YEAH
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アジトのリビング──
ソファーに腰掛け、エスプレッソを口にしながら、新聞に目を通す──その人物に、私は声をかける。
「プロシュート……? 珍しい格好してるのね……今日オフでしょう? じゃあ、今からお出かけ? 彼女とデートでも行くの?」
ちょっと嫌味なくらいに問いかけた。
いつもの装いとは明らかに違う。髪はハーフアップ。ボタニカル柄のシャツにハーフパンツ。足元はスニーカー。サングラスをかけているそのさまは、いかにも夏のリゾートを連想させる。私は内心ため息混じりなのを押し殺しながら、プロシュートの返事を待った。
「ん? まぁなァ……」
その案の定な答えに、思わずため息をこぼしてしまう。だから、アジトの前に珍しくオープンカーが止まっていたのかと、納得させられる。あれが、ギアッチョの車じゃあないことは、ボディーカラーを見るに明らか。差し詰め、デートの前に野暮用を済ませようと、アジトに立ち寄った──と、いったところだろう。
あの助手席に乗るのは、きっと素敵な女性だろうなと思うと、どんどん気分が落ちるのがわかった。
「そう……今日、天気もいいし、最高のドライブ日和じゃん! それにその格好……似合ってるよ! じゃあ、私はこれで──」
“似合ってる”くらいは言ってもいいだろうと、少しだけ思った。だって、プロシュートの今日の格好は、私の好きな装い。そして、似合っているのは事実だから。プロシュートは、そんなことを言われ慣れているだろうから、別になんとも思わないはずだ。
さっさとリビングから立ち去ろうとした時、プロシュートが問いかけてきた。
「オメー、今日は何時に上がりだ?」
「えっ……夕方くらいかな? なに?」
「終わったら、連絡しろ」
「……なんで?」
私は思わず首を傾げる。でも、プロシュートからそんなことを言われると、自分に都合よく期待しそうになる反面、それを悟られないように、わざとそっけない態度をとる。
「オメーよォ、さっき女とデートか? って聞いたろ?」
「うん……聞いたけど──」
「だから、その女、今誘ってんだろ?」
その言葉の意味がよくわからなかった。今、誘ってる……? えっ……!?
眉を潜め、再び首を傾げる私に、プロシュートは痺れを切らしたように、返事を急かす。
「任務の後……どうせ空いてんだろ? だから、終わったら連絡しろ。迎えに行ってやるからよォ」
「ちょっ、なにその言い方……」
「あ? なんか予定あんのか?」
「べ、別にないけど……」
私は、うつむき加減に答える。見透かされたような……なんだか負けた気がした。別に相手を思う気持ちに、勝ち負けなんてありはしないのに。
「じゃあ、決まりだな」
そういって、プロシュートが頬を緩ませる。不意に見せた彼の微笑みに、胸の奥がグッと掴まれる思いがする。 あぁ……やっぱり私は、この人の事が──
「ねぇ、なんで私のこと誘うの?」
「あ? オメー、そんな野暮なこと聞くんじゃあねーよ!」
「え〜、知りたい!」
「オメーなら暇だと思ったからだ」
「なにそれ……ただの暇つぶしってこと?」
「さぁな……いいから、さっさと終わらさせてこい!」
“うるさい!”と、悪態をつきながらも、足取りは軽やかだ。
どこに連れていってもらえるのだろうとか、何を着ていこうかなとか──そんなことを考えるだけで、浮き足立つのこの気持ち──ちょっと苦しいくらいのドキドキ感が、この恋に拍車をかけているような──そんな気にさせられる。
それが“好きな人がいる”という醍醐味なのかもしれない。
ソファーに腰掛け、エスプレッソを口にしながら、新聞に目を通す──その人物に、私は声をかける。
「プロシュート……? 珍しい格好してるのね……今日オフでしょう? じゃあ、今からお出かけ? 彼女とデートでも行くの?」
ちょっと嫌味なくらいに問いかけた。
いつもの装いとは明らかに違う。髪はハーフアップ。ボタニカル柄のシャツにハーフパンツ。足元はスニーカー。サングラスをかけているそのさまは、いかにも夏のリゾートを連想させる。私は内心ため息混じりなのを押し殺しながら、プロシュートの返事を待った。
「ん? まぁなァ……」
その案の定な答えに、思わずため息をこぼしてしまう。だから、アジトの前に珍しくオープンカーが止まっていたのかと、納得させられる。あれが、ギアッチョの車じゃあないことは、ボディーカラーを見るに明らか。差し詰め、デートの前に野暮用を済ませようと、アジトに立ち寄った──と、いったところだろう。
あの助手席に乗るのは、きっと素敵な女性だろうなと思うと、どんどん気分が落ちるのがわかった。
「そう……今日、天気もいいし、最高のドライブ日和じゃん! それにその格好……似合ってるよ! じゃあ、私はこれで──」
“似合ってる”くらいは言ってもいいだろうと、少しだけ思った。だって、プロシュートの今日の格好は、私の好きな装い。そして、似合っているのは事実だから。プロシュートは、そんなことを言われ慣れているだろうから、別になんとも思わないはずだ。
さっさとリビングから立ち去ろうとした時、プロシュートが問いかけてきた。
「オメー、今日は何時に上がりだ?」
「えっ……夕方くらいかな? なに?」
「終わったら、連絡しろ」
「……なんで?」
私は思わず首を傾げる。でも、プロシュートからそんなことを言われると、自分に都合よく期待しそうになる反面、それを悟られないように、わざとそっけない態度をとる。
「オメーよォ、さっき女とデートか? って聞いたろ?」
「うん……聞いたけど──」
「だから、その女、今誘ってんだろ?」
その言葉の意味がよくわからなかった。今、誘ってる……? えっ……!?
眉を潜め、再び首を傾げる私に、プロシュートは痺れを切らしたように、返事を急かす。
「任務の後……どうせ空いてんだろ? だから、終わったら連絡しろ。迎えに行ってやるからよォ」
「ちょっ、なにその言い方……」
「あ? なんか予定あんのか?」
「べ、別にないけど……」
私は、うつむき加減に答える。見透かされたような……なんだか負けた気がした。別に相手を思う気持ちに、勝ち負けなんてありはしないのに。
「じゃあ、決まりだな」
そういって、プロシュートが頬を緩ませる。不意に見せた彼の微笑みに、胸の奥がグッと掴まれる思いがする。 あぁ……やっぱり私は、この人の事が──
「ねぇ、なんで私のこと誘うの?」
「あ? オメー、そんな野暮なこと聞くんじゃあねーよ!」
「え〜、知りたい!」
「オメーなら暇だと思ったからだ」
「なにそれ……ただの暇つぶしってこと?」
「さぁな……いいから、さっさと終わらさせてこい!」
“うるさい!”と、悪態をつきながらも、足取りは軽やかだ。
どこに連れていってもらえるのだろうとか、何を着ていこうかなとか──そんなことを考えるだけで、浮き足立つのこの気持ち──ちょっと苦しいくらいのドキドキ感が、この恋に拍車をかけているような──そんな気にさせられる。
それが“好きな人がいる”という醍醐味なのかもしれない。
the END