No.13
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人を好きになるって、純粋にこんな感覚だったのかもしれない──そんなふう思うような恋を、この俺がしちまっているなんて、いったい誰が想像できただろうか。
***
“たまには外で待ち合わせしよう”なんて、唐突にアイツが言うもんだから、その日の為に新しく服とか新調したりして、浮かれちまう俺がいる。
当日も何となく落ち着かなくて、待ち合わせ時刻よりも早く来てしまった。
仕方がないから、近くの自販機でコーヒーを買って、並木道沿いのベンチに座り、アイツが来るのを待つことにした。気持ちを落ち着かせようと、タバコに火をつけ、紫煙を吹かす。
不意に辺りを見渡せば、木々は深く赤や黄色に染まり、いつの間にか季節は流れ、秋めいてきたことを知らせていた。
今日、アイツがどんな格好で現れるのかとか、そんなことをつい考えながら、俺は並木道を流れる人並みをただ呆然と眺めていた。
数ある人がいる中で、俺はアイツと巡り逢えた。これもある意味“奇跡”と呼べるんじゃあないのか。
不意に広げた手のひらに、落葉がひとひらと舞い落ちる。自然と視線を下に向けたその時、近づく陰に声をかけられた。
「そこの素敵なお兄さん! よかったら、私とカフェにでも行きませんか?」
「あぁ? 悪ィがあいにく先約が──」
見上げると、目が合いにこりと微笑み返される。
「お待たせ! ……ごめん、待ったよね?」
声をかけてきたのは、少し息を弾ませたアイツだった。俺は一呼吸置く為に、再び紫煙を吹かしながら涼しい顔で答える。
「いいや、俺も今来たところだ」
「嘘……だってこれ──」
ニヒルな笑みを浮かべるアイツの視線は、足元に転がるタバコの吸いがらに向けられている。
「ハンっ、俺んじゃあねーよ!」
「嘘だ〜! だってこれ、いつもプロシュートが吸ってるタバコじゃん!」
「ちげーよ! 俺は今来たところだ! 別に待ってねーよ」
「あっそ! でも、ポイ捨てはしないでよね!」
「しねーよ……じゃあ行くか」
そう言って手を伸ばせば、笑顔のアイツと一つに繋がる──
どこへ行こうかなんて話しながら、紅葉の並木道を並んで歩く二つの影が、長く伸びていた。
***
“たまには外で待ち合わせしよう”なんて、唐突にアイツが言うもんだから、その日の為に新しく服とか新調したりして、浮かれちまう俺がいる。
当日も何となく落ち着かなくて、待ち合わせ時刻よりも早く来てしまった。
仕方がないから、近くの自販機でコーヒーを買って、並木道沿いのベンチに座り、アイツが来るのを待つことにした。気持ちを落ち着かせようと、タバコに火をつけ、紫煙を吹かす。
不意に辺りを見渡せば、木々は深く赤や黄色に染まり、いつの間にか季節は流れ、秋めいてきたことを知らせていた。
今日、アイツがどんな格好で現れるのかとか、そんなことをつい考えながら、俺は並木道を流れる人並みをただ呆然と眺めていた。
数ある人がいる中で、俺はアイツと巡り逢えた。これもある意味“奇跡”と呼べるんじゃあないのか。
不意に広げた手のひらに、落葉がひとひらと舞い落ちる。自然と視線を下に向けたその時、近づく陰に声をかけられた。
「そこの素敵なお兄さん! よかったら、私とカフェにでも行きませんか?」
「あぁ? 悪ィがあいにく先約が──」
見上げると、目が合いにこりと微笑み返される。
「お待たせ! ……ごめん、待ったよね?」
声をかけてきたのは、少し息を弾ませたアイツだった。俺は一呼吸置く為に、再び紫煙を吹かしながら涼しい顔で答える。
「いいや、俺も今来たところだ」
「嘘……だってこれ──」
ニヒルな笑みを浮かべるアイツの視線は、足元に転がるタバコの吸いがらに向けられている。
「ハンっ、俺んじゃあねーよ!」
「嘘だ〜! だってこれ、いつもプロシュートが吸ってるタバコじゃん!」
「ちげーよ! 俺は今来たところだ! 別に待ってねーよ」
「あっそ! でも、ポイ捨てはしないでよね!」
「しねーよ……じゃあ行くか」
そう言って手を伸ばせば、笑顔のアイツと一つに繋がる──
どこへ行こうかなんて話しながら、紅葉の並木道を並んで歩く二つの影が、長く伸びていた。
the END