第11章 スターフィッシュ
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息を切らしながら、ブチャラティがアジトへと向かう。少しずつ陽が落ち始め、あたりが夕闇に包まれる。
今日も昨日と同様に少し肌寒いな……と、ブチャラティがふと空を見上げる。
今夜も星が綺麗に見えるのだろうか……
それならば話したい…くだらない事でも──
そして伝えたい……この想いを──
その想いからか、自然と足早に帰路を急ぐ。
そんな慌てなくても、キアラにはいつでも会えるというのに……
しばらくして、ブチャラティがアジトへと帰り着く。
「──ッ…、キアラは?」
「ブチャラティ……!? どーしたんです? アバッキオがそっちに向かったはずじゃ──」
「いや……ともかくキアラ……、アイツはどこにいる?」
「キアラなら、多分屋上にいるぜ?」
ソファーに座ったまま、ミスタが答えた。
「そうか……」
ブチャラティはすぐ様屋上へと向かった。
ミスタが言った通り、屋上には昨日と同じように、夜空を見上げながらたたずむキアラの姿があった。
息を整え、ブチャラティがゆっくりキアラの元へと向かう。
近づく足音……それに気付いたキアラは、少し罰が悪そうにうつむく。
「ブチャラティ……その……マリーさんは?」
「彼女なら帰ったよ……」
「そう……、楽しかった? デートの方は──」
キアラがフッと笑みを浮かべながら尋ねる。そして、再び空を見上げる。
「そうだな……マリーには悪いが……キアラ……お前となら楽しいだろう……お前と行ってみたい……そう思っていた」
「……ま、またまた〜、ブチャラティってば、そんな冗談──」
「冗談じゃあないぜ──!」
普段あまり聞くことのない強い口調の物言いに、キアラが思わずブチャラティへと向き直る。
その眼は真剣さと憂いを映し出していた。思わず見入ってしまうくらいに……
「ど、どうしたの、急に……?」
「急かもしれない……でも、やっと気付けたんだ……だから──」
「ブチャラティ……」
その言葉を遮るようにキアラが話し出す。その表情は堅く冷徹さを帯びていた。
「話したい方があるの──いいかしら?」
「あ、あぁ、構わないが──」
「私……しばらくの間、トリッシュの保護任務から外れる事になったの……」
「ん、何故だ? 何か──」
そう言いかけて、ブチャラティは口をつむぐ。キアラの任務については、詮索しないのが暗黙のルールとなっているからだ。
ボス直属の幹部であるキアラが担う任務は極秘に行われるものが多い。
「いや、何でもない……分かった」
「ブチャラティ……暗殺 チームの幹部にはもう会った?」
キアラが不意に問いかける。
“暗殺チーム”……同じパッショーネにおいてでも、できればあまり関わりたくはない……何故そんなチームの名をキアラが口にするのか──?
「いや……俺は幹部になってまだ日が浅いからな……なぜそんな事を聞く?」
「私……暗殺チームの幹部だったことがあるの……彼らと共に行動していた……」
「──ッ!」
ブチャラティが目を見張る。
その傍らで、キアラが淡々と話を続ける……視線はずっと街並みの方に向けられたままだ。
「……組織の中でも一番倦厭 されるチームよね……存在自体ろくなもんじゃあない……」
「まさか、今回今の任務から外れるのは──」
「察しの通りよ……暗殺チームとの任務が入ったから……ボスの指令でね。しばらくの間だけとは聞いているけど…でも、いつこっちに戻れるかは、はっきりとは分からない……その間トリッシュの件は、ブチャラティ……あなたに任せるように言われてる……お願いね」
「あぁ、分かった……」
暫しの間、沈黙が続く。
キアラの表情はどことなく無理をして平然を装っているようだった。
次にブチャラティと会う時は、きっと今までと同じようにはいかない……覚悟はできていた……はずだった……
ブチャラティがかけようとしてくれた言葉は……今は聞きたくなかった……少しでも自惚 れていたいから…だから──
ブチャラティを目の前にしている今は、自分を偽ってでも、キアラは毅然 とした態度で振る舞う。
「……いつからだ?」
「明日から……この事はみんなには特に説明はしないから、ブチャラティからそれとなく伝えといて……」
「分かった……」
「それじゃあ……」
そう言うと、キアラはスッとブチャラティの横を通り過ぎる。
ブチャラティが思わずその手を掴み、愛おしそうに名前を呼ぶ。
「キアラ──」
「……ごめん、なさい……」
その手を振り払いキアラが走り去る。
後に残されたブチャラティは、なぜか足が動かなかった。そしてやるせなく夜空を見上げる……
そこには煌めく星々が、ただ虚しく瞬いて見えた。
今日も昨日と同様に少し肌寒いな……と、ブチャラティがふと空を見上げる。
今夜も星が綺麗に見えるのだろうか……
それならば話したい…くだらない事でも──
そして伝えたい……この想いを──
その想いからか、自然と足早に帰路を急ぐ。
そんな慌てなくても、キアラにはいつでも会えるというのに……
しばらくして、ブチャラティがアジトへと帰り着く。
「──ッ…、キアラは?」
「ブチャラティ……!? どーしたんです? アバッキオがそっちに向かったはずじゃ──」
「いや……ともかくキアラ……、アイツはどこにいる?」
「キアラなら、多分屋上にいるぜ?」
ソファーに座ったまま、ミスタが答えた。
「そうか……」
ブチャラティはすぐ様屋上へと向かった。
ミスタが言った通り、屋上には昨日と同じように、夜空を見上げながらたたずむキアラの姿があった。
息を整え、ブチャラティがゆっくりキアラの元へと向かう。
近づく足音……それに気付いたキアラは、少し罰が悪そうにうつむく。
「ブチャラティ……その……マリーさんは?」
「彼女なら帰ったよ……」
「そう……、楽しかった? デートの方は──」
キアラがフッと笑みを浮かべながら尋ねる。そして、再び空を見上げる。
「そうだな……マリーには悪いが……キアラ……お前となら楽しいだろう……お前と行ってみたい……そう思っていた」
「……ま、またまた〜、ブチャラティってば、そんな冗談──」
「冗談じゃあないぜ──!」
普段あまり聞くことのない強い口調の物言いに、キアラが思わずブチャラティへと向き直る。
その眼は真剣さと憂いを映し出していた。思わず見入ってしまうくらいに……
「ど、どうしたの、急に……?」
「急かもしれない……でも、やっと気付けたんだ……だから──」
「ブチャラティ……」
その言葉を遮るようにキアラが話し出す。その表情は堅く冷徹さを帯びていた。
「話したい方があるの──いいかしら?」
「あ、あぁ、構わないが──」
「私……しばらくの間、トリッシュの保護任務から外れる事になったの……」
「ん、何故だ? 何か──」
そう言いかけて、ブチャラティは口をつむぐ。キアラの任務については、詮索しないのが暗黙のルールとなっているからだ。
ボス直属の幹部であるキアラが担う任務は極秘に行われるものが多い。
「いや、何でもない……分かった」
「ブチャラティ……
キアラが不意に問いかける。
“暗殺チーム”……同じパッショーネにおいてでも、できればあまり関わりたくはない……何故そんなチームの名をキアラが口にするのか──?
「いや……俺は幹部になってまだ日が浅いからな……なぜそんな事を聞く?」
「私……暗殺チームの幹部だったことがあるの……彼らと共に行動していた……」
「──ッ!」
ブチャラティが目を見張る。
その傍らで、キアラが淡々と話を続ける……視線はずっと街並みの方に向けられたままだ。
「……組織の中でも一番
「まさか、今回今の任務から外れるのは──」
「察しの通りよ……暗殺チームとの任務が入ったから……ボスの指令でね。しばらくの間だけとは聞いているけど…でも、いつこっちに戻れるかは、はっきりとは分からない……その間トリッシュの件は、ブチャラティ……あなたに任せるように言われてる……お願いね」
「あぁ、分かった……」
暫しの間、沈黙が続く。
キアラの表情はどことなく無理をして平然を装っているようだった。
次にブチャラティと会う時は、きっと今までと同じようにはいかない……覚悟はできていた……はずだった……
ブチャラティがかけようとしてくれた言葉は……今は聞きたくなかった……少しでも
ブチャラティを目の前にしている今は、自分を偽ってでも、キアラは
「……いつからだ?」
「明日から……この事はみんなには特に説明はしないから、ブチャラティからそれとなく伝えといて……」
「分かった……」
「それじゃあ……」
そう言うと、キアラはスッとブチャラティの横を通り過ぎる。
ブチャラティが思わずその手を掴み、愛おしそうに名前を呼ぶ。
「キアラ──」
「……ごめん、なさい……」
その手を振り払いキアラが走り去る。
後に残されたブチャラティは、なぜか足が動かなかった。そしてやるせなく夜空を見上げる……
そこには煌めく星々が、ただ虚しく瞬いて見えた。
←To Be Continued…|/