虹
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「雨降ってるね……」
アイツが、窓ガラス越しに当たる雨粒を数えるように、窓外に顔を向けている。
俺は、モスグリーンのソファーに腰掛けて、湯気の上がるエスプレッソに口をつけた。
「やっぱり、雨降ってるね……」
「あぁ、そうだな……」
「雨降ってるね……」
「おい──オメーは、さっきから何回同じこと言ってんだよ?」
「だって、暇なんだもん……あ〜、暇だ……」
そう言いながら、アイツが俺の隣へとやってくる。
「ねぇ、何かしようよ?」
「何かって……何だよ?」
「ん〜例えば……気持ちいいこと、とか……?」
しとっ……とした視線を艶っぽく向けられて、思わず喉が鳴る思いがする。
「ハンッ、冗談抜かせよ? 俺に興味なんざねーくせによォ」
内心を悟られないように、俺は軽口を叩いてアイツの言葉をかわす。すると案の定、アハハッと、高笑いを浮かべたアイツが“バレた?”と、言ってきたから、甘い雰囲気に飲まれて、押し倒さなくて良かったなと、ちょっとばかり弱気になってしまう。
「ねぇ……この雨が上がったら、虹がかかるかな?」
「さぁな……」
「私さ、雨上がりにかかる虹も素敵だと思うけど──雨音も結構好きなんだよね」
そう言って頬を緩ませるアイツに、どうしようもなく俺は──
「そうだな……でもよォ、よっぽどの土砂降りじゃあない限り、雨音なんざ、静かに耳でも澄ませてねーと聴こえてこねーだろ?」
「静かに……ねぇ……」
それから互いに、そっと口をつぐむ。二人きりの室内。静けさの増した空間に、心音だけが響きそうになる。ふと隣のアイツに目を向けると、無防備にも目をつむっていやがるから、可愛いやつだなと思った瞬間に、体が動いてしまっていた。
チュッ──っとリップ音を立てて唇が離れると、アイツが思わずパッと目を見開く。
「え……プロシュート、今──」
俺は唇に指を当てると、口角の端を吊り上げて、ニヒルに笑みを浮かべた。
「いいから、黙ってろよ……?」
いつの間に雨が上がっていたのだろうか──窓外から見える雲間から、陽の光が差し込んでいた。
アイツが、窓ガラス越しに当たる雨粒を数えるように、窓外に顔を向けている。
俺は、モスグリーンのソファーに腰掛けて、湯気の上がるエスプレッソに口をつけた。
「やっぱり、雨降ってるね……」
「あぁ、そうだな……」
「雨降ってるね……」
「おい──オメーは、さっきから何回同じこと言ってんだよ?」
「だって、暇なんだもん……あ〜、暇だ……」
そう言いながら、アイツが俺の隣へとやってくる。
「ねぇ、何かしようよ?」
「何かって……何だよ?」
「ん〜例えば……気持ちいいこと、とか……?」
しとっ……とした視線を艶っぽく向けられて、思わず喉が鳴る思いがする。
「ハンッ、冗談抜かせよ? 俺に興味なんざねーくせによォ」
内心を悟られないように、俺は軽口を叩いてアイツの言葉をかわす。すると案の定、アハハッと、高笑いを浮かべたアイツが“バレた?”と、言ってきたから、甘い雰囲気に飲まれて、押し倒さなくて良かったなと、ちょっとばかり弱気になってしまう。
「ねぇ……この雨が上がったら、虹がかかるかな?」
「さぁな……」
「私さ、雨上がりにかかる虹も素敵だと思うけど──雨音も結構好きなんだよね」
そう言って頬を緩ませるアイツに、どうしようもなく俺は──
「そうだな……でもよォ、よっぽどの土砂降りじゃあない限り、雨音なんざ、静かに耳でも澄ませてねーと聴こえてこねーだろ?」
「静かに……ねぇ……」
それから互いに、そっと口をつぐむ。二人きりの室内。静けさの増した空間に、心音だけが響きそうになる。ふと隣のアイツに目を向けると、無防備にも目をつむっていやがるから、可愛いやつだなと思った瞬間に、体が動いてしまっていた。
チュッ──っとリップ音を立てて唇が離れると、アイツが思わずパッと目を見開く。
「え……プロシュート、今──」
俺は唇に指を当てると、口角の端を吊り上げて、ニヒルに笑みを浮かべた。
「いいから、黙ってろよ……?」
いつの間に雨が上がっていたのだろうか──窓外から見える雲間から、陽の光が差し込んでいた。
the END