キミからの贈り物
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今朝の出来事──
ガッシャーンッと、キッチンから明らかに物が割れた音が響き渡る。
「あぁ──ッ!」
「うっせーぞ、キアラ──ッ! ……どうしたってんだよ!? あぁッ!?」
言い方はきついが、心配したギアッチョがキアラの元へとやって来た。
「これ洗ってたんだけど……手を滑らせちゃってさ、落としたら割れちゃった……」
「おいおい、そそっかしーなァ、オメーはよォ〜。手とか切ってねーか?」
「うん、大丈夫、ありがと! あ〜ぁ、これ気に入ってたのに……」
気落ちした様子のキアラにギアッチョが話しかける。
「んなことで一々落ち込んでんじゃあねーぞ、ウゼーな、クソがッ! ……んなもん、あいつに新しいの買って貰えばいいだろーがよォ? そろそろ帰ってくるんじゃあねーか?」
しばらくして、プロシュートがペッシと共に戻って来た。それを待ち構えていたキアラが、即座にプロシュートを誘い出す。
「ねぇ、ちょっと付き合って!」
「あぁ? 俺ァ、今帰って来たばっかりだっつーのによォ〜、一体どこ行くんだ?」
「いいから! とにかく出かけるよ!」
「おい、ちょっ、待てって──ッ」
キアラに強引に腕を掴まれ、プロシュートは若干引きずられるかの如く、再びアジトから出かけて行った。
そして、やって来たのは近くの雑貨屋──キアラが徐 に店内に入る。
「何見に来たんだよ?」
「えっと──あ〜、あったあった!」
キアラはとある商品がずらりと並ぶ棚の前で立ち止まる。
「これこれ、マグカップ!」
「お前……もしかして壊したのか?」
「じ、実はさ〜、今朝洗い物してた時、手を滑らせて落としちゃったんだよね……」
キアラがえへへっと笑って誤魔化す一方で、プロシュートが呆れたと言わんばかりにため息づく。
「そそっかしいなァ、オメーはよォ〜、気ィつけろよな……」
「わ、分かってるよ〜! ギアッチョと同じ事言わないでよ!」
「ギアッチョ……?」
急にプロシュートの表情が曇る。
「何で奴の名前が──」
「ん〜どれにしようかなぁ〜」
プロシュートの小さなヤキモチを知ってか知らでか──キアラはマグカップの品定めをし始める。
「ん〜これもいいけど〜……あれも可愛いなぁ〜……ねぇ、プロシュートはどれが良いと思う?」
「あぁ?」
また始まった……とプロシュートは思った。
優柔不断のキアラは、決まって迷うと他人に意見を求める。しかし、大抵はその時点で既に自分の中で答えは決まっている。ただ、その意見に賛同して欲しいが為に聞いているみたいだ。
もちろん、プロシュートの答えはこうだ。
「お前が良いと思う方でいいんじゃあねぇか?」
「もう、ちゃんと選んでよ!」
「お前、そう言って俺が選んだ奴は、ぜってぇ選ばねーじゃあねーかよ!」
「そ、それは……」
「じゃあ、初めから聞くんじゃあねーよ」
「……」
そう言われたキアラが口を紡 ぐ。それを横目に、またやっちまった──そう思ったプロシュートは、バツが悪そうに頭を掻く。
「言い過ぎた……悪かったって」
そう告げると、プロシュートがキアラの頭をポンポンと軽く撫でる。
「──じゃあさ、プロシュートも一緒にマグカップ買おーよ?」
「なんで急にそうなんだよ!?」
「いいじゃん! 折角だしさ〜お揃いにしよっ?」
「お揃いって、オメー……」
プロシュートが若干ため息混じりに呟く。
お前のいないところで冷やかされる俺の身にもなれよ──と思う傍ら、自分とお揃いのマグカップを嬉しそうに選んでいるキアラの横顔があまりにも可愛く、たまには……まぁ、いいか──なんて思えた。
「あっ、これなんてどう?」
そう言って、キアラが指差したのは、アルファベットが印字されたデザインのカップ。
「ベタだなァ、おい……」
「いいじゃん! あっ、私のイニシャルはこれで──プロシュートのはPね!」
「あぁ……んんッ!? ちょっと、待て」
「ん、何?」
「それだとよォ、ペッシもPじゃあねーか?」
「あ〜確かに……そう言えばそうだね!」
「何か下手すりゃあペッシとお揃いになりかねねーが……まぁ、大丈夫だろ」
そう言って、それぞれのイニシャル入りのマグカップを買ってアジトへと戻る。
帰り道──キアラが不意に話しかける。
「初めてじゃない? お揃いの物買うの」
「あ、そうか……?」
「帰ったら、早速使おーっと」
そう言いながら、買ったばかりのマグカップの入った袋を見ながら、キアラがニコリと微笑む。
そんな笑顔を横目に、プロシュートが不意打ちで口付ける。
ちゅっ……と音を立てて唇を離したプロシュートは満足げな表情を浮かべ、その傍らで、キアラが目を丸くする。
「えっ!? ちょっ、いきなり何すんのッ!?」
「お前がそんな顔するからだろォがよ?」
「な、何それ──」
「今度は……揃いの指輪でも買うか?」
プロシュートがそっぽを向きながら小さく呟く。
「えっ、今何て──?」
「何でもねーよ、さっさと帰るぞ」
そう言って、プロシュートがキアラの手をとり──うん……と言いながらキアラが微笑み、その手を握り返す──
この時ばかりは、ただの恋人同士でしか他ならない2人がいた。
そして、アジトに戻ったキアラとプロシュートが食器棚で見たのは、全く同じ“P”のイニシャルのマグカップ。
「おいおい、これじゃあよォ〜どっちのカップが分からねーじゃあねーかよッ!? ペッシ! おい、ペッシ──ッ!」
呼ばれたペッシが慌てる駆け付ける。
「な、何ですかィ、兄貴ィ?」
「お前今すぐ、名前変えろ! ヘッシにしろッ! だから、このPのマグカップはもう使うな! いいな……?」
「えっ、そ、そんなぁ〜それはあんまりですぜィ、兄貴ィ〜」
プロシュートの無茶振りに、ペッシが泣かされたのは言うまでもない。
ガッシャーンッと、キッチンから明らかに物が割れた音が響き渡る。
「あぁ──ッ!」
「うっせーぞ、キアラ──ッ! ……どうしたってんだよ!? あぁッ!?」
言い方はきついが、心配したギアッチョがキアラの元へとやって来た。
「これ洗ってたんだけど……手を滑らせちゃってさ、落としたら割れちゃった……」
「おいおい、そそっかしーなァ、オメーはよォ〜。手とか切ってねーか?」
「うん、大丈夫、ありがと! あ〜ぁ、これ気に入ってたのに……」
気落ちした様子のキアラにギアッチョが話しかける。
「んなことで一々落ち込んでんじゃあねーぞ、ウゼーな、クソがッ! ……んなもん、あいつに新しいの買って貰えばいいだろーがよォ? そろそろ帰ってくるんじゃあねーか?」
しばらくして、プロシュートがペッシと共に戻って来た。それを待ち構えていたキアラが、即座にプロシュートを誘い出す。
「ねぇ、ちょっと付き合って!」
「あぁ? 俺ァ、今帰って来たばっかりだっつーのによォ〜、一体どこ行くんだ?」
「いいから! とにかく出かけるよ!」
「おい、ちょっ、待てって──ッ」
キアラに強引に腕を掴まれ、プロシュートは若干引きずられるかの如く、再びアジトから出かけて行った。
そして、やって来たのは近くの雑貨屋──キアラが
「何見に来たんだよ?」
「えっと──あ〜、あったあった!」
キアラはとある商品がずらりと並ぶ棚の前で立ち止まる。
「これこれ、マグカップ!」
「お前……もしかして壊したのか?」
「じ、実はさ〜、今朝洗い物してた時、手を滑らせて落としちゃったんだよね……」
キアラがえへへっと笑って誤魔化す一方で、プロシュートが呆れたと言わんばかりにため息づく。
「そそっかしいなァ、オメーはよォ〜、気ィつけろよな……」
「わ、分かってるよ〜! ギアッチョと同じ事言わないでよ!」
「ギアッチョ……?」
急にプロシュートの表情が曇る。
「何で奴の名前が──」
「ん〜どれにしようかなぁ〜」
プロシュートの小さなヤキモチを知ってか知らでか──キアラはマグカップの品定めをし始める。
「ん〜これもいいけど〜……あれも可愛いなぁ〜……ねぇ、プロシュートはどれが良いと思う?」
「あぁ?」
また始まった……とプロシュートは思った。
優柔不断のキアラは、決まって迷うと他人に意見を求める。しかし、大抵はその時点で既に自分の中で答えは決まっている。ただ、その意見に賛同して欲しいが為に聞いているみたいだ。
もちろん、プロシュートの答えはこうだ。
「お前が良いと思う方でいいんじゃあねぇか?」
「もう、ちゃんと選んでよ!」
「お前、そう言って俺が選んだ奴は、ぜってぇ選ばねーじゃあねーかよ!」
「そ、それは……」
「じゃあ、初めから聞くんじゃあねーよ」
「……」
そう言われたキアラが口を
「言い過ぎた……悪かったって」
そう告げると、プロシュートがキアラの頭をポンポンと軽く撫でる。
「──じゃあさ、プロシュートも一緒にマグカップ買おーよ?」
「なんで急にそうなんだよ!?」
「いいじゃん! 折角だしさ〜お揃いにしよっ?」
「お揃いって、オメー……」
プロシュートが若干ため息混じりに呟く。
お前のいないところで冷やかされる俺の身にもなれよ──と思う傍ら、自分とお揃いのマグカップを嬉しそうに選んでいるキアラの横顔があまりにも可愛く、たまには……まぁ、いいか──なんて思えた。
「あっ、これなんてどう?」
そう言って、キアラが指差したのは、アルファベットが印字されたデザインのカップ。
「ベタだなァ、おい……」
「いいじゃん! あっ、私のイニシャルはこれで──プロシュートのはPね!」
「あぁ……んんッ!? ちょっと、待て」
「ん、何?」
「それだとよォ、ペッシもPじゃあねーか?」
「あ〜確かに……そう言えばそうだね!」
「何か下手すりゃあペッシとお揃いになりかねねーが……まぁ、大丈夫だろ」
そう言って、それぞれのイニシャル入りのマグカップを買ってアジトへと戻る。
帰り道──キアラが不意に話しかける。
「初めてじゃない? お揃いの物買うの」
「あ、そうか……?」
「帰ったら、早速使おーっと」
そう言いながら、買ったばかりのマグカップの入った袋を見ながら、キアラがニコリと微笑む。
そんな笑顔を横目に、プロシュートが不意打ちで口付ける。
ちゅっ……と音を立てて唇を離したプロシュートは満足げな表情を浮かべ、その傍らで、キアラが目を丸くする。
「えっ!? ちょっ、いきなり何すんのッ!?」
「お前がそんな顔するからだろォがよ?」
「な、何それ──」
「今度は……揃いの指輪でも買うか?」
プロシュートがそっぽを向きながら小さく呟く。
「えっ、今何て──?」
「何でもねーよ、さっさと帰るぞ」
そう言って、プロシュートがキアラの手をとり──うん……と言いながらキアラが微笑み、その手を握り返す──
この時ばかりは、ただの恋人同士でしか他ならない2人がいた。
そして、アジトに戻ったキアラとプロシュートが食器棚で見たのは、全く同じ“P”のイニシャルのマグカップ。
「おいおい、これじゃあよォ〜どっちのカップが分からねーじゃあねーかよッ!? ペッシ! おい、ペッシ──ッ!」
呼ばれたペッシが慌てる駆け付ける。
「な、何ですかィ、兄貴ィ?」
「お前今すぐ、名前変えろ! ヘッシにしろッ! だから、このPのマグカップはもう使うな! いいな……?」
「えっ、そ、そんなぁ〜それはあんまりですぜィ、兄貴ィ〜」
プロシュートの無茶振りに、ペッシが泣かされたのは言うまでもない。
the END