それは、アジトでの出来事──
　今日は、プロシュートの任務に同行していた。まぁ、任務といっても下調べ程度だったから、早めに切り上げて、コーヒーを片手に少しばかりゆっくりとした時を過ごしていた。
　チームの面々はまだ戻ってきていないから、彼と二人きり──少しだけ普段より距離を縮めで過ごす。ちゅっ……と、リップ音を立てて離れた唇は、少しばかり名残惜しそうに、私たちは、それぞれ別の場所へと帰るのだ。でも、不意にプロシュートが視線を合わせて言葉を口にする。

「なぁ……そろそろ一緒に住むか？」
「え……？」

　言われた私は、目を丸くする。冗談にしては、彼の表情が真剣さを帯びて見える。でもまさか……そんなことを言われる日がくるなんて、思いもしなかった。
　言葉に詰まる私を横目に、彼は少しだけ呆れた表情を浮かべた。

「おい、なんて顔してんだよ？」
「だって、今──でも、またいつもの冗談でしょう？」
「ハンッ、冗談なんかで言わねーよ……」

　それから始まったこの生活──
　いつもなら、一人で迎える眩しい朝も、今は隣に愛しいブロンド髪のあなたがいる風景。

「ねぇ、今日は何しよっか？」
「そうだな……俺はこのままオメーを腕の中に収めとくってのも、そう悪くねぇと思ってるがなァ……？」

　そう言って、あなたは私に覆いかぶさると、首元にキスを落としていく。

「ちょっと……何言ってんの？　もう起きるよ」
「いや、もう少しだけこのまま……」

　セミダブルの上で交わされるこんな会話の後でさえ、時に些細なことで喧嘩もすることだろう。でも、月明かりが灯る前に、互いに唇を重ねて元通りになるような……そんな小さな出来事が日々織り重なって、大切な思い出のアルバムが出来上がっていく。そして、今日もそんな思い出の欠片を真っ直ぐに結んでいきながら──
　今日は、休日の一日の始まりに、溜まった衣服を洗い上げる。
　しばらくして、全ての洗濯物を干し終えた私は、目を細めながら、雲一つない晴天を見上げる。干し終えた洗濯物が、パタパタと風にたなびいてる。
　暖かな太陽の元に心地いい風が穏やかな日々を運んでくるようだ。
　本当にいい天気……その時、後方から声をかけられ、私は髪を耳にかけながら、振り返る。

「おい、飯……できだぜ？」
「ありがと！　上手く作れた？」
「ハンッ、何言ってやがる……オムライスくらい作れるぜ。冷めちまうから、早く来い」

　言われた私はパタパタと彼の元にかけて行く──そんな一日がまた共に流れていく。