Amore of attimo ❺
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翌朝──
アラームが鳴る前に目覚めてしまった私は、物憂げに天井を見上げる。不意に思い浮かんだのはプロシュートの事。でも今は、やらねばならないことが──
そう思って起き上がろうとした次の瞬間……ズキッとまた頭が痛む。それと同時に腕のアザが疼くのを感じた。見ると昨日より更に色濃く映る。それを隠すように上着の袖に手を通し、素早く身支度を整える。
部屋を出てリビングに向かうと、そこにはすでにリゾットの姿があった。
本来なら、今日は彼と任務を共にする日だった。まぁ、私がいなくとも、彼なら任務を完璧にこなす事くらい朝飯前だろう。
「おはよう」
「あぁ、気分はどうだ?」
「大丈夫……じゃあ、お願いね」
「無理はするな……キアラ──」
「何……?」
「……いや、……プロシュートには連絡したのか? お前……本当は好きなんだろ?」
「!?」
見透かされているのは分かっていた……でも、なぜリゾットがそんな悲しそうな眼をしているのか、私には分からなかった。いや、分からないふりをしていた。
「リゾット──」
「行ってくる……」
私の呼びかけを遮るように背を向けると、リゾットはそのままアジトを後にする。
1人残された私は、その背中を無言で見送る。そして私はとある場所へと単身乗り込む──
***
その後、アジトには皆が集まり、他愛のない会話が聞こえてくる。それは、いつもの日常。しかし、その日はすれ違いからか……プロシュートとは、一度も顔を合わすことはなかった。そして夜には私とリゾットの2人きりとなった。
一息着こうと思い、リゾットにもエスプレッソを入れてソファー前のテーブルに置いた。
「そろそろ休憩にしたら?」
「あぁ……」
リゾットがソファーへと場所を移す。私は、先にソファーでくつろぎながら、雑誌を横目にエスプレッソを飲んでいると、不意に視線を感じる。
「何……?」
「いや……体調はどうだ?」
「大丈夫! 今日は頭痛もないし、昨日はちょっと疲れてたみたい。今日休ませてもらったから、明日からまた──」
「そうか……プロシュートとは、会ったのか?」
「……あ、会ったわ! あ、あ〜そうそう、ペッシがさ、おやつ買ってきてくれたみたいなんだけど……リゾットも食べる? 冷蔵庫に入ってるの持ってくるね──」
そう言ってキッチンへ向かおうと立ち上がったところで、徐にリゾットに抱きしめられる。そんな事をされたのは今が初めてだった。
まさかリゾットが──驚きのあまり、思わず言葉を詰まらせる。
「えっ、ちょっ、リゾット……!?」
「…………」
「リゾットってば!」
次の瞬間、リゾットが抱きしめた腕を緩める。そして、視線を落としながら呟く。
「──あぁ、すまない」
「別に……ただ少し驚いただけ」
「……なぜだろうな……お前がそのままどこかに行ってしまうような気がしてな……」
そう言って私を見据えるリゾットの深紅の瞳に、嘘を見破られている気がした。でも、ここで悟られるわけにはいかない。
「何言ってるの? 私はここにいる……大体どこに行くっていうのよ? 私の居場所はいつだってここ! ……ねぇ、リゾット……あなた何日目?」
「ん?」
「──徹夜、してるんじゃあないの?」
「……あぁ、3日目だ」
その言葉にため息付く。やっぱり2人で任務に着くべきだった……でも、そんな事を今更思ったとしてももう遅い。それなら今、私にできる事は──
「やっぱりね……疲れてるのよ、だからあんな事──今日は、もう寝なよ? 私が言うのもなんだけど、リゾットは1人でなんでも抱え込み過ぎ。だから──」
キアラが背伸びをしながらリゾットの頭を撫でる。思わず身体がそう動いていた。ただ、癒してあげたいとそう思ったから。当然、リゾットは目を丸くする。
「!?」
「あっ、ごめん、つい……」
「──いや、構わん……」
「じゃあ、お菓子取ってくるね」
「キアラ……お前、嘘をついているな……?」
リゾットの言葉に、思わず行く足が止まる。私は振り返らず、背を向けたまま答える。
「えっ、急にどうしてそんな事聞くの?」
「お前……今日、本当は何をしていたんだ?」
「何って──」
「手荒な真似はしたくない……もう一度だけ尋ねる……いいな? お前は今日、どこで何をしていた? 答えろ!」
手荒な真似……それはきっとスタンド攻撃を意味しているのだろう……だが、リゾットの〈メタリカ〉だろうが、私の〈ジッター・バグ〉の前には無意味だ……だが、もう隠しきれない事は明白。
私は深く息を吸い……そして一気に吐き捨てると、ゆっくりとリゾットの方に向き直り話し始める。
「私……思い出したの。私の本当の目的──そして居場所を。ここでの目的はもう果たした……だから、行かなきゃならないの」
「答えになっていない……俺は今日、何をしていたのか聞いている!」
「それをあなたに答える義務はないわ!」
「お前……一体、何者なんだ?」
「──ッ」
再び急に頭痛に襲われる。もう時間はあまり残されいない……
「リゾット……私はこの前ここを立ち去るつもりよ……理由は明かせない……今は明かせないの」
「お前……」
肩を震わせながら、目からは涙がこぼれ落ちる。思わず歩み寄るリゾットを前に、手を前に突き立て、これ以上近付くなと警告を促す。
「ごめんなさい……最後に一つだけあなたに頼みたい事があるの。プロシュートに伝えて欲しい。私は──」
その一言を残して、私は姿を消した。リゾットは、それ以上何も聞いてこなかったが、あの時のあの瞳だけは、今も忘れる事が出来なかった。
アラームが鳴る前に目覚めてしまった私は、物憂げに天井を見上げる。不意に思い浮かんだのはプロシュートの事。でも今は、やらねばならないことが──
そう思って起き上がろうとした次の瞬間……ズキッとまた頭が痛む。それと同時に腕のアザが疼くのを感じた。見ると昨日より更に色濃く映る。それを隠すように上着の袖に手を通し、素早く身支度を整える。
部屋を出てリビングに向かうと、そこにはすでにリゾットの姿があった。
本来なら、今日は彼と任務を共にする日だった。まぁ、私がいなくとも、彼なら任務を完璧にこなす事くらい朝飯前だろう。
「おはよう」
「あぁ、気分はどうだ?」
「大丈夫……じゃあ、お願いね」
「無理はするな……キアラ──」
「何……?」
「……いや、……プロシュートには連絡したのか? お前……本当は好きなんだろ?」
「!?」
見透かされているのは分かっていた……でも、なぜリゾットがそんな悲しそうな眼をしているのか、私には分からなかった。いや、分からないふりをしていた。
「リゾット──」
「行ってくる……」
私の呼びかけを遮るように背を向けると、リゾットはそのままアジトを後にする。
1人残された私は、その背中を無言で見送る。そして私はとある場所へと単身乗り込む──
***
その後、アジトには皆が集まり、他愛のない会話が聞こえてくる。それは、いつもの日常。しかし、その日はすれ違いからか……プロシュートとは、一度も顔を合わすことはなかった。そして夜には私とリゾットの2人きりとなった。
一息着こうと思い、リゾットにもエスプレッソを入れてソファー前のテーブルに置いた。
「そろそろ休憩にしたら?」
「あぁ……」
リゾットがソファーへと場所を移す。私は、先にソファーでくつろぎながら、雑誌を横目にエスプレッソを飲んでいると、不意に視線を感じる。
「何……?」
「いや……体調はどうだ?」
「大丈夫! 今日は頭痛もないし、昨日はちょっと疲れてたみたい。今日休ませてもらったから、明日からまた──」
「そうか……プロシュートとは、会ったのか?」
「……あ、会ったわ! あ、あ〜そうそう、ペッシがさ、おやつ買ってきてくれたみたいなんだけど……リゾットも食べる? 冷蔵庫に入ってるの持ってくるね──」
そう言ってキッチンへ向かおうと立ち上がったところで、徐にリゾットに抱きしめられる。そんな事をされたのは今が初めてだった。
まさかリゾットが──驚きのあまり、思わず言葉を詰まらせる。
「えっ、ちょっ、リゾット……!?」
「…………」
「リゾットってば!」
次の瞬間、リゾットが抱きしめた腕を緩める。そして、視線を落としながら呟く。
「──あぁ、すまない」
「別に……ただ少し驚いただけ」
「……なぜだろうな……お前がそのままどこかに行ってしまうような気がしてな……」
そう言って私を見据えるリゾットの深紅の瞳に、嘘を見破られている気がした。でも、ここで悟られるわけにはいかない。
「何言ってるの? 私はここにいる……大体どこに行くっていうのよ? 私の居場所はいつだってここ! ……ねぇ、リゾット……あなた何日目?」
「ん?」
「──徹夜、してるんじゃあないの?」
「……あぁ、3日目だ」
その言葉にため息付く。やっぱり2人で任務に着くべきだった……でも、そんな事を今更思ったとしてももう遅い。それなら今、私にできる事は──
「やっぱりね……疲れてるのよ、だからあんな事──今日は、もう寝なよ? 私が言うのもなんだけど、リゾットは1人でなんでも抱え込み過ぎ。だから──」
キアラが背伸びをしながらリゾットの頭を撫でる。思わず身体がそう動いていた。ただ、癒してあげたいとそう思ったから。当然、リゾットは目を丸くする。
「!?」
「あっ、ごめん、つい……」
「──いや、構わん……」
「じゃあ、お菓子取ってくるね」
「キアラ……お前、嘘をついているな……?」
リゾットの言葉に、思わず行く足が止まる。私は振り返らず、背を向けたまま答える。
「えっ、急にどうしてそんな事聞くの?」
「お前……今日、本当は何をしていたんだ?」
「何って──」
「手荒な真似はしたくない……もう一度だけ尋ねる……いいな? お前は今日、どこで何をしていた? 答えろ!」
手荒な真似……それはきっとスタンド攻撃を意味しているのだろう……だが、リゾットの〈メタリカ〉だろうが、私の〈ジッター・バグ〉の前には無意味だ……だが、もう隠しきれない事は明白。
私は深く息を吸い……そして一気に吐き捨てると、ゆっくりとリゾットの方に向き直り話し始める。
「私……思い出したの。私の本当の目的──そして居場所を。ここでの目的はもう果たした……だから、行かなきゃならないの」
「答えになっていない……俺は今日、何をしていたのか聞いている!」
「それをあなたに答える義務はないわ!」
「お前……一体、何者なんだ?」
「──ッ」
再び急に頭痛に襲われる。もう時間はあまり残されいない……
「リゾット……私はこの前ここを立ち去るつもりよ……理由は明かせない……今は明かせないの」
「お前……」
肩を震わせながら、目からは涙がこぼれ落ちる。思わず歩み寄るリゾットを前に、手を前に突き立て、これ以上近付くなと警告を促す。
「ごめんなさい……最後に一つだけあなたに頼みたい事があるの。プロシュートに伝えて欲しい。私は──」
その一言を残して、私は姿を消した。リゾットは、それ以上何も聞いてこなかったが、あの時のあの瞳だけは、今も忘れる事が出来なかった。