第12章 Sliding Door
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次に向かった場所は、とあるリストランテの個室。
特別な任務の時に利用している、パッショーネ幹部御用達の場所だ。
そこにいたのはリゾット……キアラが呼び出したのだ。
「まさかお前の方から連絡してくるとは、思ってもみなかったな……」
「もう、聞いたんでしょ? 明日からまた任務を同じくする事を──」
『あぁ……』と呟いて、リゾットがワイングラスを口にする。
一方キアラは、料理には目もくれず、淡々と話を続ける。
「今回の任務について……少し気になる事があるんだけど──」
「何だ……?」
リゾットがそう答えた時には既に、辺りはキアラのスタンド〈ジッター・バグ〉の異空間となっていた。
物々しい雰囲気の中──それでもリゾットは全く動じず、キアラの話に耳を傾ける。
「今回の任務は、麻薬チーム内の裏切り者の粛清──その暁には、今後麻薬チームの取り分、その3割があなた達、暗殺チームの手元に入る──」
「そうだ。それがどうした……?」
「ねぇ、何かおかしいと思わない……?」
キアラがリゾットに詰め寄る。しかし、リゾットは涼しい顔で再びワイングラスを手に取る。
「あぁ、そうだな……」
「そうだなって……何をそんな悠長に──」
「確かにお前の言う通り、俺も妙だとは感じている……だからこそ、今慎重に調べているところだ」
「それならいいけど……大体パッショーネの麻薬ルート自体が眉唾物──まずはどの程度調べがついているか……私の情報と照らし合わせた方が良さそうね」
そう言い終わると、ここでようやくキアラが飲み物を口にする。
何かを紛らわすかの様に話を進める──そんなキアラの様子を垣間見ながら、リゾットが問いかける。
「それより……こうして改まって会うのは久しぶりだというのに……お前は何て顔をしているんだ?」
「えっ……私、どんな顔してる……?」
「そうだな……何か大切な物をどこかに置き忘れてきてしまったような……そんな物憂げな表情をしている……」
「べ、別にそんな事は──」
キアラが伏し目がちに視線を逸らす。
リゾットはふと思う。誰がキアラをこんな表情にさせているのだろうかと──
不意に向けていた視線がキアラとぶつかる──何やら物言いたげな様子に、思わずリゾットが問いかける。
「何だ……?」
「リゾット……あなた、私に思う事があるんじゃあないの?」
「ん……?」
「以前あなたに会った時、“私はあなた達とは違う” ──、そう言ったけれど、結局は同じ穴の狢 ……リゾット、あなたの言う通り……どれだけ悪あがきをしようとも、結局運命には逆らえない……そう思ってるんでしょう?」
リゾットに向けていたキアラの視線が、冷淡なものに変わる──
それに対し、黙って話を聞きいていたリゾットがゆっくりと口を開く。
「そうは思っていない……俺はただ、お前の居場所は俺の所にある──と、そう思っているだけだ……それは俺に限ったことじゃあない……」
「……」
「お前とまた任務をする時、アイツがどんな顔をするか……もうすでに会ったんだろ? プロシュートに──」
「…えぇ……」
一段と声色を下げながらキアラが呟く。
そんな様子を見兼ねたのか、リゾットが普段より優しく語りかける。その表情はあたかも愛しい者を見るかのように──
「キアラ……時は経っているんだ……あの時とは違う。新たなメンバーもいるしな……だから、そんな顔をするな……」
「分かってる……ねぇ、リゾット……プロシュートは、もうこの事を知ってるの?」
「あぁ、アイツには既に伝えてある……チームの他の奴らには、明日、お前に直接会ってから話す事にしているが──」
「そう……じゃあ、とりあえず明日──」
「あぁ……それとアジトの場所だが……今はここだ。後、お前にはこれを ──」
***
リゾットと別れたキアラは、再びブチャラティチームのアジトへと戻る。
途中、心地よい風に吹かれながらも、気持ちはちっとも晴れない──頭では分かっている……つもりだった……でも──
キアラはスッ……と前を見据える。
そして、別れの時には笑顔で……と、そう思っていた。
特別な任務の時に利用している、パッショーネ幹部御用達の場所だ。
そこにいたのはリゾット……キアラが呼び出したのだ。
「まさかお前の方から連絡してくるとは、思ってもみなかったな……」
「もう、聞いたんでしょ? 明日からまた任務を同じくする事を──」
『あぁ……』と呟いて、リゾットがワイングラスを口にする。
一方キアラは、料理には目もくれず、淡々と話を続ける。
「今回の任務について……少し気になる事があるんだけど──」
「何だ……?」
リゾットがそう答えた時には既に、辺りはキアラのスタンド〈ジッター・バグ〉の異空間となっていた。
物々しい雰囲気の中──それでもリゾットは全く動じず、キアラの話に耳を傾ける。
「今回の任務は、麻薬チーム内の裏切り者の粛清──その暁には、今後麻薬チームの取り分、その3割があなた達、暗殺チームの手元に入る──」
「そうだ。それがどうした……?」
「ねぇ、何かおかしいと思わない……?」
キアラがリゾットに詰め寄る。しかし、リゾットは涼しい顔で再びワイングラスを手に取る。
「あぁ、そうだな……」
「そうだなって……何をそんな悠長に──」
「確かにお前の言う通り、俺も妙だとは感じている……だからこそ、今慎重に調べているところだ」
「それならいいけど……大体パッショーネの麻薬ルート自体が眉唾物──まずはどの程度調べがついているか……私の情報と照らし合わせた方が良さそうね」
そう言い終わると、ここでようやくキアラが飲み物を口にする。
何かを紛らわすかの様に話を進める──そんなキアラの様子を垣間見ながら、リゾットが問いかける。
「それより……こうして改まって会うのは久しぶりだというのに……お前は何て顔をしているんだ?」
「えっ……私、どんな顔してる……?」
「そうだな……何か大切な物をどこかに置き忘れてきてしまったような……そんな物憂げな表情をしている……」
「べ、別にそんな事は──」
キアラが伏し目がちに視線を逸らす。
リゾットはふと思う。誰がキアラをこんな表情にさせているのだろうかと──
不意に向けていた視線がキアラとぶつかる──何やら物言いたげな様子に、思わずリゾットが問いかける。
「何だ……?」
「リゾット……あなた、私に思う事があるんじゃあないの?」
「ん……?」
「以前あなたに会った時、“私はあなた達とは違う” ──、そう言ったけれど、結局は同じ穴の
リゾットに向けていたキアラの視線が、冷淡なものに変わる──
それに対し、黙って話を聞きいていたリゾットがゆっくりと口を開く。
「そうは思っていない……俺はただ、お前の居場所は俺の所にある──と、そう思っているだけだ……それは俺に限ったことじゃあない……」
「……」
「お前とまた任務をする時、アイツがどんな顔をするか……もうすでに会ったんだろ? プロシュートに──」
「…えぇ……」
一段と声色を下げながらキアラが呟く。
そんな様子を見兼ねたのか、リゾットが普段より優しく語りかける。その表情はあたかも愛しい者を見るかのように──
「キアラ……時は経っているんだ……あの時とは違う。新たなメンバーもいるしな……だから、そんな顔をするな……」
「分かってる……ねぇ、リゾット……プロシュートは、もうこの事を知ってるの?」
「あぁ、アイツには既に伝えてある……チームの他の奴らには、明日、お前に直接会ってから話す事にしているが──」
「そう……じゃあ、とりあえず明日──」
「あぁ……それとアジトの場所だが……今はここだ。後、お前にはこれを ──」
***
リゾットと別れたキアラは、再びブチャラティチームのアジトへと戻る。
途中、心地よい風に吹かれながらも、気持ちはちっとも晴れない──頭では分かっている……つもりだった……でも──
キアラはスッ……と前を見据える。
そして、別れの時には笑顔で……と、そう思っていた。