冬の太陽
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ん……?」
きらりと何かが光ったのが見えた。それはアジトの片隅。俺はおもむろにそれを拾い上げる。
指輪──それはさっきアイツが投げ捨てたもの。
昨日は機嫌が良かったのに、なんか電話越しに怒鳴ってたな、アイツ──と、俺はついさっきの出来事を思い起こす。
***
丁度アジトにいた時だ。アイツの元に一本の電話がかかってきた。皆からちょっと離れたところで話しているにもかかわらず、言い合っているのか──
アイツの怒鳴り声はリビングまで聞こえてきた。その後、左手の薬指にはめていた指輪を投げ捨てて、アジトを出て行ってしまったのだ。何があったのかは見るからに明らか。
でもそれは、俺にとっては好都合な出来事。すぐ様俺は、アイツを追いかける。
その時頭に浮かんだのは、アイツがよく口走る言葉──
***
「昨日に戻りたかったな〜」
「おいおい、なんだその言い草はよォ? 過去になんざ絶対に戻れねーってのによォ」
「そんな事、分かってるよ〜。ただ私が言いたいのは、もし過去に戻れたなら、今みたいな失敗なんてしないのにな〜って事」
「……あ? ったく、くだらねーな」
「えっ、どうして?」
覗き込むようにして見ながら、アイツは俺に疑問を投げかける。そんなアイツを見据えて俺は話を続けた。
「考えてみろ。その過去がなけりゃあこの今は存在しねぇ……それより先に進まねーと何にも変わらねぇだろ?」
「……うん、まあ、それもそうだね!」
そう言って微笑むアイツの表情を思い起こす。
***
しばらくして、追いかけた先にアイツがいた。ゆっくりと近付き声をかける。
「おい──」
俺の声に一瞬顔を上げるも、すぐ様返事が返ってくる。
「……ほっといてよ。ってか、さっきので分かったでしょう? フられたのよ、私! それとも何? 慰めにでも来てくれたわけ?」
「慰める……? ハンっ、まさかだろ?」
「じゃあ、一体何しに来たの?」
俺の言葉に、再びアイツが顔を上げる。
「こんなチャンス、逃してたまるかってーの」
「えっ……?」
俺は、半信半疑と言った表情を浮かべるアイツを半ば強引に抱き寄せる。思いの外、身体を強張らせながら、アイツは俺に目を見張る。
「プ、プロシュート……?」
「お前はまた言うのか? “昨日に戻りたかった”ってよォ……? そしたら、こんな結末を回避できたのに──ってか?」
「そ、それは……」
「いい加減目を覚ませ! 前を向けよ! お前は遠の昔に気付いていたはずだぜ? お前に似合いの男がここにいるってことによォ」
「それって、まさか──」
「俺しか見えないようにしてやるよ……?」
そう言い放ち、俺は強引にアイツの唇を奪う。
「んんっ……ッッ──」
いきなり深く口付けられたからか……アイツから甘声が漏れる。
そんな唇にもっと触れたい。今度は、その繊細な感情を壊したい──そして身も心も早く俺の物に……
そんな気持ちが先走る──本来なら傷心のアイツに寄り添い、慰めるように話を聞いてから、触れるだけの軽い口付けを交わす……そんな甘い関係の方が、アイツを落とすにはいいのかもしれない。
だが、俺はもうアイツが好むような優しいままじゃあいられない──
きらりと何かが光ったのが見えた。それはアジトの片隅。俺はおもむろにそれを拾い上げる。
指輪──それはさっきアイツが投げ捨てたもの。
昨日は機嫌が良かったのに、なんか電話越しに怒鳴ってたな、アイツ──と、俺はついさっきの出来事を思い起こす。
***
丁度アジトにいた時だ。アイツの元に一本の電話がかかってきた。皆からちょっと離れたところで話しているにもかかわらず、言い合っているのか──
アイツの怒鳴り声はリビングまで聞こえてきた。その後、左手の薬指にはめていた指輪を投げ捨てて、アジトを出て行ってしまったのだ。何があったのかは見るからに明らか。
でもそれは、俺にとっては好都合な出来事。すぐ様俺は、アイツを追いかける。
その時頭に浮かんだのは、アイツがよく口走る言葉──
***
「昨日に戻りたかったな〜」
「おいおい、なんだその言い草はよォ? 過去になんざ絶対に戻れねーってのによォ」
「そんな事、分かってるよ〜。ただ私が言いたいのは、もし過去に戻れたなら、今みたいな失敗なんてしないのにな〜って事」
「……あ? ったく、くだらねーな」
「えっ、どうして?」
覗き込むようにして見ながら、アイツは俺に疑問を投げかける。そんなアイツを見据えて俺は話を続けた。
「考えてみろ。その過去がなけりゃあこの今は存在しねぇ……それより先に進まねーと何にも変わらねぇだろ?」
「……うん、まあ、それもそうだね!」
そう言って微笑むアイツの表情を思い起こす。
***
しばらくして、追いかけた先にアイツがいた。ゆっくりと近付き声をかける。
「おい──」
俺の声に一瞬顔を上げるも、すぐ様返事が返ってくる。
「……ほっといてよ。ってか、さっきので分かったでしょう? フられたのよ、私! それとも何? 慰めにでも来てくれたわけ?」
「慰める……? ハンっ、まさかだろ?」
「じゃあ、一体何しに来たの?」
俺の言葉に、再びアイツが顔を上げる。
「こんなチャンス、逃してたまるかってーの」
「えっ……?」
俺は、半信半疑と言った表情を浮かべるアイツを半ば強引に抱き寄せる。思いの外、身体を強張らせながら、アイツは俺に目を見張る。
「プ、プロシュート……?」
「お前はまた言うのか? “昨日に戻りたかった”ってよォ……? そしたら、こんな結末を回避できたのに──ってか?」
「そ、それは……」
「いい加減目を覚ませ! 前を向けよ! お前は遠の昔に気付いていたはずだぜ? お前に似合いの男がここにいるってことによォ」
「それって、まさか──」
「俺しか見えないようにしてやるよ……?」
そう言い放ち、俺は強引にアイツの唇を奪う。
「んんっ……ッッ──」
いきなり深く口付けられたからか……アイツから甘声が漏れる。
そんな唇にもっと触れたい。今度は、その繊細な感情を壊したい──そして身も心も早く俺の物に……
そんな気持ちが先走る──本来なら傷心のアイツに寄り添い、慰めるように話を聞いてから、触れるだけの軽い口付けを交わす……そんな甘い関係の方が、アイツを落とすにはいいのかもしれない。
だが、俺はもうアイツが好むような優しいままじゃあいられない──
the END