散歩道
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ある休日の出来事──
「あ? 散歩……?」
「そう! 今日天気いいしさ、仕事もオフでしょ? 一緒に公園にでも行こうよ〜」
プロシュートの腕を引っ張りながら、ねだるように話を持ちかけている──彼女の名前は、キアラ。
一応暗殺チームのメンバーではあるが──任務に加担する事はなく、専ら事務処理が主な仕事だ。
今日、プロシュートは非番──
しかし、アジトのソファーに腰を下ろし、無造作に置かれた雑誌のページをめくっている。
アジト にいるという事実が、キアラにとっては“時間を持て余している”と言う事を意味する。
事実、プロシュートは仕事以外でアジトに顔を出す事はほとんどない。
休日に誰とどこで何をしているか……プロシュート程の伊達男なら、容易く想像がつくだろう。
「ねぇ、ちょっと聞いてるの……?」
怪訝 そうな表情と共に、キアラの声色 が低くくなる。
彼女もまた、今日は仕事が休みのようだ。
行く宛もなく、ただフラフラと出歩いてみたものの──なぜか自然と足がアジトへと向かう。
そこに行けば、何となく会えそうな気がしていたのだ……お目当ての相手に──
なぜなら、今朝見た星占いの運勢は最高!
ラッキースポットは“親しい仲間が集う場所”とくれば……そこはもうアジトしかない──キアラはそう思った。
占いの結果なんて、今まで気にした事なんてなかったのに……無意識にも行動してしまうなんて──
「聞いてる、聞いてる……」
一方で、プロシュートの反応は冷たい。
キアラの方には見向きもせず、雑誌を読む手も止めようとはしない。
あしらうような返事をされても尚、負けじと隣に座りこみ話を続ける。
「ペッシは、朝早くに釣りに行っちゃってていないしさ……プロシュートだって休みなのに、こんな所にいるなんて……どうせなん暇でしょ? だったら──」
「ハンッ、どこに朝っぱらから公園を散歩してる暗殺者がいんだよ? それに俺はオメーと違って暇じゃあねー。昨日の報告書に不備があったみてーでよォ、リゾットの奴に呼び出しくらっただけだ! つーか、アイツはまだかッ⁉︎」
ペッシの話題が出たからか──プロシュートの口調がキツくなる。
明らかにイラついた様子で、読んでいた雑誌を閉じると、荒々しくテーブル上に足を組み上げる。
プロシュートの足癖の悪さには、キアラももう慣れっ子だ。
「何〜? この後どこぞのBella とデートなのかしら〜?」
キアラが口を尖らせながら言い放つ。
そして半ば諦めたように立ち上がると、プロシュートに背を向けた。
「もういい……じゃあ、1人で行ってくる……」
わざとらしく肩を落としてポツリと呟くと、玄関の方へと向かった。
チッ……と舌打ちが聞こえたかと思うと、プロシュートがため息を1つ──それから口を開く。
「ちょっと、待て……」
呼び止められたキアラがピタリと足を止める──しかし、振り返ることはしない。
「何……?」
「別にデートの予定なんざねーよ! まぁ、お前がどーしてもっつーんなら……付き合ってやらなくもねーが──」
その言葉を聞いたキアラが、ニヤリと口角を上げ小さくガッツポーズをとる。
実はさっきの口振りは、まさしく演技だったのだ。
もしかしたら、引き止めてくれないかもしれない……だが、基本的に面倒見の良いプロシュートの事だ。放って置けない性分なのは、ペッシと一緒の様子を見るからに明らか。
だから、賭けに出たのだ。やっぱり今日はツイている──
「本当……?」
ここでようやくキアラが振り返る。
満面の笑みを浮かべている様子に、プロシュートは些 か騙された感が否めなかった。
それでも──
「あぁ……」
「じゃあ、さっそく準備しなきゃね!」
「あ? 準備って何だよ……?」
意気揚々としたキアラは切り替えが早いと言うか何というか……やっぱり騙されたとプロシュートは確信する。
分かっていながらも、なぜかこうして付き合ってしまうのは──
「だってさ、公園行くのにその格好じゃあ……ねぇ……」
「それはどーゆー意味だ、オメーはよォ……?」
「ちょっと決まり過ぎてるっていうか──暗殺者じゃなくても目立つよね……もっとカジュアルな服持ってないの? 例えば……パーカーとか?」
「あ? んなもん持ってねーよ」
「ん〜……あっ、そう言えば、ここにみんなの着替えあるじゃん! 確か…… パーカーはギアッチョが持ってたはず! ちょっと待っててッ──」
おもむろに奥へと消えたキアラが、何やらごちゃごちゃと持って戻ってきた。
それを見たプロシュートが、若干ため息混じりに頭を抱える。
「えっとー、とりあえずこのジャケットを脱いで──コレ着て! それとボトムスはこれかな? 後は足元も公園に革靴じゃあちょっと……あっ、スニーカー……これがいい! よしっ、とりあえず着替えてきて!……そうそう、髪型も硬過ぎだから……もっとラフに下ろしてみたら? それかハーフアップとか? とりあえず、よろしく!」
スタイリストさながらにテキパキと指示を出し、最後にニコリと笑顔で締めくくる。
プロシュートは『何で俺が……』と、ぼやきながらも奥へと着替えにいく。
そうこうしている内に、ペッシが戻ってきた。
「ただいま〜! たくさん釣れたからみんなに持ってきた……よ?」
ペッシもまたプロシュートと同じくリゾットに呼び出しをくらっていた。
しかし、釣りが終わってからでいいと言われていたので、悠長に土産を持ってやって来たのだ。
しかしガランとしたアジトにいるのは、キアラだけ──
今日は休みのはずなのに……?と、ペッシが疑問に感じる。
「あっ、ペッシお帰り〜! 何か釣れた?」
「うん! ……ところで兄貴は? リーダーから呼び出されてるはずなんだけど──」
「うん、いるよ〜。でも今ちょっと着替えてもらってるの」
「着替えてる……? 何で?」
「それはねぇ……あっ、来たきた──」
リビングにやって来たプロシュートは、パーカーにデニムという王道コーデに身を包んでいる。
普段とはガラリと違う服装に、ペッシが目を丸くする。
「あ、兄貴……? 本当に兄貴なんですかィ⁉︎ すごく似合ってますゼィ! やっぱりプロシュート兄貴は、何を着ても様になりますねィ!」
ペッシが褒めまくる傍らで、キアラもまた、思いの外似合っている装いに目を見張る。
『何を着ても様になる』という、ペッシの言葉はごもっともだとキアラは思う。
それはきっと素材がいいからだろう…… 例え着るものを変えたところで、プロシュートが目立つと言う事実は変わらない──
「ところでさ……何で、フード被ってんの?」
「あ? 別にいいだろ……」
「え〜、ちゃんと見せてよ〜」
キアラが悪戯 にフードを取っ払う。
現れた髪型は、指示通りラフに崩してあった。
その髪にキアラが手を伸ばし、おもむろに指に絡ませる。
「ッ……、やめろ!」
「いいじゃん! 私、好きだよ──」
「──ッ!」
プロシュートの表情が一変する。
思わず口にしてしまった“好き”と言う言葉に、キアラが慌てて弁解する。
「い、いや、そういう好きじゃなくて、服装とかも含めて、全体の雰囲気の事だから!……勘違いしないでよね」
「あ? 別に俺の事が好きで構わねーんじゃあねーの、そこはよォ……?」
プロシュートがニヒルな笑みを浮かべながら、キアラに目を向ける
それをはぐらかすように、キアラは足早に先を急ぐ。
「じ、じゃあ、行ってきます!」
「ペッシ、リゾットが来たら連絡してくれ」
『お気をつけて〜』と、ペッシは手を振りながら2人を見送った。
一方で、街へとくり出した2人が並んで歩き出す──
しばらくして、不意にキアラが問いかける。
「あのさ、さっきの言い草なんだけど……プロシュートって、いつもあんな風に女の人を口説いてんの?」
「ハンッ、俺ァ、女なんざ口説かねーよ? あっちから勝手に寄って来るからなァ……」
「あっそ〜ですか」
「そんな事より……2人で出かけてるってことはよォ……これは一応デート……だよな?」
「えっ⁉︎」
「それなら、仮に俺がオメーを口説いたとしても問題はねーよなァ……?」
「ち、ちょっと、急に何言い出すのッ⁉︎……なんかいつものプロシュートじゃあないみたい……」
胸の高鳴りを悟られないように、キアラは少し視線を落とす。
そんな様子を知ってかしらでか──プロシュートは更に話を続ける。
「そうだな……普段とは違う格好をしてるから、気分まで変わっちまったのかもしれねーなァ……」
不意に心地よい風に包まれる……
その風が傍らの街路樹を揺らし、木々の隙間から緑がさしている──
そんな陽の当たる場所が、普段の自分を解放していく──
隣を並んで歩くのは、自分の愛しい人──
こうして外を歩くのも、そう悪くはないな……プロシュートはそう思った。
「なぁ、ジェラートでも食わねーか?」
「えっ……?」
「あの角を曲がった所に、旨い店があるんだぜ」
「本当ッ⁉︎ うん、食べる!」
「じゃあ、決まりだな」
「……ってかさ、プロシュートがこんなお店知ってるなんて、意外だな〜」
「そーか? つーか、とっとと行くぞ!」
何気なく差し出された手を、キアラは迷わず握り締める──そして2人は再び並んで歩き出した。
実はこのお店……
キアラとのデート為に、さりげなくペッシにリサーチさせていたのだ。
この事は絶対口外せず、心に秘めておこうと思うプロシュートなのでした。
その頃──
2人が出かけてしばらくすると、ようやくリゾットがアジトに顔を出す。
「遅れてすまないな……ん、何だ、ペッシ……お前だけか? プロシュートはどうした……?」
「兄貴なら、キアラとデートに行きやした! 要約こぎつけたデートなんですよ⁉︎ だから、今日だけは大目に見てやってくれよォ……リーダー?」
ペッシの話に、状況をサッと理解したリゾットが、ゆっくりソファーに腰を下ろす。
「あぁ、分かった……プロシュートには、後でたんまり聞くとするかな……」
「えっ、リーダーも、もしかして2人の事──」
リゾットの表情が一瞬和らぐ。
その後戻ってきたプロシュートが、借りた服のことも含め、根掘り葉掘り聴取されたのは、言うまでもない。
「あ? 散歩……?」
「そう! 今日天気いいしさ、仕事もオフでしょ? 一緒に公園にでも行こうよ〜」
プロシュートの腕を引っ張りながら、ねだるように話を持ちかけている──彼女の名前は、キアラ。
一応暗殺チームのメンバーではあるが──任務に加担する事はなく、専ら事務処理が主な仕事だ。
今日、プロシュートは非番──
しかし、アジトのソファーに腰を下ろし、無造作に置かれた雑誌のページをめくっている。
事実、プロシュートは仕事以外でアジトに顔を出す事はほとんどない。
休日に誰とどこで何をしているか……プロシュート程の伊達男なら、容易く想像がつくだろう。
「ねぇ、ちょっと聞いてるの……?」
彼女もまた、今日は仕事が休みのようだ。
行く宛もなく、ただフラフラと出歩いてみたものの──なぜか自然と足がアジトへと向かう。
そこに行けば、何となく会えそうな気がしていたのだ……お目当ての相手に──
なぜなら、今朝見た星占いの運勢は最高!
ラッキースポットは“親しい仲間が集う場所”とくれば……そこはもうアジトしかない──キアラはそう思った。
占いの結果なんて、今まで気にした事なんてなかったのに……無意識にも行動してしまうなんて──
「聞いてる、聞いてる……」
一方で、プロシュートの反応は冷たい。
キアラの方には見向きもせず、雑誌を読む手も止めようとはしない。
あしらうような返事をされても尚、負けじと隣に座りこみ話を続ける。
「ペッシは、朝早くに釣りに行っちゃってていないしさ……プロシュートだって休みなのに、こんな所にいるなんて……どうせなん暇でしょ? だったら──」
「ハンッ、どこに朝っぱらから公園を散歩してる暗殺者がいんだよ? それに俺はオメーと違って暇じゃあねー。昨日の報告書に不備があったみてーでよォ、リゾットの奴に呼び出しくらっただけだ! つーか、アイツはまだかッ⁉︎」
ペッシの話題が出たからか──プロシュートの口調がキツくなる。
明らかにイラついた様子で、読んでいた雑誌を閉じると、荒々しくテーブル上に足を組み上げる。
プロシュートの足癖の悪さには、キアラももう慣れっ子だ。
「何〜? この後どこぞの
キアラが口を尖らせながら言い放つ。
そして半ば諦めたように立ち上がると、プロシュートに背を向けた。
「もういい……じゃあ、1人で行ってくる……」
わざとらしく肩を落としてポツリと呟くと、玄関の方へと向かった。
チッ……と舌打ちが聞こえたかと思うと、プロシュートがため息を1つ──それから口を開く。
「ちょっと、待て……」
呼び止められたキアラがピタリと足を止める──しかし、振り返ることはしない。
「何……?」
「別にデートの予定なんざねーよ! まぁ、お前がどーしてもっつーんなら……付き合ってやらなくもねーが──」
その言葉を聞いたキアラが、ニヤリと口角を上げ小さくガッツポーズをとる。
実はさっきの口振りは、まさしく演技だったのだ。
もしかしたら、引き止めてくれないかもしれない……だが、基本的に面倒見の良いプロシュートの事だ。放って置けない性分なのは、ペッシと一緒の様子を見るからに明らか。
だから、賭けに出たのだ。やっぱり今日はツイている──
「本当……?」
ここでようやくキアラが振り返る。
満面の笑みを浮かべている様子に、プロシュートは
それでも──
「あぁ……」
「じゃあ、さっそく準備しなきゃね!」
「あ? 準備って何だよ……?」
意気揚々としたキアラは切り替えが早いと言うか何というか……やっぱり騙されたとプロシュートは確信する。
分かっていながらも、なぜかこうして付き合ってしまうのは──
「だってさ、公園行くのにその格好じゃあ……ねぇ……」
「それはどーゆー意味だ、オメーはよォ……?」
「ちょっと決まり過ぎてるっていうか──暗殺者じゃなくても目立つよね……もっとカジュアルな服持ってないの? 例えば……パーカーとか?」
「あ? んなもん持ってねーよ」
「ん〜……あっ、そう言えば、ここにみんなの着替えあるじゃん! 確か…… パーカーはギアッチョが持ってたはず! ちょっと待っててッ──」
おもむろに奥へと消えたキアラが、何やらごちゃごちゃと持って戻ってきた。
それを見たプロシュートが、若干ため息混じりに頭を抱える。
「えっとー、とりあえずこのジャケットを脱いで──コレ着て! それとボトムスはこれかな? 後は足元も公園に革靴じゃあちょっと……あっ、スニーカー……これがいい! よしっ、とりあえず着替えてきて!……そうそう、髪型も硬過ぎだから……もっとラフに下ろしてみたら? それかハーフアップとか? とりあえず、よろしく!」
スタイリストさながらにテキパキと指示を出し、最後にニコリと笑顔で締めくくる。
プロシュートは『何で俺が……』と、ぼやきながらも奥へと着替えにいく。
そうこうしている内に、ペッシが戻ってきた。
「ただいま〜! たくさん釣れたからみんなに持ってきた……よ?」
ペッシもまたプロシュートと同じくリゾットに呼び出しをくらっていた。
しかし、釣りが終わってからでいいと言われていたので、悠長に土産を持ってやって来たのだ。
しかしガランとしたアジトにいるのは、キアラだけ──
今日は休みのはずなのに……?と、ペッシが疑問に感じる。
「あっ、ペッシお帰り〜! 何か釣れた?」
「うん! ……ところで兄貴は? リーダーから呼び出されてるはずなんだけど──」
「うん、いるよ〜。でも今ちょっと着替えてもらってるの」
「着替えてる……? 何で?」
「それはねぇ……あっ、来たきた──」
リビングにやって来たプロシュートは、パーカーにデニムという王道コーデに身を包んでいる。
普段とはガラリと違う服装に、ペッシが目を丸くする。
「あ、兄貴……? 本当に兄貴なんですかィ⁉︎ すごく似合ってますゼィ! やっぱりプロシュート兄貴は、何を着ても様になりますねィ!」
ペッシが褒めまくる傍らで、キアラもまた、思いの外似合っている装いに目を見張る。
『何を着ても様になる』という、ペッシの言葉はごもっともだとキアラは思う。
それはきっと素材がいいからだろう…… 例え着るものを変えたところで、プロシュートが目立つと言う事実は変わらない──
「ところでさ……何で、フード被ってんの?」
「あ? 別にいいだろ……」
「え〜、ちゃんと見せてよ〜」
キアラが
現れた髪型は、指示通りラフに崩してあった。
その髪にキアラが手を伸ばし、おもむろに指に絡ませる。
「ッ……、やめろ!」
「いいじゃん! 私、好きだよ──」
「──ッ!」
プロシュートの表情が一変する。
思わず口にしてしまった“好き”と言う言葉に、キアラが慌てて弁解する。
「い、いや、そういう好きじゃなくて、服装とかも含めて、全体の雰囲気の事だから!……勘違いしないでよね」
「あ? 別に俺の事が好きで構わねーんじゃあねーの、そこはよォ……?」
プロシュートがニヒルな笑みを浮かべながら、キアラに目を向ける
それをはぐらかすように、キアラは足早に先を急ぐ。
「じ、じゃあ、行ってきます!」
「ペッシ、リゾットが来たら連絡してくれ」
『お気をつけて〜』と、ペッシは手を振りながら2人を見送った。
一方で、街へとくり出した2人が並んで歩き出す──
しばらくして、不意にキアラが問いかける。
「あのさ、さっきの言い草なんだけど……プロシュートって、いつもあんな風に女の人を口説いてんの?」
「ハンッ、俺ァ、女なんざ口説かねーよ? あっちから勝手に寄って来るからなァ……」
「あっそ〜ですか」
「そんな事より……2人で出かけてるってことはよォ……これは一応デート……だよな?」
「えっ⁉︎」
「それなら、仮に俺がオメーを口説いたとしても問題はねーよなァ……?」
「ち、ちょっと、急に何言い出すのッ⁉︎……なんかいつものプロシュートじゃあないみたい……」
胸の高鳴りを悟られないように、キアラは少し視線を落とす。
そんな様子を知ってかしらでか──プロシュートは更に話を続ける。
「そうだな……普段とは違う格好をしてるから、気分まで変わっちまったのかもしれねーなァ……」
不意に心地よい風に包まれる……
その風が傍らの街路樹を揺らし、木々の隙間から緑がさしている──
そんな陽の当たる場所が、普段の自分を解放していく──
隣を並んで歩くのは、自分の愛しい人──
こうして外を歩くのも、そう悪くはないな……プロシュートはそう思った。
「なぁ、ジェラートでも食わねーか?」
「えっ……?」
「あの角を曲がった所に、旨い店があるんだぜ」
「本当ッ⁉︎ うん、食べる!」
「じゃあ、決まりだな」
「……ってかさ、プロシュートがこんなお店知ってるなんて、意外だな〜」
「そーか? つーか、とっとと行くぞ!」
何気なく差し出された手を、キアラは迷わず握り締める──そして2人は再び並んで歩き出した。
実はこのお店……
キアラとのデート為に、さりげなくペッシにリサーチさせていたのだ。
この事は絶対口外せず、心に秘めておこうと思うプロシュートなのでした。
その頃──
2人が出かけてしばらくすると、ようやくリゾットがアジトに顔を出す。
「遅れてすまないな……ん、何だ、ペッシ……お前だけか? プロシュートはどうした……?」
「兄貴なら、キアラとデートに行きやした! 要約こぎつけたデートなんですよ⁉︎ だから、今日だけは大目に見てやってくれよォ……リーダー?」
ペッシの話に、状況をサッと理解したリゾットが、ゆっくりソファーに腰を下ろす。
「あぁ、分かった……プロシュートには、後でたんまり聞くとするかな……」
「えっ、リーダーも、もしかして2人の事──」
リゾットの表情が一瞬和らぐ。
その後戻ってきたプロシュートが、借りた服のことも含め、根掘り葉掘り聴取されたのは、言うまでもない。
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