フューリー
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4月のある晴れた日──
丁度キアラがこのチームに配属されて、数ヶ月経った。
何となく入ってきた時から気にはなっていたキアラとの距離も、徐々に縮まってきたな──と、そう思っていた矢先の事だった。
***
場所は暗殺チームのアジト。
リビングでくつろいでいるのは、ギアッチョとメローネ。不意に思い立ったように話し始めたのはギアッチョだ。
「なぁなぁ、プロシュートってよォ、キアラの事……好きなのか?」
問いかけられたメローネは、瞬時にギアッチョの思惑を察したのか──一瞬間を空け、言葉を選ぶようにして答えた。
「ん〜まぁ、それっぽいような気はするが、実際は──」
「やっぱりそーかよ……」
「でも、プロシュートにしたら、あの手のタイプは今までにない感じだからなァ、どうかな……?」
「じゃあよォ、それが本心かどうか──ちょっとしたいたずら仕掛けてみようぜ? ちょっとしたいたずらをよォ……」
ニヤリと口角の端を吊り上げながら、ギアッチョがメローネにとある“いたずら話”を持ちかける。
「──マジかよ!? でもそれは、ちょっとあり得なくないか……?」
「そうかァ? そんな事もないと思うぜ? アイツにうまく信じ込ませりゃあどうなか──ちょっと気になるだろ?」
「まぁ、それはディモールト 気にはなるが……」
「それにタイミングが良いか悪いか……今日はよォ──」
そう言いながら、ギアッチョがカレンダーを指差す。
「すぐに嘘はバレんだろ?」
「そうだな──」
そして作戦は、まことしやかに行われたのだった。
***
しばらくして任務を終えたキアラが、アジトへと戻ってきた。そこへすかざす、ギアッチョとメローネが話しかける。
「今、戻りました」
「おぉ……あれ? プロシュートはどうした?」
「あ〜、なんか用事があるからって、今日はそのまま直帰しちゃったけど──」
「ふ〜ん……あ、そうか! 今日は家に帰る日だな、プロシュートの奴──」
「そうだよなァ、たまには早く帰ってやらねーとなァ。待ってるからな、家でよォ」
「……ん? 何が待ってるの?」
キョトンとした表情で首を傾げたキアラに対し、食いついた──と、2人はさり気なく目配せし合った。そして、質問に合わせてギアッチョがどんどん話を掘り下げていく。
「あれ? お前はまだ知らなかったっけか? プロシュートの奴……実は結婚してんだよ」
「えっ、そうなの!?」
素直なキアラは、目を丸くしている。それを目の当たりにして、一瞬笑いそうになるのを必死で堪えながら、次の話へと駒を進める。
「……そ、そうそう! うちのチーム唯一の既婚者なんだぜ、あー見えて」
「ふ〜ん。どうりで包容力があるわけだ……でも、家族はこの仕事の事……知ってるのかな?」
「まぁ、言えねーだろうなァ……だから、そこはプロシュートに合わせてやってる。とりあえず……なんだっけ? 営業マンだっけ? 浄水器売ってる会社だったっけか? ……まぁ、そんな感じよ」
「何その設定……ちょっと面白いじゃん!」
そこへホルマジオが任務を終えたのか──アジトへと戻って来た。
「帰ったぜ〜……ん? お前ら何をそんなに楽しそうに話してんだァ?」
「あ、ホルマジオ……! 今ちょっとプロシュートの話を……ね──」
「プロシュート……?」
「うん。結婚してるって、ついさっき知ってさ──」
「……え? アイツが……?」
そう呟いたホルマジオは、一瞬眉をひそめ、チラリとメローネとギアッチョに目を向ける。ニヤニヤと笑みを浮かべている2人の表情からなんとなく状況を察し、話をうまく合わせつつさらに嘘を重ねていく。
「そーなんだぜ! でも、確かアイツ……バツイチじゃあなかったか?」
「えっ……バツイチ!?」
「それに近々、子供が産まれるとか何とか──」
「えっ、ちょっと待って! 頭がついていかない……と、とにかくめでたいって事だよね? それなら何かお祝いしてあげなくちゃ! 何がいいかな〜?」
話にどんどんと尾がついて、とんでもない作り話が出来上がってしまった。
最初は、我ながら上手い嘘がつけたなとメローネとギアッチョの傍らで一緒になって楽しんでいたホルマジオだったが……相手がプロシュートだと改めて思い返した時、若干嫌な予感がし始めていた。
後日、それは的中する事になる──
***
それは、キアラと一緒の任務の時だった。
「あ……! そう言えばおめでとう!」
「あぁ? いきなり何の話だ?」
「えっ、もうすぐ産まれるんでしょう?」
「だから、何がだ?」
「何がって……赤ちゃん!」
満面の笑みを浮かべるキアラを前に、あまりに話が唐突過ぎて、空いた口が塞がらなかった。
「──おいおい、ちょっと待て! 一体どっからそんな話が湧いて出た!?」
「えっ、プロシュートって……結婚してるんでしょう? この前聞いてさ──」
「結婚!? おい、ちょっと待て! そんな話なんざ──」
俺の言い分もお構いなしに、話はどんどん先へと続けられる。
「まぁ、こんな仕事してるからさ、家族にも心配かけると思うし、色々苦労も多いと思う……それに今度は子供も産まれるなんて……私に出来る事なら協力するから、いつでも言ってね?」
キアラに両手を握られ、真剣な眼差しで見つめられる──
そこで俺はふと思う。
なんだこの茶番は……? 誰だ……コイツに嘘を吹き込んだのは……? ──ん? 嘘……!
そしてピンときた。今日は4月の──
「そりゃあオメー、真っ赤な嘘だ! 俺は結婚なんざしてねーよ! ましてや子供なんているわけねーだろ?」
「え!? そうなの!?」
「オメーは騙されたってこった!……つーかよォ、その話……誰から聞いた?」
急にプロシュートの視線が鋭くなる。それに気付く事なく、あっけらかんとキアラが答える。
「えっと〜……ギアッチョとメローネ。それにホルマジオかな……?」
「分かった……アイツらには、俺からよーく言い聞かせるとするか──」
「な〜んだ、嘘か……」
「ん、どうした?」
「じゃあさ、最近任務後にどこに行ってたの?」
またもや首を傾げるキアラに、渋々答えを教えてしまった。
「それは……今度ディナーにでも連れてってやろうと思ってよォ……まぁ、その下調べだってやつだ」
「……な〜んだ……やっぱり彼女さんはいるんだね」
「ちげーよ、オメーとだ」
「えっ……私!?」
「最近頑張ってるオメーへのプレゼントとしてな」
「プロシュート……ありがとう……!」
嬉しそうに微笑むキアラが見れたのはいいが……奴らには、お仕置きが必要だな──とプロシュートが思ったのは、言うまでもない。
後日──
鬼の形相で、プロシュートがギアッチョ、メローネ、ホルマジオの前に現れる。
「オメーら……分かってんだろォなァ……?
今日は、要介護で勘弁してやる……」
そして全員(この日だけはギアッチョも含む)がグレフルの制裁を受けたのは言うまでもない。
丁度キアラがこのチームに配属されて、数ヶ月経った。
何となく入ってきた時から気にはなっていたキアラとの距離も、徐々に縮まってきたな──と、そう思っていた矢先の事だった。
***
場所は暗殺チームのアジト。
リビングでくつろいでいるのは、ギアッチョとメローネ。不意に思い立ったように話し始めたのはギアッチョだ。
「なぁなぁ、プロシュートってよォ、キアラの事……好きなのか?」
問いかけられたメローネは、瞬時にギアッチョの思惑を察したのか──一瞬間を空け、言葉を選ぶようにして答えた。
「ん〜まぁ、それっぽいような気はするが、実際は──」
「やっぱりそーかよ……」
「でも、プロシュートにしたら、あの手のタイプは今までにない感じだからなァ、どうかな……?」
「じゃあよォ、それが本心かどうか──ちょっとしたいたずら仕掛けてみようぜ? ちょっとしたいたずらをよォ……」
ニヤリと口角の端を吊り上げながら、ギアッチョがメローネにとある“いたずら話”を持ちかける。
「──マジかよ!? でもそれは、ちょっとあり得なくないか……?」
「そうかァ? そんな事もないと思うぜ? アイツにうまく信じ込ませりゃあどうなか──ちょっと気になるだろ?」
「まぁ、それはディモールト 気にはなるが……」
「それにタイミングが良いか悪いか……今日はよォ──」
そう言いながら、ギアッチョがカレンダーを指差す。
「すぐに嘘はバレんだろ?」
「そうだな──」
そして作戦は、まことしやかに行われたのだった。
***
しばらくして任務を終えたキアラが、アジトへと戻ってきた。そこへすかざす、ギアッチョとメローネが話しかける。
「今、戻りました」
「おぉ……あれ? プロシュートはどうした?」
「あ〜、なんか用事があるからって、今日はそのまま直帰しちゃったけど──」
「ふ〜ん……あ、そうか! 今日は家に帰る日だな、プロシュートの奴──」
「そうだよなァ、たまには早く帰ってやらねーとなァ。待ってるからな、家でよォ」
「……ん? 何が待ってるの?」
キョトンとした表情で首を傾げたキアラに対し、食いついた──と、2人はさり気なく目配せし合った。そして、質問に合わせてギアッチョがどんどん話を掘り下げていく。
「あれ? お前はまだ知らなかったっけか? プロシュートの奴……実は結婚してんだよ」
「えっ、そうなの!?」
素直なキアラは、目を丸くしている。それを目の当たりにして、一瞬笑いそうになるのを必死で堪えながら、次の話へと駒を進める。
「……そ、そうそう! うちのチーム唯一の既婚者なんだぜ、あー見えて」
「ふ〜ん。どうりで包容力があるわけだ……でも、家族はこの仕事の事……知ってるのかな?」
「まぁ、言えねーだろうなァ……だから、そこはプロシュートに合わせてやってる。とりあえず……なんだっけ? 営業マンだっけ? 浄水器売ってる会社だったっけか? ……まぁ、そんな感じよ」
「何その設定……ちょっと面白いじゃん!」
そこへホルマジオが任務を終えたのか──アジトへと戻って来た。
「帰ったぜ〜……ん? お前ら何をそんなに楽しそうに話してんだァ?」
「あ、ホルマジオ……! 今ちょっとプロシュートの話を……ね──」
「プロシュート……?」
「うん。結婚してるって、ついさっき知ってさ──」
「……え? アイツが……?」
そう呟いたホルマジオは、一瞬眉をひそめ、チラリとメローネとギアッチョに目を向ける。ニヤニヤと笑みを浮かべている2人の表情からなんとなく状況を察し、話をうまく合わせつつさらに嘘を重ねていく。
「そーなんだぜ! でも、確かアイツ……バツイチじゃあなかったか?」
「えっ……バツイチ!?」
「それに近々、子供が産まれるとか何とか──」
「えっ、ちょっと待って! 頭がついていかない……と、とにかくめでたいって事だよね? それなら何かお祝いしてあげなくちゃ! 何がいいかな〜?」
話にどんどんと尾がついて、とんでもない作り話が出来上がってしまった。
最初は、我ながら上手い嘘がつけたなとメローネとギアッチョの傍らで一緒になって楽しんでいたホルマジオだったが……相手がプロシュートだと改めて思い返した時、若干嫌な予感がし始めていた。
後日、それは的中する事になる──
***
それは、キアラと一緒の任務の時だった。
「あ……! そう言えばおめでとう!」
「あぁ? いきなり何の話だ?」
「えっ、もうすぐ産まれるんでしょう?」
「だから、何がだ?」
「何がって……赤ちゃん!」
満面の笑みを浮かべるキアラを前に、あまりに話が唐突過ぎて、空いた口が塞がらなかった。
「──おいおい、ちょっと待て! 一体どっからそんな話が湧いて出た!?」
「えっ、プロシュートって……結婚してるんでしょう? この前聞いてさ──」
「結婚!? おい、ちょっと待て! そんな話なんざ──」
俺の言い分もお構いなしに、話はどんどん先へと続けられる。
「まぁ、こんな仕事してるからさ、家族にも心配かけると思うし、色々苦労も多いと思う……それに今度は子供も産まれるなんて……私に出来る事なら協力するから、いつでも言ってね?」
キアラに両手を握られ、真剣な眼差しで見つめられる──
そこで俺はふと思う。
なんだこの茶番は……? 誰だ……コイツに嘘を吹き込んだのは……? ──ん? 嘘……!
そしてピンときた。今日は4月の──
「そりゃあオメー、真っ赤な嘘だ! 俺は結婚なんざしてねーよ! ましてや子供なんているわけねーだろ?」
「え!? そうなの!?」
「オメーは騙されたってこった!……つーかよォ、その話……誰から聞いた?」
急にプロシュートの視線が鋭くなる。それに気付く事なく、あっけらかんとキアラが答える。
「えっと〜……ギアッチョとメローネ。それにホルマジオかな……?」
「分かった……アイツらには、俺からよーく言い聞かせるとするか──」
「な〜んだ、嘘か……」
「ん、どうした?」
「じゃあさ、最近任務後にどこに行ってたの?」
またもや首を傾げるキアラに、渋々答えを教えてしまった。
「それは……今度ディナーにでも連れてってやろうと思ってよォ……まぁ、その下調べだってやつだ」
「……な〜んだ……やっぱり彼女さんはいるんだね」
「ちげーよ、オメーとだ」
「えっ……私!?」
「最近頑張ってるオメーへのプレゼントとしてな」
「プロシュート……ありがとう……!」
嬉しそうに微笑むキアラが見れたのはいいが……奴らには、お仕置きが必要だな──とプロシュートが思ったのは、言うまでもない。
後日──
鬼の形相で、プロシュートがギアッチョ、メローネ、ホルマジオの前に現れる。
「オメーら……分かってんだろォなァ……?
今日は、要介護で勘弁してやる……」
そして全員(この日だけはギアッチョも含む)がグレフルの制裁を受けたのは言うまでもない。
the END