第10章 Lonesome
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翌日──
いつもの如 く、朝早くからアジトにて、庶務をしているのはブチャラティだ。そこには一際 忙しそうに仕事に打ち込む姿があった──そう、それは何かを紛らわすかの様に──
その時、部屋をノックする音が聞こえる。
ブチャラティが返事をすると、入って来たのはアバッキオだ。
「ブチャラティ、これ昨日の報告書だ」
「あぁ、後で目を通す……そこに置いといてくれ──」
「分かった……ところでよォ……昨日キアラとは、どうだったんだ?」
アバッキオがニヒルな笑みを浮かべながら、ブチャラティに問いかける。
昨日の自分の後押しに、何かしらの進展があるかもと密かに気にしていたのだ。
「昨日か……」
しかし、問いかけられたブチャラティは険しい表情を浮かべ、そのまま黙りこくる。
「どうした?何かあったのか……?」
「……キスされた」
「あぁ……? キスされた!? あんたからじゃあなくて、キアラの方からか!?」
「……あぁ……だが、気分は振られたようなもんだ……」
「……よく意味が分からねーが……?」
眉間にシワを寄せながら、アバッキオが怪訝 そうな表情を浮かべている。
「アバッキオ……恋ってゆーやつは、本当にままならねーもんだな……」
「おいおい、次から次へと何言い出すんだ……?」
アバッキオの問いかけに、そうだな……と言いつつ、ブチャラティがやるせなく笑みまで浮かべる。
「しかしだ、ブチャラティ……あんたの口から“恋”っつー言葉なんざ、聞けるとは思わなかったぜ」
「全くだ……」
「まぁ、頑張ってくれや」
アバッキオが去った後、ブチャラティは上着のポケットから小箱を取り出す。
(これ……渡しそびれてしまったな……)
それは、昨日キアラに渡すはずだったプレゼントだ。
机の上に静かに置くと、ブチャラティはため息をついた。
一方──
しばらくしてミスタがアジトに顔を出す。
そしてすぐさま向かったのは、トリッシュの所だ。
「トリッシュよォ〜」
「何、ミスタ?」
「……ん? 何やってんだ?」
「あ〜学校の課題、今日は休んだから……」
「そっか〜、じゃあそろそろメレンダ の時間っつー事でよォ」
そう言って、ミスタが机の上にケーキ箱を置く。
「ん……?」
「1日遅れちまったが、ホワイトデーのお返し!これでも食って一息着こうぜ?」
「ホワイトデー……」
トリッシュは同時にバレンティーノの事を思い出したのか、うつむき加減に呟く。
「どうかしたか?」
「ううん……ねぇ、開けてもいい?」
「もちろんだぜ!」
トリッシュが箱を開けると、中にはいろんな種類のドルチェが入っていた。
それを見て、トリッシュも思わず顔が綻 ぶ。
「美味 しそう……! でも、数多くない? 私の事太らす気?」
「ちげーよ、俺の分もあるっつーの!……どーせなら一緒に食おうと思ってよォ」
そう言いながらミスタがトリッシュの隣に座る。
「お前はどれにすんだ? 先に選べよ」
「ん〜どれにしようかな……?」
迷っているトリッシュの目に、明らかにミスタが自分用に選んだと思われる苺ケーキが飛び込んできた。
「じゃあ、私はこれにするわ」
「マジかよ!? それ狙ってたのによォ……」
「やっぱり……だからこれにしたの。先に選んでいいって言ったのはあなたよ、ミスタ ?」
トリッシュが意地悪そうな笑みを浮かべる。
「あぁ、別に構わねーぜ! 元々、全部お前の為に買ってきたんだしよォ……ほい、飲み物!」
「気が利くじゃない」
「お褒めの言葉どーも、じゃあ、早速食おうぜ!」
「うん! ……あのさ、ミスタ──」
「あ?」
「ありがとう」
トリッシュが笑顔を見せる。
おう……と、小さく答えたミスタは、少し赤くなった顔を隠す様にうつむき加減に答えた。
「美味しい!」
「だろォ? ここのドルチェが一番旨 いんだぜ!」
ミスタが得意げに答える。
その時不意に、トリッシュがミスタの目の前に苺ケーキを一口のせたスプーンを差し出す。
「ん? 何だよ?」
「本当はこれが食べたかったんでしょう? だから……はい」
「えっ、これってもしかして、いわゆる“あ〜ん”ってやつかよォ〜!」
憧れのシチュエーションに興奮したミスタが、思わず立ち上がる。
「ちょっと!」
「あ……悪ィ……」
「早くしてよ」
「じ、じゃあ、お言葉に甘えて──」
ミスタが、パクッと苺ケーキを口にする。
「……うん、旨いぜ!」
ニカっと笑うミスタを目の当たりしたトリッシュの心臓がドキッ──っと、跳ね上がる。
(い、今のは……?)
「ん? どーかしたか?」
「う、ううん。なんでもない」
「そういや〜トリッシュよォ、最近よくその“てんとう虫”付けてんな?」
ミスタがトリッシュの髪飾りに気付き問いかける。
「これ? これは、クリスマスにジョルノからもらったの。可愛いからたまにつけてるの」
「ふ〜ん、ジョルノから……ねェ」
「何……?」
「いや〜別にィ? ……似合ってるぜ、くやしいけどよォ……」
少し小声で答える傍 ら、“ジョルノ……あいつ、意外と強敵かもなァ……”と、美味しいと言いながらドルチェを頬張る無邪気なトリッシュを横目に、ミスタはふと思った。
そして──
いつもの
その時、部屋をノックする音が聞こえる。
ブチャラティが返事をすると、入って来たのはアバッキオだ。
「ブチャラティ、これ昨日の報告書だ」
「あぁ、後で目を通す……そこに置いといてくれ──」
「分かった……ところでよォ……昨日キアラとは、どうだったんだ?」
アバッキオがニヒルな笑みを浮かべながら、ブチャラティに問いかける。
昨日の自分の後押しに、何かしらの進展があるかもと密かに気にしていたのだ。
「昨日か……」
しかし、問いかけられたブチャラティは険しい表情を浮かべ、そのまま黙りこくる。
「どうした?何かあったのか……?」
「……キスされた」
「あぁ……? キスされた!? あんたからじゃあなくて、キアラの方からか!?」
「……あぁ……だが、気分は振られたようなもんだ……」
「……よく意味が分からねーが……?」
眉間にシワを寄せながら、アバッキオが
「アバッキオ……恋ってゆーやつは、本当にままならねーもんだな……」
「おいおい、次から次へと何言い出すんだ……?」
アバッキオの問いかけに、そうだな……と言いつつ、ブチャラティがやるせなく笑みまで浮かべる。
「しかしだ、ブチャラティ……あんたの口から“恋”っつー言葉なんざ、聞けるとは思わなかったぜ」
「全くだ……」
「まぁ、頑張ってくれや」
アバッキオが去った後、ブチャラティは上着のポケットから小箱を取り出す。
(これ……渡しそびれてしまったな……)
それは、昨日キアラに渡すはずだったプレゼントだ。
机の上に静かに置くと、ブチャラティはため息をついた。
一方──
しばらくしてミスタがアジトに顔を出す。
そしてすぐさま向かったのは、トリッシュの所だ。
「トリッシュよォ〜」
「何、ミスタ?」
「……ん? 何やってんだ?」
「あ〜学校の課題、今日は休んだから……」
「そっか〜、じゃあそろそろ
そう言って、ミスタが机の上にケーキ箱を置く。
「ん……?」
「1日遅れちまったが、ホワイトデーのお返し!これでも食って一息着こうぜ?」
「ホワイトデー……」
トリッシュは同時にバレンティーノの事を思い出したのか、うつむき加減に呟く。
「どうかしたか?」
「ううん……ねぇ、開けてもいい?」
「もちろんだぜ!」
トリッシュが箱を開けると、中にはいろんな種類のドルチェが入っていた。
それを見て、トリッシュも思わず顔が
「
「ちげーよ、俺の分もあるっつーの!……どーせなら一緒に食おうと思ってよォ」
そう言いながらミスタがトリッシュの隣に座る。
「お前はどれにすんだ? 先に選べよ」
「ん〜どれにしようかな……?」
迷っているトリッシュの目に、明らかにミスタが自分用に選んだと思われる苺ケーキが飛び込んできた。
「じゃあ、私はこれにするわ」
「マジかよ!? それ狙ってたのによォ……」
「やっぱり……だからこれにしたの。先に選んでいいって言ったのはあなたよ、ミスタ ?」
トリッシュが意地悪そうな笑みを浮かべる。
「あぁ、別に構わねーぜ! 元々、全部お前の為に買ってきたんだしよォ……ほい、飲み物!」
「気が利くじゃない」
「お褒めの言葉どーも、じゃあ、早速食おうぜ!」
「うん! ……あのさ、ミスタ──」
「あ?」
「ありがとう」
トリッシュが笑顔を見せる。
おう……と、小さく答えたミスタは、少し赤くなった顔を隠す様にうつむき加減に答えた。
「美味しい!」
「だろォ? ここのドルチェが一番
ミスタが得意げに答える。
その時不意に、トリッシュがミスタの目の前に苺ケーキを一口のせたスプーンを差し出す。
「ん? 何だよ?」
「本当はこれが食べたかったんでしょう? だから……はい」
「えっ、これってもしかして、いわゆる“あ〜ん”ってやつかよォ〜!」
憧れのシチュエーションに興奮したミスタが、思わず立ち上がる。
「ちょっと!」
「あ……悪ィ……」
「早くしてよ」
「じ、じゃあ、お言葉に甘えて──」
ミスタが、パクッと苺ケーキを口にする。
「……うん、旨いぜ!」
ニカっと笑うミスタを目の当たりしたトリッシュの心臓がドキッ──っと、跳ね上がる。
(い、今のは……?)
「ん? どーかしたか?」
「う、ううん。なんでもない」
「そういや〜トリッシュよォ、最近よくその“てんとう虫”付けてんな?」
ミスタがトリッシュの髪飾りに気付き問いかける。
「これ? これは、クリスマスにジョルノからもらったの。可愛いからたまにつけてるの」
「ふ〜ん、ジョルノから……ねェ」
「何……?」
「いや〜別にィ? ……似合ってるぜ、くやしいけどよォ……」
少し小声で答える
そして──