Prendestined Lovers
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俺には“恋人”と呼べるような甘い関係の女はいない。
別に特定の相手を作らずとも、俺と一夜を共にしたいという女はいくらでもいる。それに、1人の女にうつつを抜かす事は、ある意味命取りになりかねない。だから、そんなもんは必要ないと、そう思っていた。
でも、俺は気付いてしまった──まさかアイツにそんな感情を抱いちまうなんて、思いもしなかった。
そいつは同じチームの仲間。
仲がいいかと聞かれたら、どちらかと言えば気が合わない方だろう。いつも口喧嘩が絶えない。それを“本音で言い合える仲”と言ってしまえば聞こえはいいが、そんなんじゃあないだろう。
元々アイツは、誰にでも心を開くタイプじゃあないが、割とチームの奴らには打ち解けているように見える。俺以外を除いては。
***
そんなある日、アイツが深傷を負って戻って来た。
油断をした自分が悪いと、アイツはそう言ったが、よくよく状況を確かめると、アイツがカタギの人間を庇っての事だった。
他人を庇うなんざ……バカな奴だと思う反面、腹の底から怒りが込み上げる。コイツを傷つけておいて、のうのうと生きてられると思うなよ? と。
後日、そいつを見つけ出し、俺がきっちり片を付けたのは、言うまでもない。
尻拭いなんざ、そんな面倒事はごめんだ。まぁ、ペッシの奴は例外だが。
なんでそんな事をしちまったのか──その理由に薄々気付き始めていた。
***
そして今日は、アジトでアイツと2人きり。
傍でワインを開け、一緒に飲む光景は、気の合わない2人のはずなのに、何故か多い気がする。時折話すのは、他愛のないことばかり。テレビからはサッカー中継が流れている。
それまでは気にも止めない光景だったが、今は違う。
俺は不意にアイツに問いかけた。
「オメーはよォ……何でこうして俺と飲んでんだ……?」
「えっ……?」
「オメー……俺の事、嫌いだろ?」
言われたアイツが表情を一変する。そして、鼻で笑うように口角を吊り上げる。
「プロシュートって、私に嫌われてるって……そう思ってたの?」
「あ? そうじゃあねーのかよ? 顔を突き合わせれば、すぐ口が出る……好きな奴にはそんな態度、とらねーだろ?」
“好きな奴”とか……アイツにそう言って欲しいのかと、自分の言葉に失笑せざる負えない。そんな俺にアイツが思わぬ言葉を返す。
「嫌いねぇ……そう思ってるなら、はなっから隣に座ったりはしないし、こうして毎日顔を突き合わせたりなんてしないわよ」
その言葉に、何かがプツリと切れてしまった。それは今まで張っていた緊張糸か? いや、それは感情の糸──
「じゃあ、オメー……俺の事どう思う?」
「どうって……どういう意味?」
「そうだな……付き合えるかって事だ」
言ってしまったら最後──もう、この感情は引き返せない──
カランとグラスの中で氷が音を立てる。静かに時が流れるように感じた。そして、アイツが口を開く。
「ねぇ、知ってた? 今日は“恋人の日”なんだって……そんな日にこんな事聞いてくるなんて……プロシュートってば、人肌恋しいの? 最近ご無沙汰とか?」
再び鼻で笑いながら茶化すアイツに、俺はスッと視線を合わせて言い放つ。
「俺はお前が欲しい……」
顎に手を添え、唇を寄せる。案の定抵抗されるかと思いきや、そのまま唇が重なった。
「いいよ……たとえ酔った勢いでも、プロシュートを独り占め出来るのなら……」
あいつの艶っぽい視線に、思わず喉が鳴ってしまう。流されそうなのは、むしろ俺の方なんじゃあないのか……? でも、このまま溶けそうなくらい甘い関係になるのも、そう悪くはないと思える──そんな恋人の日だ。
別に特定の相手を作らずとも、俺と一夜を共にしたいという女はいくらでもいる。それに、1人の女にうつつを抜かす事は、ある意味命取りになりかねない。だから、そんなもんは必要ないと、そう思っていた。
でも、俺は気付いてしまった──まさかアイツにそんな感情を抱いちまうなんて、思いもしなかった。
そいつは同じチームの仲間。
仲がいいかと聞かれたら、どちらかと言えば気が合わない方だろう。いつも口喧嘩が絶えない。それを“本音で言い合える仲”と言ってしまえば聞こえはいいが、そんなんじゃあないだろう。
元々アイツは、誰にでも心を開くタイプじゃあないが、割とチームの奴らには打ち解けているように見える。俺以外を除いては。
***
そんなある日、アイツが深傷を負って戻って来た。
油断をした自分が悪いと、アイツはそう言ったが、よくよく状況を確かめると、アイツがカタギの人間を庇っての事だった。
他人を庇うなんざ……バカな奴だと思う反面、腹の底から怒りが込み上げる。コイツを傷つけておいて、のうのうと生きてられると思うなよ? と。
後日、そいつを見つけ出し、俺がきっちり片を付けたのは、言うまでもない。
尻拭いなんざ、そんな面倒事はごめんだ。まぁ、ペッシの奴は例外だが。
なんでそんな事をしちまったのか──その理由に薄々気付き始めていた。
***
そして今日は、アジトでアイツと2人きり。
傍でワインを開け、一緒に飲む光景は、気の合わない2人のはずなのに、何故か多い気がする。時折話すのは、他愛のないことばかり。テレビからはサッカー中継が流れている。
それまでは気にも止めない光景だったが、今は違う。
俺は不意にアイツに問いかけた。
「オメーはよォ……何でこうして俺と飲んでんだ……?」
「えっ……?」
「オメー……俺の事、嫌いだろ?」
言われたアイツが表情を一変する。そして、鼻で笑うように口角を吊り上げる。
「プロシュートって、私に嫌われてるって……そう思ってたの?」
「あ? そうじゃあねーのかよ? 顔を突き合わせれば、すぐ口が出る……好きな奴にはそんな態度、とらねーだろ?」
“好きな奴”とか……アイツにそう言って欲しいのかと、自分の言葉に失笑せざる負えない。そんな俺にアイツが思わぬ言葉を返す。
「嫌いねぇ……そう思ってるなら、はなっから隣に座ったりはしないし、こうして毎日顔を突き合わせたりなんてしないわよ」
その言葉に、何かがプツリと切れてしまった。それは今まで張っていた緊張糸か? いや、それは感情の糸──
「じゃあ、オメー……俺の事どう思う?」
「どうって……どういう意味?」
「そうだな……付き合えるかって事だ」
言ってしまったら最後──もう、この感情は引き返せない──
カランとグラスの中で氷が音を立てる。静かに時が流れるように感じた。そして、アイツが口を開く。
「ねぇ、知ってた? 今日は“恋人の日”なんだって……そんな日にこんな事聞いてくるなんて……プロシュートってば、人肌恋しいの? 最近ご無沙汰とか?」
再び鼻で笑いながら茶化すアイツに、俺はスッと視線を合わせて言い放つ。
「俺はお前が欲しい……」
顎に手を添え、唇を寄せる。案の定抵抗されるかと思いきや、そのまま唇が重なった。
「いいよ……たとえ酔った勢いでも、プロシュートを独り占め出来るのなら……」
あいつの艶っぽい視線に、思わず喉が鳴ってしまう。流されそうなのは、むしろ俺の方なんじゃあないのか……? でも、このまま溶けそうなくらい甘い関係になるのも、そう悪くはないと思える──そんな恋人の日だ。
the END