ヘビースモーク
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私は紫煙が嫌いだ。
でも、その香りから呼び起こされるのは、私が好きだった彼には似合わない無邪気な笑顔──
煙草なんて百害あって一利なし。そう思っている私は、時折小言のように彼に言っていた。
「身体に毒だから、やめなよ」
すると彼は、決まり文句のようにこう言ってくる。
「じゃあよォ、この手持ち無沙汰をオメーがどうにかしてくれるってのか? 例えば、その唇でよォ……?」
ニヤリと口角を吊り上げながら、要求する様に唇に指を当てる。しかし、すぐさま次の言葉が飛んでくる。
「できねーよなァ……まぁ、オメーのキスなんかで俺は満たされねーけどなァ」
そんな風にあなたは私を子供扱いし、その度に私はムキになって口を尖らせる。でも本当は、その両手を縛って拘束したかった……もしくはその紫煙でもって私を巻いて、貴方色に染めて欲しかった。
時にふざけて、彼の胸ポケットから奪い取った煙草を咥えて見せると──
「マンモーナが何しやがる……? オメーには似合わねーよ」
すぐに取り上げられた。
***
あなたの傍らには、いつも着飾るように女性が立ち並ぶ。そのどれを見ても、ヒールの似合う美人な大人の女性ばかり。子供じみた私なんて相手にされないのは分かっていたけれど、いつもの子供扱いがその時ばかりは悔しかったから、だから私は、お決まりのセリフの後に貴方の唇を奪った。
深く舌を絡ませながら、ほんの少しでも私に毒されてしまえ──と、そう思って止まなかった。
でも、本当は分かっていた。こんな事は無駄な行為──
案の定、あなたはこう言い放つ。
「本気にするな……いや、悪かったな……あんな事を言って……俺はオメーをそんな風には思わない……今後もお前とはありえない」
後になってあなたの本当の気持ちを知る事になったのだけれど……知ったところで、それはもう遅過ぎた。だってあなたは、掴めない煙のように私の前から消えてしまったのだから。
***
私は煙草に火をつけて、その紫煙を大きく肺に流し込む。
酷く咳こみながらもこの煙は、あなたの面影として、この先もずっと私の心を蝕み続ける事だろう。
でも、その香りから呼び起こされるのは、私が好きだった彼には似合わない無邪気な笑顔──
煙草なんて百害あって一利なし。そう思っている私は、時折小言のように彼に言っていた。
「身体に毒だから、やめなよ」
すると彼は、決まり文句のようにこう言ってくる。
「じゃあよォ、この手持ち無沙汰をオメーがどうにかしてくれるってのか? 例えば、その唇でよォ……?」
ニヤリと口角を吊り上げながら、要求する様に唇に指を当てる。しかし、すぐさま次の言葉が飛んでくる。
「できねーよなァ……まぁ、オメーのキスなんかで俺は満たされねーけどなァ」
そんな風にあなたは私を子供扱いし、その度に私はムキになって口を尖らせる。でも本当は、その両手を縛って拘束したかった……もしくはその紫煙でもって私を巻いて、貴方色に染めて欲しかった。
時にふざけて、彼の胸ポケットから奪い取った煙草を咥えて見せると──
「マンモーナが何しやがる……? オメーには似合わねーよ」
すぐに取り上げられた。
***
あなたの傍らには、いつも着飾るように女性が立ち並ぶ。そのどれを見ても、ヒールの似合う美人な大人の女性ばかり。子供じみた私なんて相手にされないのは分かっていたけれど、いつもの子供扱いがその時ばかりは悔しかったから、だから私は、お決まりのセリフの後に貴方の唇を奪った。
深く舌を絡ませながら、ほんの少しでも私に毒されてしまえ──と、そう思って止まなかった。
でも、本当は分かっていた。こんな事は無駄な行為──
案の定、あなたはこう言い放つ。
「本気にするな……いや、悪かったな……あんな事を言って……俺はオメーをそんな風には思わない……今後もお前とはありえない」
後になってあなたの本当の気持ちを知る事になったのだけれど……知ったところで、それはもう遅過ぎた。だってあなたは、掴めない煙のように私の前から消えてしまったのだから。
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私は煙草に火をつけて、その紫煙を大きく肺に流し込む。
酷く咳こみながらもこの煙は、あなたの面影として、この先もずっと私の心を蝕み続ける事だろう。
the END