The nights are pretty
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これは珍しく、チームの皆でキャンプにきていた夜の出来事──
日も落ちてくる前に、私はプロシュートと二人で、焚き火に薪を焚 べて暖をとっていた。吐息も白く、鼻先から寒さが身に沁みるようだった。
不意に頭上を見上げれば、夕暮れ時からぽつぽつと宿り始めていた星が、 紺碧 の夜空に瞬き始める。私は、思い出したかのように話し始めた。
「ねぇ、プロシュート──」
「あ、なんだよ?」
「あの斜めに三つ並んだ星が特徴的な冬空の星座……何か知ってる?」
「さぁな……知らねーなァ……」
「オリオン座だよ! 子供の頃、習わなかった?」
「そんなもん習ったか? なんだオメー、星座とかに詳しいのか?」
「ううん、これしかわからない」
「なんだよ、それ」と言って、プロシュートが鼻先で笑う。それを耳にして、私も口元を緩ませながら、話を続けた。
「最近さ、こんなふうに夜空を見上げることなんてなかったから、気が付かなかったんだけど──星はいつでも私たちの上で輝いているんだよね……」
「そうだな……」
「本当、綺麗だよね……」
夜空に星が澄んで見える日は、ことさら冷え込むなと思いながら、ぼんやりと 熾火 を眺めて手をかざす。
「それにしても寒いよね……でも、こうしていると、暖ったかいね」
「そうだな……」
「炎ってさ……見てるとなんか落ち着くんだよね……」
プロシュートが薪を継ぎ足すと、パチパチと音を立てて、火の粉がはじける。しばらくすると、ぼんやりとゆらめく赤が柔らかく周りの空気を包み込む。
「ねぇ……隣に行っても、いい?」
「あぁ、構わねーよ」
私はやおら立ち上がると、プロシュートが座るベンチの隣に腰掛ける。遠慮がちに拳一つ分空けた距離が、なかなか縮められない。隣にいるのはいつもの顔なのに、少しだけ鼓動が早くなるのは、どうしてなのだろうか……?
そう思っていると、不意に視線がぶつかる。思わずサッと逸らしてしまったから、きっとプロシュートは、不自然に思っただろう。それを誤魔化すかのごとく、湯気の上がるコーヒーを口にする。
何か話さなきゃと思い、再び彼の方に顔を向けると、同時に後頭部を掴まれて、少し強引に口付けられた。
「…ッ……ち、ちょっと!」
「あ、なんだよ?」
「なんだよじゃあなくて、今──」
「オメーが少し、いい雰囲気だったからな……」
「なにそれ? 雰囲気に流されたってこと……?」
少し眉をひそめて問いかけると、瞬時に返事があった。
「ちげーよ、そうじゃあない……オメーといい雰囲気になりたかった……ただそれだけだ」
「それって──」
「みなまで言うなよ……それにオメーだって、してほしそうな顔、してたくせしてよォ……」
ニヒルな笑みを向けられたから、「バレた?」なんて、少しおどけてみせる。でも、本心は──
「ねぇ──」
そう言いかけた時、再び口付けられる。今度は優しく、そっと触れるように唇が重なった。
「もう一回してほしいって、そう思ったろ?」
ほんの一瞬だったが、優しい声色から珍しく微笑んでいるのがわかった。
「私のことは、なんでもお見通しなんだね……じゃあ、もう少しそっちに行っても、いい?」
「あぁ、来いよ」
そう言って肩を抱かれたから、私はプロシュートの肩に頭を預けた。
きっとこの夜が明けたら、また元の二人に戻ってしまうだろう。だから今は、もう少しだけこうしていたい……できればずっとこのままが続けばいいなと、そう願った星影の夜。
日も落ちてくる前に、私はプロシュートと二人で、焚き火に薪を
不意に頭上を見上げれば、夕暮れ時からぽつぽつと宿り始めていた星が、
「ねぇ、プロシュート──」
「あ、なんだよ?」
「あの斜めに三つ並んだ星が特徴的な冬空の星座……何か知ってる?」
「さぁな……知らねーなァ……」
「オリオン座だよ! 子供の頃、習わなかった?」
「そんなもん習ったか? なんだオメー、星座とかに詳しいのか?」
「ううん、これしかわからない」
「なんだよ、それ」と言って、プロシュートが鼻先で笑う。それを耳にして、私も口元を緩ませながら、話を続けた。
「最近さ、こんなふうに夜空を見上げることなんてなかったから、気が付かなかったんだけど──星はいつでも私たちの上で輝いているんだよね……」
「そうだな……」
「本当、綺麗だよね……」
夜空に星が澄んで見える日は、ことさら冷え込むなと思いながら、ぼんやりと
「それにしても寒いよね……でも、こうしていると、暖ったかいね」
「そうだな……」
「炎ってさ……見てるとなんか落ち着くんだよね……」
プロシュートが薪を継ぎ足すと、パチパチと音を立てて、火の粉がはじける。しばらくすると、ぼんやりとゆらめく赤が柔らかく周りの空気を包み込む。
「ねぇ……隣に行っても、いい?」
「あぁ、構わねーよ」
私はやおら立ち上がると、プロシュートが座るベンチの隣に腰掛ける。遠慮がちに拳一つ分空けた距離が、なかなか縮められない。隣にいるのはいつもの顔なのに、少しだけ鼓動が早くなるのは、どうしてなのだろうか……?
そう思っていると、不意に視線がぶつかる。思わずサッと逸らしてしまったから、きっとプロシュートは、不自然に思っただろう。それを誤魔化すかのごとく、湯気の上がるコーヒーを口にする。
何か話さなきゃと思い、再び彼の方に顔を向けると、同時に後頭部を掴まれて、少し強引に口付けられた。
「…ッ……ち、ちょっと!」
「あ、なんだよ?」
「なんだよじゃあなくて、今──」
「オメーが少し、いい雰囲気だったからな……」
「なにそれ? 雰囲気に流されたってこと……?」
少し眉をひそめて問いかけると、瞬時に返事があった。
「ちげーよ、そうじゃあない……オメーといい雰囲気になりたかった……ただそれだけだ」
「それって──」
「みなまで言うなよ……それにオメーだって、してほしそうな顔、してたくせしてよォ……」
ニヒルな笑みを向けられたから、「バレた?」なんて、少しおどけてみせる。でも、本心は──
「ねぇ──」
そう言いかけた時、再び口付けられる。今度は優しく、そっと触れるように唇が重なった。
「もう一回してほしいって、そう思ったろ?」
ほんの一瞬だったが、優しい声色から珍しく微笑んでいるのがわかった。
「私のことは、なんでもお見通しなんだね……じゃあ、もう少しそっちに行っても、いい?」
「あぁ、来いよ」
そう言って肩を抱かれたから、私はプロシュートの肩に頭を預けた。
きっとこの夜が明けたら、また元の二人に戻ってしまうだろう。だから今は、もう少しだけこうしていたい……できればずっとこのままが続けばいいなと、そう願った星影の夜。
the END