Amore of attimo ❹
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一方キアラも、昨晩の事を思い出していた──
さっきは慌てて出てきてしまったから、その後、プロシュートがどうしたのかも若干気にはなっていたが……それよりも昨日言われた“好きだ”の言葉が、頭から離れなかった。
プロシュートの言葉は果たして本心なのだろうか……? そして私自身、なぜあんな事してしまったのか……そんな事をしてもただ虚しいだけなのに──
そう思いながら、キアラが無意識に唇に触れた時、頭の中に言葉が流れ込んできた。
“昨日の事も今朝のキスさえも……全部キエテシマウノニ……?”
「──ッ……おい、キアラ!」
「……え?」
「テメー、何ボサッとしてんだ! 話聞いてんのかよ!?」
「ご、ごめん! ……で、何だっけ?」
「ったくよォ……ターゲットの居場所はここら辺だって言ったんだよッ! ちゃんと覚えとけよな、クソッ……」
頭を掻きながら、呆れた様子のギアッチョだが、どうにも心ここに在らずなキアラの様子を横目に、ポツリと呟く。
「──そんなに気になるか……部屋に置いてきたアイツの事がよォ……」
「えっ、今なんか言った……?」
「あ? 何でもねーよ! とにかく今は任務に集中しろ!」
本当は聞こえていたギアッチョの言葉に、バレているかもしれない……内心焦りの色を浮かべつつ……キアラはギアッチョとの任務を続けた。
その後、ターゲットの情報収集を終えた2人は、アジトへと戻る。その帰路で、不意にキアラが話を持ちかける。
「ねぇみんなにさ、ジェラート買って帰らない? そろそろmerenda の時間でしょう?」
「確かに……なんか小腹空いたしな」
「じゃあ、決まりね! 何の味買ってく──」
自分が投げかけた質問に、不意に気付かされてしまう……プロシュートの味の好みすら知らない事に──
考えてみても、付き合いも浅いからそれは仕方のない事かもしれない……でも、自分は所詮、他所者なのだと思い知らされる。
でも、本当にナニモシラナイノ……?
急に立ち止まるキアラに、ギアッチョが振り返る。その物憂げな表情は、どこか見ていて痛々しいと思うくらいだった。だが、それも一瞬だけだったのか、はたまた見間違えだったのかと思うくらい、アジトに帰り着いた時には、キアラの様子はいつもと変わらなかった。
その事を裏付けるかの如く、キアラは勢いよくリビングのドアを開ける。
「ただいま〜! ジェラート買ってきたからみんなで食べよ〜!」
「調べはついたのか?」
「うん、問題なくギアッチョが調べてくれたよ!」
「おいおい、お前は何しに行ったんだよ?」
「ん〜、付き添い?」
「何言ってんだよ、全くしょーがねぇなァ」
そんな会話をしながら、不意にキアラが辺りを見回す。探しているのはもちろん──そんな様子を垣間見ながら、リゾットが話しかける。
「プロシュートなら、今日はまだ戻ってきてないぞ?」
「あ、そ、そう……ねぇ、リゾットも一緒に食べよ! 何味が好き?」
「……キアラ、悪いが後でこれをプロシュートに持っていってくれないか?」
「え……」
「頼んだぞ。……なんなら、今夜はこっちに戻ってこなくてもいいのだが──」
「──!」
リゾットの一言に、キアラが目を見開く。パッと表を上げ、目にしたリゾットが口角をあげている。その様子を目の当たりにしたキアラは、徐々に顔が赤らむのを感じ、思わず顔を背ける。
やっぱりリゾットにはバレていた……惚けても無駄だと思い、キアラはただ『分かった』とだけ返事を返した。
***
夕暮れ時──
私は、教えられた場所へと向かう。結局、あれ以降もプロシュートはアジトに顔を出さなかった。今朝、『また後で──』と、確かにそう言っていたのに……
そんな少しばかりの 憤 りを覚える自分がいる事さえ、腹立たしく思えた。
そんな気分を落ち着かせるかの如く、軽く深呼吸を繰り返す。そして、インターフォンを押し、入り口前で待った。程なくして、ガチャリと玄関のドアが開く。
そこには、普段よりかなりラフな服装、前髪を下ろし、後ろで軽く束ねたプロシュートが現れた。
「キアラ……!? お前、どうしてここに……!? アジトには、後で行くつもりだったんだが──」
「あ、あのさ──」
私が言いかけたその時、部屋の奥からプロシュートに呼びかける声が聞こえてくる。それは甘い猫撫で声。
「プロシュート〜、誰が来たの〜? 早く戻ってきて、続き……ましょう?」
「チッ……アイツ、何であんな言い方──」
その時私は悟った。そうか……そうだよね……プロシュートはモテる──それは、紛れもない事実。任務で女性と絡むこともあるだろうし、言い寄る女性は五万といるだろう……そして、自分もその中の1人に過ぎない──
そんな事は分かっていた……分かってはいたけど、自分はほんの少しだけ特別なんじゃあないかと、そう思っていた。そんな些細な奢 りが、自分自身を欲張りにしてしまった様だ……でも、そうじゃない現実を突き付けられる。けれど、即座に気持ちを切り替えて、要件だけを端的に伝える。
「ご、ごめん! 取り込み中……だったよね? 別に大した用じゃあないの。リゾットにこれを渡して欲しいって頼まれて──用事ついでに立ち寄っただけだから……はい、これ! ……じ、じゃあまた明日」
「おい、キアラ!……クソッ」
プロシュートから逃げるようにその場を立ち去る──ある程度離れたところで、ため息付きながら、うつむきがちにアジトへの帰路を歩く。
多分追ってなどこないだろう……少しでも昨日の言葉を鵜呑みにした自分に嫌気がさした。もう、やめよう……誰かを想うことなんて……だって、私にはある目的が──?
そう思っていた矢先、急に腕を掴まれる。ビックリして振り返った私は、そこにいた人物に目を見開く。腕を掴んだのは、息を切らしたプロシュートだった。
「な、何でここにいるの!? さっきのお連れ様は……?」
「勘違いしてんじゃねぇよ……さっきの女は情報屋だ。ターゲットについて調べさせていた。普段は、部屋にあげる様なマネはしねぇよ! だが、今回はどうやって調べたかしらねーが、わざわざ家まで乗り込んできやがった」
「別に……私なんかに、そんな言い訳なんてする必要ないでしょう?」
プロシュートから顔を逸らしながら、私は冷たく言い放つ。本当は、後を追ってきてくれた事が嬉しかった……でも、わざと突き放なすような言い方をして、プロシュートがなんで答えるか……それが知りたくもなった。
「俺は、お前に悪く思われたくない……だから違うって言ってんだ!」
「それって……どういう意味?」
「俺は、遊びでお前を抱いたんじゃあねぇ……言葉が欲しいなら、くれてやる……“俺の女になれ”……いいな?」
「……なにそれ……本当偉そうに、随分と上から目線じゃあない! 私があなたに惚れているとでも思ってるの? 冗談も大概に──」
そう言い終わるか否か──私は既にプロシュートの腕の中にいた。そして、自らも自然と背中へと両腕をまわす。
「惚れてんのは俺の方だ……つべこべ言わずに今から家に来い……」
「えっ、でも──」
「情報屋は、お前が来た後すぐに帰らせた……俺は今すぐにでもお前を抱きたい……」
「ちょっ、なにそれ……ただヤリたいだけなんじゃ──」
「んなわけねーだろ? ただ……お前が好きなだけだ……」
そう言うプロシュートと唇が重なる──
その口付けは、ほろ苦く……でも微かに甘甘い……そんな気がした。そして小さく微笑むキアラが、どこか物悲しそうに見えたのは、この先起こる出来事を示唆していたからかもしれない。
さっきは慌てて出てきてしまったから、その後、プロシュートがどうしたのかも若干気にはなっていたが……それよりも昨日言われた“好きだ”の言葉が、頭から離れなかった。
プロシュートの言葉は果たして本心なのだろうか……? そして私自身、なぜあんな事してしまったのか……そんな事をしてもただ虚しいだけなのに──
そう思いながら、キアラが無意識に唇に触れた時、頭の中に言葉が流れ込んできた。
“昨日の事も今朝のキスさえも……全部キエテシマウノニ……?”
「──ッ……おい、キアラ!」
「……え?」
「テメー、何ボサッとしてんだ! 話聞いてんのかよ!?」
「ご、ごめん! ……で、何だっけ?」
「ったくよォ……ターゲットの居場所はここら辺だって言ったんだよッ! ちゃんと覚えとけよな、クソッ……」
頭を掻きながら、呆れた様子のギアッチョだが、どうにも心ここに在らずなキアラの様子を横目に、ポツリと呟く。
「──そんなに気になるか……部屋に置いてきたアイツの事がよォ……」
「えっ、今なんか言った……?」
「あ? 何でもねーよ! とにかく今は任務に集中しろ!」
本当は聞こえていたギアッチョの言葉に、バレているかもしれない……内心焦りの色を浮かべつつ……キアラはギアッチョとの任務を続けた。
その後、ターゲットの情報収集を終えた2人は、アジトへと戻る。その帰路で、不意にキアラが話を持ちかける。
「ねぇみんなにさ、ジェラート買って帰らない? そろそろ
「確かに……なんか小腹空いたしな」
「じゃあ、決まりね! 何の味買ってく──」
自分が投げかけた質問に、不意に気付かされてしまう……プロシュートの味の好みすら知らない事に──
考えてみても、付き合いも浅いからそれは仕方のない事かもしれない……でも、自分は所詮、他所者なのだと思い知らされる。
でも、本当にナニモシラナイノ……?
急に立ち止まるキアラに、ギアッチョが振り返る。その物憂げな表情は、どこか見ていて痛々しいと思うくらいだった。だが、それも一瞬だけだったのか、はたまた見間違えだったのかと思うくらい、アジトに帰り着いた時には、キアラの様子はいつもと変わらなかった。
その事を裏付けるかの如く、キアラは勢いよくリビングのドアを開ける。
「ただいま〜! ジェラート買ってきたからみんなで食べよ〜!」
「調べはついたのか?」
「うん、問題なくギアッチョが調べてくれたよ!」
「おいおい、お前は何しに行ったんだよ?」
「ん〜、付き添い?」
「何言ってんだよ、全くしょーがねぇなァ」
そんな会話をしながら、不意にキアラが辺りを見回す。探しているのはもちろん──そんな様子を垣間見ながら、リゾットが話しかける。
「プロシュートなら、今日はまだ戻ってきてないぞ?」
「あ、そ、そう……ねぇ、リゾットも一緒に食べよ! 何味が好き?」
「……キアラ、悪いが後でこれをプロシュートに持っていってくれないか?」
「え……」
「頼んだぞ。……なんなら、今夜はこっちに戻ってこなくてもいいのだが──」
「──!」
リゾットの一言に、キアラが目を見開く。パッと表を上げ、目にしたリゾットが口角をあげている。その様子を目の当たりにしたキアラは、徐々に顔が赤らむのを感じ、思わず顔を背ける。
やっぱりリゾットにはバレていた……惚けても無駄だと思い、キアラはただ『分かった』とだけ返事を返した。
***
夕暮れ時──
私は、教えられた場所へと向かう。結局、あれ以降もプロシュートはアジトに顔を出さなかった。今朝、『また後で──』と、確かにそう言っていたのに……
そんな少しばかりの
そんな気分を落ち着かせるかの如く、軽く深呼吸を繰り返す。そして、インターフォンを押し、入り口前で待った。程なくして、ガチャリと玄関のドアが開く。
そこには、普段よりかなりラフな服装、前髪を下ろし、後ろで軽く束ねたプロシュートが現れた。
「キアラ……!? お前、どうしてここに……!? アジトには、後で行くつもりだったんだが──」
「あ、あのさ──」
私が言いかけたその時、部屋の奥からプロシュートに呼びかける声が聞こえてくる。それは甘い猫撫で声。
「プロシュート〜、誰が来たの〜? 早く戻ってきて、続き……ましょう?」
「チッ……アイツ、何であんな言い方──」
その時私は悟った。そうか……そうだよね……プロシュートはモテる──それは、紛れもない事実。任務で女性と絡むこともあるだろうし、言い寄る女性は五万といるだろう……そして、自分もその中の1人に過ぎない──
そんな事は分かっていた……分かってはいたけど、自分はほんの少しだけ特別なんじゃあないかと、そう思っていた。そんな些細な
「ご、ごめん! 取り込み中……だったよね? 別に大した用じゃあないの。リゾットにこれを渡して欲しいって頼まれて──用事ついでに立ち寄っただけだから……はい、これ! ……じ、じゃあまた明日」
「おい、キアラ!……クソッ」
プロシュートから逃げるようにその場を立ち去る──ある程度離れたところで、ため息付きながら、うつむきがちにアジトへの帰路を歩く。
多分追ってなどこないだろう……少しでも昨日の言葉を鵜呑みにした自分に嫌気がさした。もう、やめよう……誰かを想うことなんて……だって、私にはある目的が──?
そう思っていた矢先、急に腕を掴まれる。ビックリして振り返った私は、そこにいた人物に目を見開く。腕を掴んだのは、息を切らしたプロシュートだった。
「な、何でここにいるの!? さっきのお連れ様は……?」
「勘違いしてんじゃねぇよ……さっきの女は情報屋だ。ターゲットについて調べさせていた。普段は、部屋にあげる様なマネはしねぇよ! だが、今回はどうやって調べたかしらねーが、わざわざ家まで乗り込んできやがった」
「別に……私なんかに、そんな言い訳なんてする必要ないでしょう?」
プロシュートから顔を逸らしながら、私は冷たく言い放つ。本当は、後を追ってきてくれた事が嬉しかった……でも、わざと突き放なすような言い方をして、プロシュートがなんで答えるか……それが知りたくもなった。
「俺は、お前に悪く思われたくない……だから違うって言ってんだ!」
「それって……どういう意味?」
「俺は、遊びでお前を抱いたんじゃあねぇ……言葉が欲しいなら、くれてやる……“俺の女になれ”……いいな?」
「……なにそれ……本当偉そうに、随分と上から目線じゃあない! 私があなたに惚れているとでも思ってるの? 冗談も大概に──」
そう言い終わるか否か──私は既にプロシュートの腕の中にいた。そして、自らも自然と背中へと両腕をまわす。
「惚れてんのは俺の方だ……つべこべ言わずに今から家に来い……」
「えっ、でも──」
「情報屋は、お前が来た後すぐに帰らせた……俺は今すぐにでもお前を抱きたい……」
「ちょっ、なにそれ……ただヤリたいだけなんじゃ──」
「んなわけねーだろ? ただ……お前が好きなだけだ……」
そう言うプロシュートと唇が重なる──
その口付けは、ほろ苦く……でも微かに甘甘い……そんな気がした。そして小さく微笑むキアラが、どこか物悲しそうに見えたのは、この先起こる出来事を示唆していたからかもしれない。
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