あまりにも素敵な夜だから
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「もうすっかり暗くなっちゃったね……」
「そうだな……陽が落ちるのも早くなったからな」
そんな会話を交わしながら、私とブチャラティはリストランテを後にする。
今日は2人で任務だった。場所がネアポリスから少しばかり離れていた事と思いの外時間がかかってしまった事もあり、ディナーを一緒に食べて帰る事にしたのだ。
ブチャラティが馴染みの店があるというのでやって来たリストランテは、水平線に沈む夕陽を眺める事ができる海岸沿いのお店。美味しい魚料理が自慢らしく、テラス風の店内には、その日とれた新鮮な魚が並ぶケースが置かれていた。
2人だけで食事をするのは珍しいな──と、私は内心ドキドキしながら、ちょっとしたデート気分を味わっていた。
時折チラリとブチャラティに視線を送ると、彼もそれに気付いたようで、いつもと変わらない笑顔を向けられる。
思わず見惚れてしまいそうになる前に、私はサッと視線を逸らす。そんな私をブチャラティが不思議そうに首を傾げて見ている。
私は内心こう思う。
ブチャラティが私の気持ちに気付く事なんて、どうせありはしない──そう思っているのは自分だけ……自分だけが踊らされている──と。
***
リストランテを出た私達は、再び2人並んで街を歩いた。歩くといっても駐車場までの短い距離だ。
昼間とは打って変わり、少し肌寒い。
私は両手を組むようにして腕をさする。しかし、寒い分空気は澄んでいるようで──不意に夜空を見上げると、そこには満月がぽっかりと浮かんでいる。それを見上げて、私は思わず指差した。
「ねぇ、ブチャラティ見て! お月様──」
「ん……今日は満月か……どおりて辺りがよく見えるわけだな……」
「星も見えるよ! ほらあそこに──」
そう話しかけた時、不意にブチャラティの視線に気が付く。
「ん? どうかし──」
そう言いかけた時、ブチャラティが優しく私の頬に触れる。いきなりの事に目を丸くする私をよそに、彼は目を細めながら微笑む。
「La luna è bellissima……(月が綺麗だな……)」
そう囁いたブチャラティに、そっと口付けられる。驚くよりも今度は身を任せるように、ゆっくりと瞳を閉じた。
***
「──驚かせてしまったか?」
ブチャラティの声と共に、スッと彼を見据える。
「うん、ちょっぴりね……」
「すまないな……でも、あまりにも綺麗だったから、つい惹かれてしまった……でも、出来心じゃあない。そう、俺はずっと前からお前の事が──」
再び近くなる気配に、思わず瞳を閉じる。耳元で『Ti amo……』と囁かれ、そして再び唇が重なる。今度は深く深く、絡み合うように──
「ん…っ……」
思わず甘い吐息が漏れる。
唇を離した2人は互いに見つめ合い、そして微笑み合う。
そんな2人の影が月明かりに照らし出された──
それは満月の夜に起きた……
あまりにも素敵な出来事──
「そうだな……陽が落ちるのも早くなったからな」
そんな会話を交わしながら、私とブチャラティはリストランテを後にする。
今日は2人で任務だった。場所がネアポリスから少しばかり離れていた事と思いの外時間がかかってしまった事もあり、ディナーを一緒に食べて帰る事にしたのだ。
ブチャラティが馴染みの店があるというのでやって来たリストランテは、水平線に沈む夕陽を眺める事ができる海岸沿いのお店。美味しい魚料理が自慢らしく、テラス風の店内には、その日とれた新鮮な魚が並ぶケースが置かれていた。
2人だけで食事をするのは珍しいな──と、私は内心ドキドキしながら、ちょっとしたデート気分を味わっていた。
時折チラリとブチャラティに視線を送ると、彼もそれに気付いたようで、いつもと変わらない笑顔を向けられる。
思わず見惚れてしまいそうになる前に、私はサッと視線を逸らす。そんな私をブチャラティが不思議そうに首を傾げて見ている。
私は内心こう思う。
ブチャラティが私の気持ちに気付く事なんて、どうせありはしない──そう思っているのは自分だけ……自分だけが踊らされている──と。
***
リストランテを出た私達は、再び2人並んで街を歩いた。歩くといっても駐車場までの短い距離だ。
昼間とは打って変わり、少し肌寒い。
私は両手を組むようにして腕をさする。しかし、寒い分空気は澄んでいるようで──不意に夜空を見上げると、そこには満月がぽっかりと浮かんでいる。それを見上げて、私は思わず指差した。
「ねぇ、ブチャラティ見て! お月様──」
「ん……今日は満月か……どおりて辺りがよく見えるわけだな……」
「星も見えるよ! ほらあそこに──」
そう話しかけた時、不意にブチャラティの視線に気が付く。
「ん? どうかし──」
そう言いかけた時、ブチャラティが優しく私の頬に触れる。いきなりの事に目を丸くする私をよそに、彼は目を細めながら微笑む。
「La luna è bellissima……(月が綺麗だな……)」
そう囁いたブチャラティに、そっと口付けられる。驚くよりも今度は身を任せるように、ゆっくりと瞳を閉じた。
***
「──驚かせてしまったか?」
ブチャラティの声と共に、スッと彼を見据える。
「うん、ちょっぴりね……」
「すまないな……でも、あまりにも綺麗だったから、つい惹かれてしまった……でも、出来心じゃあない。そう、俺はずっと前からお前の事が──」
再び近くなる気配に、思わず瞳を閉じる。耳元で『Ti amo……』と囁かれ、そして再び唇が重なる。今度は深く深く、絡み合うように──
「ん…っ……」
思わず甘い吐息が漏れる。
唇を離した2人は互いに見つめ合い、そして微笑み合う。
そんな2人の影が月明かりに照らし出された──
それは満月の夜に起きた……
あまりにも素敵な出来事──
the END