さよならだけがおしえてくれた
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身体に感じていた振動が徐々にゆっくりとなり、そして止まった。俺はゆっくり目を開く。見え方がどうもおかしい……腕や足の感覚がもうない。あぁ、無くなっちまってるのか……だとすれば、俺はもうすぐ死ぬだろう。だが、本来なら全身の痛みに耐えられるはずもないが、もうそれすら感じなくなってしまっているようだ……もしや俺は、既に死んでしまっているのか……?
ふと目線を上げると霞ゆく視線の先に、ペッシとブチャラティが向かい合っている姿が映し出された。
ペッシ……
本来ならば、側でサポートしてやりたいところだが……俺にはもう、ここからお前を見守ることしかできない……
恐らくこうしていられるのは、きっとアイツの能力だろう。あぁ……やっぱりちゃんちゃんとアイツに声をかければ良かった──そんな柄にもない後悔の念が渦巻く。
そう……それは昨夜の出来事──
***
ベッドの中──俺の腕の中に収まるアイツの耳元で囁く。
「なぁ、もう一回……いいだろ?」
「えっ、どうしたの、急に? 明日は大事な日だから早く休みたいって、そう言ったのはプロシュートでしょう?」
「気が変わった──」
そう言いながら耳を甘噛みし、首筋に唇を這わす。
「ん…っ、ダメ……、今日は休んで──」
やんわりと拒否したにもかかわらず、アイツは不意に俺の上にのしかかる。
「おいおい、オメー、言ってる事とやってる事が違ぇじゃあねーかよ?」
「聞いていたいの……生きてる音を……」
「あ?」
「ほら、ドクンドクンって……」
俺の胸に耳を当てて、静かに瞳を閉じる。
「当たり前だろ? 生きてんだからよォ……」
俺はアイツの頭をゆっくりと撫でながら言葉をかける。
「でも、あなた達はその音を理不尽な理由で止めてきた。それは許されることじゃあない……」
「……そうだな。だから、ろくな死に様じゃあねぇだろうなァ……明日には線路わきで一人転がってるかもしれねぇなァ……」
「そうね……ねぇ、やっぱり抱いて──」
そう言うアイツを組み敷くと、深く深く口付けた。
翌朝になり、いつもなら微かな物音でも起きてくるはずのアイツが、今朝は起きなかった。
きっとわざと寝たフリをしていたのだろう……でも、それで良かった。俺は眠るアイツを起こさないように、傍らで支度を整える。そして、俺に背を向けたままのアイツの髪に触れ、小さく“Ti adoro”と囁き、額に触れるだけのキスを落とした。そして部屋を後にした。
***
あの時、去り際に振り返らなかったのは、もう一度アイツの姿を見てしまったら、決意が揺らいでしまいそうだったから。
こうなる事もどこかで覚悟していた。ボスに反旗を翻した時から、もうまともな状態には戻れないであろう事を──
だが……今まで散々人の人生を勝手に終わらせて来た奴が言うセリフじゃあないが、俺にしたら上出来な最後だろ?
物心ついた時から、俺は一人だった。そんな俺が仲間を持てた。兄貴と呼び慕ってくれる弟分まで持てた。そして、こんな俺が心から愛したいと思える人を持てた……もちろん、心残りはあるが……それは、後の仲間に繋ぐ……悪ィな……
ハァ……眠くなってきやがった……
最後に一つだけわがままを言うならば、出来ればお前の隣で、眠りたかった……
これは俺が背負った罪と罰……
ふと目線を上げると霞ゆく視線の先に、ペッシとブチャラティが向かい合っている姿が映し出された。
ペッシ……
本来ならば、側でサポートしてやりたいところだが……俺にはもう、ここからお前を見守ることしかできない……
恐らくこうしていられるのは、きっとアイツの能力だろう。あぁ……やっぱりちゃんちゃんとアイツに声をかければ良かった──そんな柄にもない後悔の念が渦巻く。
そう……それは昨夜の出来事──
***
ベッドの中──俺の腕の中に収まるアイツの耳元で囁く。
「なぁ、もう一回……いいだろ?」
「えっ、どうしたの、急に? 明日は大事な日だから早く休みたいって、そう言ったのはプロシュートでしょう?」
「気が変わった──」
そう言いながら耳を甘噛みし、首筋に唇を這わす。
「ん…っ、ダメ……、今日は休んで──」
やんわりと拒否したにもかかわらず、アイツは不意に俺の上にのしかかる。
「おいおい、オメー、言ってる事とやってる事が違ぇじゃあねーかよ?」
「聞いていたいの……生きてる音を……」
「あ?」
「ほら、ドクンドクンって……」
俺の胸に耳を当てて、静かに瞳を閉じる。
「当たり前だろ? 生きてんだからよォ……」
俺はアイツの頭をゆっくりと撫でながら言葉をかける。
「でも、あなた達はその音を理不尽な理由で止めてきた。それは許されることじゃあない……」
「……そうだな。だから、ろくな死に様じゃあねぇだろうなァ……明日には線路わきで一人転がってるかもしれねぇなァ……」
「そうね……ねぇ、やっぱり抱いて──」
そう言うアイツを組み敷くと、深く深く口付けた。
翌朝になり、いつもなら微かな物音でも起きてくるはずのアイツが、今朝は起きなかった。
きっとわざと寝たフリをしていたのだろう……でも、それで良かった。俺は眠るアイツを起こさないように、傍らで支度を整える。そして、俺に背を向けたままのアイツの髪に触れ、小さく“Ti adoro”と囁き、額に触れるだけのキスを落とした。そして部屋を後にした。
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あの時、去り際に振り返らなかったのは、もう一度アイツの姿を見てしまったら、決意が揺らいでしまいそうだったから。
こうなる事もどこかで覚悟していた。ボスに反旗を翻した時から、もうまともな状態には戻れないであろう事を──
だが……今まで散々人の人生を勝手に終わらせて来た奴が言うセリフじゃあないが、俺にしたら上出来な最後だろ?
物心ついた時から、俺は一人だった。そんな俺が仲間を持てた。兄貴と呼び慕ってくれる弟分まで持てた。そして、こんな俺が心から愛したいと思える人を持てた……もちろん、心残りはあるが……それは、後の仲間に繋ぐ……悪ィな……
ハァ……眠くなってきやがった……
最後に一つだけわがままを言うならば、出来ればお前の隣で、眠りたかった……
これは俺が背負った罪と罰……
the END