Graffiti
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今日は非番だった。特にする事もなかった私は、午前はスパッカナポリをふらついて、昼過ぎにアジトへとやって来た。なぜアジトに来たのか、それは──
入り口のドアを開けるとすぐに分かった──誰もいない。閑散としたリビングを見渡して、私はソファーへと腰掛ける。
誰か一人ぐらい居るだろうと思っていたのに的が外れてしまった。
実を言うと、今日は私の誕生日だ。別に祝って欲しいとかそんなつもりはないが、やっぱり一人はなんとなく寂しい。そう思うのは、寄り添う形をしている人の性なのかもしれない。
少しため息混じりに温かい飲み物を入れて、ほっと一息ついた時だ。
ガチャリと入り口のドアが開く。思わず目を向けると、そこにいたのはプロシュートだった。
「お、お帰り……」
「なんだオメー、こんなところにいたのか?」
「こんなところ……?」
「家に行ったが居なかったし……連絡しても繋がらねーしよォ」
「えっ、そんな事は──」
鞄の中からスマホを探すが見当たらない。無意識にも自宅に忘れてきてしまったようだ。
「ごめん……で、なんかあった?」
「なんかあったじゃねぇよ──」
そう言いながら、脱いだマフラーとコートをソファーの背もたれにかけると、私の隣に腰を下ろす。そして、不意に目線を合わせて呟く。
「オメー……今日、誕生日だろ?」
「えっ、どうしてそれを──」
言い終わらない内に、プロシュートと唇が重なる。思わず目を丸くする私に
『目ぇ閉じろよ? ったく、ムードねぇなァ』なんて鼻で笑いながら言ってくるから、悔しくなって静かに目を閉じた。
プロシュートとのキスは、ほのかに紫煙が鼻先をかすめる。それは私にとって苦手な香り。普段なら嫌煙するのだが、その時ばかりは切なさが少し残る甘い味がした。
「ありがとな……」
「……え? 普通そこは、おめでとうじゃあないの?」
「いいんだよ、ありがとうで。オメーがここにいる奇跡に──って言う意味だ」
「何それ、そんな臭いセリフ……よく言えたんもんね」
「ハンっ、俺もイタリアーノだからなァ」
普段言わない軽口とともに、普段見せない笑顔が映る──
それは私にとって最高のプレゼントだ。
入り口のドアを開けるとすぐに分かった──誰もいない。閑散としたリビングを見渡して、私はソファーへと腰掛ける。
誰か一人ぐらい居るだろうと思っていたのに的が外れてしまった。
実を言うと、今日は私の誕生日だ。別に祝って欲しいとかそんなつもりはないが、やっぱり一人はなんとなく寂しい。そう思うのは、寄り添う形をしている人の性なのかもしれない。
少しため息混じりに温かい飲み物を入れて、ほっと一息ついた時だ。
ガチャリと入り口のドアが開く。思わず目を向けると、そこにいたのはプロシュートだった。
「お、お帰り……」
「なんだオメー、こんなところにいたのか?」
「こんなところ……?」
「家に行ったが居なかったし……連絡しても繋がらねーしよォ」
「えっ、そんな事は──」
鞄の中からスマホを探すが見当たらない。無意識にも自宅に忘れてきてしまったようだ。
「ごめん……で、なんかあった?」
「なんかあったじゃねぇよ──」
そう言いながら、脱いだマフラーとコートをソファーの背もたれにかけると、私の隣に腰を下ろす。そして、不意に目線を合わせて呟く。
「オメー……今日、誕生日だろ?」
「えっ、どうしてそれを──」
言い終わらない内に、プロシュートと唇が重なる。思わず目を丸くする私に
『目ぇ閉じろよ? ったく、ムードねぇなァ』なんて鼻で笑いながら言ってくるから、悔しくなって静かに目を閉じた。
プロシュートとのキスは、ほのかに紫煙が鼻先をかすめる。それは私にとって苦手な香り。普段なら嫌煙するのだが、その時ばかりは切なさが少し残る甘い味がした。
「ありがとな……」
「……え? 普通そこは、おめでとうじゃあないの?」
「いいんだよ、ありがとうで。オメーがここにいる奇跡に──って言う意味だ」
「何それ、そんな臭いセリフ……よく言えたんもんね」
「ハンっ、俺もイタリアーノだからなァ」
普段言わない軽口とともに、普段見せない笑顔が映る──
それは私にとって最高のプレゼントだ。
the END