第11章 スターフィッシュ
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それは突然の出来事だった──
会いたかったと言いながら、ブチャラティに抱きつく女性──まるで離ればなれだった恋人同士が再会したかのような光景に、キアラ1人が戸惑っていた。
ブチャラティをファーストネームで呼ぶなんて……この女性は一体──?
そんな思いからか、キアラが思わず問いかける。
「ブチャラティ……そちらの方は……?」
「あぁ、彼女か──」
抱きつくマリーと距離をとり、ブチャラティが##NAME##に向き直る。
距離をとられた女性──マリーは、やや怪訝 そうな表情を浮かべる。
「ただの知り合いだ」
「ちょっと、ブローノ〜、ただの知り合いだなんて……随分冷たい言い方ね? 昔は深〜い仲……だったじゃない? 私達──」
間髪入れずに、マリーが上目遣いで意味深に問いかける。
髪をかき上げるとふわっと香る甘い香り──
グロスを塗った唇は、光沢がありぽってりとしている。“色っぽい”とは、まさに彼女の様な女性を指し示すのであろう。
「いや……今も昔もただの知り合いだという事に間違いはないだろ?」
「そうかしら……忘れたの? あなた、私にキスしてくれたでしょ?」
「──ッ!?」
キアラが思わずブチャラティに目を向ける。
ブチャラティは、些 かバツが悪そうな表情を浮かべている。
「お前……あれをまだ覚えてたのか?」
「えぇ……もちろん!」
「キスと言っても頬にだろ? それなら挨拶がわりに誰もがしている事だ」
「まあ、そうよね〜」
マリーが意地悪そうな笑みを浮かべる。
一方で、キアラが一瞬哀 しげな表情を浮かべたように見えた。
頬へのキスなんて、挨拶代わり……か──だとすれば、この前の自身行動もブチャラティにとっては──
そんな思考を巡らしていると、不意にマリーと目が合う。
ニコっとした柔らかい視線を向けながら、キアラの事をブチャラティに問いかける。
「ところで、そちらのお嬢さんは……?」
「お、お嬢さんッ!?」
「彼女の事は……別にいいだろう……」
「もしかして、ブローノの彼女とか?」
「いや──」
それ以上は語らず一瞬目線を下に落とした後、ブチャラティはキアラに向き直る。
その時、任務で出かけていたフーゴとアバッキオがアジトに戻って来た。
「ただ今、戻りました」
「あ? 何だ、客か……?」
「あっ、フーゴくん!」
マリーが振り返り、フーゴに向かって手を振り出した。それに気付いたフーゴが目を見張る。
「あれ……? あなたは……マリーさん!? えっ、こっちに戻って来てたんですか!?」
突如姿を現したマリーに、フーゴが驚きながら駆け寄る。
一方で、マリーの姿を目の当たりにしたアバッキオの表情が一変する。
「そうなの。久しぶりね! 元気にしてた?」
「はい、マリーさんもお元気そうで」
「ゲッ……マリー!? なんでオメーがここに居んだよ!?」
「…な〜んだ、アバッキオもいたの……? 別にいいでしょ?」
マリーが急に素っ気ない態度をとる。
それに対しアバッキオが、あぁ!?と言わんばかりに額に青筋を立てる。
それに気付いたフーゴが空気を変えようと問いかける。
「と、ところで、マリーさんはどうしてこちらへ?」
「そう……早速なんだけど、ブローノ……私、話があってここに来たの……ちょっといいかしら?」
「あ? ブチャラティはもう幹部になったんだ……お前の戯言 に構 ってる暇なんざねーよ?」
「幹部!? すごい昇進ね!」
マリーが手を叩きながら祝福してみせる。
一方でブチャラティは、瞳の奥を鋭く光らせながら、至って冷静な態度をとる。
「ところでマリー、その話……依頼主は誰だ? お前の親父さんからは特に何も聞いていないが……」
「そうよ、父は知らないわ。私の個人的な頼みなの」
「そうか……分かってると思うが、俺に話をすると言う事は、自ずと組織が関わってくることは承知の上での相談だな?」
「えぇ……分かっているわ」
「ブチャラティ……貴方は色々と忙しいでしょうから、その話……僕が聞きましょうか?」
フーゴが名乗り出るも、マリーが真剣な眼差しを向けるのはブチャラティだ。
「ごめんなさい、フーゴくん……私はブローノにお願いしたいの! ブローノじゃあなきゃダメなの……」
「……分かった、じゃあ、あっちで話を聞くこう……あっ、キアラ──」
そう呼びかけながらブチャラティがこちらに向き直る。
「水分を摂ったら、しばらくまた休んでいろ。後でまた様子を見に行く」
「分かったわ、ありがとう……」
そして、ブチャラティがマリーとその場を離れる。
マリーに軽く会釈をし、キアラも一旦水を取りに行く。振り返ったブチャラティは、その後ろ姿をただ静かに見つめていた。
一方で残されたキアラもまた、ブチャラティを遠巻きに見据えながらアバッキオに問いかける。
「ねぇ、アバッキオ……」
「あ、何だ?」
「あの〜、マリーさんって人──?」
「あ〜あいつはブチャラティの管轄内にある賭博 のオーナーの娘だ……昔、護衛任務をした事あってよォ……まぁ、あの様子を見たから分かると思うが……マリーはブチャラティの事をかなり気に入っちまってる……」
「うん……かなり熱烈な感じだね……」
「つーかよォ、マリーの奴一体何しに来たんだ……!?お前も見ただろ? 他の奴らと俺に対する態度の違いをよォ……全く……お高くとまってるっつーか、ブチャラティの前だと猫被りやがって……」
珍しくアバッキオが不満を漏らしている。
それを聞きながら、キアラが不意にある事を思い出す。
「そう言えば、前に言ってなかった? 確か私とアバッキオ、それとブチャラティの3人で飲んだ時にさ〜、何か苦手な相手がいる様な事──それってもしかして──マリーさん?」
「えっ……!?」
アバッキオの動きが一瞬止まる。
キアラが思い出したある日の出来事とは──
会いたかったと言いながら、ブチャラティに抱きつく女性──まるで離ればなれだった恋人同士が再会したかのような光景に、キアラ1人が戸惑っていた。
ブチャラティをファーストネームで呼ぶなんて……この女性は一体──?
そんな思いからか、キアラが思わず問いかける。
「ブチャラティ……そちらの方は……?」
「あぁ、彼女か──」
抱きつくマリーと距離をとり、ブチャラティが##NAME##に向き直る。
距離をとられた女性──マリーは、やや
「ただの知り合いだ」
「ちょっと、ブローノ〜、ただの知り合いだなんて……随分冷たい言い方ね? 昔は深〜い仲……だったじゃない? 私達──」
間髪入れずに、マリーが上目遣いで意味深に問いかける。
髪をかき上げるとふわっと香る甘い香り──
グロスを塗った唇は、光沢がありぽってりとしている。“色っぽい”とは、まさに彼女の様な女性を指し示すのであろう。
「いや……今も昔もただの知り合いだという事に間違いはないだろ?」
「そうかしら……忘れたの? あなた、私にキスしてくれたでしょ?」
「──ッ!?」
キアラが思わずブチャラティに目を向ける。
ブチャラティは、
「お前……あれをまだ覚えてたのか?」
「えぇ……もちろん!」
「キスと言っても頬にだろ? それなら挨拶がわりに誰もがしている事だ」
「まあ、そうよね〜」
マリーが意地悪そうな笑みを浮かべる。
一方で、キアラが一瞬
頬へのキスなんて、挨拶代わり……か──だとすれば、この前の自身行動もブチャラティにとっては──
そんな思考を巡らしていると、不意にマリーと目が合う。
ニコっとした柔らかい視線を向けながら、キアラの事をブチャラティに問いかける。
「ところで、そちらのお嬢さんは……?」
「お、お嬢さんッ!?」
「彼女の事は……別にいいだろう……」
「もしかして、ブローノの彼女とか?」
「いや──」
それ以上は語らず一瞬目線を下に落とした後、ブチャラティはキアラに向き直る。
その時、任務で出かけていたフーゴとアバッキオがアジトに戻って来た。
「ただ今、戻りました」
「あ? 何だ、客か……?」
「あっ、フーゴくん!」
マリーが振り返り、フーゴに向かって手を振り出した。それに気付いたフーゴが目を見張る。
「あれ……? あなたは……マリーさん!? えっ、こっちに戻って来てたんですか!?」
突如姿を現したマリーに、フーゴが驚きながら駆け寄る。
一方で、マリーの姿を目の当たりにしたアバッキオの表情が一変する。
「そうなの。久しぶりね! 元気にしてた?」
「はい、マリーさんもお元気そうで」
「ゲッ……マリー!? なんでオメーがここに居んだよ!?」
「…な〜んだ、アバッキオもいたの……? 別にいいでしょ?」
マリーが急に素っ気ない態度をとる。
それに対しアバッキオが、あぁ!?と言わんばかりに額に青筋を立てる。
それに気付いたフーゴが空気を変えようと問いかける。
「と、ところで、マリーさんはどうしてこちらへ?」
「そう……早速なんだけど、ブローノ……私、話があってここに来たの……ちょっといいかしら?」
「あ? ブチャラティはもう幹部になったんだ……お前の
「幹部!? すごい昇進ね!」
マリーが手を叩きながら祝福してみせる。
一方でブチャラティは、瞳の奥を鋭く光らせながら、至って冷静な態度をとる。
「ところでマリー、その話……依頼主は誰だ? お前の親父さんからは特に何も聞いていないが……」
「そうよ、父は知らないわ。私の個人的な頼みなの」
「そうか……分かってると思うが、俺に話をすると言う事は、自ずと組織が関わってくることは承知の上での相談だな?」
「えぇ……分かっているわ」
「ブチャラティ……貴方は色々と忙しいでしょうから、その話……僕が聞きましょうか?」
フーゴが名乗り出るも、マリーが真剣な眼差しを向けるのはブチャラティだ。
「ごめんなさい、フーゴくん……私はブローノにお願いしたいの! ブローノじゃあなきゃダメなの……」
「……分かった、じゃあ、あっちで話を聞くこう……あっ、キアラ──」
そう呼びかけながらブチャラティがこちらに向き直る。
「水分を摂ったら、しばらくまた休んでいろ。後でまた様子を見に行く」
「分かったわ、ありがとう……」
そして、ブチャラティがマリーとその場を離れる。
マリーに軽く会釈をし、キアラも一旦水を取りに行く。振り返ったブチャラティは、その後ろ姿をただ静かに見つめていた。
一方で残されたキアラもまた、ブチャラティを遠巻きに見据えながらアバッキオに問いかける。
「ねぇ、アバッキオ……」
「あ、何だ?」
「あの〜、マリーさんって人──?」
「あ〜あいつはブチャラティの管轄内にある
「うん……かなり熱烈な感じだね……」
「つーかよォ、マリーの奴一体何しに来たんだ……!?お前も見ただろ? 他の奴らと俺に対する態度の違いをよォ……全く……お高くとまってるっつーか、ブチャラティの前だと猫被りやがって……」
珍しくアバッキオが不満を漏らしている。
それを聞きながら、キアラが不意にある事を思い出す。
「そう言えば、前に言ってなかった? 確か私とアバッキオ、それとブチャラティの3人で飲んだ時にさ〜、何か苦手な相手がいる様な事──それってもしかして──マリーさん?」
「えっ……!?」
アバッキオの動きが一瞬止まる。
キアラが思い出したある日の出来事とは──