第9章 バタフライ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そして時は3月14日──
ブチャラティチームのアジトでは──
キアラが洗面台で化粧直しをしている。
この後、ブチャラティとランチに行くからだ。
ランチのお店はこの前ミスタと一緒に行ったカフェにした。
場所をネアポリスにしたのは、単に近くの方が落ち合うには都合が良かったのもあるが──
街を歩けば誰しもが声をかけてくる……そんなブチャラティと一緒にいるのを周りに知らしめる事で、その時だけは彼を“独占している”という、いわゆる優越感に浸りたっかたのかもしれない……
それは決して叶わない事だから……だから、せめてホワイトデーに託 けた、私のわがまま──
そこにアバッキオがやって来た。
「随分粧 し込んでるじゃあねーかよォ?」
「えっ、べ、別にそんな事ないってば!」
「今からデートなんだろ、ブチャラティと?」
アバッキオは、全てを見透かしたかようにニヤリと笑みを浮かべる。
「べ、別にデートじゃあないから! ランチを食べに行くだけだから!」
「そんなムキになるなよ? でも、ブチャラティと2人で出かけるんなら、デートみたいなもんだろ?」
「そ、それは……」
キアラが少し赤くなった顔を隠すようにうつむく。
そんなキアラにアバッキオが唐突にプレゼントを手渡す。
「これ──」
「ん?」
「今日はホワイトデーだからな、一応お返しだ」
「ありがとう、アバッキオ!」
そう言いながら見上げたキアラに、アバッキオが“中を見ろ”と手振りで示す。
示された通りキアラが中身を取り出すと──
「あっ、これ……リップ? 可愛い……」
ニコリと微笑むキアラを横目に、アバッキオがさらに示唆 する。
「それ使えよ……唇は手入れしといた方がいいかもしれないからなァ……」
「ん? 何それ、セクハラ……?」
早速リップを手に取りながら、冗談まじりにキアラが問いかける。
アバッキオは不適な笑みを浮かべながら答えた。
「デートならよォ、ブチャラティとキスしてもいいようにしとかねーとなァ……?」
「えぇッ!? アバッキオ、急に何言い出すの!? ないない、そんなのありえないから! ってか、どっからそんな発想が出てくるの!?」
「あ? さぁな……それに──#ruby=悶々_もんもん#]と思っているのは、お前だけじゃあねーぜ?」
「えっ、それ……どういう意味──?」
「それより、時間大丈夫か?」
アバッキオが壁掛け時計を指差して促す。
「あっ、本当だ! じゃあ、行ってきます!」
キアラは、はやる胸を押さえながら、ブチャラティとの待ち合わせ場所──サンタ・ルチア港が望めるカフェへ少し急ぎ足で向かった。
しばらくして、カフェの近くまで来たキアラの目に、既に到着しているブチャラティの姿が飛び込んできた。
早く会いたいと思う気持ちが、キアラをさらに早足にさせる。
「お疲れ様……待たせちゃったかな?」
「いや、俺も今来たところだ……さぁ、席に座ってくれ」
ブチャラティが席の椅子を引き、キアラをエスコートする。
「Grazie!」
「何が食べたい? キアラの好きなものを頼むといい」
「……ねぇ、ブチャラティ」
「何だ?」
「私の好きな食べ物……覚える?」
キアラが試すように問いかける。
それに対し、ブチャラティが余裕の表情を浮かべる。
「あぁ、勿論 だ」
「じゃあ、注文はブチャラティにしてもらおうかな〜?」
「いいだろう……それじゃあ、当たってたその時は──」
「ん?」
「キスでもしてもらうとするかな?」
「えっ!?」
キアラが思わず目を見開く。
なぜなら、ブチャラティとアバッキオの言葉が重なったからだ。
「じ、冗談だよね……?」
「……」
ブチャラティは含み笑いを浮かべるだけで何も答えず、そのまま注文をしに行ってしまう。
しばらくして料理が運ばれて来た。
テーブルに並んだのは、モッツァレラとハムの
カルツォーネにリモーネのジェラード……それはキアラの好きな食べ物だ。
「どうだ、当たってるか?」
「…うん、当たってる! 覚えててくれたんだ……」
そう言ってキアラが小さく微笑む。
その笑顔を目の当たりしたブチャラティの鼓動が、またドキンッと跳ね上がる。
まただ……五月蠅 心臓め──
「それじゃあキアラ、さっきの約束……果たしてもらうぞ?」
「えっ、えっと……あっ、せっかくの料理、冷めちゃうから早く食べよ! ねっ? あっ、ブチャラティのパスタも美味しそうだね! 食べよ食べよ!」
ニヤリと笑みを浮かべたブチャラティに対し、キアラは話をはぐらかすように食べ始めた。
ブチャラティチームのアジトでは──
キアラが洗面台で化粧直しをしている。
この後、ブチャラティとランチに行くからだ。
ランチのお店はこの前ミスタと一緒に行ったカフェにした。
場所をネアポリスにしたのは、単に近くの方が落ち合うには都合が良かったのもあるが──
街を歩けば誰しもが声をかけてくる……そんなブチャラティと一緒にいるのを周りに知らしめる事で、その時だけは彼を“独占している”という、いわゆる優越感に浸りたっかたのかもしれない……
それは決して叶わない事だから……だから、せめてホワイトデーに
そこにアバッキオがやって来た。
「随分
「えっ、べ、別にそんな事ないってば!」
「今からデートなんだろ、ブチャラティと?」
アバッキオは、全てを見透かしたかようにニヤリと笑みを浮かべる。
「べ、別にデートじゃあないから! ランチを食べに行くだけだから!」
「そんなムキになるなよ? でも、ブチャラティと2人で出かけるんなら、デートみたいなもんだろ?」
「そ、それは……」
キアラが少し赤くなった顔を隠すようにうつむく。
そんなキアラにアバッキオが唐突にプレゼントを手渡す。
「これ──」
「ん?」
「今日はホワイトデーだからな、一応お返しだ」
「ありがとう、アバッキオ!」
そう言いながら見上げたキアラに、アバッキオが“中を見ろ”と手振りで示す。
示された通りキアラが中身を取り出すと──
「あっ、これ……リップ? 可愛い……」
ニコリと微笑むキアラを横目に、アバッキオがさらに
「それ使えよ……唇は手入れしといた方がいいかもしれないからなァ……」
「ん? 何それ、セクハラ……?」
早速リップを手に取りながら、冗談まじりにキアラが問いかける。
アバッキオは不適な笑みを浮かべながら答えた。
「デートならよォ、ブチャラティとキスしてもいいようにしとかねーとなァ……?」
「えぇッ!? アバッキオ、急に何言い出すの!? ないない、そんなのありえないから! ってか、どっからそんな発想が出てくるの!?」
「あ? さぁな……それに──#ruby=悶々_もんもん#]と思っているのは、お前だけじゃあねーぜ?」
「えっ、それ……どういう意味──?」
「それより、時間大丈夫か?」
アバッキオが壁掛け時計を指差して促す。
「あっ、本当だ! じゃあ、行ってきます!」
キアラは、はやる胸を押さえながら、ブチャラティとの待ち合わせ場所──サンタ・ルチア港が望めるカフェへ少し急ぎ足で向かった。
しばらくして、カフェの近くまで来たキアラの目に、既に到着しているブチャラティの姿が飛び込んできた。
早く会いたいと思う気持ちが、キアラをさらに早足にさせる。
「お疲れ様……待たせちゃったかな?」
「いや、俺も今来たところだ……さぁ、席に座ってくれ」
ブチャラティが席の椅子を引き、キアラをエスコートする。
「Grazie!」
「何が食べたい? キアラの好きなものを頼むといい」
「……ねぇ、ブチャラティ」
「何だ?」
「私の好きな食べ物……覚える?」
キアラが試すように問いかける。
それに対し、ブチャラティが余裕の表情を浮かべる。
「あぁ、
「じゃあ、注文はブチャラティにしてもらおうかな〜?」
「いいだろう……それじゃあ、当たってたその時は──」
「ん?」
「キスでもしてもらうとするかな?」
「えっ!?」
キアラが思わず目を見開く。
なぜなら、ブチャラティとアバッキオの言葉が重なったからだ。
「じ、冗談だよね……?」
「……」
ブチャラティは含み笑いを浮かべるだけで何も答えず、そのまま注文をしに行ってしまう。
しばらくして料理が運ばれて来た。
テーブルに並んだのは、モッツァレラとハムの
カルツォーネにリモーネのジェラード……それはキアラの好きな食べ物だ。
「どうだ、当たってるか?」
「…うん、当たってる! 覚えててくれたんだ……」
そう言ってキアラが小さく微笑む。
その笑顔を目の当たりしたブチャラティの鼓動が、またドキンッと跳ね上がる。
まただ……
「それじゃあキアラ、さっきの約束……果たしてもらうぞ?」
「えっ、えっと……あっ、せっかくの料理、冷めちゃうから早く食べよ! ねっ? あっ、ブチャラティのパスタも美味しそうだね! 食べよ食べよ!」
ニヤリと笑みを浮かべたブチャラティに対し、キアラは話をはぐらかすように食べ始めた。