恋する気持ち
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は、想いを寄せる彼の誕生日──
私からも何かプレゼントを贈りたい──そう思いつつ……この想いはまだ秘密にしておきたいと、チームメンバーからのプレゼントに紛れて、当たり障りのないお酒を手渡すことにした。
「ミスタ──」
「ん?」
「これ……み、みんなで選んだの! はい──」
「おぉ〜! これ、俺が好きなワインじゃあねぇか〜! ありがとな!」
そう言ってミスタがニカっと微笑むのを目の当たりにすると、ドキッと心臓が高鳴る。
私はやっぱり彼の事が──そう思いながらもその言葉の先を飲み込む。
「ん? どうしたよォ?」
「ううん……なんでもない──」
そう……それは私に芽生えた、今はまだ秘密の想い──
***
それは、いつも皆が集まるリストランテ“リベッチオ”での出来事──
丁度任務へと出かけようとしていたところにミスタが現れる。
「あ、ミスタ、おはよう」
「おぉ……あ、あのよォ〜、お前、今日の昼とか時間ある?」
「お昼? うん、空いてるけど……何?」
「ちょっと〜……付き合ってくんない?」
「え〜、どこに?」
「買い物! なぁ頼むよォ……ランチ奢ってやるからよォ?」
ミスタが両手を合わせながら私の顔色を伺う。またか……と、私は思った。何かを奢ると言ってきた時の頼み事はいつだって──
「……また彼女へのプレゼント探しとか?」
「おぉ、よ〜くお分かりで! アイツもうすぐ誕生日でよォ、何がいいかちょっと見繕って欲しいんだけど……こんな事頼めんのお前しかいなくてよォ」
「……仕方ないな〜、じゃあ、食後にドルチェもつけてよね!」
「んなもん、お安い御用だぜ! じゃあまた後でな」
***
こんな感じで私とミスタの関係は、いわば友達同士。彼女の事を相談されたり……もちろん私も彼氏の事を聞いて貰ったりしていた。そうついこの間までは──
私は先日彼氏と別れた。原因は自分でもよく分かっている。それは自分自身の異変──
自然とミスタを目で追っている自分に気付いてしまったからだ。
それまでも幾度となく目が合うと、ニカっと微笑みかけられるのはいつもの事。今までは何とも思わなかったのに……今では心臓が高鳴る。普通だった事がそうじゃなくなってしまった。やたら目が合うような気さえしてしまうのは、もしかしたら私の顔に、彼への想いが現れている……なんてことないよね?
***
そう思い始めていた矢先、ブチャラティからとある任務を言い渡される。それは思いがけずミスタと一緒に行う事となった。
「お前らが適任だと思ってな、パーティーへの潜入……といったら、警察のマネごとみてぇだな」
「まぁ、要は麻薬を横流ししている主犯格を炙り出せはいいって事だよな?」
「あぁ、そうだ。口を割らせてくれさえすればいい。一般客もいるからな、余計な犠牲は出すなよ……いいな?」
「分かってるわ。ターゲットから必要な情報のみを頂く──だから、私が選ばれたってわけね」
「あぁ。お前のスタンド能力なら、朝飯前だろう……だが、油断はするな。特にミスタ! 分かってんだろうな?」
『へいへい』とやる気なさげに聞こえたその返事に、私は一抹の不安を感じつつも、一方では、どこか心躍る思いもしていた。場所が場所だけに、1人で行くよりも男女で行く方が怪しまれない。その相手がミスタなのだから、デート気分を少しは味わえるかもと少し不謹慎な思惑が頭をよぎる。
「ミスタとか……」
高ぶる気持ちを抑えきれず、思わず名前を口走ってしまった。悟られない様に発した声色があまりにも低くかったからか、ミスタが愚痴をこぼす様に話し始める。
「何だよ、そんなに俺と一緒がなのが嫌かよ? 俺は結構楽しみなのによォ……何かデートみてぇだなァと思ってさ……」
「は、はぁ!? 何言ってんの!? 遊びに行くんじゃないんだよ? 分かってんの!?」
「ハイハイ、とりあえずこのミスタ様に任せとけって!」
ニカっと笑みを浮かべながら軽口を叩くミスタに、思わずつられて笑いそうになるのを必死で堪える。
普段は明るく陽気な振る舞いが板についてはいるが、いざと言う時にはすごく頼りになるのもまた、グイード・ミスタという男だ。
もとより……自分の事を棚に上げて、偉そうな事を言っているとは、ミスタは露程も知らないだろう。
そして、任務当日。思わぬアクシデントに見舞われる。
気の緩みからだろうか……ターゲットに逃げられそうになってしまったのだ。でも、今回ばかりは機転が効いた。私の能力でミスタをカバーし、無事任務を成し遂げた。
「たまにはやるじゃあねーか!」
そう言って、ミスタが私の頭を軽くなでる。
「ちょっ、やめてよ! そんな子供扱いしないでよね! それに“たまには”は余計!」
「冗談だぜ、悪かったってよォ。でも……マジでお前と一緒で良かったぜ。ありがとな!」
私に振り払われた手で、少しバツが悪そうに頭を掻きながら、またニカっとあの笑顔を向けられる。
そんな反応をされると、少しは期待してしまう。動き出したこの気持ちは、きっともう抑えられない……私はやっぱりミスタの事が──静まれとうるさい心臓に私は言い聞かせる。
***
そんなある日──
「なぁ、今日のランチ、何食いに行く?」
「えっ、まだ決めてないけど….…?」
「だったらよォ、最近オープンしたカフェ、行かね?」
「別にいいけど……あっ、また彼女と行く前のリサーチ? そう言えば、最近彼女の事見かけないけど、どうしたの?」
実は気になっていた事をさりげなくい聞いてみた。すると、意外な答えが返ってきた。
「あ〜……別れた」
「……えっ!? 別れたの……!? ってか、振られたとか?」
願ってもないチャンスが訪れた。いつもの調子で話を続けるも、内心はドキドキだ。
「いや、俺から別れ話を切り出したって言うか……なんつーか……」
「……え、何それ? もしかして浮気されたとか? まさかね〜、ミスタじゃああるまいし」
「……浮気ねぇ」
「……えっ、まさか──」
「ちげーよ! ……他に好きな奴ができたっつーか……ようやく気付いたって言うかな」
ミスタの口から出た“好きな人”の言葉──それが誰か知りたいような、知りたくないような……でも、話の流れで問いかけてみる。
「……誰? 私の知ってる人?」
「……さぁな、オメーにはまだ言わねーよ!」
まだってどういう?──なんて疑問が浮かんだが、それ以上は聞かなかった。少しでも、それが自分だと言う可能性をゼロにはしたくなかったから。
こんな時そっと近付いてみたら、彼の顔に何か言葉が書いてあったらいいのに──
そっと耳を澄ませば、心の声が聞こえてきそうなくらい近くにいる君だから──
この芽生えた気持ちを打ち明けるか──はたまたこのまま秘めておくか。どちらにしても、今更この想いを止める事はできないから──
そして私は、今夜も星空を見上げてこう願う。
いつの日かこのあり得ない恋に奇跡が起こりますようにと……
私からも何かプレゼントを贈りたい──そう思いつつ……この想いはまだ秘密にしておきたいと、チームメンバーからのプレゼントに紛れて、当たり障りのないお酒を手渡すことにした。
「ミスタ──」
「ん?」
「これ……み、みんなで選んだの! はい──」
「おぉ〜! これ、俺が好きなワインじゃあねぇか〜! ありがとな!」
そう言ってミスタがニカっと微笑むのを目の当たりにすると、ドキッと心臓が高鳴る。
私はやっぱり彼の事が──そう思いながらもその言葉の先を飲み込む。
「ん? どうしたよォ?」
「ううん……なんでもない──」
そう……それは私に芽生えた、今はまだ秘密の想い──
***
それは、いつも皆が集まるリストランテ“リベッチオ”での出来事──
丁度任務へと出かけようとしていたところにミスタが現れる。
「あ、ミスタ、おはよう」
「おぉ……あ、あのよォ〜、お前、今日の昼とか時間ある?」
「お昼? うん、空いてるけど……何?」
「ちょっと〜……付き合ってくんない?」
「え〜、どこに?」
「買い物! なぁ頼むよォ……ランチ奢ってやるからよォ?」
ミスタが両手を合わせながら私の顔色を伺う。またか……と、私は思った。何かを奢ると言ってきた時の頼み事はいつだって──
「……また彼女へのプレゼント探しとか?」
「おぉ、よ〜くお分かりで! アイツもうすぐ誕生日でよォ、何がいいかちょっと見繕って欲しいんだけど……こんな事頼めんのお前しかいなくてよォ」
「……仕方ないな〜、じゃあ、食後にドルチェもつけてよね!」
「んなもん、お安い御用だぜ! じゃあまた後でな」
***
こんな感じで私とミスタの関係は、いわば友達同士。彼女の事を相談されたり……もちろん私も彼氏の事を聞いて貰ったりしていた。そうついこの間までは──
私は先日彼氏と別れた。原因は自分でもよく分かっている。それは自分自身の異変──
自然とミスタを目で追っている自分に気付いてしまったからだ。
それまでも幾度となく目が合うと、ニカっと微笑みかけられるのはいつもの事。今までは何とも思わなかったのに……今では心臓が高鳴る。普通だった事がそうじゃなくなってしまった。やたら目が合うような気さえしてしまうのは、もしかしたら私の顔に、彼への想いが現れている……なんてことないよね?
***
そう思い始めていた矢先、ブチャラティからとある任務を言い渡される。それは思いがけずミスタと一緒に行う事となった。
「お前らが適任だと思ってな、パーティーへの潜入……といったら、警察のマネごとみてぇだな」
「まぁ、要は麻薬を横流ししている主犯格を炙り出せはいいって事だよな?」
「あぁ、そうだ。口を割らせてくれさえすればいい。一般客もいるからな、余計な犠牲は出すなよ……いいな?」
「分かってるわ。ターゲットから必要な情報のみを頂く──だから、私が選ばれたってわけね」
「あぁ。お前のスタンド能力なら、朝飯前だろう……だが、油断はするな。特にミスタ! 分かってんだろうな?」
『へいへい』とやる気なさげに聞こえたその返事に、私は一抹の不安を感じつつも、一方では、どこか心躍る思いもしていた。場所が場所だけに、1人で行くよりも男女で行く方が怪しまれない。その相手がミスタなのだから、デート気分を少しは味わえるかもと少し不謹慎な思惑が頭をよぎる。
「ミスタとか……」
高ぶる気持ちを抑えきれず、思わず名前を口走ってしまった。悟られない様に発した声色があまりにも低くかったからか、ミスタが愚痴をこぼす様に話し始める。
「何だよ、そんなに俺と一緒がなのが嫌かよ? 俺は結構楽しみなのによォ……何かデートみてぇだなァと思ってさ……」
「は、はぁ!? 何言ってんの!? 遊びに行くんじゃないんだよ? 分かってんの!?」
「ハイハイ、とりあえずこのミスタ様に任せとけって!」
ニカっと笑みを浮かべながら軽口を叩くミスタに、思わずつられて笑いそうになるのを必死で堪える。
普段は明るく陽気な振る舞いが板についてはいるが、いざと言う時にはすごく頼りになるのもまた、グイード・ミスタという男だ。
もとより……自分の事を棚に上げて、偉そうな事を言っているとは、ミスタは露程も知らないだろう。
そして、任務当日。思わぬアクシデントに見舞われる。
気の緩みからだろうか……ターゲットに逃げられそうになってしまったのだ。でも、今回ばかりは機転が効いた。私の能力でミスタをカバーし、無事任務を成し遂げた。
「たまにはやるじゃあねーか!」
そう言って、ミスタが私の頭を軽くなでる。
「ちょっ、やめてよ! そんな子供扱いしないでよね! それに“たまには”は余計!」
「冗談だぜ、悪かったってよォ。でも……マジでお前と一緒で良かったぜ。ありがとな!」
私に振り払われた手で、少しバツが悪そうに頭を掻きながら、またニカっとあの笑顔を向けられる。
そんな反応をされると、少しは期待してしまう。動き出したこの気持ちは、きっともう抑えられない……私はやっぱりミスタの事が──静まれとうるさい心臓に私は言い聞かせる。
***
そんなある日──
「なぁ、今日のランチ、何食いに行く?」
「えっ、まだ決めてないけど….…?」
「だったらよォ、最近オープンしたカフェ、行かね?」
「別にいいけど……あっ、また彼女と行く前のリサーチ? そう言えば、最近彼女の事見かけないけど、どうしたの?」
実は気になっていた事をさりげなくい聞いてみた。すると、意外な答えが返ってきた。
「あ〜……別れた」
「……えっ!? 別れたの……!? ってか、振られたとか?」
願ってもないチャンスが訪れた。いつもの調子で話を続けるも、内心はドキドキだ。
「いや、俺から別れ話を切り出したって言うか……なんつーか……」
「……え、何それ? もしかして浮気されたとか? まさかね〜、ミスタじゃああるまいし」
「……浮気ねぇ」
「……えっ、まさか──」
「ちげーよ! ……他に好きな奴ができたっつーか……ようやく気付いたって言うかな」
ミスタの口から出た“好きな人”の言葉──それが誰か知りたいような、知りたくないような……でも、話の流れで問いかけてみる。
「……誰? 私の知ってる人?」
「……さぁな、オメーにはまだ言わねーよ!」
まだってどういう?──なんて疑問が浮かんだが、それ以上は聞かなかった。少しでも、それが自分だと言う可能性をゼロにはしたくなかったから。
こんな時そっと近付いてみたら、彼の顔に何か言葉が書いてあったらいいのに──
そっと耳を澄ませば、心の声が聞こえてきそうなくらい近くにいる君だから──
この芽生えた気持ちを打ち明けるか──はたまたこのまま秘めておくか。どちらにしても、今更この想いを止める事はできないから──
そして私は、今夜も星空を見上げてこう願う。
いつの日かこのあり得ない恋に奇跡が起こりますようにと……
the END