明日はどっちだ
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任務を終え、アジトにいたアバッキオのスマホが鳴る──チラッと画面に目を向けるとそこには見慣れた名前が──
それを目にしたと同時に柄にもなくため息をつく。
そして電話に出たアバッキオが向かった先は、馴染みのバール──
「ねぇ、聞いてよ〜ブチャラティがさ〜」
アバッキオに親しげに話しかけている1人の女……
さっきの電話はこの女からだ。
彼女の名前はキアラ。
アバッキオ曰く、たまたま仕事で一緒になった顔見知りの女……らしい。
そして今日も、仕事終わりに呼び出しを喰らったようだ。
「ねぇ、ちょっと聞いてる〜?」
「あぁ、聞いてるのぜ……それで、今日は何だよ?」
また始まったキアラの長話に、アバッキオはやれやれと思いながら、白ワインを口にする。
「昨日さ、新しいリップグロス買ったから、早速つけて行ったの。そしたらブチャラティったら『朝から揚げ物を食べたのか? 唇にがついてるから拭いとけ』って、ティッシュ渡してくるのよ⁉︎ ねぇ、どう思う⁉︎」
「どうと言われてもよォ……まぁ、ブチャラティなら言いかねねぇな……」
「……そうよね……確かにブチャラティらしいと言えばそうなんだけど、でも、もう少し気の利いた事言えないのって思っちゃうんだけどッ!」
酒も入ってるからか、キアラの声のトーンが次第に大きくなる。
「まぁ、落ち着けよ」
そう言ってアバッキオはキアラに水を渡す。
キアラは見ての通り、ブチャラティの事が好き…らしい──そして、最近ブチャラティ自身も自分の気持ちに気付いたらしく……
俺からしてみれば両想いなんだから、さっさとくっついちまえと思う反面……このままずっとすれ違ってりゃいいとも思う。
ずっとこのまますれ違ってりゃ、この瞬間……今俺の隣で、笑ったり泣いたりする表情も声も仕草も……すべて俺だけのもんだからなァ……何故なら俺は──
「ねぇ、アバッキオ聞いてる?」
「あぁ、ちゃんと聞いてるぜ……」
「それに比べて、アバッキオは今朝すぐに気付いてくれたし〜」
「あ? 別に俺だけじゃあねーだろ? ミスタも言ってたしよォ……」
「いいや、1番はアバッキオだった! ブチャラティってば、本当に女心を分かってないんだから!」
「まぁ、それは今に始まったことじゃあねーだろ?」
「そ、そうなんだけどさ〜でもさ〜もうちょっと気にしてくれてもよくない⁉︎」
「そうだな……」
今日のキアラは、随分とご立腹の様だ。
アバッキオは、『そんなに言うなら、ブチャラティなんざやめちまえ』という言葉が、喉まで出かかったのをワインで流し込んだ。
そんな風に飲みながら話す……いや、愚痴を聞かされるのが俺の日常だ。
だが、あの日は当たりが悪かった。
いつもより焼きが回っていたのもあったのか……
その日は朝から最悪だった……
天気も雨…任務の場所も悪かった……
あの日……俺が絶対に下ろせない十字架を背負ったあの場所だった。
ブチャラティの忠告にも耳を貸さず、ただ自分勝手な感情に任せて、動いた結果がこのザマだ。
ブチャラティが来るのが後一歩遅かったら……俺はかすり傷だけじゃあ済まなかっただろう……
「アバッキオ、テメーは少し頭を冷やせ!」
ブチャラティにこっぴどく 叱咤 された。
分かっちゃあいたが……どうしようもなかった。
それを目にしたと同時に柄にもなくため息をつく。
そして電話に出たアバッキオが向かった先は、馴染みのバール──
「ねぇ、聞いてよ〜ブチャラティがさ〜」
アバッキオに親しげに話しかけている1人の女……
さっきの電話はこの女からだ。
彼女の名前はキアラ。
アバッキオ曰く、たまたま仕事で一緒になった顔見知りの女……らしい。
そして今日も、仕事終わりに呼び出しを喰らったようだ。
「ねぇ、ちょっと聞いてる〜?」
「あぁ、聞いてるのぜ……それで、今日は何だよ?」
また始まったキアラの長話に、アバッキオはやれやれと思いながら、白ワインを口にする。
「昨日さ、新しいリップグロス買ったから、早速つけて行ったの。そしたらブチャラティったら『朝から揚げ物を食べたのか? 唇にがついてるから拭いとけ』って、ティッシュ渡してくるのよ⁉︎ ねぇ、どう思う⁉︎」
「どうと言われてもよォ……まぁ、ブチャラティなら言いかねねぇな……」
「……そうよね……確かにブチャラティらしいと言えばそうなんだけど、でも、もう少し気の利いた事言えないのって思っちゃうんだけどッ!」
酒も入ってるからか、キアラの声のトーンが次第に大きくなる。
「まぁ、落ち着けよ」
そう言ってアバッキオはキアラに水を渡す。
キアラは見ての通り、ブチャラティの事が好き…らしい──そして、最近ブチャラティ自身も自分の気持ちに気付いたらしく……
俺からしてみれば両想いなんだから、さっさとくっついちまえと思う反面……このままずっとすれ違ってりゃいいとも思う。
ずっとこのまますれ違ってりゃ、この瞬間……今俺の隣で、笑ったり泣いたりする表情も声も仕草も……すべて俺だけのもんだからなァ……何故なら俺は──
「ねぇ、アバッキオ聞いてる?」
「あぁ、ちゃんと聞いてるぜ……」
「それに比べて、アバッキオは今朝すぐに気付いてくれたし〜」
「あ? 別に俺だけじゃあねーだろ? ミスタも言ってたしよォ……」
「いいや、1番はアバッキオだった! ブチャラティってば、本当に女心を分かってないんだから!」
「まぁ、それは今に始まったことじゃあねーだろ?」
「そ、そうなんだけどさ〜でもさ〜もうちょっと気にしてくれてもよくない⁉︎」
「そうだな……」
今日のキアラは、随分とご立腹の様だ。
アバッキオは、『そんなに言うなら、ブチャラティなんざやめちまえ』という言葉が、喉まで出かかったのをワインで流し込んだ。
そんな風に飲みながら話す……いや、愚痴を聞かされるのが俺の日常だ。
だが、あの日は当たりが悪かった。
いつもより焼きが回っていたのもあったのか……
その日は朝から最悪だった……
天気も雨…任務の場所も悪かった……
あの日……俺が絶対に下ろせない十字架を背負ったあの場所だった。
ブチャラティの忠告にも耳を貸さず、ただ自分勝手な感情に任せて、動いた結果がこのザマだ。
ブチャラティが来るのが後一歩遅かったら……俺はかすり傷だけじゃあ済まなかっただろう……
「アバッキオ、テメーは少し頭を冷やせ!」
ブチャラティにこっぴどく
分かっちゃあいたが……どうしようもなかった。
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