第11章 スターフィッシュ
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しばらくして、キアラが仮眠室のベッド上で目覚める。
「ん……っ…?」
辺りが薄暗い……ほんの少し休むだけのつもりだったが、いつの間にか再び眠りこくってしまっていたようだ。
キアラは背伸びをしてベッドから降りる。少し良くはなったものの……やはりいつもより身体が重く、気怠い……
それも去ることながら、キアラには気にかかるのはブチャラティとマリーの事──
ブチャラティはきっと……いや、そんな事を考えても仕方がない……
少し風に当たりたい……キアラがそう思いながら部屋を出た矢先、ブチャラティと出会 す。
「キアラ──」
「ブ、ブチャラティ……!」
「ちょうど今、様子を見に行こうと思ってたところだ……」
不意にブチャラティがジッ……とキアラを見つめる。
「な、何……? 私の顔に何かついてる……?」
「いや……」
そう言いつつ、ブチャラティがそっとキアラの頰に触れる。
いきなりの行動に、キアラの胸がドキッ──と高鳴る。
そんなキアラをよそに、ブチャラティがフッと優しい笑みを浮かべる。
「顔色……少しは良くなったみたいだな」
「そ、そうかな……? まぁ、今日一日ゆっくり休ませてもらったからね」
胸の内を悟られないように、ニコリと微笑むキアラの表情は、どことなく辿々 しく映る。
そしてキアラはその場から逃げるように、リビングとは反対方向へと向かう。
「どこへ行くんだ?」
「あ〜ちょっと、屋上? 少し風に当たりたくてさ」
「一人でか? もう外は暗くなっているし、それに今日は少し肌寒いぞ」
「寒いの? じゃあ、今日はいいかもしれないな……」
「……ん? どういう意味だ? 良ければ俺も付き合わせてくれないか?」
ブチャラティの思いがけない言葉に、キアラが一瞬目を丸くする──でも、願ってもないブチャラティからの申し出だ。
ここは素直に受け取ってもいいような気がしたキアラがコクリと頷 く。
そして2人はアジトの屋上へと向かった。
外はすでに薄っすら闇に包まれており、ブチャラティの言った通り少し肌寒かった。
そんな事はお構いなしに、キアラがすぐさま夜空を見上げる。
「やっぱり……こんな日は空気が澄んでるから綺麗に見えるんだよね〜……」
「ん……?」
「星だよ! ほら、見て──」
キアラが指差すその先には、無数の星が……まるでビーズを散りばめたように瞬 いている。
そうだな……と言いつつ、ブチャラティも夜空を見上げた。
あの無数の星々と比べると、自分はなんてちっぽけな存在なのだろう……と、いつも思い知らされる──キアラはそんな事を思いながら、瞬く星を見つめた。
「ねぇ、ブチャラティ……あそこにさ、柄杓 の形をした7つ星があるんだけど……分かる?」
「……あぁ、あれだろ? 北斗七星……とても有名な星座だからな、俺でも知ってるぞ」
「そうそう。それでね、この星座の柄の部分を、水を汲 む部分とは逆の方へカーブに沿って伸ばしていくと……ほらあそこ! オレンジ色の明るい星にぶつかる……これがうしかい座のアークトゥルス……」
「ほぉ……」
「この星からさらに伸ばしていくと、次にまた明るい白い星にぶつかる……これが乙女座のスピカ。そして、このスピカからもう少し伸ばすと、からす座にぶつかる──このからす座から北斗七星までの曲線を“春の大曲線”っていうの……」
話終わった後に、しまった……と言う思いに駆られる。緊張を紛らわす為か……つい一方的にベラベラと話してしまっていたからだ。
様子を伺うべく、チラリとブチャラティに目を向ける。それに気付いたブチャラティが、フッと優しく微笑み返す。
「キアラは星座に詳しいんだな」
「まぁね〜、たまにはこういうのもいいでしょ?」
「そうだな……」
ブチャラティがそう呟いた時、頭上で一つ星が流れた。それをみつけたキアラが夜空を指差す。
「あっ、見て、流れ星!」
そう言うと同時にキアラは目をつむり両手を合わせる。
「何をしてるんだ?」
「えっ、願いごとだけど……ブチャラティ、知らないの? 流れ星に願い事をすると、その願いは叶うんだよ?」
「願い事か……じゃあ、さっきキアラは何を願ったんだ?」
「えっ、そ、それは……」
そう言いつつ、キアラがブチャラティを見つめる。
ブチャラティは、顎に手をやり首を傾げた。
「ん、何だ?」
「ひ、秘密! だって、人に話すと叶わなくなるって聞くし……」
「そうか……」
その時冷たい風が吹き、キアラがクシャミをする。そして身をギュッと縮こませて、両腕をさすり始めた。
「──ッ、う〜急に寒くなってきた……」
「何か上着を取ってくるか?」
「いいよ! じゃあ、その代わり──今だけ……繋いでてもいいかな……?」
そう言って、キアラは隣にたたずむブチャラティの手を握る。
大袈裟かもしれないが、キアラにとっては少し大胆な行動だった。
果たしてブチャラティはどんな反応をしているのか……キアラは一抹の不安を抱える。
「いや──」
そう言うが早いか……ブチャラティがキアラの肩を抱き寄せる。
「えっ……ッ!?」
「手を繋ぐより、こっちの方が暖かいだろ?」
「えっ、いや、その──」
そのままブチャラティが、グッ……とキアラに近く。
もう少しこのまま……
そんな思いからか、キアラがブチャラティの肩に寄りかかる。
こんにも近い距離なのに、なんでこの人はこんなにも遠い存在に感じるのだろうか……そして私は、ブチャラティの事が──
「あのさ、ブチャラティ、話があるの……」
「何だ……?」
「私──」
キアラが言いかけた時、ブチャラティが静かに……と言うように人差し指を唇に押し当てる。
一方、その様子を見守る影が……
「おいおいおい、様子を見に来てみりゃあよォ〜、ありゃ何だ!? 何イチャついてんだよ、あいつら!? つーか、あの様子じゃあよォ〜もう付き合ってんじゃあねぇのか!?」
「えっ、そうなの!? ブチャラティとキアラって、そんな感じだったのかよ〜!」
こっそり様子を見に来たのはミスタとナランチャだ。
話を聞いたナランチャが目を丸くする傍らで、ミスタが呆れた表情を浮かべる。
「知らねーのは、お前と本人達くらいじゃあねーの?」
「いや、おれだけじゃねーって! フーゴも知らないと思うぜ? ……ん多分」
「なぁ、ナランチャ……アイツら……キスしたりしねーかな?」
「えっ!? まさか、いってもここはアジトだぜ? ブチャラティとキアラに限ってそれはさすがに──」
「つーかでっけー声出すなよ! 気づかれんだろォがよォ!」
「お前ら……もう聞こえてるぞ……」
いつのまにか目の前にはブチャラティの姿が……そして間髪入れずに攻撃される。
「スティッキー・フィンガーズ──ッ!」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってよ、ブチャラティ〜〜!」
盗み見していたミスタとナランチャの2人は、チャックの下へと落ちて行く。
後からフーゴにこっぴどく怒やされたのは言うまでもない。
全く……と言いながら、ブチャラティが呆れた表情でキアラを見ると、そんな2人を笑いながら見ている様子に、ブチャラティも頬を緩めた。
「そう言えば、さっき何が言おうとしてなかったか?」
「いや、なんでもない……じゃあ、中に入ろっか!」
そう言ってキアラは足早に行ってしまう。
その時ブチャラティは、どこか胸騒ぎを覚えたが、今はまだ気付かないフリをしていた。
「ん……っ…?」
辺りが薄暗い……ほんの少し休むだけのつもりだったが、いつの間にか再び眠りこくってしまっていたようだ。
キアラは背伸びをしてベッドから降りる。少し良くはなったものの……やはりいつもより身体が重く、気怠い……
それも去ることながら、キアラには気にかかるのはブチャラティとマリーの事──
ブチャラティはきっと……いや、そんな事を考えても仕方がない……
少し風に当たりたい……キアラがそう思いながら部屋を出た矢先、ブチャラティと
「キアラ──」
「ブ、ブチャラティ……!」
「ちょうど今、様子を見に行こうと思ってたところだ……」
不意にブチャラティがジッ……とキアラを見つめる。
「な、何……? 私の顔に何かついてる……?」
「いや……」
そう言いつつ、ブチャラティがそっとキアラの頰に触れる。
いきなりの行動に、キアラの胸がドキッ──と高鳴る。
そんなキアラをよそに、ブチャラティがフッと優しい笑みを浮かべる。
「顔色……少しは良くなったみたいだな」
「そ、そうかな……? まぁ、今日一日ゆっくり休ませてもらったからね」
胸の内を悟られないように、ニコリと微笑むキアラの表情は、どことなく
そしてキアラはその場から逃げるように、リビングとは反対方向へと向かう。
「どこへ行くんだ?」
「あ〜ちょっと、屋上? 少し風に当たりたくてさ」
「一人でか? もう外は暗くなっているし、それに今日は少し肌寒いぞ」
「寒いの? じゃあ、今日はいいかもしれないな……」
「……ん? どういう意味だ? 良ければ俺も付き合わせてくれないか?」
ブチャラティの思いがけない言葉に、キアラが一瞬目を丸くする──でも、願ってもないブチャラティからの申し出だ。
ここは素直に受け取ってもいいような気がしたキアラがコクリと
そして2人はアジトの屋上へと向かった。
外はすでに薄っすら闇に包まれており、ブチャラティの言った通り少し肌寒かった。
そんな事はお構いなしに、キアラがすぐさま夜空を見上げる。
「やっぱり……こんな日は空気が澄んでるから綺麗に見えるんだよね〜……」
「ん……?」
「星だよ! ほら、見て──」
キアラが指差すその先には、無数の星が……まるでビーズを散りばめたように
そうだな……と言いつつ、ブチャラティも夜空を見上げた。
あの無数の星々と比べると、自分はなんてちっぽけな存在なのだろう……と、いつも思い知らされる──キアラはそんな事を思いながら、瞬く星を見つめた。
「ねぇ、ブチャラティ……あそこにさ、
「……あぁ、あれだろ? 北斗七星……とても有名な星座だからな、俺でも知ってるぞ」
「そうそう。それでね、この星座の柄の部分を、水を
「ほぉ……」
「この星からさらに伸ばしていくと、次にまた明るい白い星にぶつかる……これが乙女座のスピカ。そして、このスピカからもう少し伸ばすと、からす座にぶつかる──このからす座から北斗七星までの曲線を“春の大曲線”っていうの……」
話終わった後に、しまった……と言う思いに駆られる。緊張を紛らわす為か……つい一方的にベラベラと話してしまっていたからだ。
様子を伺うべく、チラリとブチャラティに目を向ける。それに気付いたブチャラティが、フッと優しく微笑み返す。
「キアラは星座に詳しいんだな」
「まぁね〜、たまにはこういうのもいいでしょ?」
「そうだな……」
ブチャラティがそう呟いた時、頭上で一つ星が流れた。それをみつけたキアラが夜空を指差す。
「あっ、見て、流れ星!」
そう言うと同時にキアラは目をつむり両手を合わせる。
「何をしてるんだ?」
「えっ、願いごとだけど……ブチャラティ、知らないの? 流れ星に願い事をすると、その願いは叶うんだよ?」
「願い事か……じゃあ、さっきキアラは何を願ったんだ?」
「えっ、そ、それは……」
そう言いつつ、キアラがブチャラティを見つめる。
ブチャラティは、顎に手をやり首を傾げた。
「ん、何だ?」
「ひ、秘密! だって、人に話すと叶わなくなるって聞くし……」
「そうか……」
その時冷たい風が吹き、キアラがクシャミをする。そして身をギュッと縮こませて、両腕をさすり始めた。
「──ッ、う〜急に寒くなってきた……」
「何か上着を取ってくるか?」
「いいよ! じゃあ、その代わり──今だけ……繋いでてもいいかな……?」
そう言って、キアラは隣にたたずむブチャラティの手を握る。
大袈裟かもしれないが、キアラにとっては少し大胆な行動だった。
果たしてブチャラティはどんな反応をしているのか……キアラは一抹の不安を抱える。
「いや──」
そう言うが早いか……ブチャラティがキアラの肩を抱き寄せる。
「えっ……ッ!?」
「手を繋ぐより、こっちの方が暖かいだろ?」
「えっ、いや、その──」
そのままブチャラティが、グッ……とキアラに近く。
もう少しこのまま……
そんな思いからか、キアラがブチャラティの肩に寄りかかる。
こんにも近い距離なのに、なんでこの人はこんなにも遠い存在に感じるのだろうか……そして私は、ブチャラティの事が──
「あのさ、ブチャラティ、話があるの……」
「何だ……?」
「私──」
キアラが言いかけた時、ブチャラティが静かに……と言うように人差し指を唇に押し当てる。
一方、その様子を見守る影が……
「おいおいおい、様子を見に来てみりゃあよォ〜、ありゃ何だ!? 何イチャついてんだよ、あいつら!? つーか、あの様子じゃあよォ〜もう付き合ってんじゃあねぇのか!?」
「えっ、そうなの!? ブチャラティとキアラって、そんな感じだったのかよ〜!」
こっそり様子を見に来たのはミスタとナランチャだ。
話を聞いたナランチャが目を丸くする傍らで、ミスタが呆れた表情を浮かべる。
「知らねーのは、お前と本人達くらいじゃあねーの?」
「いや、おれだけじゃねーって! フーゴも知らないと思うぜ? ……ん多分」
「なぁ、ナランチャ……アイツら……キスしたりしねーかな?」
「えっ!? まさか、いってもここはアジトだぜ? ブチャラティとキアラに限ってそれはさすがに──」
「つーかでっけー声出すなよ! 気づかれんだろォがよォ!」
「お前ら……もう聞こえてるぞ……」
いつのまにか目の前にはブチャラティの姿が……そして間髪入れずに攻撃される。
「スティッキー・フィンガーズ──ッ!」
「えっ、ちょっ、ちょっと待ってよ、ブチャラティ〜〜!」
盗み見していたミスタとナランチャの2人は、チャックの下へと落ちて行く。
後からフーゴにこっぴどく怒やされたのは言うまでもない。
全く……と言いながら、ブチャラティが呆れた表情でキアラを見ると、そんな2人を笑いながら見ている様子に、ブチャラティも頬を緩めた。
「そう言えば、さっき何が言おうとしてなかったか?」
「いや、なんでもない……じゃあ、中に入ろっか!」
そう言ってキアラは足早に行ってしまう。
その時ブチャラティは、どこか胸騒ぎを覚えたが、今はまだ気付かないフリをしていた。