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シークレットな勉強会
名前変換
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歳を重ねる程に、1日1日が早く過ぎるのは何故だろうか。
幼い頃は早く1日、1年が過ぎて欲しいと願った時もあったが、今では憂鬱な日ほど早く来る様な気がしてならない。
ブチャラティはナランチャから受け取った資料へと目を通しながらも、周りに気付かれない様に用紙越しの名前へと視線を向けていた。
彼女は相変わらず真剣な表情でパソコンに向かい、規則正しい音を立ててタイピングを続けている。
その姿はまるでピアノを演奏しているかの様で、丸まってなどいない綺麗な姿勢に流れる指先。
本当に今日、この前の話の続きをするのか?
あの日以来、名前の態度は変わらず淡々と任務をこなし報告もして定時に上がっている。
1週間その様子を見る限り、夢だったのでは無いかとブチャラティは確信を抱く程だ。
今日も彼女は定時に上がり、皆に深々と一礼してアジトを後にするに違いない。
決まって5分前。
名前は作業を辞めて除菌シートで一通りディスク周りを拭き、飲んでいたカップを手にしてキッチンへ向かい洗い終わると鞄に荷物を詰めて帰る。
これが彼女のルーティーンなのだ。
ほらな、今日もそうだ。
ブチャラティは名前がキッチンへと姿を消すと、満足げに頷いて自身の読みは正しかったと残りの文章を読み進めた。
しかし、程無くして書類に影が掛かったので顔を上げると、目の前には無表情にブチャラティを見下ろす名前が居る。
気配に気付かず驚いて小さく肩を跳ねさすブチャラティに、名前は動じず見下ろしたままだ。
嫌な予感がする。
帰り際に上司を見下ろすなど、これは今までの名前のルーティーンには無い。
「……どうかしたのか?」
「困りましたね。忘れたんですか?ご指導お願いします、ブチャラティ。」
「!!」
「あ?名前も勉強かぁ?」
「はい、ナランチャみたいに私もこれから勉強です。」
「そっか~!オレみたいに頑張れよぉ!!…んん?でもブチャラティに、なーに教えてもらうんだよぉ。名前だけズリーじゃん!」
「すみません、ナランチャ。フーゴでは無くブチャラティにしか教えてもらえないんです。セッ…。」
「おい!!名前行くぞ!!」
これ以上聞いてられん…!!
最初は黙って聞いていたブチャラティだったが、話の内容が悪い方向に向かい尚且つ名前の口から"あの単語"が零れそうになったので急いで大声で制して手を引けばアジトを後にしたのだった。
置いてきぼりのナランチャなど知らん。
兎に角今は名前を早急に連れ出さなくては、自身にも非が掛かりそうだと判断し上着の内側にジッパーを出現させ手にしていた書類を投げ込む。
いっそうの事、名前すらもこの何処に続いているか解らないジッパーで閉じ込めたいと思う。
そんなブチャラティらしくない考えを浮かべながら、店へと足を速めるのであった。
「すごい…。こんな高そうなお店、私…初めて来ました。」
今回選んだ店は、完全個室の会員制の店だ。
この前のバールでは、こちらの心臓が保たないし何より周りの目も気になり会話に集中出来ないのである。
ブチャラティはネオポリスでは、それなりに顔が知れているし変な噂が立っても困る。ギャングに失態は許されないし、どんな事でも弱みとして殺しを企てる者も居るからだ。
「キミがまた余計な事を堂々と言いそうだからな…。ここなら誰も聞く者も居ないし、いいだろ。」
「あ…。すみません、ナランチャの事ですよね。」
「いいか、この事は他の奴には絶対に言うなよ。」
「何故ですか?」
「何故って…オレと、お前は部下と上司だ。こういう悩み相談は、他人に勘違いされる恐れがあるだろ。」
相変わらず意味が解らないと、上質な革のソファに腰掛けながら首を傾げる名前に頭痛すら襲われる。
無自覚は1番厄介だ。しかし、ここは解ってもらわないと困る。
ブチャラティは瞳を細めて鋭い視線を送れば、名前に伝わったのか少し表情が強張った。
「勘違い…ああ、私達が付き合っていると思われたらブチャラティが困りますもんね。あ!しかもナランチャは、まだ17歳でしたね…。危なかったぁ…。」
「あー……まあそうだな。」
今気付いたとばかりに目を丸くして話す名前の観点は明らかにズレている。だが、ブチャラティはそれに対して説明するのすら面倒で適当に返事をして運ばれて来た赤ワインへと口を付けた。
取り敢えず料理が全て運ばれて来るまでは、他愛もない話でもするか。
「なあ、名前。そもそも彼とは何処で知り合って付き合う事になったんだ?」
「よく読書をする公園です。きっと珍しかったんでしょうね…。彼から声を掛けて頂き、まあ…話も楽しかったのでお付き合いすることにしました。」
「……それは…。」
キミは本当に好きなのか?
話を聞いていたブチャラティは恋人の話をしているのに笑みすらも浮かべずに、本当に説明だけをする名前に疑いを抱く。
女性ならばこの手の質問に笑顔か恥じらいを持って話す筈だ。
否、名前に対して"普通"は通用しないのだ。きっと興味本位で付き合い始めたに違いない。
それから生まれる恋愛もあるかもな。
名前とは興味の付け所が違うが、ブチャラティ自身も好意を寄せて付き合った試しはない。
取り敢えず好意を寄せられたから付き合ってみるか…と言う相手に失礼かも知れないが、"好きになるかも"という可能性を込めて付き合う事が多い。
正直な所、"ああ言う事があってから"本気になるのが面倒になったのだ。
真っ白なテーブルクロスの上に熱々の料理が並び、視界で注文した全てが揃った事を確認するとブチャラティは赤ワインに口付ける名前へと視線を戻す。
「でだ、本題へ移ろうか。…名前、キミは何から知りたいんだ?」
「はい!私、色々と纏めてきたんですっ。」
待ってましたとばかりに脇に置いていた大きめなトートバックから1つのファイルを取り出して紙を捲り始める。
予想外の物が飛び出してきて目を見開くブチャラティをよそに、名前はページを開いて今こそ瞳をキラキラと輝かせた。
「大まかにですが、1.シチュエーション。2.キス。3.愛撫。4.セックス。5.セックス後の反応。また、細かく分けて話しますと1のシチュエーションでは…。」
「あー待ってくれ!もしかして、そのファイル全部…。」
「はい!聞きたい事を纏めてきました!!」
レポートにする気か!?
呆れたのを通り越して笑いすら生まれるブチャラティは、至って真面目な名前に悪いと思い口元を手で隠すが堪えきれず噛み潰す様に笑ってしまった。
「ブチャラティ?」
「くっ…くっ…、キミは本当に可愛いなっ。」
「……それ、バカにしていませんか?」
「まさか。褒めてるんだ。……名前と居ると飽きないかもな。こんなにオレを楽しませる女性は、名前だけさ。」
「……なら良いんですけど。」
説明に納得していない様子で小さな唇を尖らせながら話す名前は、気を取り直したのか再度用紙へと視線を落とし指先で何処まで話したか確認をしている。
本当に真面目だな。しかし、彼と仲良くなりたくて学ぶのか、これも彼女のセックスへの興味本位で学びたいのかは謎だな。
一頻り笑い終わると1度息を整え、乾いた喉をワインで潤しながらブチャラティは考えていた。
「まずは順を追って1のシチュエーションの作り方から教えて下さい。」
「キミの言うシチュエーションは、セックスに入る前の事が聞きたいって事だよな?」
「はい。よく耳にする"甘い雰囲気"または"下半身が疼く"シチュエーションの伝授、お願いしますっ。」
下半身が疼く……伝授?
鼓膜へとまた変な単語が流れ込むので、思わずワインが気管支に入りそうになり咳き込んでしまった。
ブチャラティはそのまま口元を押さえつつ眉間に深い皺を作り、名前の申し出の意図を読み解こうとした。
だが、伝授と言われても女性の性癖を掻き乱す程のシチュエーションをした試しはない。
こういうのは自然な流れなのではないか。
「…すまん名前、頭が追い付かん。」
「え……雑誌にも書いてありましたよ?これ、切り抜きです。」
ファイルから取り出された切り抜きを受け取ると、そこには同じく言葉に出された単語が特集として掲載されていた。
これか…名前に余計な知識を植え付けたのは。
そこにはキスの仕方や触り方、どんな場所でなどが体験談形式にピックアップされている。
今の雑誌はここまで細かく掲載されているのかと関心までしてしまうブチャラティ。
一方で名前は金曜日までの間に、自分なりに予習をしておいたのだ。人から教わる身としては、やはり誠意を見せなくては失礼だと学生の頃から予習や復習を欠かさなかった。
やっぱり自分の中で納得したい…!
彼女は切り抜きに目を通すブチャラティを見つめながら、頷いて再度自身の中で気持ちを固めていた。
「目を通してみたんですが、私の下半身は疼かなくて…。」
「キミはそう言う事を、男の前で平気で口にするんじゃあない。」
「だから、実践して頂きたいんです!!」
「……。」
実践の意味を名前は理解しているのだろうかとも思ったが、言葉を失ったブチャラティはもう深く考える事すら面倒になった。
be continued
幼い頃は早く1日、1年が過ぎて欲しいと願った時もあったが、今では憂鬱な日ほど早く来る様な気がしてならない。
ブチャラティはナランチャから受け取った資料へと目を通しながらも、周りに気付かれない様に用紙越しの名前へと視線を向けていた。
彼女は相変わらず真剣な表情でパソコンに向かい、規則正しい音を立ててタイピングを続けている。
その姿はまるでピアノを演奏しているかの様で、丸まってなどいない綺麗な姿勢に流れる指先。
本当に今日、この前の話の続きをするのか?
あの日以来、名前の態度は変わらず淡々と任務をこなし報告もして定時に上がっている。
1週間その様子を見る限り、夢だったのでは無いかとブチャラティは確信を抱く程だ。
今日も彼女は定時に上がり、皆に深々と一礼してアジトを後にするに違いない。
決まって5分前。
名前は作業を辞めて除菌シートで一通りディスク周りを拭き、飲んでいたカップを手にしてキッチンへ向かい洗い終わると鞄に荷物を詰めて帰る。
これが彼女のルーティーンなのだ。
ほらな、今日もそうだ。
ブチャラティは名前がキッチンへと姿を消すと、満足げに頷いて自身の読みは正しかったと残りの文章を読み進めた。
しかし、程無くして書類に影が掛かったので顔を上げると、目の前には無表情にブチャラティを見下ろす名前が居る。
気配に気付かず驚いて小さく肩を跳ねさすブチャラティに、名前は動じず見下ろしたままだ。
嫌な予感がする。
帰り際に上司を見下ろすなど、これは今までの名前のルーティーンには無い。
「……どうかしたのか?」
「困りましたね。忘れたんですか?ご指導お願いします、ブチャラティ。」
「!!」
「あ?名前も勉強かぁ?」
「はい、ナランチャみたいに私もこれから勉強です。」
「そっか~!オレみたいに頑張れよぉ!!…んん?でもブチャラティに、なーに教えてもらうんだよぉ。名前だけズリーじゃん!」
「すみません、ナランチャ。フーゴでは無くブチャラティにしか教えてもらえないんです。セッ…。」
「おい!!名前行くぞ!!」
これ以上聞いてられん…!!
最初は黙って聞いていたブチャラティだったが、話の内容が悪い方向に向かい尚且つ名前の口から"あの単語"が零れそうになったので急いで大声で制して手を引けばアジトを後にしたのだった。
置いてきぼりのナランチャなど知らん。
兎に角今は名前を早急に連れ出さなくては、自身にも非が掛かりそうだと判断し上着の内側にジッパーを出現させ手にしていた書類を投げ込む。
いっそうの事、名前すらもこの何処に続いているか解らないジッパーで閉じ込めたいと思う。
そんなブチャラティらしくない考えを浮かべながら、店へと足を速めるのであった。
「すごい…。こんな高そうなお店、私…初めて来ました。」
今回選んだ店は、完全個室の会員制の店だ。
この前のバールでは、こちらの心臓が保たないし何より周りの目も気になり会話に集中出来ないのである。
ブチャラティはネオポリスでは、それなりに顔が知れているし変な噂が立っても困る。ギャングに失態は許されないし、どんな事でも弱みとして殺しを企てる者も居るからだ。
「キミがまた余計な事を堂々と言いそうだからな…。ここなら誰も聞く者も居ないし、いいだろ。」
「あ…。すみません、ナランチャの事ですよね。」
「いいか、この事は他の奴には絶対に言うなよ。」
「何故ですか?」
「何故って…オレと、お前は部下と上司だ。こういう悩み相談は、他人に勘違いされる恐れがあるだろ。」
相変わらず意味が解らないと、上質な革のソファに腰掛けながら首を傾げる名前に頭痛すら襲われる。
無自覚は1番厄介だ。しかし、ここは解ってもらわないと困る。
ブチャラティは瞳を細めて鋭い視線を送れば、名前に伝わったのか少し表情が強張った。
「勘違い…ああ、私達が付き合っていると思われたらブチャラティが困りますもんね。あ!しかもナランチャは、まだ17歳でしたね…。危なかったぁ…。」
「あー……まあそうだな。」
今気付いたとばかりに目を丸くして話す名前の観点は明らかにズレている。だが、ブチャラティはそれに対して説明するのすら面倒で適当に返事をして運ばれて来た赤ワインへと口を付けた。
取り敢えず料理が全て運ばれて来るまでは、他愛もない話でもするか。
「なあ、名前。そもそも彼とは何処で知り合って付き合う事になったんだ?」
「よく読書をする公園です。きっと珍しかったんでしょうね…。彼から声を掛けて頂き、まあ…話も楽しかったのでお付き合いすることにしました。」
「……それは…。」
キミは本当に好きなのか?
話を聞いていたブチャラティは恋人の話をしているのに笑みすらも浮かべずに、本当に説明だけをする名前に疑いを抱く。
女性ならばこの手の質問に笑顔か恥じらいを持って話す筈だ。
否、名前に対して"普通"は通用しないのだ。きっと興味本位で付き合い始めたに違いない。
それから生まれる恋愛もあるかもな。
名前とは興味の付け所が違うが、ブチャラティ自身も好意を寄せて付き合った試しはない。
取り敢えず好意を寄せられたから付き合ってみるか…と言う相手に失礼かも知れないが、"好きになるかも"という可能性を込めて付き合う事が多い。
正直な所、"ああ言う事があってから"本気になるのが面倒になったのだ。
真っ白なテーブルクロスの上に熱々の料理が並び、視界で注文した全てが揃った事を確認するとブチャラティは赤ワインに口付ける名前へと視線を戻す。
「でだ、本題へ移ろうか。…名前、キミは何から知りたいんだ?」
「はい!私、色々と纏めてきたんですっ。」
待ってましたとばかりに脇に置いていた大きめなトートバックから1つのファイルを取り出して紙を捲り始める。
予想外の物が飛び出してきて目を見開くブチャラティをよそに、名前はページを開いて今こそ瞳をキラキラと輝かせた。
「大まかにですが、1.シチュエーション。2.キス。3.愛撫。4.セックス。5.セックス後の反応。また、細かく分けて話しますと1のシチュエーションでは…。」
「あー待ってくれ!もしかして、そのファイル全部…。」
「はい!聞きたい事を纏めてきました!!」
レポートにする気か!?
呆れたのを通り越して笑いすら生まれるブチャラティは、至って真面目な名前に悪いと思い口元を手で隠すが堪えきれず噛み潰す様に笑ってしまった。
「ブチャラティ?」
「くっ…くっ…、キミは本当に可愛いなっ。」
「……それ、バカにしていませんか?」
「まさか。褒めてるんだ。……名前と居ると飽きないかもな。こんなにオレを楽しませる女性は、名前だけさ。」
「……なら良いんですけど。」
説明に納得していない様子で小さな唇を尖らせながら話す名前は、気を取り直したのか再度用紙へと視線を落とし指先で何処まで話したか確認をしている。
本当に真面目だな。しかし、彼と仲良くなりたくて学ぶのか、これも彼女のセックスへの興味本位で学びたいのかは謎だな。
一頻り笑い終わると1度息を整え、乾いた喉をワインで潤しながらブチャラティは考えていた。
「まずは順を追って1のシチュエーションの作り方から教えて下さい。」
「キミの言うシチュエーションは、セックスに入る前の事が聞きたいって事だよな?」
「はい。よく耳にする"甘い雰囲気"または"下半身が疼く"シチュエーションの伝授、お願いしますっ。」
下半身が疼く……伝授?
鼓膜へとまた変な単語が流れ込むので、思わずワインが気管支に入りそうになり咳き込んでしまった。
ブチャラティはそのまま口元を押さえつつ眉間に深い皺を作り、名前の申し出の意図を読み解こうとした。
だが、伝授と言われても女性の性癖を掻き乱す程のシチュエーションをした試しはない。
こういうのは自然な流れなのではないか。
「…すまん名前、頭が追い付かん。」
「え……雑誌にも書いてありましたよ?これ、切り抜きです。」
ファイルから取り出された切り抜きを受け取ると、そこには同じく言葉に出された単語が特集として掲載されていた。
これか…名前に余計な知識を植え付けたのは。
そこにはキスの仕方や触り方、どんな場所でなどが体験談形式にピックアップされている。
今の雑誌はここまで細かく掲載されているのかと関心までしてしまうブチャラティ。
一方で名前は金曜日までの間に、自分なりに予習をしておいたのだ。人から教わる身としては、やはり誠意を見せなくては失礼だと学生の頃から予習や復習を欠かさなかった。
やっぱり自分の中で納得したい…!
彼女は切り抜きに目を通すブチャラティを見つめながら、頷いて再度自身の中で気持ちを固めていた。
「目を通してみたんですが、私の下半身は疼かなくて…。」
「キミはそう言う事を、男の前で平気で口にするんじゃあない。」
「だから、実践して頂きたいんです!!」
「……。」
実践の意味を名前は理解しているのだろうかとも思ったが、言葉を失ったブチャラティはもう深く考える事すら面倒になった。
be continued