金木犀
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公園沿いの並木道──
そこには、秋の訪れを告げるオレンジ色の小さな花が咲き誇っている。深き緑の葉に映えるその色が、道行く人の目を惹きつける。
私もその内一人として、足を止めて、その魅惑の香りを吸い込んだ。
そのようすを横目に、プロシュートが問いかける。
「ん……どうした?」
「ねえ、この花──知ってる?」
「あ? 金木犀……だったっけか?」
「何だ……知ってたんだ」
私のそっけない口振りが気に入らなかったのか、プロシュートは怪訝そうに眉間に深くシワを寄せる。
「オメーの好きもんぐらい、覚えてるつもりだが──」
「ふ〜ん……そっか!」
その言葉が少しばかり嬉しくて、私は思わず彼の手を掴む。
「たまには手でも、繋ぎませんか?」
「あぁ、構わねーよ」
普段は手だって繋がない。見つめ合うこともしない。付き合ってるのかと聞かれたら、そんなわけないと答えるような間柄。でも、本当は──
「ねぇ、金木犀の花言葉……知ってる?」
「いや、そこまでは詳しくねーよ」
「金木犀の花言葉は……謙虚、謙遜、陶酔、初恋──」
「ふ〜ん……」
プロシュートは軽く頷きながら、興味なさげに聞き流しているようだ。その側で、私はそっとオレンジ色の花に手を添える。すると、花がポロポロと地面に落ちて、ちょうど吹いてきた風に転がされて去っていく──
「ねぇ、プロシュートのスタンド……あの煙って、お香のように香りとかあるの?」
「あ? んなもんあったか? 別に気にしたことねーなァ」
「そう……じゃあさ、もし、香りがあるとしたら──それはきっと、金木犀みたいな香りだと思うの」
「あ……?」
「ううん、やっぱり何でもない! ……帰ろっか!」
「ちょっ、おい、引っ張んな!」
さっき、わざと言わなかった金木犀の花言葉──
“ 隠世 ”
それは、死後の世界を意味する言葉。
あなたの放つ煙に撒かれ、一切衆生はいつの間にかあの世へと誘 われてしまう。だからきっと、手招くように死後の世界へ通ずる香りがすることだろう。
そこには、秋の訪れを告げるオレンジ色の小さな花が咲き誇っている。深き緑の葉に映えるその色が、道行く人の目を惹きつける。
私もその内一人として、足を止めて、その魅惑の香りを吸い込んだ。
そのようすを横目に、プロシュートが問いかける。
「ん……どうした?」
「ねえ、この花──知ってる?」
「あ? 金木犀……だったっけか?」
「何だ……知ってたんだ」
私のそっけない口振りが気に入らなかったのか、プロシュートは怪訝そうに眉間に深くシワを寄せる。
「オメーの好きもんぐらい、覚えてるつもりだが──」
「ふ〜ん……そっか!」
その言葉が少しばかり嬉しくて、私は思わず彼の手を掴む。
「たまには手でも、繋ぎませんか?」
「あぁ、構わねーよ」
普段は手だって繋がない。見つめ合うこともしない。付き合ってるのかと聞かれたら、そんなわけないと答えるような間柄。でも、本当は──
「ねぇ、金木犀の花言葉……知ってる?」
「いや、そこまでは詳しくねーよ」
「金木犀の花言葉は……謙虚、謙遜、陶酔、初恋──」
「ふ〜ん……」
プロシュートは軽く頷きながら、興味なさげに聞き流しているようだ。その側で、私はそっとオレンジ色の花に手を添える。すると、花がポロポロと地面に落ちて、ちょうど吹いてきた風に転がされて去っていく──
「ねぇ、プロシュートのスタンド……あの煙って、お香のように香りとかあるの?」
「あ? んなもんあったか? 別に気にしたことねーなァ」
「そう……じゃあさ、もし、香りがあるとしたら──それはきっと、金木犀みたいな香りだと思うの」
「あ……?」
「ううん、やっぱり何でもない! ……帰ろっか!」
「ちょっ、おい、引っ張んな!」
さっき、わざと言わなかった金木犀の花言葉──
“
それは、死後の世界を意味する言葉。
あなたの放つ煙に撒かれ、一切衆生はいつの間にかあの世へと
the END