ノット・オーバー
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ターゲットの下調べを終えて、アジトへと戻る。リビングに入るないなや、ホルマジオに腕を掴まれ引き止められた。
「おい、なんだよ!?」
「プロシュートよォ〜、お前が戻ってくるのを首を長くして待ってたんだぜェ」
ホルマジオの言いぶりに、なんだか嫌な予感がした。そういえば……アジト中にどんよりとした空気が立ち込めている。そう思ったところで、ホルマジオが再び話を切り出す。
「アイツがよォ、どうにも落ち込んでるらしくてよォ、まったく使いもんにならねーんだわ……ったく、しょうがねーよなぁ〜」
「それがどうした?」
「ちょっと、慰めてやってくれよ……なぁ?」
「あ、なんで俺なんだよ?」
怪訝そうに眉をひそめると、それを見たホルマジオがヘラッと笑みを浮かべる。
「なんでって……そりゃあよォ、アイツはオメーに惚れてんだから、好きな奴に励まされりゃあ元気も出るってもんだろ?」
またこれだ……何かにつけて、ホルマジオは“アイツは俺に惚れている”と、言ってくるが……どうにも胡散臭いし、にわかには信じがたい。
毎回どうしてもと言って頭を下げてくるから、ペッシの手前、舌打ちを一つこぼしながらも、俺はアイツの方へと向かう。
俺が目の前に来てもなお、アイツはそっぽを向いて顔を合わせようともしない。何ともやり辛いこった……だが、ここ黙っていても仕方がないと思うから、視線を向けて話しかける。
「なに辛気臭ェ顔してんだよ?」
「……ほっといて」
「ほって欲しいんならよォ、どっかほかいけ、邪魔だ」
そういいながら、俺はアイツの隣に腰を下ろすと、蹴散らすようにして、わざと大きく足を開く。
「ちょっと──」
「まぁ、オメーのことだから、誰かに話を聞いてほしくてここにいるんだろ?」
「別に……そんなんじゃあないし」
「本当か……? まぁ、一人でいるのがどうしても嫌ってんならよォ──俺が付き合ってやってもいいんだぜ?」
うすら笑いを浮かべていると、アイツが鋭い視線を差し向ける。俺の言葉がよっぽどお気に召さなかったようだ。
「なんでいつもそんな上から目線なのよ! 別にプロシュートになんて頼まないから! 後でリーダーに──」
「リゾットなら、今日はもう戻ってこねーよ。だから、俺で我慢しとけ」
我慢とか──自分で口にしておきながら、いささかおかしな話だなと思ってしまう。それはきっと、アイツがその名を口走るから──
いつもそうだ。なにかにつけてアイツが口にするのは、いつだってリゾットの名前だ。こいつが好きなのは、きっと俺じゃあない。あれはホルマジオの勘違いだと、心底思い知らされる。
そう思っていると、アイツが静かに口を開く。
「……じゃあ、三ツ星のリストランテ! そこに連れてって!」
「あぁ? なに高いとこに連れていけとか言ってんだよ? つけあがんな!」
「それくらいいいじゃん! 付き合ってくれるって言ったのは、プロシュートでしょう?」
こんな言い草をされても、俺はきっと今からリストランテを予約してしまう。“分かった”と、そう答えれば、俺が好きなアイツの笑顔が見られるから──
アイツは他の女とは違う。甘い言葉をかけても見向きもしないし、二人きりになったとしても、今の一度も甘い雰囲気になったことはない。
でも不意に、ハニカムような笑顔を向けられてしまうと、どことなく胸の奥を掴まれる想いがするのは──
どう考えても惚れちまっているのは、俺の方なのかもしれない。
「おい、なんだよ!?」
「プロシュートよォ〜、お前が戻ってくるのを首を長くして待ってたんだぜェ」
ホルマジオの言いぶりに、なんだか嫌な予感がした。そういえば……アジト中にどんよりとした空気が立ち込めている。そう思ったところで、ホルマジオが再び話を切り出す。
「アイツがよォ、どうにも落ち込んでるらしくてよォ、まったく使いもんにならねーんだわ……ったく、しょうがねーよなぁ〜」
「それがどうした?」
「ちょっと、慰めてやってくれよ……なぁ?」
「あ、なんで俺なんだよ?」
怪訝そうに眉をひそめると、それを見たホルマジオがヘラッと笑みを浮かべる。
「なんでって……そりゃあよォ、アイツはオメーに惚れてんだから、好きな奴に励まされりゃあ元気も出るってもんだろ?」
またこれだ……何かにつけて、ホルマジオは“アイツは俺に惚れている”と、言ってくるが……どうにも胡散臭いし、にわかには信じがたい。
毎回どうしてもと言って頭を下げてくるから、ペッシの手前、舌打ちを一つこぼしながらも、俺はアイツの方へと向かう。
俺が目の前に来てもなお、アイツはそっぽを向いて顔を合わせようともしない。何ともやり辛いこった……だが、ここ黙っていても仕方がないと思うから、視線を向けて話しかける。
「なに辛気臭ェ顔してんだよ?」
「……ほっといて」
「ほって欲しいんならよォ、どっかほかいけ、邪魔だ」
そういいながら、俺はアイツの隣に腰を下ろすと、蹴散らすようにして、わざと大きく足を開く。
「ちょっと──」
「まぁ、オメーのことだから、誰かに話を聞いてほしくてここにいるんだろ?」
「別に……そんなんじゃあないし」
「本当か……? まぁ、一人でいるのがどうしても嫌ってんならよォ──俺が付き合ってやってもいいんだぜ?」
うすら笑いを浮かべていると、アイツが鋭い視線を差し向ける。俺の言葉がよっぽどお気に召さなかったようだ。
「なんでいつもそんな上から目線なのよ! 別にプロシュートになんて頼まないから! 後でリーダーに──」
「リゾットなら、今日はもう戻ってこねーよ。だから、俺で我慢しとけ」
我慢とか──自分で口にしておきながら、いささかおかしな話だなと思ってしまう。それはきっと、アイツがその名を口走るから──
いつもそうだ。なにかにつけてアイツが口にするのは、いつだってリゾットの名前だ。こいつが好きなのは、きっと俺じゃあない。あれはホルマジオの勘違いだと、心底思い知らされる。
そう思っていると、アイツが静かに口を開く。
「……じゃあ、三ツ星のリストランテ! そこに連れてって!」
「あぁ? なに高いとこに連れていけとか言ってんだよ? つけあがんな!」
「それくらいいいじゃん! 付き合ってくれるって言ったのは、プロシュートでしょう?」
こんな言い草をされても、俺はきっと今からリストランテを予約してしまう。“分かった”と、そう答えれば、俺が好きなアイツの笑顔が見られるから──
アイツは他の女とは違う。甘い言葉をかけても見向きもしないし、二人きりになったとしても、今の一度も甘い雰囲気になったことはない。
でも不意に、ハニカムような笑顔を向けられてしまうと、どことなく胸の奥を掴まれる想いがするのは──
どう考えても惚れちまっているのは、俺の方なのかもしれない。
the END