恋心
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眠たい──
私は、今にも閉じてしまいそうなまぶたを何とかこじ開ける。
昼食を食べた後に眠気が誘うのはいつもの事なのだが……今日が一際眠いのは、昨日の夜更かしが祟ったからだ。
あ〜ヤバイ……と思った時には意識は飛んでいて──ポンと頭を叩かれた衝撃で目を覚ます。面を上げると、ヤバイ相手とバッチリ目が合った。それは、数学教師のプロシュート先生だ。
「オメー、俺の授業で寝るとはよォ、いい度胸だなァ……」
「す、すみません……」
とりあえず、その場を誤魔化すように苦笑いを浮かべながら平謝りをした。
「オメー、分かってるよなァ? 俺の授業で居眠りしたらどうなるかをよォ?」
「ハ、ハイ……」
「じゃあ放課後、準備室に来い」
そう言って、先生は再び授業を続けた。
そう──先生の授業中に居眠りをすると居残りさせされるのだ。
プロシュート先生は、見た目はかなりのイケメン。だから、女子生徒からも人気だ。中には、先生と2人きりになれるかもと、わざと居眠りをする女子もいるみたいだが……居残りをさせられると、不思議と次からは授業中に寝る事はなくなるという。その理由は膨大な課題を出されるからだとか。
私は別に先生のファンではないから、只々膨大な課題をしなきゃあならないという事実に、若干絶望を感じていた。
今日は早く帰ろうと思っていたのに……なぜなら──
そんな私を横目に、先生が一瞬ニヒルな笑みを浮かべたのを、その時私は気付かなかった。
***
放課後──
意気消沈としながら準備室へと向かう。そして、部屋のドアを3回ノックをしてから中へと足を踏み入れた。
「失礼しまーす……あれ?」
しかし、中はガラリとしていて誰もいない。開けっ放しの窓辺で、レースカーテンがヒラヒラと揺れていた。
私はカーテンをめくって窓外を眺めた。ここからなら見えるかもしれない……私の好きな人が──
そう思った時、背後から話しかけられる。
「何見てんだ?」
「えっ!?」
振り返ると、咥え煙草のプロシュート先生が立っていた。
「せ、先生、いつの間に!?」
「あ? 今来たところだ……オメーこそ、そっから誰を見てたんだ?」
「別に誰も見てませんよ! それより早く課題を出してください!」
「課題……? んなもんねーよ?』
「えっ? だってみんながそう言ってたから──」
「あ? 何言ってんだ……授業中に居眠りしてるイケナイ子にはよォ、普通お仕置きだろ……?」
「えっ……」
そう言いながら、先生がジリジリと近付いてくる。私は後退りをしながら、徐々に壁際へと追い詰められてしまった。これ以上後ろに逃げ場がなくなり、思わず先生を見上げる。先生は私に視線を合わせながら、ニヒルな笑みを浮かべている。そして、徐々に気配が近付くのを感じた私は、思わず目を瞑った──
***
「──おい、何目ぇ閉じてんだよ?」
「えっ……?」
「オメーもしかしてよォ、俺が何かエロい事でもすると思ったのかよ? ハンッ、あいにく、自分の生徒に手を出すほど女には困ってねーし、ケツの青いマンモーナになんざ興味ねぇよ」
図星を突かれた私は、顔が赤くなっていくのが分かった。でも、誰だってあんな事を言われたら、勘違いしてしまいそうなもの。そう思った私は、先生に鋭い視線を差し向ける。
「違いますよ! それじゃあ私は何をすればいいんですか? 早く帰りたいんですけど……」
売り言葉に買い言葉──先生に対して、ちょっと生意気な口を利いてしまう。
「じゃあよォ、このプリント、もう丸付けし終わってるから、各教室ごとに分けてくれ」
「分かりました」
思ったより簡単な頼み事だったから、短時間でやり終えた。
「終わったなら帰っていいぞ。もう居眠りすんじゃあねーよ」
「はい、すみませんでした」
そう言って一礼し、私はその場を後にする。そして足早に校庭へと向かった。部活動をしている生徒を横目に通り過ぎ、視線を向けるのは──
***
しばらくして、俺は屋上へとやって来た。アイツはまだ校内で気になる相手を見つめてやがる。全く……分かりやすい奴だぜ──そう思いながら、紫煙を大空へと吐き捨てた。
「プロシュート先生よォ〜、校内は禁煙ですよォ〜?」
そんな呼びかけに対し、一際眉間にシワを寄せながら振り返る。そこにいたのは同僚のホルマジオ──白衣姿の養護教諭だ。
保健室の先生ってのは、専ら女性が多いはず──なのに、どういうわけか、うちの学校は男。全く、夢も希望も有りゃしねーぜと、いつ見てもそう落胆せざるおえない。
「黙ってろ……」
「何だァ? オメーは懲りずにまた見てんのかよ? ったく、しょーがねぇなァ〜」
「あぁ? 誰も見てねーよ!」
「そうかよ? つーか、俺にも一本くれよ」
そう言ってホルマジオも吸い始めた。その隣で、俺は小さく愚痴をこぼしてしまう。
「うまくいかねーなァ……本当によォ……」
「あ? なんか言ったか?」
「別に何も言ってねーよ。さてと、早く戻んねーと上にどやされちまうからなァ。校内禁煙なのに教師が2人で喫煙してるとなりゃあよォ、減給もんだろうなァ」
「おいおい、それだけは勘弁だぜ。今もうすでに安月給なんだからよォ」
去り際、俺はアイツの視線の先にいるデカい図体に向かって中指をおっ立てる。アイツは確か担任の──
とにかくまずは、教師と生徒の垣根を越えなきゃあならねぇ……そこからが始まり。これは長期戦だなと不意に思う夕暮れ時──それぞれの恋模様。
私は、今にも閉じてしまいそうなまぶたを何とかこじ開ける。
昼食を食べた後に眠気が誘うのはいつもの事なのだが……今日が一際眠いのは、昨日の夜更かしが祟ったからだ。
あ〜ヤバイ……と思った時には意識は飛んでいて──ポンと頭を叩かれた衝撃で目を覚ます。面を上げると、ヤバイ相手とバッチリ目が合った。それは、数学教師のプロシュート先生だ。
「オメー、俺の授業で寝るとはよォ、いい度胸だなァ……」
「す、すみません……」
とりあえず、その場を誤魔化すように苦笑いを浮かべながら平謝りをした。
「オメー、分かってるよなァ? 俺の授業で居眠りしたらどうなるかをよォ?」
「ハ、ハイ……」
「じゃあ放課後、準備室に来い」
そう言って、先生は再び授業を続けた。
そう──先生の授業中に居眠りをすると居残りさせされるのだ。
プロシュート先生は、見た目はかなりのイケメン。だから、女子生徒からも人気だ。中には、先生と2人きりになれるかもと、わざと居眠りをする女子もいるみたいだが……居残りをさせられると、不思議と次からは授業中に寝る事はなくなるという。その理由は膨大な課題を出されるからだとか。
私は別に先生のファンではないから、只々膨大な課題をしなきゃあならないという事実に、若干絶望を感じていた。
今日は早く帰ろうと思っていたのに……なぜなら──
そんな私を横目に、先生が一瞬ニヒルな笑みを浮かべたのを、その時私は気付かなかった。
***
放課後──
意気消沈としながら準備室へと向かう。そして、部屋のドアを3回ノックをしてから中へと足を踏み入れた。
「失礼しまーす……あれ?」
しかし、中はガラリとしていて誰もいない。開けっ放しの窓辺で、レースカーテンがヒラヒラと揺れていた。
私はカーテンをめくって窓外を眺めた。ここからなら見えるかもしれない……私の好きな人が──
そう思った時、背後から話しかけられる。
「何見てんだ?」
「えっ!?」
振り返ると、咥え煙草のプロシュート先生が立っていた。
「せ、先生、いつの間に!?」
「あ? 今来たところだ……オメーこそ、そっから誰を見てたんだ?」
「別に誰も見てませんよ! それより早く課題を出してください!」
「課題……? んなもんねーよ?』
「えっ? だってみんながそう言ってたから──」
「あ? 何言ってんだ……授業中に居眠りしてるイケナイ子にはよォ、普通お仕置きだろ……?」
「えっ……」
そう言いながら、先生がジリジリと近付いてくる。私は後退りをしながら、徐々に壁際へと追い詰められてしまった。これ以上後ろに逃げ場がなくなり、思わず先生を見上げる。先生は私に視線を合わせながら、ニヒルな笑みを浮かべている。そして、徐々に気配が近付くのを感じた私は、思わず目を瞑った──
***
「──おい、何目ぇ閉じてんだよ?」
「えっ……?」
「オメーもしかしてよォ、俺が何かエロい事でもすると思ったのかよ? ハンッ、あいにく、自分の生徒に手を出すほど女には困ってねーし、ケツの青いマンモーナになんざ興味ねぇよ」
図星を突かれた私は、顔が赤くなっていくのが分かった。でも、誰だってあんな事を言われたら、勘違いしてしまいそうなもの。そう思った私は、先生に鋭い視線を差し向ける。
「違いますよ! それじゃあ私は何をすればいいんですか? 早く帰りたいんですけど……」
売り言葉に買い言葉──先生に対して、ちょっと生意気な口を利いてしまう。
「じゃあよォ、このプリント、もう丸付けし終わってるから、各教室ごとに分けてくれ」
「分かりました」
思ったより簡単な頼み事だったから、短時間でやり終えた。
「終わったなら帰っていいぞ。もう居眠りすんじゃあねーよ」
「はい、すみませんでした」
そう言って一礼し、私はその場を後にする。そして足早に校庭へと向かった。部活動をしている生徒を横目に通り過ぎ、視線を向けるのは──
***
しばらくして、俺は屋上へとやって来た。アイツはまだ校内で気になる相手を見つめてやがる。全く……分かりやすい奴だぜ──そう思いながら、紫煙を大空へと吐き捨てた。
「プロシュート先生よォ〜、校内は禁煙ですよォ〜?」
そんな呼びかけに対し、一際眉間にシワを寄せながら振り返る。そこにいたのは同僚のホルマジオ──白衣姿の養護教諭だ。
保健室の先生ってのは、専ら女性が多いはず──なのに、どういうわけか、うちの学校は男。全く、夢も希望も有りゃしねーぜと、いつ見てもそう落胆せざるおえない。
「黙ってろ……」
「何だァ? オメーは懲りずにまた見てんのかよ? ったく、しょーがねぇなァ〜」
「あぁ? 誰も見てねーよ!」
「そうかよ? つーか、俺にも一本くれよ」
そう言ってホルマジオも吸い始めた。その隣で、俺は小さく愚痴をこぼしてしまう。
「うまくいかねーなァ……本当によォ……」
「あ? なんか言ったか?」
「別に何も言ってねーよ。さてと、早く戻んねーと上にどやされちまうからなァ。校内禁煙なのに教師が2人で喫煙してるとなりゃあよォ、減給もんだろうなァ」
「おいおい、それだけは勘弁だぜ。今もうすでに安月給なんだからよォ」
去り際、俺はアイツの視線の先にいるデカい図体に向かって中指をおっ立てる。アイツは確か担任の──
とにかくまずは、教師と生徒の垣根を越えなきゃあならねぇ……そこからが始まり。これは長期戦だなと不意に思う夕暮れ時──それぞれの恋模様。
the END