Amore of attimo ❷
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私のスタンド──〈ジッター・バグ〉
その能力は、簡単に言えば相手を異空間に誘い込み、支配する。その空間すの射程範囲は、プロシュートの〈ザ・グレート・フルデッド〉と同等……もしくはそれ以上に及ぶ。
空間内では、全ての事が私の意のまま──だからこうして、相手のスタンド能力を封じ込め、身動きを取れなくする事も可能なのだ。
そんな風にねじ伏せられながらも尚、プロシュートは、私に鋭い視線を向け続けている。とりあえず、物腰柔らかに問いかける。
「あれ、リゾットから聞いてない? 今回、任務を一緒にする事になったって──」
「──ッ⁉︎ まさか、お前が⁉︎」
「そう、暗殺チームに配属になったのは、この私……よろしくね!」
和 やか微笑み、それと同時にスタンド能力を解除してみる。一瞬にして、周りの景色が元へと戻る。
体が軽くなったであろうプロシュートが、ゆっくりと立ち上がる。
私は一瞬身構えたが……彼は思いの外素直にスタンドをしまうと、私の方へと歩み寄る。
「お前、名前は?」
「キアラ……とりあえず、そう呼んで」
「キアラ、か……」
「まぁ、自己紹介はこれくらいにして……ねぇ、ターゲットが現れるのは、今夜でしょう?」
「もう話は聞いているみてぇだな……そう、今夜だ」
「じゃあ、まだ時間はあるし……先にアジトへ案内してよ?」
「……分かった。今、アジトにいるのはリゾットくらいだろうがな……とりあえず、ついて来い」
私は言われ通り、少し後ろをついて歩く。途中、薄暗い路地裏へと入ると、辺りの壁には至る所に落書きがされており、治安の悪さが浮き彫りとなっている。
しばらくして、プロシュートが足を止める。どうやらアジトに着いたようだ。彼に続いて、私も中へと足を踏み入れた。
通されたリビングには、テーブルを囲むようにグリーンのソファーが置かれてる。入り口のドアから1番遠い席に、男が1人座っていた。
「プロシュートか? 早かったな……ん? そっちの女は誰だ?」
「リゾット、コイツが例の助っ人だ……」
とりあえず挨拶を、と思い『どーも』と軽く頭を下げた後、チラリとリゾットに目を向ける。初めて会う本人は、がたいが良さそうに見えるからなのか……いかにもと言うような威圧感がある。しかも低音の声色は、どことなく艶っぽくも感じた。
私の視線にリゾットが合わさる。そして、言葉を詰まらせながら話す。
「お、女だったのか……!?」
「あれ? それも聞いてなかったの? まぁ、いっか……私はキアラ……よろしくね、リゾット」
とりあえず、ニコリと微笑み、愛想良く振る舞う……第一印象は重要だ。しかしリゾットは、無表情なまま──仕方なく、私は話を続ける。
「ねぇ、ここに部屋は、いくつあるの?」
「2階に個室が3つある。1つは俺の部屋だ。俺は アジト に、寝泊まりしているからな……」
なぜそんなことを聞くのか、と言わんばかりに、リゾットが 怪訝 そうな表情を浮かべている。でも、これは私にとっては重要なこと。何故なら──
「ふ〜ん、じゃあ部屋は、余ってるって事よね?」
「まぁ、そうだが……」
「その部屋、私が使ってもいい?」
「あぁ!? お前、何言ってんだ!?」
「別にいいでしょう? 私、決まった家がないの。いつもホテルとかを点々としてるから、ちゃんとした家があった方がいいかなって。もちろん、使用量は払うから」
「おい、どーすんだよ?」
「そうは言っても、女がここに住むのは……なァ」
そう言って、リゾットが返事を渋る。
一応気を遣ってくれているのか……リゾットは、意外に常識人なのかもしれない。だが、私もここで折れるわけにはいかない。
「じゃあ、“私をここに住まわす事”……これが、幹部命令なら聞けるかしら?」
「あ? どーゆー意味だ……?」
プロシュートが首を傾げながら、問いかける。その時、リゾットがハッと大きく目を見開く。
「もしかして、お前がルーチェ……なのか⁉︎」
「ルーチェって……おいおい、まさかだろ?」
「そうよ、流石リゾットね……私は、
キアラ……キアラ・ルーチェ……」
「ルーチェ……俺達、暗殺チームを新しく取り仕切る幹部…… まさか女だったとはな……」
「コイツを見る限り、なんかの間違いじゃあないかと思うだろうが……でも、さっきの能力からすると侮れねぇぜ、コイツはよォ……」
「ん? 何かあったのか?」
「ちょっと、挨拶がわりにスタンド能力を披露してみたの。それと、一応私、あなた達より立場は上なんだから、言葉遣いには気をつけてよね? コイツ呼ばわりしないで!」
「……ッ、悪かったな、幹部様よォ」
そっぽを向きながら、プロシュートが吐き捨てる。
案外従順? そう思うと少し犬っぽく見えて、笑いがこみ上げてくる。そんな私を怪訝そうに、プロシュートが睨み付けてくる。
「何笑ってんだ……?」
「別に。まぁ、しばらく任務を一緒にするって事が、今回ボスから出された指令だから……とりあえず仲良くやりましょう? ただ……私が幹部って事は、他のメンバーには内緒ね? その方が都合よく立ち回れるし。だから、新人扱いってことで、言葉遣いも気にしなくていいから──」
プロシュートに向けて、にこりと微笑む。それを見た彼は、してやられた感が否めなかったのであろう……舌打ちをしてタバコに火をつけた。
「……分かった。じゃあ、カモフラージュにプロシュート、お前がついてやれ」
「マジかよ……」
「よろしくね〜! あっ、そうそう、1つだけいい?」
「あ? 何でしょうか、幹部様……?」
「ちょっと、その言い方……まぁ、いいけど。とりあえず、“それ”、私と一緒の時は吸わないでくれる? 匂いがさ……頭が痛くなるから」
火をつけたばかりのタバコを指差して言い放つと、『分かった分かった、仰せの通りに』と嫌味に言いながらも、すぐに火を消してくれた。
「で、早速なんだけど、ちょっと買い物に付き合ってよ」
「あ? 買い物?」
「そう、行こ行こ〜!」
「おいッ、ちょっ、引っ張んな!」
厄介者を押し付けられたと言わんばかりに、プロシュートがうんざりとした表情を浮かべる。そんな事を後目に、私は彼の腕を掴みアジトを後にする。
面倒くさそうにしながらも、付き合ってくれるのか……さっきのタバコといい──彼は案外“優しい人”なのかもしれない──と、内心思いながらやって来たのは、近くの花屋。色とりどりの花々が並ぶ中、私は目当の商品を探す。
「えっと〜……あっ、あったあった! すみませ〜ん、これ下さ〜い!」
指差しているのは、とある大きな植木。私はそれを迷わず購入する。その傍らで、プロシュートがすぐ様止めに入る。
「ちょっと待て! お前これどうすんだ? まさかアジトに──」
「そう、アジトに置くの! だってあそこ何か暗いし、空気が淀んでるっていうか……私も住むとなれば、まずは環境整備からかなって。この植木、癒しにもなるんだよ? リゾット、かなり疲れた様子だったし……部下を 労 るのも幹部の務めでしょう?」
「お前……ちょっと変わってんな」
そう言ってプロシュートがフッと笑みを浮かべる。
初めて見るその表情に、一瞬胸の奥がギュッと掴まれたような気がした。
「──ッ」
「ん、どうかしたか……?」
「えっ、あ〜、な、何でも? そ、そうそうこの植木、詳しくは“アレカヤシ”って言って、マイナスイオンを発生させて、精神を落ち着かせる癒し効果があるの。後は、体内の血流をスムーズにして、汚れた血液を浄化してくれる。だから、健康にも良い……そういう効果があるの」
「へぇ〜……詳しいじゃあねーか」
「まぁね〜、それじゃあ、運搬よろしく!」
そう言って先に歩き出す。『おい、ちょっと待て!』と、後方からの呼びとめられるも……素知らぬ顔で先を急いだ。
その日を皮切りに、新人扱いとしてプロシュートと一緒にいる事が必然的に多くなっていった。
その傍らで、暗殺チーム内の“裏切り者”の影にも目を光らせる。しかし、彼らと一緒に過ごし、その人間味に触れていく内に、私自身、幹部とは言ったものの、今までよりもごく自然体で過ごせている気がしていた。
もちろん、彼らに暗殺の指示を出しているのは、他ならぬ自分自身……その瞬間に、普通の女の子には決してなれないという現実を突きつけられる。でも──
彼と一緒にいる時ぐらい、普通の女の子のように振る舞えたなら……なんて思い始めていた。
今思えば、この日から何かが終わりへと向かい始めていたのかもしれない。
ただこの時の私には、それを知るすべはなく──
今は今でしか存在しない……それが全てだった。
その能力は、簡単に言えば相手を異空間に誘い込み、支配する。その空間すの射程範囲は、プロシュートの〈ザ・グレート・フルデッド〉と同等……もしくはそれ以上に及ぶ。
空間内では、全ての事が私の意のまま──だからこうして、相手のスタンド能力を封じ込め、身動きを取れなくする事も可能なのだ。
そんな風にねじ伏せられながらも尚、プロシュートは、私に鋭い視線を向け続けている。とりあえず、物腰柔らかに問いかける。
「あれ、リゾットから聞いてない? 今回、任務を一緒にする事になったって──」
「──ッ⁉︎ まさか、お前が⁉︎」
「そう、暗殺チームに配属になったのは、この私……よろしくね!」
体が軽くなったであろうプロシュートが、ゆっくりと立ち上がる。
私は一瞬身構えたが……彼は思いの外素直にスタンドをしまうと、私の方へと歩み寄る。
「お前、名前は?」
「キアラ……とりあえず、そう呼んで」
「キアラ、か……」
「まぁ、自己紹介はこれくらいにして……ねぇ、ターゲットが現れるのは、今夜でしょう?」
「もう話は聞いているみてぇだな……そう、今夜だ」
「じゃあ、まだ時間はあるし……先にアジトへ案内してよ?」
「……分かった。今、アジトにいるのはリゾットくらいだろうがな……とりあえず、ついて来い」
私は言われ通り、少し後ろをついて歩く。途中、薄暗い路地裏へと入ると、辺りの壁には至る所に落書きがされており、治安の悪さが浮き彫りとなっている。
しばらくして、プロシュートが足を止める。どうやらアジトに着いたようだ。彼に続いて、私も中へと足を踏み入れた。
通されたリビングには、テーブルを囲むようにグリーンのソファーが置かれてる。入り口のドアから1番遠い席に、男が1人座っていた。
「プロシュートか? 早かったな……ん? そっちの女は誰だ?」
「リゾット、コイツが例の助っ人だ……」
とりあえず挨拶を、と思い『どーも』と軽く頭を下げた後、チラリとリゾットに目を向ける。初めて会う本人は、がたいが良さそうに見えるからなのか……いかにもと言うような威圧感がある。しかも低音の声色は、どことなく艶っぽくも感じた。
私の視線にリゾットが合わさる。そして、言葉を詰まらせながら話す。
「お、女だったのか……!?」
「あれ? それも聞いてなかったの? まぁ、いっか……私はキアラ……よろしくね、リゾット」
とりあえず、ニコリと微笑み、愛想良く振る舞う……第一印象は重要だ。しかしリゾットは、無表情なまま──仕方なく、私は話を続ける。
「ねぇ、ここに部屋は、いくつあるの?」
「2階に個室が3つある。1つは俺の部屋だ。俺は
なぜそんなことを聞くのか、と言わんばかりに、リゾットが
「ふ〜ん、じゃあ部屋は、余ってるって事よね?」
「まぁ、そうだが……」
「その部屋、私が使ってもいい?」
「あぁ!? お前、何言ってんだ!?」
「別にいいでしょう? 私、決まった家がないの。いつもホテルとかを点々としてるから、ちゃんとした家があった方がいいかなって。もちろん、使用量は払うから」
「おい、どーすんだよ?」
「そうは言っても、女がここに住むのは……なァ」
そう言って、リゾットが返事を渋る。
一応気を遣ってくれているのか……リゾットは、意外に常識人なのかもしれない。だが、私もここで折れるわけにはいかない。
「じゃあ、“私をここに住まわす事”……これが、幹部命令なら聞けるかしら?」
「あ? どーゆー意味だ……?」
プロシュートが首を傾げながら、問いかける。その時、リゾットがハッと大きく目を見開く。
「もしかして、お前がルーチェ……なのか⁉︎」
「ルーチェって……おいおい、まさかだろ?」
「そうよ、流石リゾットね……私は、
キアラ……キアラ・ルーチェ……」
「ルーチェ……俺達、暗殺チームを新しく取り仕切る幹部…… まさか女だったとはな……」
「コイツを見る限り、なんかの間違いじゃあないかと思うだろうが……でも、さっきの能力からすると侮れねぇぜ、コイツはよォ……」
「ん? 何かあったのか?」
「ちょっと、挨拶がわりにスタンド能力を披露してみたの。それと、一応私、あなた達より立場は上なんだから、言葉遣いには気をつけてよね? コイツ呼ばわりしないで!」
「……ッ、悪かったな、幹部様よォ」
そっぽを向きながら、プロシュートが吐き捨てる。
案外従順? そう思うと少し犬っぽく見えて、笑いがこみ上げてくる。そんな私を怪訝そうに、プロシュートが睨み付けてくる。
「何笑ってんだ……?」
「別に。まぁ、しばらく任務を一緒にするって事が、今回ボスから出された指令だから……とりあえず仲良くやりましょう? ただ……私が幹部って事は、他のメンバーには内緒ね? その方が都合よく立ち回れるし。だから、新人扱いってことで、言葉遣いも気にしなくていいから──」
プロシュートに向けて、にこりと微笑む。それを見た彼は、してやられた感が否めなかったのであろう……舌打ちをしてタバコに火をつけた。
「……分かった。じゃあ、カモフラージュにプロシュート、お前がついてやれ」
「マジかよ……」
「よろしくね〜! あっ、そうそう、1つだけいい?」
「あ? 何でしょうか、幹部様……?」
「ちょっと、その言い方……まぁ、いいけど。とりあえず、“それ”、私と一緒の時は吸わないでくれる? 匂いがさ……頭が痛くなるから」
火をつけたばかりのタバコを指差して言い放つと、『分かった分かった、仰せの通りに』と嫌味に言いながらも、すぐに火を消してくれた。
「で、早速なんだけど、ちょっと買い物に付き合ってよ」
「あ? 買い物?」
「そう、行こ行こ〜!」
「おいッ、ちょっ、引っ張んな!」
厄介者を押し付けられたと言わんばかりに、プロシュートがうんざりとした表情を浮かべる。そんな事を後目に、私は彼の腕を掴みアジトを後にする。
面倒くさそうにしながらも、付き合ってくれるのか……さっきのタバコといい──彼は案外“優しい人”なのかもしれない──と、内心思いながらやって来たのは、近くの花屋。色とりどりの花々が並ぶ中、私は目当の商品を探す。
「えっと〜……あっ、あったあった! すみませ〜ん、これ下さ〜い!」
指差しているのは、とある大きな植木。私はそれを迷わず購入する。その傍らで、プロシュートがすぐ様止めに入る。
「ちょっと待て! お前これどうすんだ? まさかアジトに──」
「そう、アジトに置くの! だってあそこ何か暗いし、空気が淀んでるっていうか……私も住むとなれば、まずは環境整備からかなって。この植木、癒しにもなるんだよ? リゾット、かなり疲れた様子だったし……部下を
「お前……ちょっと変わってんな」
そう言ってプロシュートがフッと笑みを浮かべる。
初めて見るその表情に、一瞬胸の奥がギュッと掴まれたような気がした。
「──ッ」
「ん、どうかしたか……?」
「えっ、あ〜、な、何でも? そ、そうそうこの植木、詳しくは“アレカヤシ”って言って、マイナスイオンを発生させて、精神を落ち着かせる癒し効果があるの。後は、体内の血流をスムーズにして、汚れた血液を浄化してくれる。だから、健康にも良い……そういう効果があるの」
「へぇ〜……詳しいじゃあねーか」
「まぁね〜、それじゃあ、運搬よろしく!」
そう言って先に歩き出す。『おい、ちょっと待て!』と、後方からの呼びとめられるも……素知らぬ顔で先を急いだ。
その日を皮切りに、新人扱いとしてプロシュートと一緒にいる事が必然的に多くなっていった。
その傍らで、暗殺チーム内の“裏切り者”の影にも目を光らせる。しかし、彼らと一緒に過ごし、その人間味に触れていく内に、私自身、幹部とは言ったものの、今までよりもごく自然体で過ごせている気がしていた。
もちろん、彼らに暗殺の指示を出しているのは、他ならぬ自分自身……その瞬間に、普通の女の子には決してなれないという現実を突きつけられる。でも──
彼と一緒にいる時ぐらい、普通の女の子のように振る舞えたなら……なんて思い始めていた。
今思えば、この日から何かが終わりへと向かい始めていたのかもしれない。
ただこの時の私には、それを知るすべはなく──
今は今でしか存在しない……それが全てだった。
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