夕色
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ホルマジオが、急にポツリと呟いた。それは、ふと思い出したかのように──
「なぁ、プロシュートってよォ……最近、禁煙したのか?」
「えっ……?」
「いや、昨日タバコ貰おうと思ったんだけどよォ、切らしてるって言われてな……で、そう言えば、最近タバコ吸ってんの見てねェなァと思ってよ」
そう言った後に、ジッと視線を向けられる。私は、何か物言いたげなその視線からサッと目を逸らしつつ、言葉を返した。
「な、何……?」
「オメー……アイツに何か言ったか?」
「えっ、私……? 私が何か言ったとでも思ってんの? まさか禁煙してとか、そんなこと言うわけないじゃん? ただ──」
私は、少し間を空けて答えた。
「──タバコの匂いが苦手……とは言ったかな?」
実は、少しだけ心当たりがあった。それは、いつもと変わり映えのない日のこと──
その日は、プロシュートと一緒に任務だった。夕暮れ時にさしかかり、ふと目にした西の空──茜色に染まった様子があまりにも素敵だったから、少しだけ遠回りして帰った。
その時だ。不意にプロシュートが歩みを止める。不思議に思って近付くと、私の頬に手を添えて、ジッと見つめられる。ラファエロブルーの瞳に私だけが宿った瞬間──気配が近くなり、唇が触れそうになったから、思わず両手で突き放してしまった。当然プロシュートは、怪訝そうに眉をひそめるから、 咄嗟 に口を突いて出た言葉は──
「私、苦手なの……その、タバコの匂いが……ごめん」
顔を背けたのは、赤くなった頬を隠す為だったけど、プロシュートには、どう映ったのか──
それ以来、あんな雰囲気になることはなかった。きっとプロシュートは、遊び半分のつもりだったのだろう。でも、引く手数多の彼が、わざわざ私に手を出してくるなんて……きっと、からかわれたに違いないと、気に留めないようにしていた。
そんなある日──また、プロシュートと任務が重なる。
その日も空は、綺麗な夕焼けだった。でも、この前の苦い思いが相まって、私は足早にアジトへ戻ろうとしていた。
その時、急に呼び止められる。
「おい……」
「な、何……?」
「オメー、何をそんなに慌ててんだよ?」
「えっ……べ、別に?」
「──ちょっと、話がしたい……いいか?」
改めてそんな言葉をかけられると、少しばかりドキドキしてしまう。別に何を期待するわけでもないのに……
そして、やってきたのはこの前と同じ場所。口火を切ったのは、もちろんプロシュートだ。
「──タバコは、もうやめた」
「……え?」
「オメーの苦手は匂いはもうしねーはずだ……だから、今、俺がオメーにしようと思っていることを、断る理由なんてねーよな?」
「それって──」
言い終わる前に唇が重なる──私は、そのままプロシュートに合わせて、キスを繰り返した。でも、そんな甘い余韻に、気持ちまでもっていかれそうになったところで、唇を離し、艶っぽい瞳で見つめた。すると、一瞬だけ間を空けて、彼もまた見つめ返してきた。
「好きだ……」
「それ……キスの後に言う言葉? 普通は先でしょう?」
「ハンッ、悪ィな……頭で思うより、先に体が動いちまったみてーだ……それだけ、抑えが効かなくなっちまってたってこった……まったく、どうしようもねーなァ……」
そう言って、ニヒルに微笑むプロシュートのペースに巻き込まれてしまっているのは、すでに惚れてしまっている証──そして、私も「好きだ」と、胸の内を明かして再び交わす口付けは、甘くてほろ苦い煙の味がした。
「なぁ、プロシュートってよォ……最近、禁煙したのか?」
「えっ……?」
「いや、昨日タバコ貰おうと思ったんだけどよォ、切らしてるって言われてな……で、そう言えば、最近タバコ吸ってんの見てねェなァと思ってよ」
そう言った後に、ジッと視線を向けられる。私は、何か物言いたげなその視線からサッと目を逸らしつつ、言葉を返した。
「な、何……?」
「オメー……アイツに何か言ったか?」
「えっ、私……? 私が何か言ったとでも思ってんの? まさか禁煙してとか、そんなこと言うわけないじゃん? ただ──」
私は、少し間を空けて答えた。
「──タバコの匂いが苦手……とは言ったかな?」
実は、少しだけ心当たりがあった。それは、いつもと変わり映えのない日のこと──
その日は、プロシュートと一緒に任務だった。夕暮れ時にさしかかり、ふと目にした西の空──茜色に染まった様子があまりにも素敵だったから、少しだけ遠回りして帰った。
その時だ。不意にプロシュートが歩みを止める。不思議に思って近付くと、私の頬に手を添えて、ジッと見つめられる。ラファエロブルーの瞳に私だけが宿った瞬間──気配が近くなり、唇が触れそうになったから、思わず両手で突き放してしまった。当然プロシュートは、怪訝そうに眉をひそめるから、
「私、苦手なの……その、タバコの匂いが……ごめん」
顔を背けたのは、赤くなった頬を隠す為だったけど、プロシュートには、どう映ったのか──
それ以来、あんな雰囲気になることはなかった。きっとプロシュートは、遊び半分のつもりだったのだろう。でも、引く手数多の彼が、わざわざ私に手を出してくるなんて……きっと、からかわれたに違いないと、気に留めないようにしていた。
そんなある日──また、プロシュートと任務が重なる。
その日も空は、綺麗な夕焼けだった。でも、この前の苦い思いが相まって、私は足早にアジトへ戻ろうとしていた。
その時、急に呼び止められる。
「おい……」
「な、何……?」
「オメー、何をそんなに慌ててんだよ?」
「えっ……べ、別に?」
「──ちょっと、話がしたい……いいか?」
改めてそんな言葉をかけられると、少しばかりドキドキしてしまう。別に何を期待するわけでもないのに……
そして、やってきたのはこの前と同じ場所。口火を切ったのは、もちろんプロシュートだ。
「──タバコは、もうやめた」
「……え?」
「オメーの苦手は匂いはもうしねーはずだ……だから、今、俺がオメーにしようと思っていることを、断る理由なんてねーよな?」
「それって──」
言い終わる前に唇が重なる──私は、そのままプロシュートに合わせて、キスを繰り返した。でも、そんな甘い余韻に、気持ちまでもっていかれそうになったところで、唇を離し、艶っぽい瞳で見つめた。すると、一瞬だけ間を空けて、彼もまた見つめ返してきた。
「好きだ……」
「それ……キスの後に言う言葉? 普通は先でしょう?」
「ハンッ、悪ィな……頭で思うより、先に体が動いちまったみてーだ……それだけ、抑えが効かなくなっちまってたってこった……まったく、どうしようもねーなァ……」
そう言って、ニヒルに微笑むプロシュートのペースに巻き込まれてしまっているのは、すでに惚れてしまっている証──そして、私も「好きだ」と、胸の内を明かして再び交わす口付けは、甘くてほろ苦い煙の味がした。
the END