第12章 Sliding Door
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時は少し遡 り……
これはその日の午前中の出来事──
ブチャラティとマリーがネアポリスの街へと出かけて行った後……キアラが入れ違うようにアジトに顔を出す。
そこにいたのはミスタとアバッキオ──
今日は特に決まった任務はないようで、飲み物を飲んだり、ヘッドフォンで音楽を聴いたりと……思い思いの時間を過ごしている。
キアラは、彼らの近くまで来て不意に立ち止まる。
「よぉ、キアラ〜!」
「おはよう……トリッシュは、今日学校だったわね……後、ブチャラティは、彼女……マリーさんの護衛に行っているのかしら?」
「そうそう、朝早くに行っちまったぜ?」
「マリーの奴……護衛っつーのは単なる口実……ありゃあ、単にブチャラティとデートしたかっだけだな」
「そう……」
キアラは、ややうつむき加減に呟いた。
いつもと様子が違う……いち早く気付いたミスタが問いかける。
「ん、どうした?」
「別に──」
「……そりゃあ気になるよなァ、あのブチャラティがデートってんならよォ? ……あっ、もしかして、キアラもデートしてみたいとか?」
ミスタがニヒルな笑みを浮かべる。しかし、いつもとは打って変わり、キアラは素知らぬ顔で話を続ける。
「まさか……私はちょっとブチャラティに話があって──」
そう言いかけた時、スマホの着信音が鳴り、キアラが画面に目を向ける。
一瞬目を見張り、そしてため息を一つ吐 いた。
ついにこの日が来てしまった……
直感的に分かった。それはペリーコロからのメッセージ──
暗殺チームとの任務開始日……その事を知らせるメッセージだという事が──
「もし、私よりブチャラティが先に戻って来たら連絡して?」
「おい、どこか出かけるのか?」
「そうね……」
それ以上答える事はなく、キアラは静かにアジトを後にした。
***
その足で向かったのは、とあるマンション──
エントランスを通り抜け、エレベーターホールへと向かう。近くの窓からは中庭が見える。
その景色を横目に、エレベーターのボタンを押すと直ぐにドアが開いた。
今から向かうのは7階の部屋──
中に乗り込みドアが閉まると同時に、ふとキアラは思案する。
“私にはやるべき事がある”
その思いが、今のキアラを突き動かす。そして最悪の状況さえも不思議と前向きに考える事ができる。
7階──
とある部屋の前で足を止める。
2、3回ノックをしてドアノブに手を掛ける──鍵はかかっていなかった。キアラが来ることが分かっていたかのように……
中に入ると、そこにいたのは茨の蔓 のようなティアラを身に付けた青年──彫刻刀を手に、石を掘り上げている最中といったところだ。
「あぁ、君か……」
「ねぇ、その後……様子はどう?」
「あの“運命の形”は以前変わらないよ……だが、不思議な事に、石は依然として動こうとしない……本来なら石の形が示す相手へと向かうはずなのに……」
そう言うと、彼は手を止めてキアラに向き直る──彼もまたスタンド使いだ。
そして再び話を続ける。
「もしかしたら、見えないレベルで何が少しずつ変わり始めているのかもしれない……確かめてみるかい?」
「いや、今日はやめておくわ……」
そう答えたキアラの声色は低くく、表情もどこか陰りが見える。そして、そのまま部屋の出口へと向かう。
そんなキアラを呼び止め、青年が問いかける。
「1つ、聞いてもいいかな?」
「何……?」
「彼は……この石が示す彼は、一体君にとって──?」
「……そうね、強いて言うなら……“希望”かしら? じゃあ、また来るわ……」
そう言い残し、キアラは静かに部屋を後にした。
これはその日の午前中の出来事──
ブチャラティとマリーがネアポリスの街へと出かけて行った後……キアラが入れ違うようにアジトに顔を出す。
そこにいたのはミスタとアバッキオ──
今日は特に決まった任務はないようで、飲み物を飲んだり、ヘッドフォンで音楽を聴いたりと……思い思いの時間を過ごしている。
キアラは、彼らの近くまで来て不意に立ち止まる。
「よぉ、キアラ〜!」
「おはよう……トリッシュは、今日学校だったわね……後、ブチャラティは、彼女……マリーさんの護衛に行っているのかしら?」
「そうそう、朝早くに行っちまったぜ?」
「マリーの奴……護衛っつーのは単なる口実……ありゃあ、単にブチャラティとデートしたかっだけだな」
「そう……」
キアラは、ややうつむき加減に呟いた。
いつもと様子が違う……いち早く気付いたミスタが問いかける。
「ん、どうした?」
「別に──」
「……そりゃあ気になるよなァ、あのブチャラティがデートってんならよォ? ……あっ、もしかして、キアラもデートしてみたいとか?」
ミスタがニヒルな笑みを浮かべる。しかし、いつもとは打って変わり、キアラは素知らぬ顔で話を続ける。
「まさか……私はちょっとブチャラティに話があって──」
そう言いかけた時、スマホの着信音が鳴り、キアラが画面に目を向ける。
一瞬目を見張り、そしてため息を一つ
ついにこの日が来てしまった……
直感的に分かった。それはペリーコロからのメッセージ──
暗殺チームとの任務開始日……その事を知らせるメッセージだという事が──
「もし、私よりブチャラティが先に戻って来たら連絡して?」
「おい、どこか出かけるのか?」
「そうね……」
それ以上答える事はなく、キアラは静かにアジトを後にした。
***
その足で向かったのは、とあるマンション──
エントランスを通り抜け、エレベーターホールへと向かう。近くの窓からは中庭が見える。
その景色を横目に、エレベーターのボタンを押すと直ぐにドアが開いた。
今から向かうのは7階の部屋──
中に乗り込みドアが閉まると同時に、ふとキアラは思案する。
“私にはやるべき事がある”
その思いが、今のキアラを突き動かす。そして最悪の状況さえも不思議と前向きに考える事ができる。
7階──
とある部屋の前で足を止める。
2、3回ノックをしてドアノブに手を掛ける──鍵はかかっていなかった。キアラが来ることが分かっていたかのように……
中に入ると、そこにいたのは茨の
「あぁ、君か……」
「ねぇ、その後……様子はどう?」
「あの“運命の形”は以前変わらないよ……だが、不思議な事に、石は依然として動こうとしない……本来なら石の形が示す相手へと向かうはずなのに……」
そう言うと、彼は手を止めてキアラに向き直る──彼もまたスタンド使いだ。
そして再び話を続ける。
「もしかしたら、見えないレベルで何が少しずつ変わり始めているのかもしれない……確かめてみるかい?」
「いや、今日はやめておくわ……」
そう答えたキアラの声色は低くく、表情もどこか陰りが見える。そして、そのまま部屋の出口へと向かう。
そんなキアラを呼び止め、青年が問いかける。
「1つ、聞いてもいいかな?」
「何……?」
「彼は……この石が示す彼は、一体君にとって──?」
「……そうね、強いて言うなら……“希望”かしら? じゃあ、また来るわ……」
そう言い残し、キアラは静かに部屋を後にした。