愛を込めて花束を
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私がさっきからしきりに時計を気にしているのは、彼の帰りを待っているから。
テーブルの上には、彼の好きな料理にお酒、ちょっとしたプレゼント。それらを目の前に用意しながら、彼の帰りを待っているのだ。なぜなら今日は誕生日だから。
昼過ぎに、“今日はなるべく早く帰るから”と、わざわざ彼から連絡が入った。
責任感の強い彼だから、普段は自分だけ先に帰るようなことはしない。だからいつも帰りが遅くなることが多い。でも、今日くらいは早く帰って来てほしい──と、そう思いながら、再び時計に目を向けた時、玄関から物音が聞こえた。
彼が帰ってきたことがわかった私は、足取りも軽く、玄関へと向かう。
玄関扉を開けて入ってきた彼に、“おかえりなさい”と、声をかけた。
「あぁ、ただいま……」
彼が何だか照れ臭そうに口元を手で覆った。
「いや……今までは、帰宅しても出迎えてもらいうことなんてなかったからな……嬉しいと思う反面──やっぱりまだ慣れないな……」
私たちは、先日同棲を始めたばかりだ。だから、こういうやりとりが、まだ初々しく感じる。そして今日は、初めて迎える彼の誕生日。私は、冗談混じりにこんな質問をしてみせた。お風呂にする?ご飯にする?それとも、私?なんて──
すると、彼から思いがけない返事をされる。
「じゃあ、今日は“おまえ”にするとしようかな……?」
そう言った彼が、私の頬に手を添え口付ける。初めは軽く、そして、次に角度を変えながら深く──
驚いてしまった私は、思わず一歩後ろへと下がる。
「おいおい、どうした……? 自分にするかと聞いたのは、おまえの方だろ……?」
ニヒルな笑みを浮かべた彼が、腰に手を添えグッと引き寄せてくる。
「そんな顔もするんだな……かわいいぜ──」
耳元で囁かれてしまったから、思わず顔を背けてしまった。それを目にした彼が、満足そうな笑みを浮かべる。
「冗談だ……食事にするよ。さっきから美味そうな匂いがしているからな。冷めてしまわない内にいただくよ。それから風呂に入って、後はゆっくりと……な」
そう言って、リビングに向かう彼を呼び止める。“何だ?”と、言って振り返る彼に、私は、今日一番伝えたかったことを告げる。
「ブチャラティ……お誕生日、おめでとう──」
すると、優しく目を細めた彼が“Grazie”と、言葉を返してくれた。
その笑顔は私にとって、最高のお返しだ。
テーブルの上には、彼の好きな料理にお酒、ちょっとしたプレゼント。それらを目の前に用意しながら、彼の帰りを待っているのだ。なぜなら今日は誕生日だから。
昼過ぎに、“今日はなるべく早く帰るから”と、わざわざ彼から連絡が入った。
責任感の強い彼だから、普段は自分だけ先に帰るようなことはしない。だからいつも帰りが遅くなることが多い。でも、今日くらいは早く帰って来てほしい──と、そう思いながら、再び時計に目を向けた時、玄関から物音が聞こえた。
彼が帰ってきたことがわかった私は、足取りも軽く、玄関へと向かう。
玄関扉を開けて入ってきた彼に、“おかえりなさい”と、声をかけた。
「あぁ、ただいま……」
彼が何だか照れ臭そうに口元を手で覆った。
「いや……今までは、帰宅しても出迎えてもらいうことなんてなかったからな……嬉しいと思う反面──やっぱりまだ慣れないな……」
私たちは、先日同棲を始めたばかりだ。だから、こういうやりとりが、まだ初々しく感じる。そして今日は、初めて迎える彼の誕生日。私は、冗談混じりにこんな質問をしてみせた。お風呂にする?ご飯にする?それとも、私?なんて──
すると、彼から思いがけない返事をされる。
「じゃあ、今日は“おまえ”にするとしようかな……?」
そう言った彼が、私の頬に手を添え口付ける。初めは軽く、そして、次に角度を変えながら深く──
驚いてしまった私は、思わず一歩後ろへと下がる。
「おいおい、どうした……? 自分にするかと聞いたのは、おまえの方だろ……?」
ニヒルな笑みを浮かべた彼が、腰に手を添えグッと引き寄せてくる。
「そんな顔もするんだな……かわいいぜ──」
耳元で囁かれてしまったから、思わず顔を背けてしまった。それを目にした彼が、満足そうな笑みを浮かべる。
「冗談だ……食事にするよ。さっきから美味そうな匂いがしているからな。冷めてしまわない内にいただくよ。それから風呂に入って、後はゆっくりと……な」
そう言って、リビングに向かう彼を呼び止める。“何だ?”と、言って振り返る彼に、私は、今日一番伝えたかったことを告げる。
「ブチャラティ……お誕生日、おめでとう──」
すると、優しく目を細めた彼が“Grazie”と、言葉を返してくれた。
その笑顔は私にとって、最高のお返しだ。
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