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giorni felici
名前変換
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ここ2ヶ月くらい前から、あるマンションの前を歩く度に視線を感じていた。
此方に害は無いようだし放っておいていたのだが、ここはネオポリスだ。一見どこにでも居る様な人間でもギャングの可能性が無い訳でもないので、一応詳しく調べてみる事にした。
「名前…か。」
ブチャラティは書類に目を通しながら彼女の綺麗な名前を呟いた。
名前 20歳
身長160cm
ブティック店にて勤務
現在はネオポリスにて一人暮らし
就職と共に親元を離れて暮らしている
趣味 お菓子作りにショッピング
イタリア人にしては少し小柄で、生い立ちもごく普通な女性だ。裏を取ってもギャングの可能性が1ミリも無い為に調査は打ち切ったのだ。
じゃあ、どうして此方を見ている?そう、ただ洗濯物を干しながら見つめてくるだけなのだ。
いくら考えても答えに辿り着かず悶々と考え込みながら、オレは1人書類と睨み合いつつ手にしていたカプチーノに口を付ける。
するとコンコンッと2回ノック音が部屋に響き返事をしたと同時に、扉が開き部下であるフーゴが姿を現した。彼はギャングにしては秀才でオレと目が合えば、礼儀正しく姿勢を正して一礼してから終了した任務報告をする。
「ブチャラティ、任務終了しました。」
「随分かかったな。」
「すみません。またナランチャとミスタが街をメチャクチャにして…後処理に時間が掛かってしまいました。」
思い出しただけでも心底疲れたのか肩を竦めて首を気怠げに振るフーゴに、苦笑しつつご苦労だったな…と宥めてやる。
報告を聞き終われば一段落したオレは手にしていた書類とカップを机に置けば、フーゴは書類を覗き込み気になったのかトントンと指先で触れた。
「ブチャラティ、次の任務はこの女性ですか?」
「いや、彼女は関係ない…。……なぁフーゴ、女性が見つめてくるってのは何でだ?」
「えっ…。」
任務かと言う質問に首を振るが、調度いいとばかりにチームの中でもIQが高く教養があるフーゴに逆に質問を投げ掛ける。
だが、フーゴにとってあまりにも予想外の質問だったのだろう。普段こんな質問をしないオレに対して、意味が解らないとばかりにキョトンと年相応な表情で見つめてくる。
「いやだなぁ、貴方ともあろう人が何言ってるんですか。そんなの1つしかないでしょう?」
「…だから、それが何かって聞いているんだ。」
「まさか、解らないって言うんですか!?彼女だって居たじゃあないですかっ。…………ああもう、ブチャラティに好意を抱いてるからでしょう!」
漸く問い掛けの意味を理解すれば当たり前とばかりに言うフーゴに、少し苛立ちつつも再度尋ねれば心底オレに驚きを隠せない様だった。
オレ自身も返ってきた答えに驚くも暫く考え込んだ後、いつも助言をくれ助けてくれる部下の答えにそれもそうかも知れないと納得した。
「助かった、やはり物知りだな。」
「いえ…解ってもらえて良かったです。」
クスッと笑みをお互い浮かべながらオレは部屋から出るとアジトを後にするが、残されたフーゴは腕を組みながら机に置いてある書類を見つめた。
「面白い人だ…。まさか、こう言うのは初めてなんですかね?」
* ** ***
そう、初めてなのだ。
女性から幾度となくアピールされ愛の言葉を耳にして来たが、静かに想いを寄せられるのは経験した事が無い。来るもの拒まず身体だけの関係も少なくない。ブチャラティは女性を好きになった事も無い為、見つめるだけで気持ちを秘める好意も理解出来ないでいた。
このまま言わないでいるつもりなのか?
あれからそんな事ばかり考えていると、彼女のマンションの前を通る度、視線を感じる度にもどかしい様な気持ちが芽生えていた。
「スティッキー・フィンガー…。」
そう呟けばまさに今、彼女の手にしていた洗濯済みであるハンカチの裾をほんの少しジッパーで切り離した。
すると彼女の手からスルリと離れ、自然と滑り落としたかの様にレースのハンカチが宙に舞い足元に落ちてきた。
「キミのか?」
女神が羽根を1枚を落としたみたいな白いハンカチを拾い見上げると、真っ赤な顔の彼女と目が合う。
漸く目が合ったな…。
オレは自身でも気付かない程に自然と笑みを浮かべて、彼女の待つ部屋に向かう為に楽しげに階段を上るのであった。
be continued
此方に害は無いようだし放っておいていたのだが、ここはネオポリスだ。一見どこにでも居る様な人間でもギャングの可能性が無い訳でもないので、一応詳しく調べてみる事にした。
「名前…か。」
ブチャラティは書類に目を通しながら彼女の綺麗な名前を呟いた。
名前 20歳
身長160cm
ブティック店にて勤務
現在はネオポリスにて一人暮らし
就職と共に親元を離れて暮らしている
趣味 お菓子作りにショッピング
イタリア人にしては少し小柄で、生い立ちもごく普通な女性だ。裏を取ってもギャングの可能性が1ミリも無い為に調査は打ち切ったのだ。
じゃあ、どうして此方を見ている?そう、ただ洗濯物を干しながら見つめてくるだけなのだ。
いくら考えても答えに辿り着かず悶々と考え込みながら、オレは1人書類と睨み合いつつ手にしていたカプチーノに口を付ける。
するとコンコンッと2回ノック音が部屋に響き返事をしたと同時に、扉が開き部下であるフーゴが姿を現した。彼はギャングにしては秀才でオレと目が合えば、礼儀正しく姿勢を正して一礼してから終了した任務報告をする。
「ブチャラティ、任務終了しました。」
「随分かかったな。」
「すみません。またナランチャとミスタが街をメチャクチャにして…後処理に時間が掛かってしまいました。」
思い出しただけでも心底疲れたのか肩を竦めて首を気怠げに振るフーゴに、苦笑しつつご苦労だったな…と宥めてやる。
報告を聞き終われば一段落したオレは手にしていた書類とカップを机に置けば、フーゴは書類を覗き込み気になったのかトントンと指先で触れた。
「ブチャラティ、次の任務はこの女性ですか?」
「いや、彼女は関係ない…。……なぁフーゴ、女性が見つめてくるってのは何でだ?」
「えっ…。」
任務かと言う質問に首を振るが、調度いいとばかりにチームの中でもIQが高く教養があるフーゴに逆に質問を投げ掛ける。
だが、フーゴにとってあまりにも予想外の質問だったのだろう。普段こんな質問をしないオレに対して、意味が解らないとばかりにキョトンと年相応な表情で見つめてくる。
「いやだなぁ、貴方ともあろう人が何言ってるんですか。そんなの1つしかないでしょう?」
「…だから、それが何かって聞いているんだ。」
「まさか、解らないって言うんですか!?彼女だって居たじゃあないですかっ。…………ああもう、ブチャラティに好意を抱いてるからでしょう!」
漸く問い掛けの意味を理解すれば当たり前とばかりに言うフーゴに、少し苛立ちつつも再度尋ねれば心底オレに驚きを隠せない様だった。
オレ自身も返ってきた答えに驚くも暫く考え込んだ後、いつも助言をくれ助けてくれる部下の答えにそれもそうかも知れないと納得した。
「助かった、やはり物知りだな。」
「いえ…解ってもらえて良かったです。」
クスッと笑みをお互い浮かべながらオレは部屋から出るとアジトを後にするが、残されたフーゴは腕を組みながら机に置いてある書類を見つめた。
「面白い人だ…。まさか、こう言うのは初めてなんですかね?」
* ** ***
そう、初めてなのだ。
女性から幾度となくアピールされ愛の言葉を耳にして来たが、静かに想いを寄せられるのは経験した事が無い。来るもの拒まず身体だけの関係も少なくない。ブチャラティは女性を好きになった事も無い為、見つめるだけで気持ちを秘める好意も理解出来ないでいた。
このまま言わないでいるつもりなのか?
あれからそんな事ばかり考えていると、彼女のマンションの前を通る度、視線を感じる度にもどかしい様な気持ちが芽生えていた。
「スティッキー・フィンガー…。」
そう呟けばまさに今、彼女の手にしていた洗濯済みであるハンカチの裾をほんの少しジッパーで切り離した。
すると彼女の手からスルリと離れ、自然と滑り落としたかの様にレースのハンカチが宙に舞い足元に落ちてきた。
「キミのか?」
女神が羽根を1枚を落としたみたいな白いハンカチを拾い見上げると、真っ赤な顔の彼女と目が合う。
漸く目が合ったな…。
オレは自身でも気付かない程に自然と笑みを浮かべて、彼女の待つ部屋に向かう為に楽しげに階段を上るのであった。
be continued