なんでもないよ、
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「……ん?」
重いまぶたを開けると、そこに映るは見慣れない天井。起き上がろうにも、体が鉛のように重くて怠い。加えて、尋常じゃあないほどの寒気がする──どうやら熱があるみたいだ。
参ったなと思いながら、ふと隣に顔を向ける。すると、目が合うと同時に声をかけられる。
「目ぇ、覚めたか? 調子はどうなんだ? んんっ?」
そこにいたのがプロシュートだったから、ここが彼の自室なのだとわかった。
「私は、いったい……?」
「やっぱり覚えてねーのかよ……」
少し呆れたようにため息つきながら、プロシュートはタバコを手に取ろうとして、はたと気付いたように一瞬動きを止めて、すぐさま箱に戻す。
「オメーは、ぶっ倒れたんだよ」
「えっ……!?」
「顔色が悪ィとは思っていたがよォ、まさか倒れちまうとは──正直焦ったぜ」
プロシュートの口振りには、少しだけ思い当たることがあった。
まず、今朝は食欲がなかった。頭が痛い気もしてたけど……でも、単なる風邪だろうと気に留めはしなかったのに……自分で思っていた以上に状態が思わしくなかったようだ。まさか倒れたなんて──
プロシュートや他のメンバーにも迷惑をかけてしまったのかと思うと、反省点は多々あった。その時、ふと気づく。
「でも、どうしてここに……?」
「あぁ? こんな状態のオメーをアジトに置いてくわけには行かねーだろ? まぁ、ここが一番近かったってのもあるがな……」
「そうだ、任務は!? ペッシも一緒だったよね?」
それを聞いて、プロシュートは一瞬、間を空けて答える。
「外で待たせてる……来いって言ったんだがな……」
そう言って立ち上がるプロシュートの腕を思わず掴んでしまった。同時に振り返る彼に、私が小さくこぼしたのは、紛れもない本音。
「……行かないでよ」
「……」
「……ごめん、なんでもないよ、早く行ってあげて?」
自分の言ってしまったことにバツが悪くなり、掴んだ手を離して、面を下に落とす。そんな私の頭に、プロシュートがぽんぽんと手を置いていく。普段され慣れないことだったから、パッと顔を見上げてみた。
「なんだ、オメーもよォ、こんな時には、甘えたがりなんだな……」
「……! そんなことないもん……」
「ハンっ、おれは嬉しいぜ……?」
「嬉しい……? 何で?」
首を傾げる私を前に、プロシュートはフッと笑みを浮かべる。
「何でって……今の俺には、オメーのそんな弱いところも見られる特権があるってこった」
その笑顔がいつもより穏やかに映ったのは、きっと熱のせいだと思うことにした。そんな彼の笑顔が見られるのも、私だけの特権。
「さてと……オメーの穴埋めをしなきゃあならねーから、一旦行く……だが──」
言うと間もなく、キスを一つ落とし、ゆっくりと唇が、名残惜しそうに離れる。
「すぐに戻るから、ここで大人しく待ってろ」
私は黙って頷き、そう言った彼の後ろ姿を見送って、再びまぶたを閉じた。
それからプロシュートが戻ってきたのは、数十分後のことだったと思うが──その気配を微かに感じるも、そのままずっと眠ってしまったようで──
次に目を開けた時には、ベッド傍に伏したまま眠りに落ちるプロシュートと、机に置かれた私の好きなドルチェと飲み物が目に止まる。今度は私が彼の頭をゆっくりと撫でながら、その寝顔を垣間見た。
たまには風邪をひくのも、そう悪くはないなと思えた瞬間だ。
重いまぶたを開けると、そこに映るは見慣れない天井。起き上がろうにも、体が鉛のように重くて怠い。加えて、尋常じゃあないほどの寒気がする──どうやら熱があるみたいだ。
参ったなと思いながら、ふと隣に顔を向ける。すると、目が合うと同時に声をかけられる。
「目ぇ、覚めたか? 調子はどうなんだ? んんっ?」
そこにいたのがプロシュートだったから、ここが彼の自室なのだとわかった。
「私は、いったい……?」
「やっぱり覚えてねーのかよ……」
少し呆れたようにため息つきながら、プロシュートはタバコを手に取ろうとして、はたと気付いたように一瞬動きを止めて、すぐさま箱に戻す。
「オメーは、ぶっ倒れたんだよ」
「えっ……!?」
「顔色が悪ィとは思っていたがよォ、まさか倒れちまうとは──正直焦ったぜ」
プロシュートの口振りには、少しだけ思い当たることがあった。
まず、今朝は食欲がなかった。頭が痛い気もしてたけど……でも、単なる風邪だろうと気に留めはしなかったのに……自分で思っていた以上に状態が思わしくなかったようだ。まさか倒れたなんて──
プロシュートや他のメンバーにも迷惑をかけてしまったのかと思うと、反省点は多々あった。その時、ふと気づく。
「でも、どうしてここに……?」
「あぁ? こんな状態のオメーをアジトに置いてくわけには行かねーだろ? まぁ、ここが一番近かったってのもあるがな……」
「そうだ、任務は!? ペッシも一緒だったよね?」
それを聞いて、プロシュートは一瞬、間を空けて答える。
「外で待たせてる……来いって言ったんだがな……」
そう言って立ち上がるプロシュートの腕を思わず掴んでしまった。同時に振り返る彼に、私が小さくこぼしたのは、紛れもない本音。
「……行かないでよ」
「……」
「……ごめん、なんでもないよ、早く行ってあげて?」
自分の言ってしまったことにバツが悪くなり、掴んだ手を離して、面を下に落とす。そんな私の頭に、プロシュートがぽんぽんと手を置いていく。普段され慣れないことだったから、パッと顔を見上げてみた。
「なんだ、オメーもよォ、こんな時には、甘えたがりなんだな……」
「……! そんなことないもん……」
「ハンっ、おれは嬉しいぜ……?」
「嬉しい……? 何で?」
首を傾げる私を前に、プロシュートはフッと笑みを浮かべる。
「何でって……今の俺には、オメーのそんな弱いところも見られる特権があるってこった」
その笑顔がいつもより穏やかに映ったのは、きっと熱のせいだと思うことにした。そんな彼の笑顔が見られるのも、私だけの特権。
「さてと……オメーの穴埋めをしなきゃあならねーから、一旦行く……だが──」
言うと間もなく、キスを一つ落とし、ゆっくりと唇が、名残惜しそうに離れる。
「すぐに戻るから、ここで大人しく待ってろ」
私は黙って頷き、そう言った彼の後ろ姿を見送って、再びまぶたを閉じた。
それからプロシュートが戻ってきたのは、数十分後のことだったと思うが──その気配を微かに感じるも、そのままずっと眠ってしまったようで──
次に目を開けた時には、ベッド傍に伏したまま眠りに落ちるプロシュートと、机に置かれた私の好きなドルチェと飲み物が目に止まる。今度は私が彼の頭をゆっくりと撫でながら、その寝顔を垣間見た。
たまには風邪をひくのも、そう悪くはないなと思えた瞬間だ。
the END