チョコレート
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キアラが出て行った後、プロシュートは気怠 そうにソファーにもたれかかりながら天井を仰ぎ見る。
他のメンバーはキアラの行方を勘ぐり始めた。
「男だな……ありゃ」
「そうだろ? サン・バレンティーノに粧し込んで出かけ行くなんざ、男にチョコ渡しに行く以外何があんだよ?」
「そうだよなァ〜ぜってぇ男だよなァ」
小声ではなく、若干大きめの声で話しているのは、あえてプロシュートに聞こえるようにしているからだろう。
「ちょっと、出かけてくる」
「えっ、兄貴、出かけるって──」
ペッシの呼びかけは聞こえているのか否か、プロシュートはキアラを追うようにしてアジトを出た。
だが衝動的な行動故 、行き場のない思いが駆け巡る。
“俺は、アイツを追いかけてどーすんだ……?”
思わずため息がこぼれた。
一方、アジトに残されたメンバーは──
「プロシュートの奴、追いかけてったけどよォ……一体どーするつもりだ? 相手見つけ出して殺っちまうとか?」
「ま、まさかッ──⁉︎ 兄貴は、任務じゃない殺しはしないよ!……多分」
「じゃあ、相手を確認してから諦めるとか?案外女々しかったりしてよォ」
「プロシュートの奴、毎年調子に乗りやがってよォ〜、ムカつくんだよッ! いっぺん地の果てまで突き落とされちまえ、クソが──ッ!」
「随分と楽しそうだな、お前ら……」
騒がしい話し声が聞こえてくるリビングに、リゾットが現れる。
そして、ふと辺りを確認しながら話し出す。
「メローネは任務だったな……プロシュートの奴もいないようだが……アイツ、ようやく行ったか……?」
「ようやく……? リゾット、それどーゆー意味だよ?」
ホルマジオが首を傾げる。
それに対してリゾットが呆 れた表情を浮かべる。
「お前ら知らないのか? キアラが毎年誰にチョコを渡しているのか──」
「リゾット、知ってんのかッ⁉︎」
「プロシュートに連絡してやれ。キアラが向かったのは──」
一方キアラはとある場所に来ていた
やはり誰かと待ち合わせをしているようだ
しばらくして、向こうからやって来る人影にキアラが手を振る。
そう、キアラの元にやって来た人物とは──
「ハイ……今年も貰って……」
「おいおい、会っていきなりそれかよッ⁉︎元気〜? とか久しぶり〜? とかよォ、他に言う事ねーのかよォ⁉︎」
キアラに合うや否や、自分に対するぞんざいな対応にぼやいているのは、ブチャラティのチームに所属するグイード・ミスタだ。
それに対しキアラは、『ごめん』と平謝りをしなが苦笑いを浮かべる。
キアラとミスタは気の合う飲み友達のような関係だ。
「つーかよォ、お前は一体いつになったら本命に渡すんだよ、それをよォ……?」
ミスタがキアラが手にしているチョコレートを指差す。
「だって、今年もまた大量にチョコやらプレゼントやら貰ってきてるんだよ? 悔しいけどさ、アイツがそれだけモテるのは事実……でも、そんなの毎年見せつけられたら、太刀打ち出来ないよ……やっぱり渡せない……私は“その他大勢”にはなりたくないから……」
そう言ってうつむくキアラをミスタは何度も見て来た。
その度にどうにかしてやりたいと言う衝動に駆 られるのもまた事実……それは悲しいかな彼の性分なのだろう……
さらにキアラは続ける。
「それにチョコは食べないって言うし……」
「だったらよォ、チョコじゃねーもんにしたらいいじゃんかよ? 例えば、プレゼントとかはどうよ?」
「他人から貰った物は身につけないって……そんな事言われたら、何あげたらいいのかも分からないよ……」
そう言ってため息混じりにまた目線を落とす。
話を聞きながら、キアラの想い人はなんて面倒くさい野郎なんだとミスタは思う。
もっとシンプルに物事を楽しめないかと思う一方で……もしかしたらキアラへの当て付けなんじゃないのかとも思う。
「それならいっそ、何もあげない方が印象に残るかなと思って……」
結局キアラは毎年その思考を繰り返してしまっているのだ。
ミスタはやれやれと言わんばかりの表情を浮かべる。
「分かったよ……仕方ねーから毎年も貰ってやるよ。でもよォ〜ちょっとは付き合わされてる俺の身にもなってくれよなァ〜いつも『誰から貰ってんだ?』って聞かれてよォ〜誤魔化すのに結構苦労してんだわ、これが」
「誤魔化すって……何で? 何で隠してんの……?」
キアラが不思議そうに首を傾げる。
「だってよォ、わざわざ呼び出しくらって貰ってるのが、本命に渡しそびれたチョコレートだなんて格好つかねーだろ?」
「そ、そうだよね……ごめん……でも、ありがとう」
「まぁ、この際俺を本命にしてくれても、構わねーけど……?」
ミスタがニヒルな笑みを浮かべる。
これも彼の軽口か、はたまた本心なのか……?時折冗談混じりに言われるが、それ程深読みした事はなかった。
「またまたそんな事言ってるけどさ〜微塵 も思ってもないくせに」
いつもの様に軽く受け流しながら、キアラはふと思う。
軽口を叩きながらも毎年付き合ってくれるミスタはやっぱり優しい。
一瞬ミスタもいいかも……なんて思いそうになるが、頭をよぎるのはやっぱりあの金髪 だ。
そんなやりとりをしながら、キアラがチョコを渡そうとしたまさにその時、後方で自分の名前を呼ぶ声がする。
「おい、キアラ……」
「えっ──」
振り返ったキアラが相手を見て固まる。
他のメンバーはキアラの行方を勘ぐり始めた。
「男だな……ありゃ」
「そうだろ? サン・バレンティーノに粧し込んで出かけ行くなんざ、男にチョコ渡しに行く以外何があんだよ?」
「そうだよなァ〜ぜってぇ男だよなァ」
小声ではなく、若干大きめの声で話しているのは、あえてプロシュートに聞こえるようにしているからだろう。
「ちょっと、出かけてくる」
「えっ、兄貴、出かけるって──」
ペッシの呼びかけは聞こえているのか否か、プロシュートはキアラを追うようにしてアジトを出た。
だが衝動的な行動
“俺は、アイツを追いかけてどーすんだ……?”
思わずため息がこぼれた。
一方、アジトに残されたメンバーは──
「プロシュートの奴、追いかけてったけどよォ……一体どーするつもりだ? 相手見つけ出して殺っちまうとか?」
「ま、まさかッ──⁉︎ 兄貴は、任務じゃない殺しはしないよ!……多分」
「じゃあ、相手を確認してから諦めるとか?案外女々しかったりしてよォ」
「プロシュートの奴、毎年調子に乗りやがってよォ〜、ムカつくんだよッ! いっぺん地の果てまで突き落とされちまえ、クソが──ッ!」
「随分と楽しそうだな、お前ら……」
騒がしい話し声が聞こえてくるリビングに、リゾットが現れる。
そして、ふと辺りを確認しながら話し出す。
「メローネは任務だったな……プロシュートの奴もいないようだが……アイツ、ようやく行ったか……?」
「ようやく……? リゾット、それどーゆー意味だよ?」
ホルマジオが首を傾げる。
それに対してリゾットが
「お前ら知らないのか? キアラが毎年誰にチョコを渡しているのか──」
「リゾット、知ってんのかッ⁉︎」
「プロシュートに連絡してやれ。キアラが向かったのは──」
一方キアラはとある場所に来ていた
やはり誰かと待ち合わせをしているようだ
しばらくして、向こうからやって来る人影にキアラが手を振る。
そう、キアラの元にやって来た人物とは──
「ハイ……今年も貰って……」
「おいおい、会っていきなりそれかよッ⁉︎元気〜? とか久しぶり〜? とかよォ、他に言う事ねーのかよォ⁉︎」
キアラに合うや否や、自分に対するぞんざいな対応にぼやいているのは、ブチャラティのチームに所属するグイード・ミスタだ。
それに対しキアラは、『ごめん』と平謝りをしなが苦笑いを浮かべる。
キアラとミスタは気の合う飲み友達のような関係だ。
「つーかよォ、お前は一体いつになったら本命に渡すんだよ、それをよォ……?」
ミスタがキアラが手にしているチョコレートを指差す。
「だって、今年もまた大量にチョコやらプレゼントやら貰ってきてるんだよ? 悔しいけどさ、アイツがそれだけモテるのは事実……でも、そんなの毎年見せつけられたら、太刀打ち出来ないよ……やっぱり渡せない……私は“その他大勢”にはなりたくないから……」
そう言ってうつむくキアラをミスタは何度も見て来た。
その度にどうにかしてやりたいと言う衝動に
さらにキアラは続ける。
「それにチョコは食べないって言うし……」
「だったらよォ、チョコじゃねーもんにしたらいいじゃんかよ? 例えば、プレゼントとかはどうよ?」
「他人から貰った物は身につけないって……そんな事言われたら、何あげたらいいのかも分からないよ……」
そう言ってため息混じりにまた目線を落とす。
話を聞きながら、キアラの想い人はなんて面倒くさい野郎なんだとミスタは思う。
もっとシンプルに物事を楽しめないかと思う一方で……もしかしたらキアラへの当て付けなんじゃないのかとも思う。
「それならいっそ、何もあげない方が印象に残るかなと思って……」
結局キアラは毎年その思考を繰り返してしまっているのだ。
ミスタはやれやれと言わんばかりの表情を浮かべる。
「分かったよ……仕方ねーから毎年も貰ってやるよ。でもよォ〜ちょっとは付き合わされてる俺の身にもなってくれよなァ〜いつも『誰から貰ってんだ?』って聞かれてよォ〜誤魔化すのに結構苦労してんだわ、これが」
「誤魔化すって……何で? 何で隠してんの……?」
キアラが不思議そうに首を傾げる。
「だってよォ、わざわざ呼び出しくらって貰ってるのが、本命に渡しそびれたチョコレートだなんて格好つかねーだろ?」
「そ、そうだよね……ごめん……でも、ありがとう」
「まぁ、この際俺を本命にしてくれても、構わねーけど……?」
ミスタがニヒルな笑みを浮かべる。
これも彼の軽口か、はたまた本心なのか……?時折冗談混じりに言われるが、それ程深読みした事はなかった。
「またまたそんな事言ってるけどさ〜
いつもの様に軽く受け流しながら、キアラはふと思う。
軽口を叩きながらも毎年付き合ってくれるミスタはやっぱり優しい。
一瞬ミスタもいいかも……なんて思いそうになるが、頭をよぎるのはやっぱりあの
そんなやりとりをしながら、キアラがチョコを渡そうとしたまさにその時、後方で自分の名前を呼ぶ声がする。
「おい、キアラ……」
「えっ──」
振り返ったキアラが相手を見て固まる。