第14章 Tree Rings
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着替えを済ませ、身なりを整えてアジトへと舞い戻る。そして建物の前まで来た時だ。後方から呼び止められる。
「おい! そこで何してる……?」
聞き覚えのある声に、思わず振り返る。
そこに立っていたのは、ライトブルーの巻き髪に赤いメガネの男。それは間違いなくあの人物──
振り返った私を目の当たりにして、男の方も目を丸くしている。
「お前……キアラ……か!?」
「えっ、私の事……覚えててくれたの?」
「え、あっ、べ、別にそんなんじゃあねーし! 一々そんな事、突っ込んで聞いてきてんじゃあねーよ、クソっ!」
「その口調……相変わらずね」
「うるせーよ! それより、そんなところに突っ立ってたら邪魔だろォがよ〜、中に入るならとっとと入りやがれ!」
「ハイハイ──」
促されるように私は、再び暗殺チームのアジトへと足を踏み入れる。
「おい、リゾット! 居るんだろ? 表にキアラがよォ〜」
そう言いながらリビングに入るギアッチョに気付き、すぐさまリゾットが返事をする。
「あぁ、知っている……早かったな」
「そう?」
そう答えながら、私は不意にあたりを見回していた。そう言えば、“また明日”と言って昨日別れた人物の顔をまだ見ていない──別に待っているわけじゃあないけれど……
その事を察したかのようにギアッチョが話し始める。
「あ〜、そういやァ、アイツは例の件の調べが入ったから、戻りは遅くなるってよ。ペッシも同行してる」
「そうか……」
例の件……ピンと来たが、今は気付かない素振りをしてみせる。その時、リゾットが話しかけてきた。
「そんなに早く会いたいか? プロシュートに──」
「えっ……」
「お前……気付いていないのか? 随分寂しそうな顔をしている……昨日会っただけじゃあ、足りなかったか?」
「別にそんな事は──」
「それにしては、表情がどことなく浮かない気がするが……?」
そう言ってリゾットが口角の端を釣り上げる。その“分かりきっている”と言わんばかり態度に、私は口先を尖らせながら、彼に鋭い視線を差し向ける。それを横目に見ながら、ギアッチョが話に割って入る。
「何だよ、やっぱりアイツは特別扱いかよ!?」
「何〜? ギアッチョ、それってヤキモチとか?」
さっきの腹いせに、少しだけギアッチョに意地悪な態度をとってしまう。
「あぁ!? んなわけねーだろ!? 舐めてんのか、このギアッチョをよォ〜!?」
ギアッチョの怒号が響いた時、アジトへまたある人物が戻ってきた。
「帰ったぜ〜……んんっ……!?」
私を見るなり固まってしまった坊主頭の男と、その後ろから来たのはピンクの髪にアイマスクをした男。そしてもう1人は、アジトの鏡から突如として現れる──ホルマジオとメローネ、それにイルーゾォの3人だ。
「お前……今日戻ってきたのか!? ホント久し振りだなァ……しばらく見ねー間によォ、またちょっといい女になってんじゃあねーかァ、ちょっと相手してくれよ?」
「ホルマジオよォ、やめとけ……アイツに殺されっぞ?」
「ディモールト!! 今日はいい日だな……で、ここは“おかえり”って言いてもいい感じ……?」
一気に話しかけられ少したじろいていると、おもむろにリゾットが立ち上がる。
「プロシュートとペッシには後でだが……とりあえず、今揃ってるお前らに簡単にだが事の経緯を話す──」
リゾットがそう言うと同時に、皆が一瞬にして静かになる。
「見ての通りだが……今日からキアラが再びこのチームで行動を共にする。そして、今後は俺ではなく、キアラの指示に従ってもらう──」
「おいおい、なんでキアラの奴に指示されなきゃならねーんだよ……?」
「それはだなァ、ギアッチョ…… キアラが俺たちの上にあたる……つまり幹部だからだ」
聞かされていない事実を知ったメンバーの表情が一変する。そして、リゾットが再び話を続ける。
「一応今回の任務の事だが──とりあえず、ある人物に対する調べは、一通り終えている……だが、いくつか引っかかるところがあってな……その点について、今調べ始めているところだ。報告は以上だ」
皆はただ黙ったままだ。そこで、私は話を切り替える。
「分かったわ……ねぇ、みんなは私が幹部でも、以前の様に接してくれて構わないわ。ただ、この調べを進めるにあたって、一つだけあなた達に命令するとすれば──」
私は一呼吸置いてから口を開く。
「死なないで……私はもう部下を……仲間を誰一人として失いたくないの。だから、それだけは約束してほしい──」
そう言って視線を下に向ける私に、ギアッチョがポツリと呟く。
「俺達のチームはよォ、誰一人として欠けたことはねーし、これからもそれはありえねーな……それに、オメーがそう願うなら尚更だ」
私はギアッチョの言葉に違和感を覚える。思わずリゾットに目を向けるも、その表情から嘘偽りは感じられなかった。……何かがおかしい。それは次の一言で確信へと変わる。
「まぁ、俺ら チーム7人 は、そう簡単に死なねーよ」
「そ、そうね……まぁ、いいわ。とにかく勝手な行動はご法度……その時は容赦無く粛清させてもらうわ」
そう言って私は、皆の表情を垣間見るも、全員が落ち着きはらっている。この状況……やはり違和感を感じる。だとすれば──
私がその理由に気付く頃には、また新たに時が動き出そうとしていた。
「おい! そこで何してる……?」
聞き覚えのある声に、思わず振り返る。
そこに立っていたのは、ライトブルーの巻き髪に赤いメガネの男。それは間違いなくあの人物──
振り返った私を目の当たりにして、男の方も目を丸くしている。
「お前……キアラ……か!?」
「えっ、私の事……覚えててくれたの?」
「え、あっ、べ、別にそんなんじゃあねーし! 一々そんな事、突っ込んで聞いてきてんじゃあねーよ、クソっ!」
「その口調……相変わらずね」
「うるせーよ! それより、そんなところに突っ立ってたら邪魔だろォがよ〜、中に入るならとっとと入りやがれ!」
「ハイハイ──」
促されるように私は、再び暗殺チームのアジトへと足を踏み入れる。
「おい、リゾット! 居るんだろ? 表にキアラがよォ〜」
そう言いながらリビングに入るギアッチョに気付き、すぐさまリゾットが返事をする。
「あぁ、知っている……早かったな」
「そう?」
そう答えながら、私は不意にあたりを見回していた。そう言えば、“また明日”と言って昨日別れた人物の顔をまだ見ていない──別に待っているわけじゃあないけれど……
その事を察したかのようにギアッチョが話し始める。
「あ〜、そういやァ、アイツは例の件の調べが入ったから、戻りは遅くなるってよ。ペッシも同行してる」
「そうか……」
例の件……ピンと来たが、今は気付かない素振りをしてみせる。その時、リゾットが話しかけてきた。
「そんなに早く会いたいか? プロシュートに──」
「えっ……」
「お前……気付いていないのか? 随分寂しそうな顔をしている……昨日会っただけじゃあ、足りなかったか?」
「別にそんな事は──」
「それにしては、表情がどことなく浮かない気がするが……?」
そう言ってリゾットが口角の端を釣り上げる。その“分かりきっている”と言わんばかり態度に、私は口先を尖らせながら、彼に鋭い視線を差し向ける。それを横目に見ながら、ギアッチョが話に割って入る。
「何だよ、やっぱりアイツは特別扱いかよ!?」
「何〜? ギアッチョ、それってヤキモチとか?」
さっきの腹いせに、少しだけギアッチョに意地悪な態度をとってしまう。
「あぁ!? んなわけねーだろ!? 舐めてんのか、このギアッチョをよォ〜!?」
ギアッチョの怒号が響いた時、アジトへまたある人物が戻ってきた。
「帰ったぜ〜……んんっ……!?」
私を見るなり固まってしまった坊主頭の男と、その後ろから来たのはピンクの髪にアイマスクをした男。そしてもう1人は、アジトの鏡から突如として現れる──ホルマジオとメローネ、それにイルーゾォの3人だ。
「お前……今日戻ってきたのか!? ホント久し振りだなァ……しばらく見ねー間によォ、またちょっといい女になってんじゃあねーかァ、ちょっと相手してくれよ?」
「ホルマジオよォ、やめとけ……アイツに殺されっぞ?」
「ディモールト!! 今日はいい日だな……で、ここは“おかえり”って言いてもいい感じ……?」
一気に話しかけられ少したじろいていると、おもむろにリゾットが立ち上がる。
「プロシュートとペッシには後でだが……とりあえず、今揃ってるお前らに簡単にだが事の経緯を話す──」
リゾットがそう言うと同時に、皆が一瞬にして静かになる。
「見ての通りだが……今日からキアラが再びこのチームで行動を共にする。そして、今後は俺ではなく、キアラの指示に従ってもらう──」
「おいおい、なんでキアラの奴に指示されなきゃならねーんだよ……?」
「それはだなァ、ギアッチョ…… キアラが俺たちの上にあたる……つまり幹部だからだ」
聞かされていない事実を知ったメンバーの表情が一変する。そして、リゾットが再び話を続ける。
「一応今回の任務の事だが──とりあえず、ある人物に対する調べは、一通り終えている……だが、いくつか引っかかるところがあってな……その点について、今調べ始めているところだ。報告は以上だ」
皆はただ黙ったままだ。そこで、私は話を切り替える。
「分かったわ……ねぇ、みんなは私が幹部でも、以前の様に接してくれて構わないわ。ただ、この調べを進めるにあたって、一つだけあなた達に命令するとすれば──」
私は一呼吸置いてから口を開く。
「死なないで……私はもう部下を……仲間を誰一人として失いたくないの。だから、それだけは約束してほしい──」
そう言って視線を下に向ける私に、ギアッチョがポツリと呟く。
「俺達のチームはよォ、誰一人として欠けたことはねーし、これからもそれはありえねーな……それに、オメーがそう願うなら尚更だ」
私はギアッチョの言葉に違和感を覚える。思わずリゾットに目を向けるも、その表情から嘘偽りは感じられなかった。……何かがおかしい。それは次の一言で確信へと変わる。
「まぁ、俺ら
「そ、そうね……まぁ、いいわ。とにかく勝手な行動はご法度……その時は容赦無く粛清させてもらうわ」
そう言って私は、皆の表情を垣間見るも、全員が落ち着きはらっている。この状況……やはり違和感を感じる。だとすれば──
私がその理由に気付く頃には、また新たに時が動き出そうとしていた。
←To Be Continued|/
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