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くちばちにチェリー

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 朝──
 アジトの洗面台──鏡に目を向ける。真っ先に目に入ってしまうのは唇だ。私は おもむろに指先で触れながら、昨日の出来事を思い出す。
 プロシュートとキスしてしまった──それは単なる気まぐれか……それとも端からそのつもりだったのか──
 そんなことを考えていると、背後から声をかけられる。鏡に映るその姿は、プロシュートだ。まだ髪をいつものように結ってはおらず、ラフに束ねているだけの装い。私は思わず言葉に詰まる。

「お、おはよ」
「あぁ……」

 そう言いながら、私の隣へとやって来た彼に、邪魔にならないようにと、一歩隣にズレてみる。いや、単に距離をとりたかったのだ。
 チラリと隣を垣間見ると、彼が鏡を見ながら、同じように指で唇に触れているから、少しばかり心臓が高鳴る。私はそれを悟られないように、唇にリップを塗り始めた。

「やっぱり乾いてるな……」
「ん、何が?」

 そう言う私に目を向けた彼が、フッ……とニヒルな笑みを向けてきた。

「なんだよ、いいもんあんじゃあねーかよ」

 リップを持つ手に視線を感じる──そう思った私は、振り返り言葉を交わそうとしたところで、顎を掴まれ口付けられる。思いもよらぬ出来事に、反射的に彼を思い切り突き飛ばした。

「ちょっと、何すんの!?」
「何ってよォ……」

 彼が 怪訝 けげんそうに眉をひそめるから、私はここぞとばかりに問いかけた。

「そんな軽率にキスなんてしないでよ! 昨日だってそう……私のこと、いったいなんだと思ってんの!?」
「あぁ!? 何ってオメー……おい、まさか違うのか……?」

 急にプロシュートが声色低く、節目がちになるから、私も少し冷静になって考えてみる。まさかと思い、彼に視線を向けてみると、罰が悪そうに頭を掻いている。

「昨日の“アレ”は、承諾されたわけじゃあなかったってことか……俺はそのつもりだったんだがな……」
「そのつもりって……」
「惚れてなきゃあ、キスなんてしねーよ……まぁ、この様子じゃあ、嫌だったってことか」

 ため息混じりに吐き捨てるプロシュートに、私は一瞬間を置いて、彼に歩み寄る。そして、次の瞬間に、ネックレスを引き寄せて、唇に思い切り噛みついたもんだから、彼の唇が赤く滲む。

「……っ! 何すんだ、テメー!?」

 言われてすぐさま角度をつけて再び口付けた後、リップ音を残して唇を離した。

「当然だと思ってる態度にムカついた……でも、好きなのは誤魔化せないから」
「ハンッ、やっぱりオメーは一筋縄ってわけにはいかねーなァ」
「こんなのも……たまには悪くないでしょう?」

 そう言って、強気に私は、彼からもらった赤を親指で唇に引いてみるのだった。
the END
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