恋人ごっこ
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そう……俺は確かに、アイツに恋をしていた。
それは、数ヶ月前の出来事──
任務のパートナーとして、アイツと組むことになった。長期にわたる任務だったから、ターゲットに近づく為に、俺たちは恋人同士という設定だった。そう、まさに恋人ごっこ。まぁ、ビジネスパートナーだから、そんな感情を抱くことは、本来ならあり得ない。プロとして当然だ。なぜなら、俺たちはそこらへんのナンパ道路 や仲よしグラブとは、わけが違うから。だけど──
***
『ねえ、もう一度だけ──』
アイツがそう言って、俺の上着の袖を掴む。それはもう、一度じゃあ済まなくなっていた。
俺は、アイツの頬に手を添えて口付ける。アイツは、手持ち無沙汰な腕を首に絡ませてくるから、さらに角度をつけて、深く舌先を絡ませていく。そして、ベッドへと誘 い、アイツの上に覆い被さる。
見上げるアイツと見下ろす俺──二つの視線が重なり合ったとき、今日もまた一つ、二人だけの秘め事が増えていった。
これは演技で、全て嘘──アイツにこんな感情をいだくなんてありえない。もちろんそれは、アイツも同じ。これは仕事なんだと、何度も自分に都合のいい嘘を言い聞かせながら、俺たちは何度も身体を重ねた。でも──
アイツが笑えば、俺も自然と笑顔になっていた。もっと知りたい、もっとそばにいたい。ずっとこのままの関係が続けば──なんざ、柄にもねーことを思い始めていた。
***
任務は滞りなく進み。この関係は、あっけなく終わりを告げる。
別れ際にアイツが言った『ねえ、もう一度だけ』を、俺は、あざ笑いながら受け流す。でも、ここでの出来事を忘れていいのは、お前で──忘れたいのは俺だけ、なのだろうか。
俺は内心、お前の声に、重ねた肌の温もりや感覚を、今はまだ鮮明な記憶として残しておきたいと思っていた。そして、本当の気持ちを伝え損ねてしまったと、後悔の念が渦巻く。だが、俺たちはただのビジネスパートナー……初めから何もありはしなかった──と、そう言う運命を選ぶことにした。
そして俺は、去りゆくアイツの背中に思う。
もう一度、こうして隣にいられたなら──なんて、そんな脆い今日を抱きしめるのは性に合わねーなァ……
こんなにも簡単に手放してしまったのは、もう二度とお前を失くせない明日の為に──そして、少しずつ諦める日々を──
それは、数ヶ月前の出来事──
任務のパートナーとして、アイツと組むことになった。長期にわたる任務だったから、ターゲットに近づく為に、俺たちは恋人同士という設定だった。そう、まさに恋人ごっこ。まぁ、ビジネスパートナーだから、そんな感情を抱くことは、本来ならあり得ない。プロとして当然だ。なぜなら、俺たちはそこらへんのナンパ
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『ねえ、もう一度だけ──』
アイツがそう言って、俺の上着の袖を掴む。それはもう、一度じゃあ済まなくなっていた。
俺は、アイツの頬に手を添えて口付ける。アイツは、手持ち無沙汰な腕を首に絡ませてくるから、さらに角度をつけて、深く舌先を絡ませていく。そして、ベッドへと
見上げるアイツと見下ろす俺──二つの視線が重なり合ったとき、今日もまた一つ、二人だけの秘め事が増えていった。
これは演技で、全て嘘──アイツにこんな感情をいだくなんてありえない。もちろんそれは、アイツも同じ。これは仕事なんだと、何度も自分に都合のいい嘘を言い聞かせながら、俺たちは何度も身体を重ねた。でも──
アイツが笑えば、俺も自然と笑顔になっていた。もっと知りたい、もっとそばにいたい。ずっとこのままの関係が続けば──なんざ、柄にもねーことを思い始めていた。
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任務は滞りなく進み。この関係は、あっけなく終わりを告げる。
別れ際にアイツが言った『ねえ、もう一度だけ』を、俺は、あざ笑いながら受け流す。でも、ここでの出来事を忘れていいのは、お前で──忘れたいのは俺だけ、なのだろうか。
俺は内心、お前の声に、重ねた肌の温もりや感覚を、今はまだ鮮明な記憶として残しておきたいと思っていた。そして、本当の気持ちを伝え損ねてしまったと、後悔の念が渦巻く。だが、俺たちはただのビジネスパートナー……初めから何もありはしなかった──と、そう言う運命を選ぶことにした。
そして俺は、去りゆくアイツの背中に思う。
もう一度、こうして隣にいられたなら──なんて、そんな脆い今日を抱きしめるのは性に合わねーなァ……
こんなにも簡単に手放してしまったのは、もう二度とお前を失くせない明日の為に──そして、少しずつ諦める日々を──
the END