたくない。」
「まだ名乗ってなかったかしら…。名前よ。」
「可愛い名前だ、名前。ずっと直接聞きたかった…。」
「へ……?」
今"ずっと"って言った?
「それってどういう……。」
最後の発言に違和感を感じる。私はそう聞き返したのと同時に、顔がより近付き彼の睫毛が触れる。それがなんともくすぐったくて、ハッと現実に戻った瞬間に急いで触れそうな彼の唇をグラスを持ってない手で塞ぐ。
それが予想外の出来事だったのだろう。彼は眉を寄せ、明らかに不満げに私の手首を掴んで唇から離させた。
「名前、どういうつもりだ?」
「そ、それはこっちのセリフよ!な、何するの!?」
「まさか解らないって訳じゃあないだろう?てっきりは名前はオレが好きなのかと思ったが…。」
「す、好き…だけど……。」
彼は私の気持ちを解りきっていると言わんばかりに、掴んだ手の指に柔らかい唇を這わせる。
彼の行動は本当に心臓に悪い。甘える様にも見える仕草に、懸命に流されまいと首を横に振り酔いを冷まそうとしてから真っ直ぐに見つめ返す。
「だって……このままじゃ他の女の人達と一緒だわ。」
まだ「好き」って言葉も聞いていない。
きっと私の好意に気付き、からかっているんだ。このまま身体だけの関係なんて、絶対に嫌…。
口にしてしまえば色んな感情が私の脳内で一気に渦巻き、だんだん惨めになってきた。すると瞳に涙を浮かべる私に気付いた彼は、何か察したのか優しく抱き寄せてくれた。
「すまない、愛しいキミを悲しませたい訳じゃあないんだ。…嫌がる事はしない。」
彼の腕の中に包まれた瞬間。香水のいい香りが鼻を擽ると共に、自身と同じ速さの心音に気付きじわりと心は和らいだ。
男性特有の大きな掌で優しく頭を撫でられると、気持ちよさと安堵からだろうか。瞳に溜め込んでいた涙が頬を伝い、そのまま私は意識を手放したのだった。
be continued