長く短い祭
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花火──
それは、真っ暗な夜空を明るく照らして咲き誇り──そして、一瞬にして跡形もなく消え去ってしまう一輪の花。その後に残されるのは、爆発音と立ち込める煙、そして、火薬の香りだけ。その儚さゆえに美しいと、アイツが呟く。
それは“わび・さび”という、ジャポーネ独特の美意識なのかもしれない。
人がこの世に生まれ、そして老いて死んでいくまでの移ろいに美しさを感じる──
まるで人の一生と同じだということなのだろうか。
***
河川沿い──頭上の花火を見上げ、アイツが俺に問いかける。
「ねぇ、あなたはどう思う? 年老いて死んでゆく人のさまを──」
「そうだなァ……どんなベッラも、結局最後は朽ちて死んじまう……見るも無惨になァ……」
「そうね……私も若返ることなんてもうないわ。後はどんどん朽ちていくだけ──そんな姿、あなたは見たくないわよね……だから、また新しい人へと移り変わっていく……」
「おいおい、誰がそんなこと言ったかよ? さっきの答えはあくまで一般論──だが、オメーのこととなりゃあ話は別だ」
俺は、うつむくアイツを鼻で笑ってやった。当然の事ながら、俺の言葉にアイツが目を丸くする。
まったく……見くびられたもんだぜ。若けりゃあいいとか、ベッラだとか──そんな薄っぺらなもんだけで、この俺が女を選んでるとでも思ってるらしいが……そんなもんは心底くだらねー。
俺はアイツを見据えて言い放つ。
「知ってるぜ……? 俺は スタンド で散々見てきた。若さは永久じゃねェ……だが、そいつが元々持ってる内面は、自ずと外見に現れてくるもの。それは、年齢を重ねるごとに美しく成長していくもんだ。だから、俺はその本質ってやつをいつも見ている。つまり俺は、オメーの内面に惹かれてんだ。オメーの老いてゆく姿を──その時々の美しさを、隣でこうして眺めんのは、いわゆる乙なもん……なんじゃあねーの?」
「老いてこその美しさ──相反する能力を持つあなたが、それを口にするとはね」
呆れた物言いの裏にある、アイツの本心は分かりはしないが──でも、その後に見せた屈託のない美しい笑顔は、きっとこの先も変わりはしないだろう。
「そんなことより──オメーが着てるその“浴衣”っつーのを脱がすのも乙なもんじゃあねーのか?」
「はぁ? いきなり何いってんの?」
「その合わさってる胸元とかよォ、なんか妙にそそられるぜ……下着つけてんのか、それ?」
「もう、何考えてんよ、まったく……せっかく着付けてもらったんだし、それに、浴衣の着方、わからないんだからね」
「あ? んなこと気にしてんのかよ……だったらよォ、朝まで裸のままなら問題ねーだろ?」
「バカ……」
そういった口で、アイツから口付けてきたなら、それが合図となって次第に深く重なり合っていく──
打ち上がる花火よりも、今宵は燃ゆる 夙夜 となりそうだ。
それは、真っ暗な夜空を明るく照らして咲き誇り──そして、一瞬にして跡形もなく消え去ってしまう一輪の花。その後に残されるのは、爆発音と立ち込める煙、そして、火薬の香りだけ。その儚さゆえに美しいと、アイツが呟く。
それは“わび・さび”という、ジャポーネ独特の美意識なのかもしれない。
人がこの世に生まれ、そして老いて死んでいくまでの移ろいに美しさを感じる──
まるで人の一生と同じだということなのだろうか。
***
河川沿い──頭上の花火を見上げ、アイツが俺に問いかける。
「ねぇ、あなたはどう思う? 年老いて死んでゆく人のさまを──」
「そうだなァ……どんなベッラも、結局最後は朽ちて死んじまう……見るも無惨になァ……」
「そうね……私も若返ることなんてもうないわ。後はどんどん朽ちていくだけ──そんな姿、あなたは見たくないわよね……だから、また新しい人へと移り変わっていく……」
「おいおい、誰がそんなこと言ったかよ? さっきの答えはあくまで一般論──だが、オメーのこととなりゃあ話は別だ」
俺は、うつむくアイツを鼻で笑ってやった。当然の事ながら、俺の言葉にアイツが目を丸くする。
まったく……見くびられたもんだぜ。若けりゃあいいとか、ベッラだとか──そんな薄っぺらなもんだけで、この俺が女を選んでるとでも思ってるらしいが……そんなもんは心底くだらねー。
俺はアイツを見据えて言い放つ。
「知ってるぜ……? 俺は
「老いてこその美しさ──相反する能力を持つあなたが、それを口にするとはね」
呆れた物言いの裏にある、アイツの本心は分かりはしないが──でも、その後に見せた屈託のない美しい笑顔は、きっとこの先も変わりはしないだろう。
「そんなことより──オメーが着てるその“浴衣”っつーのを脱がすのも乙なもんじゃあねーのか?」
「はぁ? いきなり何いってんの?」
「その合わさってる胸元とかよォ、なんか妙にそそられるぜ……下着つけてんのか、それ?」
「もう、何考えてんよ、まったく……せっかく着付けてもらったんだし、それに、浴衣の着方、わからないんだからね」
「あ? んなこと気にしてんのかよ……だったらよォ、朝まで裸のままなら問題ねーだろ?」
「バカ……」
そういった口で、アイツから口付けてきたなら、それが合図となって次第に深く重なり合っていく──
打ち上がる花火よりも、今宵は燃ゆる
the END