第11章 スターフィッシュ
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それは偶然の様なそうでない様な……ブチャラティとキアラ、そしてアバッキオの3人で飲んだ時の話──
久しぶりにブチャラティから飲みの誘いがあったアバッキオが、馴染 みのバールに到着する。
しかし、ついさっきブチャラティから少し遅れるとの連絡を受けたアバッキオの表情は、どことなく憂鬱 そうに見える。それにはこんな理由 が──
そこには既に見知った顔が座っていた……キアラだ。
アバッキオの到着に気付くと、手を振りながら明るく話しかけてくる。
アバッキオの憂鬱など、露ほども知らないであろう。
「アバッキオ、お疲れ様〜」
「あ、あぁ……」
「ん、どうかした?」
「いや、何でもねーよ……」
アバッキオは内心気まずくて仕方がない思いだった。
珍しくそう思うのは、相手がキアラだからか──少しは仲間意識が芽生え始めていたが、まだ2人きりになる間柄ではないな……と、飲み物を注文しながらアバッキオは考えていた。
そんな妙な空気をキアラが唐突な質問で突き破る。
「ねぇ、アバッキオって、どんな人がタイプ?」
「ンンッ!?」
飲んでいたワインにむせそうになりながら、アバッキオが答える。
「ハァ!? んなこと聞いてどーすんだ? 別に興味なんてねーだろ?」
「えっ、何言ってんの? 興味があるから聞いてるんじゃん〜ねぇ、教えてよ?」
キアラが覗き込むように返事を急かす。それに対して観念したかのように、アバッキオが静かに答える。
「そうだなァ、タイプっつーかよォ……俺はツンとした生意気そうな感じは好きじゃあねーから……とりあえず、そうじゃなけりゃ……」
「ふ〜ん、じゃあどっちかと言うと綺麗っていうより可愛い方が好みって事?」
「まあ……そう……なるのか?」
「なんか意外だな〜、アバッキオは綺麗な人がタイプかと思ってたけど……ってか、さっきの言いぐさだと、美人になんか嫌な思い出でもあるとか?」
ニヤリと笑みを浮かべたキアラが、どこか見透かしたように問いかける。
自分ばかりが話すのも釈だと思ったアバッキオが、それをかわすかのように問いかける。
「あ? ちょっとな……つーかよォ、そーゆーお前はどうなんだ?」
「私〜? 私はとりあえず、優しい人かな〜? 後はイケメンに越した事はないよね〜」
キアラが冗談混じりに答える。
そんなキアラを横目に、アバッキオはふと思う。キアラの頰が薄ら赤らんでいる様子から、些か既に酔っているのではないかと──
「じゃあ、俺らのチームだと選び放題じゃあねーか」
「何自分で言っちゃってんの〜? じゃあさ、アバッキオ……私は? 私はどう?」
キアラが前のめり気味に聞いてくる……距離がやたら近い……酒が入っているの時の特有ノリだ。
アバッキオの予感は的中していた、どうやらキアラはかなり酔っ払っているようだ。
「そうだなァ……」
しばらくジッとキアラを見つめながら、まぁ、ないことはない……いや、寧 ろ有りだなと思いながら、フッと笑みを浮かべる。
「さぁな……」
「ち、ちょっと〜急にそんな顔するから、ドキドキしちゃったじゃん〜やめてよね〜」
アハハッと笑いながら会話を続けていると、ようやくブチャラティがやって来た。
「あっ、ブチャラティ、お疲れ様〜!」
「遅れてすまないな……ん? なんだお前ら、ずいぶん盛りやがってんじゃあねーか? 一体何の話をしてたんだ?」
キアラの隣に座ったブチャラティが興味深々に問いかける。
「え〜、好きなタイプについて〜。ねぇ、ブチャラティは〜? ブチャラティはどんな人が好きなの〜?」
「……ん? キアラ、お前……既に出来上がってないか……? おい、アバッキオ! こいつ何飲んでだ?」
「ん……んんっ!? この透明でブドウの香りがするのはよォ……お前これ、グラッパじゃあねーか!? しかもこの短時間に何杯飲んでんだッ!? ……まさか……酒豪なのか…?」
「えっ、これそんなに強いの? ってか、私酔ってないし〜大丈夫だよ〜アハハハッ〜」
***
まぁ、そんな感じでこの後とんでもない事……クリスマスの時にも起こった“キス魔事件”が発生したのであった。
アバッキオとの会話と同時に自分の苦い思い出まで再び暴露ぜざるおえないリスクを回避すべく……キアラはそれ以上は何も語らなかった。そんなキアラにアバッキオが思わず口走りそうになる。
「まぁマリーの事は、お前が気にすることもねーよ? だってブチャラティはよォ──」
「ん?」
「い、いや、何でもねー……それよりお前、あまり顔色良くねーな……?」
「そ、そうかな……? 実はさ、さっき貧血かな? ちょっと倒れちゃって…でも、もう大丈夫だから!」
「おいおい無理すんなよ……なんなら、俺がベッドまで運んでやろーか? お姫様抱っこでよォ?」
「えっ!? ち、ちょっと、冗談やめてよ〜、じゃあ、もう少しだけ休んでくるね」
そう言って、飲み物を片手にキアラが部屋を出て行く。
一方で、マリーとその場を離れたブチャラティは、さっきのアバッキオの一言が聞こえたかのように、再びキアラに視線を向けている。
「ブローノ……? ちょっと聞いてる?」
「あ……あぁ、聞いている。明日だろ?」
「えぇ、行きたいところがあってね。そこで念の為、私の護衛をお願いしたいの……」
「護衛なら、わざわざ俺達に頼まなくても──」
「あら、そんな冷たい事言わないでよ……私を狙う輩が普通のボディーガードの通用しない相手だと言う事は、あなたが一番分かっているはずよ?」
マリーがスッとブチャラティを見据え問いかける。その瞳の奥に何かを感じ取ったブチャラティは、少し間を置いて答えてる。
「……分かった。じゃあ、護衛には馴染みのあるアバッキオをつけよう」
「いえ……護衛は……ブローノ、あなたにお願いしたいの……」
「俺……?」
「お願い……」
「……分かった」
「……ありがとう!」
ブチャラティは理由を聞くような事はせず、ただマリーの申し出を了承する。
さっきとは打って変わり、マリーの表情がふわっと明るいものとなる。
「私、今日はこのホテルに泊まるから、明日ここのロビーで待ち合わせていいかしら?」
「あぁ……ホテルにも護衛が必要であれば──」
「いえ、大丈夫よ。帰ったらどこにも行く予定はないし」
「そうか……じゃあ、明日の朝迎えに行く」
「ねぇブローノ、この後の予定は?」
「悪いが仕事がある……」
「そう……」
途端にマリーがうつむき加減にうなずく。
そんな様子を横目に、ブチャラティは彼女がここにきた本当の理由を探し始める。
「ホテルまではフーゴに送らせよう……フーゴ!」
「何です、ブチャラティ……?」
「マリーをホテルまで送ってやってくれるか?」
「分かりました! それじゃあ、行きましょうか?」
「よろしくね、フーゴくん」
そしてマリーはアジトを後にし、宿泊先のホテルへと帰って行った。
久しぶりにブチャラティから飲みの誘いがあったアバッキオが、
しかし、ついさっきブチャラティから少し遅れるとの連絡を受けたアバッキオの表情は、どことなく
そこには既に見知った顔が座っていた……キアラだ。
アバッキオの到着に気付くと、手を振りながら明るく話しかけてくる。
アバッキオの憂鬱など、露ほども知らないであろう。
「アバッキオ、お疲れ様〜」
「あ、あぁ……」
「ん、どうかした?」
「いや、何でもねーよ……」
アバッキオは内心気まずくて仕方がない思いだった。
珍しくそう思うのは、相手がキアラだからか──少しは仲間意識が芽生え始めていたが、まだ2人きりになる間柄ではないな……と、飲み物を注文しながらアバッキオは考えていた。
そんな妙な空気をキアラが唐突な質問で突き破る。
「ねぇ、アバッキオって、どんな人がタイプ?」
「ンンッ!?」
飲んでいたワインにむせそうになりながら、アバッキオが答える。
「ハァ!? んなこと聞いてどーすんだ? 別に興味なんてねーだろ?」
「えっ、何言ってんの? 興味があるから聞いてるんじゃん〜ねぇ、教えてよ?」
キアラが覗き込むように返事を急かす。それに対して観念したかのように、アバッキオが静かに答える。
「そうだなァ、タイプっつーかよォ……俺はツンとした生意気そうな感じは好きじゃあねーから……とりあえず、そうじゃなけりゃ……」
「ふ〜ん、じゃあどっちかと言うと綺麗っていうより可愛い方が好みって事?」
「まあ……そう……なるのか?」
「なんか意外だな〜、アバッキオは綺麗な人がタイプかと思ってたけど……ってか、さっきの言いぐさだと、美人になんか嫌な思い出でもあるとか?」
ニヤリと笑みを浮かべたキアラが、どこか見透かしたように問いかける。
自分ばかりが話すのも釈だと思ったアバッキオが、それをかわすかのように問いかける。
「あ? ちょっとな……つーかよォ、そーゆーお前はどうなんだ?」
「私〜? 私はとりあえず、優しい人かな〜? 後はイケメンに越した事はないよね〜」
キアラが冗談混じりに答える。
そんなキアラを横目に、アバッキオはふと思う。キアラの頰が薄ら赤らんでいる様子から、些か既に酔っているのではないかと──
「じゃあ、俺らのチームだと選び放題じゃあねーか」
「何自分で言っちゃってんの〜? じゃあさ、アバッキオ……私は? 私はどう?」
キアラが前のめり気味に聞いてくる……距離がやたら近い……酒が入っているの時の特有ノリだ。
アバッキオの予感は的中していた、どうやらキアラはかなり酔っ払っているようだ。
「そうだなァ……」
しばらくジッとキアラを見つめながら、まぁ、ないことはない……いや、
「さぁな……」
「ち、ちょっと〜急にそんな顔するから、ドキドキしちゃったじゃん〜やめてよね〜」
アハハッと笑いながら会話を続けていると、ようやくブチャラティがやって来た。
「あっ、ブチャラティ、お疲れ様〜!」
「遅れてすまないな……ん? なんだお前ら、ずいぶん盛りやがってんじゃあねーか? 一体何の話をしてたんだ?」
キアラの隣に座ったブチャラティが興味深々に問いかける。
「え〜、好きなタイプについて〜。ねぇ、ブチャラティは〜? ブチャラティはどんな人が好きなの〜?」
「……ん? キアラ、お前……既に出来上がってないか……? おい、アバッキオ! こいつ何飲んでだ?」
「ん……んんっ!? この透明でブドウの香りがするのはよォ……お前これ、グラッパじゃあねーか!? しかもこの短時間に何杯飲んでんだッ!? ……まさか……酒豪なのか…?」
「えっ、これそんなに強いの? ってか、私酔ってないし〜大丈夫だよ〜アハハハッ〜」
***
まぁ、そんな感じでこの後とんでもない事……クリスマスの時にも起こった“キス魔事件”が発生したのであった。
アバッキオとの会話と同時に自分の苦い思い出まで再び暴露ぜざるおえないリスクを回避すべく……キアラはそれ以上は何も語らなかった。そんなキアラにアバッキオが思わず口走りそうになる。
「まぁマリーの事は、お前が気にすることもねーよ? だってブチャラティはよォ──」
「ん?」
「い、いや、何でもねー……それよりお前、あまり顔色良くねーな……?」
「そ、そうかな……? 実はさ、さっき貧血かな? ちょっと倒れちゃって…でも、もう大丈夫だから!」
「おいおい無理すんなよ……なんなら、俺がベッドまで運んでやろーか? お姫様抱っこでよォ?」
「えっ!? ち、ちょっと、冗談やめてよ〜、じゃあ、もう少しだけ休んでくるね」
そう言って、飲み物を片手にキアラが部屋を出て行く。
一方で、マリーとその場を離れたブチャラティは、さっきのアバッキオの一言が聞こえたかのように、再びキアラに視線を向けている。
「ブローノ……? ちょっと聞いてる?」
「あ……あぁ、聞いている。明日だろ?」
「えぇ、行きたいところがあってね。そこで念の為、私の護衛をお願いしたいの……」
「護衛なら、わざわざ俺達に頼まなくても──」
「あら、そんな冷たい事言わないでよ……私を狙う輩が普通のボディーガードの通用しない相手だと言う事は、あなたが一番分かっているはずよ?」
マリーがスッとブチャラティを見据え問いかける。その瞳の奥に何かを感じ取ったブチャラティは、少し間を置いて答えてる。
「……分かった。じゃあ、護衛には馴染みのあるアバッキオをつけよう」
「いえ……護衛は……ブローノ、あなたにお願いしたいの……」
「俺……?」
「お願い……」
「……分かった」
「……ありがとう!」
ブチャラティは理由を聞くような事はせず、ただマリーの申し出を了承する。
さっきとは打って変わり、マリーの表情がふわっと明るいものとなる。
「私、今日はこのホテルに泊まるから、明日ここのロビーで待ち合わせていいかしら?」
「あぁ……ホテルにも護衛が必要であれば──」
「いえ、大丈夫よ。帰ったらどこにも行く予定はないし」
「そうか……じゃあ、明日の朝迎えに行く」
「ねぇブローノ、この後の予定は?」
「悪いが仕事がある……」
「そう……」
途端にマリーがうつむき加減にうなずく。
そんな様子を横目に、ブチャラティは彼女がここにきた本当の理由を探し始める。
「ホテルまではフーゴに送らせよう……フーゴ!」
「何です、ブチャラティ……?」
「マリーをホテルまで送ってやってくれるか?」
「分かりました! それじゃあ、行きましょうか?」
「よろしくね、フーゴくん」
そしてマリーはアジトを後にし、宿泊先のホテルへと帰って行った。